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【西九州新幹線かもめ試乗会乗車記】博多〜長崎新ルートには何がある?途中下車して観光しよう![西九州新幹線開業(2)]

2022年9月14日

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こちらは博多駅、停車中の列車は長崎まで行く特急かもめ号です。

2022年9月23日、西九州新幹線(武雄温泉〜長崎)が開業します。今日は開業前の西九州新幹線の試乗会に参加してきました。

ついに開業する長崎への新幹線、一足早く赤いN700Sに乗り込めるとはかなり嬉しいものです。

 

西九州新幹線は博多〜武雄温泉がつながっていません。そのため、在来線特急リレーかもめ号が設定されます。

 

現在はまだリレーかもめも走っていないので、走行区間が被る特急みどり号で武雄温泉へ向かいます。

リレーかもめ号は先程の白いかもめと同じ、885系電車を基本に投入されるようです。



博多駅より自由席の最後列に座って出発。

この車両では最後部からの景色を楽しめます。

 

長崎本線が分岐する鳥栖駅では、ホーム上のかしわうどんが人気です。列車を待っている間に買っておいて、車内で食べるなんてこともできます。

 

西九州新幹線は新鳥栖駅から分岐する説が有力です。

なぜ西九州新幹線の新鳥栖〜武雄温泉が繋がっていないのか、検討されているルートはどこなのかについては、こちらの記事 をご覧ください。

 

佐賀県の県庁所在地である佐賀駅。立派な高架駅周辺には多くのホテルやビルが立ち並んでいます。

 

肥前山口駅にて特急かもめ号と行き違い。ここは長崎本線と佐世保線の分岐駅です。

 

西九州新幹線の開業とともに、肥前山口駅は江北駅に駅名変更されます。これは所在地が江北町であり、町のアピールのため。

 

肥前山口〜武雄温泉駅は、一部区間が複線化されています。

9月からは最高速度も、95km/hから130km/hへ引き上げ。これは西九州新幹線へのアクセス路線であり、博多〜長崎の所要時間を縮めるためです。

 

博多〜武雄温泉の所要時間は1時間13分と、感想が持ちづらい距離感でした。西九州新幹線の高架橋はここで途切れています。



武雄温泉駅

リレーかもめ号の終点となる、武雄温泉駅に到着しました。

武雄温泉駅は2面3線構造でしたが、2面2線構造に変更。旧3番線は在来線側に柵が設けられて乗れないようになり、リレーかもめ専用ホームの10番線に生まれ変わりました。

 

在来線改札内には、新幹線乗り換え改札がありません。在来線と新幹線の改札は完全に分離された状態です。



その代わり、在来線改札を出て左に向かうと、シャッターの閉じられた特急リレーかもめ・新幹線のりばに繋がっています。

この案内で「特急」ではなく「リレー特急」としていることから、「(リレーかもめ)」が付されない特急みどり・ハウステンボスについては、これまで通りの在来線改札内からの発車になりそうです。

 

在来線改札については有人改札、特急利用者も一部が新幹線改札側に流れることから、このままで良いと判断されたのでしょう。

 

こちらが新幹線側の駅舎、御船山口の愛称が付けられています。

「まちのリビング」をコンセプトにしており、なかなか工事が進んでいなかった話を聞いていましたが、開業まで10日を切って急ピッチで完成させたようです。

 

新幹線改札の横には、「武雄旅書店」という観光交流センターがオープン。旅行系書籍の販売や観光案内、夜にはバーもなるそうです。これを手掛けているのは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ。蔦屋書店を運営している企業になります。

 

図書館にスタバとTSUTAYAを入居させるという新しい形、武雄市図書館も代表例で、その形が駅にも取り込まれました。



在来線側にある既存の出口は、楼門口。ここから1km、10分ほど歩くと武雄温泉のシンボルである楼門にいけます。

新幹線かもめ号はだいたい1時間に1本。すぐに乗り継ぐのではなく、1本か2本遅らせれば武雄温泉も楽しめるでしょう。

 

この楼門を設計したのは有名な建築家、辰野金吾。誰もが知っている東京駅丸の内駅舎、日銀本店など設計しました。

 

東京駅のドームには十二支が描かれているのですが、子、卯、午、酉が足りていませんでした。それが楼門2階の通気口で見つかったのです。東京駅と武雄温泉楼門の深い関係、こんなところにあるのが面白いものですね。



試乗会の受付を終えまして、時刻は15時過ぎです。

左側のエスカレーターが先程シャッターの閉まっていた、在来線との乗換口に繋がっています。

 

自動改札機の電源は切られているので、そのまま突入します。

 

コンコースはスタイリッシュというより、暖かな印象。温泉街ののんびり感をイメージしたのでしょうか。

 

発車標には、「かもめ25号長崎行き」の表示。

かもめ号は自由席3両と指定席3両でそれぞれ座席が異なる車両編成。そのため全席指定席の表示は珍しいものだと思われます。

 

佐世保線の方には、特急江北の表示が出ていました。

江北駅とは、肥前山口駅が改称された後の駅名。もうそれが見られるとは思いませんでした。

 

今日開かれているホームは10,11番線ホームです。

 

10番線はリレーかもめ発着のため在来線の案内、11番線は西九州新幹線の案内と隣り合ってるのが面白いですね。

 

既に向こう側のホームに新幹線が停車中。同じN700Sでも東海道新幹線と全く印象が異なります。

 

15:25、長崎方面から乗車するかもめ号が入線してきました。

 

お隣に停まっているのは、特急江北行きとして表示が出ていた787系電車。リレーかもめとの対面乗換はこんな感じの並びになるということです。

 

新幹線の駅名標について在来線を向いている側は、混乱を産まないよう隣駅が白い紙で隠されていました。



車内紹介

かもめ号は1〜3号車が指定席、4〜6号車が自由席でグリーン席はありません。

まずは自由席から見ていきましょう。

 

東海道山陽新幹線の座席を色違いにしただけ。座り心地なども全く同じです。

 

机が小さかった885系電車ですが、新幹線になって大きくなりました。これならパソコン作業などもラクラクですね。

 

コンセントは肘掛け部分、全座席に備えられています。

 

天井部分には防犯カメラが付いており、かもめが翼を広げているみたいです。

 

冷風が直接あたって寒くないよう、窓枠と窓枠の間のこの隙間から上に向かって吹き出しています。

 

続いては指定席へ。各号車によってモケットが異なります。

薄く見える座面ですが、座り心地は結構良いです。

 

一方で、背面テーブルが無いのは結構残念な所。

 

これまでと同様、小さいインアームテーブルです。

 

コンセントは真ん中に2つ付いています。



時間になりまして、ホームドアが閉まって新幹線の扉が続きます。

奥には特急みどりが佐世保方面へ走り始めました。

 

まさに新幹線らしく、静かに加速していきます。

 

関係者の方々にも、手を振ってお見送りしていただきました。

 

向谷実さんによる車内メロディが流れます。

西九州から新しい風が吹くイメージを表しているとのことです。

 

佐世保線の高架橋はそのまま西へ、新幹線は南西へ舵を取ります。

 

トンネルを過ぎて明かり区間に出ると、いつの間にか山の景色になっています。



嬉野温泉駅

あっという間に嬉野温泉駅に到着です。左側には田んぼが一面に広がっていました。

 

西九州新幹線の単独駅として開業する、嬉野温泉駅。

佐賀県内の市で唯一鉄道がなかった嬉野市に、悲願の新幹線駅設置です。

 

駅舎デザインは「湯どころの趣のある駅」の案が採用され、屋根の形から壁面の縦格子まで温泉街を彷彿させます。

 

平べったい建物は観光文化交流センター、嬉野温泉への観光案内も担います。

 

駅前には、まるで温泉旅館みたいな大きな建物があります。こちらは2019年に新築移転した嬉野医療センターです。新幹線の駅前に、こういった大きな病院は珍しい気がします。

 

駅周辺には温泉を活用して、足湯を備えた広場などを整備。その他、マリオットと積水ハウスが組んだホテル事業、「Trip Base 道の駅プロジェクト」も行われます。

 

その主体となる道の駅がこちら。「うれしのまるく」は9月19日にオープン予定です。



嬉野温泉駅から嬉野温泉は2km近く離れており、歩いて20分くらいです。

現在は一部のJR九州バスだけが近くの嬉野医療センターを経由していますが、新幹線開業後はすべてが嬉野温泉駅と医療センターを経由。新幹線駅から嬉野温泉街のアクセスを担います。

 

嬉野市は小倉から長崎を結ぶ長崎街道が通っており、西洋からのお菓子文化を運びました。現在でもその名残が残っており、昔ながらの街道の雰囲気を残しています。

 

(JR九州:220617_ureshino_yadoya.pdfより引用)

大規模な温泉旅館もある嬉野温泉、JR九州も新幹線開通を機に、嬉野市内に温泉旅館『嬉野八十八(やどや)』を開発しています。こちらは2023年秋にオープンする予定です。



嬉野温泉には様々な日帰り湯があります。その中で今回はシーボルトの湯へ。

大正ロマンを思わせるオレンジ屋根のゴシック風建築物。ドイツ人医師シーボルトが嬉野温泉を訪れたことから命名されました。

 

嬉野市にとっては新幹線というより、鉄道が来るのも悲願のようです。

美肌の湯とも言われる嬉野温泉をあがり、今度はカフェ巡りでも。嬉野市はお茶も有名なんです。

 

やってきたのは『うれし庵』さん。呉服店に埋もれた感じでちょっと見つけづらいですが、とても素敵なお店でした。

 

こちらは、お濃茶(こいちゃ)モンブランと、ほうじ茶。

お茶の風味が強いモンブランに、なめらかな生クリームと香り高い栗がマッチ。温かい嬉野茶で儚く溶けていくようです。

 

これまで鉄道がなかっただけに注目されづらかった嬉野市。こんなにすてきな場所を見つけられて良かったです。

 

ホームドアはお茶をイメージしているのか、抹茶色になっていました。

 

嬉野温泉駅を出発すると、温泉旅館みたいな嬉野医療センターが見えます。

結構目立っているので、温泉のPRも成功していそうです。

 

ポリカーボネートの防音壁のおかげで、嬉野市街地を一望できます。

 

5,705mに及ぶ俵坂トンネル、これで佐賀県から長崎県へ入ります。

 

途中には僅かな明かり区間がありますが、『凄い法面トンネル』と言われる山を頂上まで固めたトンネルが建設されています。土砂災害が起きてスピードを落とせずに突っ込んだら大惨事ですからね。

 

トンネルを抜けると、大村湾が広がっていました。

ここまで海が開けて見える新幹線って、他にない気がします。

 

トンネルで直線的に線路を引いて速達性を保ちつつ、結果的に新幹線にしては景色が良いという、かなり恵まれた路線ですね。



大村市内には大村車両基地があって、かもめ4編成が所属します。

在来線には大村車両基地が設置予定です。車両基地が駅名になるとは中々のもの。近くに学校があるというのも一つの理由ですが、車両基地見学についても観光戦略の一つにしているみたい。

 

新大村駅

新大村駅の近くには長崎空港が位置し、長崎から空港へのアクセス駅としての機能も期待されます。大村〜長崎には通勤需要もあり、新大村駅前も都市化が進むようです。

 

大村観光の玄関口であるとともに、都市交通の結節点としての役割も大きくなります。

 

ホームドアは、しょうぶと桜をイメージした配色とのことです。

 

新大村駅発車後も、遠くに大村湾が見られます。新幹線は住宅街の中を走っていきます。

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諫早駅

諫早駅の新幹線ホームは、在来線と同じ高さの地上ホームです。そのため駅の前後では高低差が大きく、ブレーキが難しいそう。

 

諫早市は九州で14番目に人口の多い街。西九州新幹線かもめは全列車が停車し、駅舎も開放的で清潔感があります。

 

島原鉄道の乗換駅で、雲仙普賢岳がシンボルの島原半島への分岐点です。

 

再開発ビルiisa(イーサ)が出来上がり、バスターミナルも駅前に集約。新幹線開業により、この地域の中心地としてより一層発展が期待されます。

 

市内中心部には本明(ほんみょう)川が流れています。

 

かつて本明川にかけられていたのが、諫早のシンボルめがね橋。

 

1957年に諫早大水害が起き、この橋が瓦礫をせき止めたため、解体する方針が打ち出されました。

しかし、当時の市長含め保存活動が活発化。現在は諫早公園内に移設されています。

 

有名な長崎市のめがね橋の2倍の大きさで、わたってみるとボコボコした感じ。

 

(663highland, CC 表示 2.5,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=31795199による)

この日は池の水全部抜いてみちゃってたのですが、水面が張っていれば綺麗なめがねを作ってくれるはずです。

 

ちょうど向かい側からは、武雄温泉行きのかもめ号がやっていました。長崎本線とは異なり新幹線なので全線複線化されており、行き違いの必要はありません。

 

地上を走っているかと思えばトンネルへ。

 

その後すぐに高架線に登ったりと、アクロバティックで静かな新幹線かもめの飛行です。

 

最後の長崎トンネルを爆走。長崎の坂を無視するにはこうするしかありません。



長崎駅

トンネルを抜けたら、そこは長崎のど真ん中。諫早から長崎までワープして来たみたいです。

 

武雄温泉から長崎まで30分のかもめの旅。これまでとは全く違うかもめの姿がありました。

佐賀平野ではない、山に張り付くお茶畑。有明海ではない、濃い青色の大村湾。すっかり変わったかもめの旅路を楽しめます。

 

道中には魅力ある観光地もあって、訪れる価値のある地域ばかり。ぜひ新幹線かもめに乗って、元気な西九州へ!



新幹線ホームは2面4線、真ん中2線に入ることが多いです。

ぼんやりした赤いライトも似合っていますね。

 

新幹線ホームからは在来線を見下ろせます。上から特急かもめを観察できるのも特権です。

 

一足早い新幹線かもめの旅、これをきっかけに佐賀長崎へ来ていただけたら嬉しいです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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