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【長崎〜大阪4時間の壁切り】西九州新幹線かもめ最速便 博多乗り継ぎ新大阪駅へ

2023年4月9日

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【非電化化された長崎本線】電化設備撤去の進捗は? 浦上駅高架ホーム解体

かつて、博多〜長崎を結ぶ特急かもめが走っていた長崎本線。 2022年に秋に西九州新幹線が開業したことで、在来線特急かもめは新幹線かもめへ受け継がれました。   西九州新幹線含めた整備新幹線建 ...

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新幹線が航空機より優位に立つ目安とされる「4時間の壁」。

2022年9月に部分開業した、博多〜武雄温泉が歯抜け状態の西九州新幹線でも同じです。

 

長崎から4時間の壁を切るかどうか、焦点になる大都市といえば大阪。今回の部分開通ではあまり注目されませんでしたが、長崎〜新大阪で4時間の壁を切っている組み合わせ、最速3時間53分のアクセスを実証してみたいと思います。



半年ぶりにやってきました、こちらは西九州新幹線と長崎本線の終着駅、長崎駅です。

2020年にできたばかりの新しい高架駅舎、ガラス越しに新幹線かもめ号を見られるのが本当に素敵です。

駅前ではJR九州の駅ビルを中心とした整備事業が進んでおり、路面電車の通りから駅へ向かう導線も色々変わっていました。

 

今回乗車するのは、長崎駅9:50発のかもめ16号長崎〜博多を1時間20分で結ぶ最速達便としても知られます。在来線特急かもめは最速1時間50分だったので、それから30分の短縮を実現しました。

 

当然ですが開業日ほどの混雑は無くなりまして、指定席券売機ならすぐにきっぷの購入ができます。新大阪駅までは通常料金18,840円です。

 

今回乗車する新幹線の組み合わせは、かもめ16号・リレーかもめ16号博多行きと、のぞみ24号東京行きです。

博多駅では5分の乗り継ぎとなっているため、あらかじめきっぷの購入や受け取りを済ませておきましょう。

 

のぞみ号には車内販売がありますが、長崎駅のファミリーマートで駅弁を販売しているのでぜひ。



こちら、西九州新幹線改札に来ました。

新幹線の自動改札に慣れていない方に向け、今でも駅員さんが改札に立って案内しているのが印象的でした。

 

乗車するかもめの停車駅は、諫早、武雄温泉、佐賀、新鳥栖、鳥栖です。

武雄温泉駅で在来線特急リレーかもめ号に乗り換えますが、発車標の表示はまるで一本の列車みたいな扱い。停車駅の表示がこの中に収まるほど少なくなっています。

 

列車は12番線ホームからの発車です。

終着駅であることを示すこの駅名標、果てまで来たぞって感じがして良いですね。

 

それまで特急かもめ号が走っていた長崎本線ですが、電化設備の撤去が進んでいます。現在は基本的に普通列車が行き交うばかりで、使用車両も気動車のキハ47系です。

 

西九州新幹線で使用される車両はN700S新幹線。線路が繋がっていないので、船で運ばれてきました。

東海道・山陽新幹線とは全く表情が異なり、JR九州らしい美しい見た目は、乗車へのワクワク感を高めてくれます。

 

西九州新幹線は停車パターンに関わらず、全て「かもめ」。その代わり、途中に通過駅がある場合は赤色、全て停車する場合は青色で表示されます

 

自由席の座席は東海道・山陽新幹線の色違いです。開業初期はついていなかったヘッドレストカバーリネンですが、革製のものが備えられました。

個人的には指定席よりも自由席の方が快適性が高く、基本的に空いているのでこちらを選びます。



09:50 長崎駅 発

今でも大開発が進められている長崎駅周辺。長崎本線が離れていきまして、路面電車が走る大きな通りを越えるとトンネルに入ります。

 

完全にトンネル区間を走り続け、諫早駅到着の放送が流れました。

 

諫早の街へ出てきまして、カーブしている長崎本線と交差します。この辺りは勾配がきつく、運転が難しい区間とのことです。



諫早駅に到着。快速で25分のところ僅か8分で結んでおり、長崎〜諫早で利用される方も割といらっしゃいます。

九州で14番目の人口を有する、長崎県第三の都市。新幹線含め全列車が停まります。

 

発車して1分経たないうちに90km/h近く。N700Sの加速度性能には驚かされるばかりです。

 

諫早市街を抜けて畑の中へ、在来線特急かもめが走った長崎本線から離れまして、大村線沿いへ北上します。



そして通過するのが新大村駅、大村線に新駅が設置されまして、乗り換えもできます。

長崎空港へのアクセス駅として便利な他、長崎のベッドタウンとしても発展する街。大村市は新幹線通学の需要を見込んだ駅前開発を進めます。

 

新大村駅を通過する列車は比較的少なく、この表示が出るのは今回乗車したような最速便です。

 

左手に線路が分かれて行きましたが、こちらは大村車両基地へ下っていきます。

 

車両基地はやや高いところに位置するため、その様子を見られるのは新幹線からだけです。大村車両基地駅も開業しており、開放などイベントがあれば非常に便利。

 

いよいよ県境を越えようというところ、トンネル直前では240km/h近くまで出していました。

各駅停車型だとちょっと厳しそうですが、駅を通過していればトンネル内で最高速度の260km/h走行しているでしょう。

 

今日は残念ながら曇っていましたが、山と山の間では大村湾を望むことができます。割とトンネルが多い近年の新幹線ですが、その中では景色が良い路線だと思います。

 

斜面に何とか造った棚田や茶畑が広がる様子も素晴らしく、長崎で有名な彼杵そのぎ茶などの名産に触れることも。

 

5705mに及ぶ県境の俵坂トンネル、この明かり灯区間には『凄い法面トンネル』と言われる、山の頂上まで固めたトンネルの入り口があります。脳筋で土砂災害を防いでいるのは何とも言えない光景です。



佐賀県に入りまして、嬉野市街地を走行中。

透明な防音壁を自治体負担で設置してくれたおかげで、温泉街をみることができます。新幹線がきたことで、温泉旅館が今後増えることに。

 

西九州新幹線唯一の新幹線単独駅、嬉野温泉駅を通過します。この駅だけ通過する便はいくつか設定されていますが、それまで鉄道がなかった嬉野市にとって、明るい話題です。

 

嬉野温泉駅〜武雄温泉駅の駅間距離はわずか10.9km。駅を通過した直後に武雄温泉駅到着の放送が流れます。

 

N700Sは駅到着前に、荷棚上部分が明るくなります。これで荷物の忘れ物を防いでいる訳です。

 

左手からは佐世保線の高架が近づいてきました。武雄温泉駅からはこの路線を走る、特急リレーかもめに乗り換えです。

 

既に向かい側のホームには、特急リレーかもめがスタンバイ中。かもめ号から乗り換えてくるお客さんを待っています。

 

駅名標を見てみると次の駅は特急停車駅の江北。完全に新幹線で繋がっている感満載です。



10:13 武雄温泉駅 着

長崎駅からの所要時間は僅か23分、在来線特急時代ではようやく諫早駅に到着したぐらい。新幹線の凄さには驚くばかりです。

 

西九州新幹線かもめ号から特急リレーかもめ号へは、向かいにいる列車に乗り込むだけなので非常に簡単なこと。全区間新幹線で繋がるまでの暫定的措置ですが、これくらいなら不便を感じません。

 

この列車に充当されているのは787系、グリーン個室やDXグリーンも備えるバラエティに富んだ車両です。

最速達便なら振り子を備えた白い885系が適している気がするのですが、車両運用などの都合でしょうか。

 

車内は結構暗い印象がありまして、先程の新幹線とは対照的です。



10:16 武雄温泉駅 発

乗り換え時間は3分。開業初期のお客さんが大勢いた時は少し遅れたりしていましたが、これも日常になってかなりスムーズです。

 

武雄温泉駅を出発してしばらくは新幹線の高架が続くものの、突然ぷつんと途切れます。すぐにでも博多まで直接繋がって欲しいものですが…。

 

佐世保線の高橋駅〜大町駅は、西九州新幹線開業に合わせて複線化が行われました。これは博多〜長崎ルートの一部を担うにあたり、特急リレーかもめについても速達化を図るためです。

 

特に橋梁のコンクリート部分が白く、その新しさを物語っています。

 

最高速度は95km/hから130km/hに引き上げられ、この最速達便でもその効果が現れています。

 

西九州新幹線は在来線と新幹線両方を走れる『フリーゲージトレイン』車両を導入予定で、佐世保線の江北〜武雄温泉を複線化予定でした。

しかし車両導入の実現性が乏しくなり、将来的には全区間フル規格新幹線で建設されることを想定して、複線区間は高橋〜大町に短縮して工費を削減しています。

 

右手からはかつての特急かもめルート、長崎本線が合流します。新旧の博多〜長崎ルートが一緒になるというポイントです。

 

そして、その分岐駅となっているのが江北駅。西九州新幹線開業と同時に、肥前山口駅から改称されました。

この最速達便に関しては、江北駅を通過します。

 

毎年秋に佐賀インターナショナルバルーンフェスタが行われる河川敷、臨時駅のバルーンさが駅が設置されるのですが、橋梁にはペイントが描かれていました。

 

長崎本線は最高速度130km/hであり、これまで通り高速で走り抜けていきます。

 

マンションなど住宅街が広がる佐賀市街地に入り、高架線を走るようになります。



佐賀県の代表駅として位置付けられる、佐賀駅に到着です。

佐賀駅からはかなりのお客さんが乗車されます。佐賀〜博多は在来線特急での移動が料金と速達性両面でちょうど良く、これを理由に佐賀県は新幹線を必要としないスタンスです。

西九州新幹線の博多〜武雄温泉が繋がっていない理由は、佐賀県が必要としていないのに建設費負担を押し付けられそうになっているから、というのが第一になります。

 

左手に注目していると、僅かながら弥生時代の遺跡がある吉野ケ里公園が見られます。



九州新幹線との乗り換え駅、新鳥栖駅に到着です。西九州新幹線はここから分岐すると想定されており、高架橋から分岐しそうに広くなっているところが見られます。

今回ご紹介する長崎〜新大阪最速達ルートで、最も心配なのが博多駅で5分乗り換えが可能かどうかです。それが心配な方については、新鳥栖駅から九州新幹線に乗って博多駅へ向かうのがおすすめ。

特急リレーかもめ16号は新鳥栖駅10:47着。10:56発の九州新幹線つばめ312号に乗車すれば博多駅11:09着で、同じ山陽新幹線のぞみ24号発車まで6分あります。しかもつばめ312号は博多駅11番ホーム到着で、のぞみ24号は12番線ホーム発車。武雄温泉駅と同じような対面乗り換えなのでかなり余裕を持って乗り換えられます。

ただし、料金については19530円で、博多駅で乗り換えた場合の18840円に比べて少し高くなります。(料金は全て自由席で計算)

 

向かいのホームにいたのは、特急かささぎ号肥前鹿島行き。

長崎本線の特急かもめが廃止されると、肥前鹿島駅発着の特急が無くなり博多駅への利便性が低下します。鹿島市が尽力してJR九州に掛け合い、博多〜肥前鹿島の特急かささぎとして残しました。

 

長崎本線が分岐する鳥栖駅に到着、ここからは鹿児島本線に入ります。

 

佐賀県から福岡県に入りまして、二日市駅を通過。特急列車が停まる駅ですが、速達便は通過します。

 

そろそろ博多駅が近くなってきた頃、予め山陽新幹線の特急券と使用している乗車券を用意しておきましょう。改札の前であたふたしている時間はありません。

 

右手には九州新幹線の高架橋がやってきました。いつか長崎駅から来たN700Sかもめ号が、直接ここを走って欲しいですね。

 

右手には新幹線ホームが見られ、多くの新幹線が停車中です。これから乗車するのぞみ24号東京行きは、一番奥に見える列車です。



11:10 博多駅 着

この列車は在来線1番線ホームに到着、新幹線の乗り換え改札からは一番遠い位置にあります。

 

階段を降りまして、まっすぐ番号の大きい方へ。階段に新幹線の案内が書かれているところへ向かいます。

 

こちら案内に表示されている通り、一番上ののぞみ24号東京行きに乗車です。

 

12番線ホームに停車しているため、北のりかえ改札の場合はいってすぐ右に向かいます。

 

12番線ホームに停車中ののぞみ24号。発車標を見ると新鳥栖駅でご紹介した通り、九州新幹線つばめ312号がお隣の11番線ホームに停まっていることが分かります。乗り換えの利便性で言ったら、やっぱり新鳥栖駅で乗り換えていた方が便利そう。



11:15 博多駅 発

ほとんど全区画が埋まっている指定席に乗車。N700Aによる運行であり、ある意味西九州新幹線N700Sとそれぞれ乗り比べを楽しめたりも。

 

博多駅を出発して僅か3分、すでに265km/hまで上がっており、西九州新幹線の最高速度を超えています。

 

在来線の鹿児島本線で一番速度を出す、遠賀川を渡ります。



長崎駅のファミリーマートで買ってきました、長崎鯨カツ弁当をいただきます。

掛け紙に描かれた歌川国芳の『宮本武蔵と巨鯨』の復刻画。肥前国にきた宮本武蔵が海へ出て巨鯨と対決したという伝説を描いており、長崎にはこのように鯨との関わりが深いです。

 

鯨カツには南氷洋ミンク鯨を使っています。

かなり醤油の味が染み込んでおり、噛めば噛むほどじんわり美味しさが染み渡ります。冷めていても美味しく仕上がっている秘密です。

 

鯨肉100%のそぼろは、まさに魚と肉の中間みたいな食感。そこまで鯨肉であることを感じさせない、馴染みある味わいになっています。

 

鯨の竜田揚げは昔給食で出たという話を聞く一品。レバーなど肝のような独特な味わいが特徴的です。

 

山を貫いてきた山陽新幹線は、北九州市の小倉駅に到着です。九州第二の都市であり、かなり大きな都市規模であることを実感させられます。

 

小倉駅を出発しますと、新関門トンネルへ。九州を脱出していよいよ本州に突入です。



5分ほどで新関門トンネルを駆け抜けると、すぐに新下関駅を通過します。

向かいのホームでは500系新幹線が退避していました。

 

厚狭駅は山陽新幹線で唯一、ひかり号が1本も停まらない駅。ちょっとホームを見下ろすようにして通過していきます。

 

続いて新山口駅を通過した頃、車内販売ワゴンがいらっしゃいました。ここはホットコーヒーとアイスクリームをいただきます。

山陽新幹線の車内販売はのぞみ号だけになっているので、何とか残って欲しいという願いを込めて。

 

一部ののぞみ号が停車する徳山駅はカーブがあり、少しスピードを抑えられます。

 

徳山駅の前後では周南コンビナートをすぐ横に見ることができ、山陽新幹線の中で一番の見どころかと思います。特に夜景は非常に綺麗です。

 

三角州に街が広がる広島市街地を走り、中国地方最大の駅、広島駅に到着です。



広島空港が中心市街地から遠く、大阪よりも先の東京まででも新幹線を利用する方が多いです。

発車してすぐにマツダスタジアムがありまして、赤い東横インや赤いローソンなど、広島カープ一色で洗脳されます。

 

今回乗車したのぞみ号は山口県内の駅に停車せず、選ばれたのは福山駅でした。駅の真横には福山城があり、天守閣から1番近い新幹線駅です。

 

山陰・四国への鉄路が分岐するターミナル駅、岡山駅に到着。中国地方で一番の交通結節点として機能します。

 

関西のアーバンネットワークに入りまして、姫路駅を通過しました。のぞみ号でも全部止まると思っちゃいけない駅です。

 

左端でうっすら見えているのは、おそらく淡路島でしょうか、少しの間だけ瀬戸内海を望むことができます。

山陽本線では沿いを走っていきますが、山陽新幹線は山の中を突っ切ることに。

 

トンネルとトンネルの間に挟まれた、新神戸駅に到着です。

 

神崎川を渡まして、兵庫県から大阪府へ。飛行機と新幹線の拮抗地に入りました。



遠くには梅田のビル群が見えてきました。

大阪駅に寄るには淀川を2回渡って大迂回が必要なため、新幹線駅は新大阪駅に設置されています。

 

新大阪駅周辺は特別都心という訳ではないですが、新幹線駅なりの都市形成がされています。

その中で細長いアパどうした。



13:43 新大阪駅 着

西九州新幹線はまだ未完成状態、長崎から博多に注目が集まっており、長崎から大阪の速達性について推されていません。

 

それでも結果的に関西圏へのアクセスが向上しており、航空機と対抗する交通機関にもなりつつあります。

 

いつか新大阪から長崎まで一本で結ばれて、新大阪まで直通する日が来ればと待ち遠しくなります。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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