【2時間無停車】茨城に止まらない常磐線特急!? 武蔵野線の貨物線も
東京駅から伸びる中央線快速の最西端、高尾駅に来ました。大手私鉄網の京王高尾線も来る、首都圏鉄道ネットワークの端っこです。 そんな高尾駅から乗車しますのは、フラっといわき巡り ...
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本日の出発地は夜の仙台駅。東北最大都市の玄関口として、オレンジ色の駅名看板が夜の雨空に照らされています。
外からでもガラス越しに輝くプラットホームは東北新幹線。東京や北海道をはじめとした長距離輸送は、在来線夜行列車から新幹線へ役割を移しました。
しかし、今日に限ってはこの時間から東京へ向かう夜行列車が走ります。
発車標にも表示されている「団体 夜行なごみ 23:40 上野」、こちらに乗車して上野駅まで夜の東北本線を南下しましょう。
みどりの窓口前で受付をしまして、乗車票と硬券の記念乗車証をいただきました。E655系なごみ(和)、特別な車両で行く、特別な旅の始まりです。
かつて上野行きの寝台特急北斗星・カシオペアも発着した、仙台駅5番線ホームに来ました。
23:29、お召し列車にも使用されるE655系なごみ(和)が入線です。
車体は漆色ですが、マジョーラ塗装を施したことで、角度によって褐色から紫色へ色合いが変わります。夜の闇に溶け込んだかと思ったら、突然その姿を現したりと、普通の列車とは異なる存在感です。
側面のLED行先表示器にはグリーン車団体の幕。お召し列車としてだけでなく、今回のように臨時団体列車に使用される、ジョイフルトレインとしての役割もあります。
アクセントに金色3本の帯が巻かれました、高貴感あふれる車内へ乗り込みましょう。
ステージのフットライトに迎えられまして、扉の前にはフカフカの絨毯。
白い和紙を思わせる、磨りガラスの向こう側へ足を踏み入れます。
一歩目からカーペットの柔らかさを感じます。座席配列は1+2の3列シートです。
今回は4A席ということで、2人掛けの窓側です。全体的に丸っぽいデザインとなっており、なんとなくカシオペアっぽい配色や形状を連想させられます。
11分の乗車時間を終えまして、通常の特急列車と変わりない「ドアが閉まります」「ピンポンポンポン」の音と共に扉が閉まりました。
23:40 仙台駅 発
夜に向けどんどん運行範囲が縮まっていく近郊電車、その中で一本遠く東京まで行く特別感は、夜行列車でしか味わえません。
特急ひたち号の途中停車駅と同じチャイムを鳴らし、車掌さんによる車内放送が流れます。「次は終点の上野です」という信じがたい放送です。
続いてびゅうツーリズム&セールスによる挨拶、車内の案内がされました。
列車は岩沼駅を通過しまして、東京へ結ばれるもう一本の鉄道路線、常磐線が分かれます。
この辺りでまもなく0時を迎えるところ、早くも日付を越えました。
ここで放送が流れまして、車内の照明が減灯されます。
と言ってもそこまで暗くなっておらず、荷棚上の間接照明が半分減ったぐらいです。
白石駅を通過しまして、宮城県から福島県を目指します。
この辺りで車内に目を向けてみましょう。
こちらは5号車のデッキ部分。入り口部分まで少々遠くなっていまして、電源設備等に挟まれているのかなという印象。青っぽい足元灯により導かれます。
木目調の壁面には、出っ張りが生まれない造りの手すりが設けられており、掴み易いよう凹みが掘ってありました。
大きなデッキの窓にも手すりがあって、かなり気を使われているのかなという感じです。
ブラインドには表面に凹凸ある模様が描かれています。
直接照明は天使の輪っかみたい、通常の列車のようなギラギラした感じを抑えています。
細長い空調の口に挟まれた部分についても、このように照明が埋め込まれていました。
続いてお手洗いを見てみましょう。
5号車に設置されているのは、車椅子対応の多目的トイレです。
自動ドアの押しボタンも緑と黄色という、赤を使っていないのは中々見ない配色に思います。
中へ入ると床は大理石のよう。ギラギラ反射しており、車内で一番高級感を感じた空間かもしれません。
身体障害者対応トイレとなっており、十分な広さが設けられています。ウォシュレットも備えられているようです。
洗浄ボタンは黄色で、扉の施錠ボタンがここにも取り付けられていました。
手洗い場は隅に三角の形状、鏡の形も車体のカーブに合わせた五角形であり、向こう側から光が漏れ出すようにライトワークが考えられています。
施錠・開閉ボタンは左右両方に設置されており、遠くまで行かなくても押せる配置です。また曇り加工含めた鏡も多く、狭さを感じさせないデザインとなっています。
施錠方式には手でひねる錠式とボタン式があります。
ボタン式を押すと施錠のランプが点き、開のボタンを押せば自動的に解錠されました。
すぐ隣には男性小用お手洗いも備わっています。新幹線でも見るようなロックのかからない、折戸式の扉です。
上部分には小物を置けそうな台があったりと、細かいところまでこだわりを感じました。
車窓に目を向けますと、左手からは福島交通飯坂線が近づいてきました。
飯坂温泉までを結ぶローカル線。少々並行していまして、曽根田駅の横を通過しました。
東北新幹線と山形新幹線の分岐点である新幹線ホームが見えております、福島駅にて運転停車です。
1:00 福島駅 着
このホームに関してはそれなりに明るく、駅員さんもいらっしゃいました。おそらくここで乗務員さんが交代されたのではないかと思われます。
発車標を見てみますと、何も表示されていない状態でした。
ところが1:02に発車する頃にもなると始発列車、「普通5:45矢吹」の表示が現れます。
続いて4号車へ進みましょう。
こちらは多目的スペースを兼ねた広いデッキとなっています。
こちらにはおそらく避難用の梯子とスロープがここに入っているみたいです。
そして扉寄りには給仕室が設けられており、VSEロマンスカーのカフェスペースみたいな空間。
ポットや電子レンジ、流し台など、簡単に調理できそうなものが一通り揃っていました。
その周りには固定式のテーブルが設けられており、販売等が行われていればビュッフェ的な楽しみ方もできそうです。
1:47郡山駅到着、ここでは1時間以上の停車時間があります。
4号車を通り抜けまして、こちらは3号車寄りのデッキです。3号車はVIP車両となっているため入ることができず、木の扉で閉ざされているのが一つ上の階級というのを感じさせます。
お召し車両など特別列車として運行される場合は、3号車と4号車の間に付随車の特別車両が入ります。つまりは皇室や国賓が乗車される際の車が、別で用意されているということです。
今回はびゅうの旅行商品ということで、受付時に様々いただきました。
NewDaysでも販売しているルイボスティーと、スコーン。さらに夜行列車としての運行ということで、ネックエアピローとアイマスクもいただいています。
HONOKA COFFEEは仙台市の、コーヒーとスコーンのお店。
東松島産小麦を使用しており、表面はカリッとしつつ中はしっとりしていて、非常に美味しかったです。
郡山駅停車中には6,7本程度貨物列車に追い抜かれ、すれ違いました。夜の幹線は貨物列車が主役であり、臨時団体列車はそちらへ道を譲ります。また、そんなに急いでも上野駅到着が早すぎてしまいます。
今回過ごしております、座席を見てみましょう。
チェックとドットのシンプルなデザイン性、布張りで当然ながら座り心地も良いです。窓はひと席ごとに区切られています。
リクライニングとレッグレストは電動式です。
倒してみますとこの通り、近年採用されつつある座面の傾きはありませんでしたが、かなりゆったり寛げます。
肘掛け後ろ部分には座席回転レバーがあって、これを上げることで回転できるみたいです。通常通り座席下ではないんですね。
各座席の外側にはインアームテーブルが設置されています。
車内サービスとして展望カメラや走行位置など楽しめるようです。
全席にコンセントが備わっており、充電も可能でした。
頭上には読書灯と通風口があって、口が丸いと一昔前っぽさを感じます。
荷棚は飛行機みたいな完全に閉められる構造で、JR九州の特急車両で使用されているのと似ています。
中を開けてみると外側に傾きがついており、飛び出してこないようなっています。ゆっくり閉じるようダンパーも入っていました。
3:00 郡山駅 発
長時間の停車を終えまして、郡山駅を出発です。
左手には高さの低い貨物ホームも備えている、郡山ターミナルの横を通過します。
車内表示器では「なごみ」の車内案内やサービスについて流れていました。
LEDが表示されているとは分からないほど、一枚の鏡として一体化しているみたいでした。
古くから白河関と呼ばれ、東北と関東の境ともなる新白河駅を通過。
在来線定期旅客列車はすべて新白河駅発着で、必ず乗り換えが必要です。物理的に線路も分断されており、その間には車止めまで置かれています。
今回は線路の繋がっている5番線ホームを通過、普段では味わえない光景です。
まもなく黒磯駅に到着、ここまでの電化方式は交流区間だったのですが、直流区間へと変わります。
黒磯駅の手前には切替を行う「デッドセクション」があるのですが、ここを通過する時車内の電気が消えました。点いているのは非常灯のみです。
再び電気が点きまして、エアコンの音が響き渡ります。
最近の車両では、デッドセクションでも車内照明を点けたまま走れるようになってきましたが、こちらの車両は2007年製造ということで、そこまでではないみたいです。
交直切り替え地点ということで運行の拠点となる黒磯駅、こちらでは5分間停車します。ホームには駅員さんもいらっしゃいました。
4:00 黒磯駅 発
黒磯〜新白河で運行されている、青色のE531系電車が停車中。交流と直流両方に対応した車両となっています。
烏山線の分岐駅となっている、宝積寺駅を通過。非電化区間でありながら蓄電池車両を導入しており、宝積寺駅と烏山駅に充電設備が設けられています。
栃木県を代表する河川ともいうべき、鬼怒川を渡りました。先日開業した芳賀宇都宮LRTも、この南側でコンクリート橋梁によって渡っていきます。
時刻は4:40、宇都宮駅で運転停車が行われます。
お隣には日光線のE131系電車が入線してきました。
烏丸線で使用される蓄電池車両ACCUMもいて、こちらには運転士さんが乗り込まれていました。ここまで来ると始発列車の準備も始まっているところです。
4:45 宇都宮駅 発
新幹線高架の向こう側には、宇都宮貨物ターミナルが広がっていました。
続いて小金井駅手前の小山車両センターを横目に、これから動き出す東北本線たちより一足早く、上野駅を目指します。
両毛線、水戸線が分岐する小山駅を通過、奥には5:20発水戸線の始発列車が止まっていました。
一駅だけ茨城県に入りまして、古河駅を通過します。もう埼玉県はすぐそこです。
ところどころ眠りつつ、大宮駅まで来ました。
首都圏大手私鉄のネットワークに入りまして、東武アーバンパークラインの隣を走行。
そして夜行なごみは新幹線でも全て停車する、大ターミナルの大宮駅を通過しました。普段ではなかなか味わえない光景、発車標には列車通過の表示が出ていません。
南浦和駅を通過、既に大量の京浜東北線が走り始める時間帯です。
6:07、減光していた車内の明かりが点けられました。
こうして見るとかなりギラギラしたというか、とにかく高級感というのを推し出しているようです。
川口駅を通過すると朝一番の放送、いわゆるおはよう放送が流れます。ほとんど起きていたのにも関わらず、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
荒川を渡りまして、埼玉県から東京都へ。
赤羽駅を発車した加速力の良い京浜東北線に抜かされつつ、東北新幹線の高架下をくぐります。
そして右手にはかつてブルートレインが沢山停まっていた、尾久の車両基地が見えてきます。
そしてここにいたのがTRAIN SUITE四季島!
完全に真横を通過し、最後の最後で大興奮となりました。
遠くにはカシオペアもいまして、またカシオペア紀行の旅もしたいと思ってしまいました。
日暮里駅を手前にして、岩沼駅で分かれた常磐線が合流しました。現在でも品川・東京〜仙台を結ぶ在来線特急のルートになっています。
日暮里〜上野は日本一線路の多い複々線区間。山手線ともすれ違いました。
左手からは回送列車に追い抜かれつつ、もう上野駅はすぐそこ。
乗る機会の無かった東日本のブルートレインと重ねつつ、上野駅13番線ホームに到着です。
仙台から上野まで夜の東北本線を結ぶ6時間45分の旅、これ以上考えつかない豪華な座席夜行列車を十分堪能させていただきました。
6:25 上野駅 着
上野駅地平ホームの一番端っこは、やっぱり特別な場所。直接目にすることもできなかったブルートレインの影で締めくくります。
向こう側には設置されているTRAIN SUITE四季島専用の13.5番線ホーム、黒い柵に囲まれたその背景にも、この車両はピッタリです。
夜行列車の旅としても非常に魅力的でしたが、E655系電車なごみのツアーは定期的に設定されています。今度はこの車内より昼間の車窓も楽しめたらと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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