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【2時間無停車】茨城に止まらない常磐線特急!? 武蔵野線の貨物線も

2023年9月7日

 

東京駅から伸びる中央線快速の最西端、高尾駅に来ました。大手私鉄網の京王高尾線も来る、首都圏鉄道ネットワークの端っこです。

 

そんな高尾駅から乗車しますのは、フラっといわき巡り号。福島県いわき市の中心駅、いわき駅まで至る臨時特急です。

 

中央線から武蔵野線を経由し、常磐線のいわき駅までを結ぶ列車。

なんと吉川美南駅から泉駅まで扉は開かず、千葉と茨城の駅は全通過扱いです。さらに普段通らない貨物線の走行など、隠れた魅力をお楽しみいただけたらと思います。



今回使用されるのはE653系国鉄復刻編成です。

高尾駅のシンボル的存在となっているホーム上の天狗石像にて、パネルをお持ちになった駅員さん方と撮影会状態です。

 

かつての国鉄特急ではお馴染みだった、クリーム色にえんじ色の塗装。E653系の流線型に沿わせて、切れ込みの入ったデザインになっています。

 

LEDの行先表示器にも「特急いわき」と表示されています、7両編成のうち3号車に乗車です。



9:52 高尾駅 発

オリジナルのパネルとフラッグと共に、駅員さん方にお見送りされながらの出発です。

 

肉声による途中停車駅の放送が流れます。吉川美南駅の次が泉駅になっているのがお分かりいただけるかと思います。

 

車内は特急いなほと同様で、広々した人気のグリーン車も備わっています。

 

ターミナル駅となっている八王子駅では、ホーム上にも沢山のお客さん。この車両にも10人ほど乗ってこられました。



ここからは町田、新横浜を経由する横浜線が分岐します。

黄緑と緑のツートンラインに、YOKOHAMA LINEと書かれたオリジナル性の高いものです。

 

そして左手には八高線が分岐しまして、高崎駅まで走ります。途中の高麗川駅から北は非電化区間であり、東京から一番近い非電化JR線です。

 

豊田電車区には中央線普通列車グリーンの車両もいました。

 

E353系中央線特急ともすれ違い。車内からだと特急いなほに乗っている気分なので、その違和感は非常に大きなものです。



次の停車駅は立川駅。

通勤時間帯特に混雑する路線として知られる、南武線の乗り換え駅です。

 

国分寺駅と立川駅の間にあることから名付けられたという、なんともアイデンティティを奪われた国立駅を通過。この列車は中央線から武蔵野線へ入るため、国立支線を走ります。



国立支線は地図で見ると、下のようなルートを通っています。

中央線と武蔵野線は西国分寺駅で乗り換えられますが、完全に立体交差しています。そこで列車が直通できるように敷設されているのが国立支線、基本的に貨物列車が走っていますが、1日3.5往復むさしの号という旅客列車も運行されます。

 

国立支線が走るのは住宅密集地のため、中央本線の真横で段々と地下へ埋もれていきます。

 

単線の線路は完全に地下トンネルを走行、狭いためかややこもっている印象です。

 

しばらくすると右手から線路が近づいてきて、武蔵野線と繋がりました。

 

半地下っぽい構造の新小平駅を通過するところで、一瞬地上の光の下へ晒されます。

 

しかしすぐに地下トンネルへ、このあたりから速度を上げていきました。

荻山駅の東側を走っており、西武拝島線、西武多摩湖線、西武新宿線を地下でくぐっている状態です。



再び地上へ戻り、新秋津駅に到着しました。

ここから武蔵野線の各主要駅に停車しまして、首都圏郊外の住宅地からお客さんを乗せ、いわきへと輸送していきます。

 

西武池袋線と立体交差、近くに秋津駅があります。ちょうど直通している東京メトロ有楽町線・副都心線どちらかの車両がやってきました。

 

同じオレンジ色でも中央線快速とは違った顔つき、武蔵野線へ入っていることを実感させられます。この辺りで列車は東京都から埼玉県に入りました。

 

新座貨物ターミナル駅横を通過、関越自動車道と国道254号に挟まれた立地で、ここからのトラック輸送にも便利です。

 

東武東上線との立体交差を越えまして、北朝霞駅に到着。東武の朝霞台駅と乗り換えられます。

 

荒川を越えまして埼玉県の中心地、さいたま市に入りました。



この列車は通りませんが、左手には貨物線が見えてきます。

武蔵野線と東北本線は立体交差しており、この間を直通するための貨物線です。武蔵野線と西側で接続するのが大宮支線、東側で接続するのが西浦和支線となります。

 

まずは西側から大宮を繋ぐ、大宮支線が分かれていきました。

 

続いて大宮から東側を繋ぐ、西浦和支線が近づいてきます。

これら支線は基本的に貨物列車のためのものですが、旅客列車もそれぞれ「むさしの号」、「しもうさ号」が走ります。

 

しばらくすると東北新幹線と埼京線が並行する高架下を潜りました。

 

東北本線との交差地点、南浦和駅に到着です。東北本線はこの真下で直交しています。

実は高尾駅から間違えてこの列車に乗られた方がいらっしゃったのですが、偶然にも南浦和駅が目的地ということで、そのまま特急料金を払って乗っておられました。図らずもかなり便利な列車を使えたということですね(笑)

 

武蔵野線の最高速度は95km/h、それに近い速度で走っていきました。



東武伊勢崎線と立体交差している、南越谷駅に停車します。

東武伊勢崎線と立体交差する、南越谷駅で停車。東武の駅ビルとなっている、VARIEの文字が見えています。

 

こちら発車標をみてみますと、高尾駅では見られなかった「フラっといわき巡り号」の表記が出ていました。かなりギュッと詰まっているようです。

 

越谷貨物ターミナル駅の横を通過、武蔵野線における貨物の拠点駅であり、かなり広大な用地にたくさんのコンテナが置かれていました。

 

越谷レイクタウン駅を通過、ニュータウンの玄関口として2008年に開業した新駅です。

 

左手には日本最大の総店舗面積を誇るショッピングモール、イオンレイクタウンが広がります。ここから見えるのは一部に過ぎず、奥の方にまだ2棟あるのです。



そして首都圏側最後の途中停車駅となります、吉川美南駅に到着しました。

2012年に開業した新駅であり、武蔵野線で最も新しい駅です。

2022年度の利用者数は線内最下位ですが、今回の特急停車駅に選ばれました。一方で駅周辺開発が進んでいるので、利用者は増加傾向となっています。

 

ホーム上には臨時特急でありながら、乗車位置案内が貼られていました。案内のため駅員さんも動員されます。

 

そして11:08、遂に扉が閉まりました。

これから何と2時間13分、福島県いわき市の泉駅まで扉が開くことはありません。



ららぽーと新三郷が見えてきまして、まもなく新三郷駅を通過します。

武蔵野操車場跡地で1985年に開業した新三郷駅ですが、操車場跡地を挟んで上下ホームが設置され、360m離れていた状態はギネスにも認定されました。

現在ではその線路が撤去されたことで解消し、操車場跡地にはららぽーと新三郷など商業施設が建設されています。

 

江戸川を渡りまして、埼玉県から千葉県に入りました。

 

つくばエクスプレスとの乗り換え駅である南流山駅を通過、全国的な人口増加地域となっています。



ここで武蔵野線から常磐線へ入るため、貨物線を走行します。

武蔵野線から常磐線を繋ぐ連絡線には、南側の松戸方面へ抜ける馬橋支線と、北側の柏方面へ抜ける北小金支線があります。

今回は北側へ抜けるため北小金支線の走行、これら連絡線を走る定期列車は無く、このような臨時列車でしか通れません。

南流山駅を過ぎた段階で、一番奥が武蔵野線南越谷方面、その手前が支線南越谷方面と並んでいる状態です。

 

列車は武蔵野線西船橋方面の線路を走っており、同じ南越谷方面でまとまった高架から離れて下ります。

 

しばらくすると分岐点を抜けて支線松戸・柏方面を走るようになり、武蔵野線西船橋方面は南越谷方面の線路と一緒になるべく、立体交差で抜けていきました。

 

そして支線南越谷方面の線路もやってきて、今走っている支線松戸・柏方面とまとまりました。

 

それぞれの線路から馬橋支線が分かれ、立体交差を過ぎて松戸方面へ抜けていきます。

 

これで北小金支線の複線としてまとまることができました。ここでかなり速度を落としています。

 

最後に北小金支線南越谷方面の線路が、常磐線と立体交差で合流すべく登っていきました。

 

しばらくすると常磐線緩行線に直通している、東京メトロ千代田線の線路が反対方向からやってきます。止まりそうだったこの列車ですが、おそらく信号が開通しまして、スピードを上げていきました。

 

北小金駅におけるホームの無いところを通過。常磐線快速線よりさらに外側の線路を走っていたのですが、このポイントで常磐快速線の線路へ入りました。

これによって特急ひたち・ときわが走るのと同じ、旅客線へ復帰しています。



複々線化された常磐線、4本の線路は取手駅まで続きます。

東武野田線、通称アーバンパークラインの下をくぐりまして、柏駅を通過しました。

 

今走っているのは常磐快速線ということで、緩行線しか停まらない駅ではホームがないところも存在します。この通り各駅停車を見下ろしての通過です。

 

我孫子駅を通過しまして、車両基地にはエメラルドグリーンに黄緑、E231系電車がたくさん停まっていました。

 

利根川を渡りますとここが県境、千葉県から茨城県に入ります。



茨城県に入って最初の駅、取手駅で停車しました。

ここでの停車は乗務員交代のための、運転停車です。鉄道の運転士さんの連続運転時間は2時間が目安なので、どこかで停車が必要なのは確実でした。

 

一方でこの通り扉は閉まったままであり、お客さんの乗降はできない通過の扱いになります。

 

しばらくして取手駅を出発、左手には関東鉄道常総線が分かれていきました。

 

ここで観光協会の方と国鉄制服をお召しになった乗務員さんより、御朱印帳風の記念乗車証と、さまざまパンフレットをいただきました。

今回の臨時列車はいわき市の観光振興を目的として運転しており、首都圏からの便利なアクセス手段として設定されています。

 

常磐線の最高速度は130km/h、こちらの特急列車もそれなりの高速運転を「見せてくれています。

 

ひたち野うしく駅辺りですれ違ったのが、常磐線のラッピング列車通称「赤電」。

かつて常磐線で活躍した401系電車を復刻したもので、赤みを帯びた小豆色をベースに、先頭部の窓下がクリーム色で塗られています。

 

霞ケ浦のほど近い、土浦駅を通過しました。つくばエクスプレスをここまで延伸する方針が立てられています。

 

通過しました石岡駅からは、茨城空港へのバスが発着します。

 

日本三名園の一つ、梅でも有名な偕楽園が近づいてきました。

こちらには臨時駅が設置されており、シーズンには特急も臨時停車します。また水戸方面の線路にしかホームが設置されていないため、反対方面は止まりません。

 

そしてまもなく茨城県の県庁所在地、代表駅となる水戸駅です。貨物列車を引き連れるディーゼル機関車がいました。

 

向かいには特急ひたち12号が停車中です。そしてこちらも水戸駅で停車しました。もちろんお客さんの乗降ができない運転停車となります。

 

一方で発車標には特に何も出ていません。

おそらく通過禁止駅になっており、通り抜けることができないのではと思われます。



2分程度停車したのち、水戸駅を出発しました。

右手には鹿島臨海鉄道大洗鹿島線が分岐しており、1985年開業とあって高架線による高規格路線です。

 

続いてこちらもローカル線、ひたちなか海浜鉄道が合流してきます。ちょうど列車が入線する頃で、少しだけ顔を覗かせてくれました。

 

勝田駅も特急全停車駅であり、通過するのは珍しいです。

ひたちなか海浜公園のネモフィラやコキアなどが人気で、今回乗車している国鉄復刻E653系が充当されることも多くなっています。

 

日立市に入りまして、大甕駅を通過。かつてここから日立電鉄線が発着しており、現在ではその廃線跡を利用して、ひたちBRTが走っています。



そして遂に右手には太平洋の景色が広がります。

やや小高い丘を走る常磐線、水平線までのグラデーションが非常に美しいです。

 

そんな海を一望できるガラス張りの駅として有名なのが、日立駅です。この駅も全ての特急が止まる駅であり、通過するのは珍しくなっています。

 

常磐線にはかつて常磐炭田からの貨物輸送の役割があり、早くから建設が進められました。そのため煉瓦積みによる古いトンネルも多く見られます。

後から複線化されたため、追加で掘削されたコンクリートのトンネルとのギャップも面白いです。

 

北茨城市の中心駅、磯原駅を通過。その名の通り茨城県の北端までやってきました。

 

少々山がちになってきてカーブが続き、7両編成でも国鉄塗装の体を車内から見られます。



そして茨城県も遂に終わり、トンネルで県境を越えます。

こちらは第一勿来トンネル。近代化されても、ちょっとレンガ部分も残されているのが良いですね。

 

そして茨城県から福島県に入りました。勿来海岸が広がっており、砂浜からは海水浴場になっています。



そして吉川美南駅以来の停車駅となります、泉駅に到着。

福島県内で一番面積の広いいわき市、各地域別に観光案内もされました。

 

2時間以上ぶりに扉が開きまして、13:21泉駅に停車です。

東海道新幹線の名古屋〜新横浜や、近鉄特急の鶴橋〜伊勢市を超えた時間であり、途中運転停車を挟んだとは言えとんでもないノンストップ運行でした。

 

ここからは貨物鉄道の福島臨海鉄道が分岐しており、小名浜港まで結んでいます。小名浜駅は東日本大震災の津波で被災し、内陸へ移転されました。旧駅跡地にはイオンモールいわき小名浜があります。

安中貨物と呼ばれる貨物列車が有名で、小名浜駅から常磐線、武蔵野線、高崎線を通って安中駅まで結ぶ列車です。今回の特急列車と似たルートであり、特に武蔵野線と常磐線を連絡する北小金貨物線を走ります。

次の湯本駅に関しても、いわき湯本温泉郷を中心とした観光案内の放送が流れました。

 

湯本駅のホーム上には足湯があって、上諏訪駅と共に足湯を楽しめる駅として有名です。

 

しばらくすると右手には「いわき市石炭・化石館ほるる」。夕張市石炭博物館でも見覚えがある、朱色の立坑櫓が目につきます。

しかし、2022年3月の福島県沖地震で強度低下の恐れがあるとされ、こちらの解体が決まりました。それに伴って施設も臨時休館中で、2024年春に再開予定です。



列車は次の内郷駅にも停車。

炭鉱の街として栄え、貨物輸送の重要な拠点だったとのことです。

 

E653系が内郷駅に停車するのは、これが初めてとのことでした。

 

ホーム上では駅員さんや地元の方など、手を振ってお見送りしてくださいました。



そして終点のいわき駅に到着です。

ホーム上では駅員さんや観光協会の方々など、お出迎えしてくださいました。

 

一方でお隣に停まっている車両にも注目してしまうもの、E657系フレッシュひたち復刻塗装、梅と好文亭をイメージした赤色です。

かつてフレッシュひたちとして活躍したE653系の隣に佇んでいるのも、それぞれ時代を一つずつズラしたみたいで面白いですね。

 

ホーム上にはいわき駅長さんもいらっしゃって、総出でのお出迎えでした。

一番右側お二人が記念乗車証を配っていただいた乗務員さんで、国鉄デザインの制服をお召しになっています。

 

10分ほど経ちまして、高尾駅より連れてきてくれたE653系は、泉方面へと引き上げられていきました。

 

結構鉄道色の強い魅力ではありますが、普段走らない貨物線や、主要駅の通過など、非常に面白く見させていただきました。今後運行される臨時列車にも注目していきたいところです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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