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【新・JR東日本最長普通列車】前橋発沼津行き乗車記 7年ぶり復活の上野東京ライン運用[2024ダイヤ改正(16)]

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国鉄分割民営化時から、JR東海で活躍してきた211系電車。 名古屋地区や静岡地区を中心に、長きにわたって走り続けていました。 特にロングシート地獄、トイレ無し電車など印象に強い静岡地区の211系電車で ...

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こちらは群馬県の県庁所在地、前橋駅に来ています。

2024年春のダイヤ改正で、これまでJR東日本最長普通列車だった、高尾発長野行きが廃止に。

 

それと同時に誕生したのが前橋発沼津行きで、新たなJR東日本最長普通列車です。

 

2015年3月の上野東京ライン開業で設定された前橋発沼津行き。2017年春のダイヤ改正で廃止されてから、7年ぶりに復活しました。

 

運行距離241.2km所要時間4時間22分。一体どんな旅になるのでしょうか。



今回はダイヤ改正で料金体系が変わった、普通列車グリーン車に乗車。

これまでの料金なら、前橋〜沼津でも100km以上1000円(平日)で統一だったのが、101km以上1810円(紙のきっぷ)になりました。

 

今回の目的地、沼津駅は100km以上離れており、券売機上の運賃表に書かれていません。

指定席券売機や窓口での購入が必要になりますが、前橋〜沼津は通常料金で4,510円です。

 

やはりこういった長距離普通列車は、青春18きっぷシーズンがおすすめ。今回はこちらを利用します。

 

発車標にはご覧のとおり、上野東京ライン沼津行きの表記。

若干ローカル味のあるJR両毛線の中に、どう考えても距離のおかしい静岡県が紛れ込んでいる、なんともミスマッチです。

 

18:52着の両毛線で高崎から来た時には、沼津行きになる電車が到着済みでした。

 

イメージとしては、上野東京ラインとは縁の無い感覚の前橋駅。

他にも何本かありますが、グリーン車が止まっているだけでも不思議なのに、沼津行きとはこれまた信じ難いです。

 

今回は非常に長時間の乗車になりますが、グリーン車なので甘いもの。スマホ充電と食料だけ確保しておけば、あとは安心です。

 

そしてこちらが、改訂後の普通列車グリーン料金。

通常料金で50kmまで1,010円、100kmまで1,260円、101km以上1,810円です。

Suicaグリーン料金ならそれぞれ750円、1,000円、1,550円と安く抑えられます。

なお、JR東海エリアとなる沼津駅までは、モバイルSuicaで買うことができません。Suica料金を適用させるためには、あらかじめ駅にてカードタイプのSuicaに、グリーン券購入情報を載せておく必要があります。

 

ダイヤ改正数日後とあって、この電車に乗ることを目的にした鉄道ファンの方もちらほら。

空いている時なら個室気分を味わえる、平屋区画に1グループずつ乗っておられました。



19:13 前橋駅 発

列車は前橋駅を出発、沼津駅までJR東日本最長普通列車の旅が始まりました。

 

群馬県最大の都市といえば高崎市、新幹線駅もこちらに設置されています。

一方で県庁所在地はこちらの前橋市、利根川を渡る時には右手に、群馬県庁と前橋市役所を見られました。

 

次の停車駅は新前橋駅。両毛線はこのひと区間で終わり、上越線に入ります。

 

すぐ近くには車両基地があって、オレンジと緑の帯を巻いた211系電車がたくさんいました。

東海地方出身者としては、どうしても静岡県や名古屋地区中央本線のイメージなんですよね。

 

井野駅では、211系矢絣ラッピングとすれ違い。

両毛線は明治時代日本の主要産業だった生糸や絹織物を、港へ輸送するために建設されました。その歴史を発信するべく、織物柄の矢絣柄をラインに採用したラッピング列車です。

 

このグリーン車上段には、前橋駅から鉄道ファンの方がお一人、高崎問屋町駅から数人乗っておられます。

都心部へ入るにつれて、どのような変化があるのでしょうか。



19:29 高崎駅 着

新幹線の高架橋へ近づき、主要駅である高崎駅に到着しました。

高崎駅などの新幹線駅では、日常的な通勤や退勤でも、グリーン車や通勤特急より新幹線利用者が多い傾向にあります。

 

高崎駅からは上信電鉄や八高線などローカル線も発着。様々な面を見せてくれて非常に面白いです。

 

八高線の分岐駅である、お隣の倉賀野駅を出て、烏川を渡ります。

上下線が少し離れたところを走っているので、高崎方面のトラス橋を少し遠くから見られました。

 

しばらくくっついていた八高線が離れると、すぐに北藤岡駅の灯りが現れます。これだけ高崎線の線路が近いのに、こちらにはホームが無いのがポイント。

 

群馬県最後の駅、新町駅を発車しました。

かつて特急待避を行える島式ホームだったのでしょうが、線路が撤去されて柵が設けられています。

かつて東京〜新潟を結ぶ特急が行き交っていたのですが、その役割を上越新幹線に移して、上越線の特急はかなり数を減らしました。

 

神流川を渡り、群馬県から埼玉県に入ります。

 

本庄駅には特急あかぎ3号としての運行を終え、回送列車になったE257系が停車中でした。

市内に新幹線駅がありますが、単独の本庄早稲田駅です。

 

深谷市は東京駅丸の内駅舎に使われた、赤れんがの産地です。深谷駅の駅舎はそれにちなみ、東京駅を模したデザインになっています。

 

その直後、特急あかぎ5号高崎行きとすれ違い。



20:03 籠原駅 着

籠原駅では3分間の停車。ここまで10両編成で走ってきましたが、後ろに5両繋げて15両編成で走ります。

 

これによって都心部の夕ラッシュに合わせた輸送力を確保。連結を行うにしては3分という短い停車時間、近くに車両基地があって、準備が行われていました。

 

上越新幹線の高架が近づいてきて、その真下へ。熊谷駅に到着です。

 

こちらからは秩父鉄道が分岐しています。

熊谷駅到着前に熊谷貨物ターミナルがあったのですが、2020年度まではそこから秩父鉄道三ヶ尻線が分かれており、石灰石を工場へ輸送していました。

 

吹上駅で停車中、特急踊り子号のE257系が回送されていきます。



この辺りで、グリーンアテンダントの方が検札にいらっしゃいました。

紙のきっぷで購入したので、こちらでスタンプが押されます。

 

しばらくすると頭上のランプが緑色に変わり、座席利用中と示されました。

 

特急あかぎ号の中で運行距離が短い、特急あかぎ1号の終着駅である鴻巣駅です。

ここで折り返し上野方面へ向かい、再び通勤特急として運行するためであり、高崎線における通勤需要の高さに驚かされます。



桶川駅でちょうど特急あかぎ7号とすれ違いました。

20人以上の方が降りていかれ、やはり高崎線内途中駅で退勤の需要があるのだなと思います。

 

今乗っている上り列車のグリーン車は余裕がありますが、向かいの下り列車は通路側も多少埋まっている様子。



20:51 大宮駅 着

国内2番目に多くの路線が分岐する大宮駅。ずっと走ってきた高崎線からお別れし、ここからは東北本線へ入ります。

 

ちょうど北陸新幹線はくたか574号が、東京方面へ同時発車してきました。

 

この時間、大宮駅からの新幹線では、21:29かがやき金沢行き、21:45とき新潟行き、21:09つばさ山形行き、21:59はやぶさ仙台行きがそれぞれへの最終です。

 

東北新幹線はさいたまスーパーアリーナの奥へ消えていき、最寄駅さいたま新都心駅に到着です。

 

大宮駅からは武蔵野線へ直通する「むさしの号」「しもうさ号」が運行されており、与野駅通過後に分岐する貨物線を走ります。

上野東京ラインは通常通り、東北本線を南下して浦和駅に停車。

 

南浦和駅の先には、水色ラインの京浜東北線が集まる車両基地が見られます。

大宮駅から京浜東北線が始まっており、これが横浜駅まで。東北本線と東海道本線における緩行線としての役割です。

 

東北本線と京浜東北線の複々線状態で、上野東京ラインは蕨駅など京浜東北線だけの駅はそのまま通過します。

 

その中で、自治体が上野東京ライン停車を求めているのが、川口市の中心駅である川口駅。

少しでも都心部へのアクセスにおいて、利便性を高めようという考えです。

 

荒川を渡りまして、埼玉県から遂に東京都へ入りました。

 

都内最初の駅が赤羽駅。

東北本線から東海道本線へ直通する運行系統を示す、上野東京ラインと湘南新宿ライン。上野駅・東京駅を経由するか、新宿駅を経由するかが分かれる地点で、非常に重要な分岐点です。

 

大宮駅から東北新幹線沿いを走っていた埼京線が、ここで合流。直通先のりんかい線車両を見られました。

 

ちょうど赤羽駅を出るところで、特急あかぎ9号高崎行きとすれ違い。こちらが高崎線特急最終便です。



尾久駅に到着しまして、進行方向右手には広々とした車両基地。

かつては北へ行くブルートレインが沢山いたようで、現在でも残るカッコ良い機関車に目を惹かれます。

 

日暮里駅の横を素通りしまして、上野駅までは日本一多くの線路が並行する複々線区間として知られます。

 

21:17 上野駅 着

奥には青色の常磐線快速、ここまで走ってきてようやく違う色のJR通勤電車が見えてきました。

 

西日暮里駅あたりから京浜東北線に加え、山手線も並行。3複線の状態が品川駅まで続きます。

 

光の色からして格の違う丸の内ビルの中、中央本線が一際高い高架へ登っていきます。



21:23 東京駅 着

ここまで上り列車として走っていましたが、下り列車へ一転。都心部から各方面へお帰りになるお客さんをたくさん乗せる、混雑する方向に変わります。

 

東京駅を発車すると同時に、田町から回送されてきた寝台特急サンライズ瀬戸・出雲が入線。まさか寝台特急とのすれ違いを見られるとは驚きです。

 

山手線・京浜東北線に沿いまして、非常に明るい町並みを走行。

東京駅からは今回の経路で最後の路線、東海道本線に入っています。

 

こちらも非常に混雑している、新橋駅に到着です。

 

東京駅で一気に埋まりつつも、僅かに残っていた空席が無くなり、新橋駅発車後はグリーン車内で立ち客が出ていました。

 

成田エクスプレスが停まる東京総合車両センター田町センター越しに、折り紙を模した美しい高輪ゲートウェイ駅の駅舎を眺めます。

先ほどすれ違った寝台特急サンライズは、ここから東京へ回送されています。

 

21:32 品川駅 着

品川駅を出ると山手線が離れ、京浜東北線とだけ並行します。

 

列車は多摩川を渡って、東京都から神奈川県へ入りました。

 

川崎駅に到着し、多少空席が出るようになります。

 

鶴見駅通過前、今度は横須賀線が近づいてきました。

東海道線・京浜東北線・横須賀線の並行区間になります。



21:50 横浜駅 着

この時間ということは、寝台特急サンライズが東京駅を発車。

東京〜横浜というそれなりの距離ですが、沼津駅まで後ろから追いかけられることになります。

 

横浜駅では割とお客さんが入れ替わる形。乗車される方も多く1,2人程度立ち客の方がいらっしゃいましたが、次の駅くらいで全員座れる状態です。

 

京浜東北線は横浜駅から分岐する根岸線へ直通。

並行するのは横須賀線だけとなり、東海道線は止まらない東戸塚駅を見下ろします。

 

戸塚駅到着時に横須賀線が発車し始めたりと、若干の並走を目にすることになりました。

 

横須賀線は大船駅から、三浦半島の久里浜方面へ。

反対ホームにはE257系が止まっていて、おそらく夜はここで過ごしそうです。

 

京浜東北線や横須賀線など並行する線路がなくなり、大船駅からは東海道本線だけの純粋な複線区間に。

大船〜藤沢には2032年に新駅開業予定で、JR東日本管内の東海道線の駅としては、107年ぶりの新駅ということになります。

 

東海道本線沿線の主要駅を過ぎると、グリーン席の空席がかなり多くなりました。

 

茅ヶ崎駅には相模線が停車中。

終電は茅ヶ崎駅23:49発で、終点の橋下駅に24:39着とかなり遅くまで走ってくれています。



22:39 国府津駅 着

国府津駅では5分停車しまして、後ろの5両を解結して10両編成での運行に。

籠原駅で連結した編成がここで外されます。

 

国府津駅は御殿場線の乗り換え駅。

お隣には22:53発御殿場行きが止まっており、こちらは山北駅〜御殿場駅の終電です。



この日強風のため少々遅れていた東海道新幹線と共に、小田原駅に到着。

時刻は22:53、そろそろこの電車も寝過ごすと引き返せない時間帯になってきました。

 

お隣の早川駅に停車する直前で発車したのは、普通列車品川行き。これを逃すと国府津〜品川の駅へ行けなくなるので、小田原までに起きないと国府津以東へ戻れないということになります。

 

小田原駅から先は山ギリギリのところを走る区間。

中でも根府川駅は海を一望できることで知られています。

 

湯河原駅には横須賀線が止まっていて、ここまで来るのかと知らずに驚き。

 

湯河原駅の発車標には「普通 国府津行き」が表示されていますが、国府津まで戻れるのもこれが最後。これ以上寝過ごしてしまったら、先に進むしかありません。



23:16 熱海駅 着

遂に関東地方を脱出して、静岡県は熱海駅に到着。

海ギリギリまで山が迫っている地形で、こちらには新幹線ホームが輝いています。

 

ここまでJR東日本エリアを走り続けていましたが、熱海駅からJR東海エリアへ。

 

乗務員さんもJR東日本からJR東海の方へ交代されます。

 

また、隣の発車標には寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号の表示。

「寝台特別急行サンライズが到着です」と駅員さんが放送なさっていて、ちょっとタイムスリップした気分に。

そして東京〜横浜というかなりの差が開いていたのに、ここまでに詰められてしまいました。

 

熱海駅を出発してしばらくすると、温泉街が一面に広がっています。

山に沿った段々旅館、国内屈指の温泉地であるゆえの光景です。

 

しばらくすると伊東線の、来宮駅近くを通過。

東海道本線とピッタリ並走しているところにあるので、ぱっと見東海道本線も止まりそうです。

 

1934年に開通した7,804mの長大トンネル、丹那トンネルへ入りました。

 

完全にJR東海の駅となり、オレンジの駅名標を見られます。



23:30 三島駅 着

奥には伊豆箱根鉄道駿豆線の終電、23:50発の大場行きが止まっています。

 

これだけ暗くても街の灯りは、富士山の手前にある愛鷹山の姿を照らしていました。

 

留置線を挟みつつ、国府津駅から分かれていた御殿場線と合流。丹那トンネルが開通するまでは、あちらから山の中を遠回りして走っていました。

 

前橋駅では211系電車に見送られましたが、沼津駅では211系電車に迎えられました。

会社が違うのに同じ系列の車両が今でも使われている、その共通点がここにあるとは非常に面白かったです。



23:35 沼津駅 着

前橋駅から4時間22分の旅。

景色の暗い夜間でありながら、変化する夜景や移り変わる線路の様子など、都心部を中心にした鉄道ネットワークならではの楽しみができました。

 

さて、沼津駅から移動できる手段は2つだけ。

駅時刻表に掲示されている定期列車としてはただ一つ、寝台特急サンライズ出雲・瀬戸号です。

 

4分の接続でサンライズに乗り換えることができまして、前橋発沼津行きとサンライズ乗車をセットにする鉄道ファンの方、結構いらっしゃいそう。

 

そしてもう一つは23:54発快速静岡行きです。

定期列車として運行されているのは沼津までなのですが、金土祝を中心に静岡駅まで延長運転しています。実際ホームにはこの列車を待っている方が、多くいらっしゃいました。

東海道新幹線の最終こだま三島行きと接続しており、以前ブログ記事でもご紹介しています。

 

翌日北大阪急行電鉄延伸と新型やくも試乗会の取材があったので、ありがたくサンライズに乗車。あまりに完璧すぎる旅程を組ませてもらえて、感動ものでした。

 

グリーン車もあるのでそこまで辛くなく、初心者の方でも十分楽しめそうな長距離列車です。ぜひサンライズのお供にでも、乗車してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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