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【日本一長い在来線特急】にちりんシーガイア5号 博多〜宮崎空港グリーン乗車記[2305GW(6)]

2023年5月14日

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九州最大のターミナルである博多駅からは、各県庁所在地全ての駅へ向かって列車が発着しています。

 

その中で最も長距離となるのが、宮崎までを結ぶ特急にちりんシーガイアです。

1日1往復だけ運行されている博多〜宮崎空港の特急列車。特急にちりんシーガイア5号は国内最長距離かつ最長運行時間の昼行在来線特急です。

 

JR九州の特急車両の中でも、特に人気な787系電車で運行。様々な種類の座席が備えられており、いろんな楽しみ方ができます。

日本で一番長い在来線特急の旅、非常に長い行程だからこそ変わりゆく車窓を満喫していただけたらと思います。



7:31 博多駅 発

九州各都市へ数多くの特急列車が発着する在来線ホーム、その中で最も長距離を行く在来線特急が出発です。

 

ちょうど700系レールスターがやってきました。

博多駅発車直後の自動放送は、次の吉塚駅到着についてのみ。

 

吉塚駅はお隣の駅で、3分程で着いてしまうためです。

福北ゆたか線が分岐する駅で、福岡県庁の最寄駅でもある重要な駅となっています。

 

吉塚駅を発車するところで、特急ソニック2号とすれ違い。この列車は大分駅を5:12に出発する始発特急です。

 

そして、宮崎空港駅までの停車駅案内含む、長い長い放送が流れます。途中省略もされない、最長特急ならではの放送です。

 

箱崎〜千早の九州大学箱崎キャンパス跡地には、貝塚新駅(仮称)が設置予定です。2025年に開業予定でしたが、2027年にずれ込む方針が先日報道されました。

 

ここで北側を走る単線の西鉄貝塚線と並行します。

西鉄は基本的に新幹線の線路幅、標準軌が採用されていますが、貝塚線はJR在来線と同じ狭軌です。

 

西鉄千早駅は元々、名香野駅として開業。2004年に高架化され、同時期の2003年にJR鹿児島本線の千早駅が設置されて乗り換え駅になりました。

 

西鉄貝塚線は香椎宮駅の横を通過したところで、左手に離れていきます。



次の停車駅は香椎駅です。

福岡市東区の中心駅で、このように一部の特急列車が停まります。

この特急にちりんシーガイア5号は、同区間を走る特急列車の中でも停車駅が多いパターンです。

 

ここからは香椎線が南北に分岐していまして、DENCHAとして親しまれる蓄電池電車BEC819系電車が宇美方面へ走り始めました。

 

香椎駅を出発してからしばらく並走していた香椎線、立体交差して海の中道方面へ離れていきます。



今日はGWで指定席は満席、グリーン席を使用しています。

特急にちりんシーガイアといえばグリーン個室が人気ですが、さすがに埋まっていました。透明なドアを開けまして、グリーン席へ入ります。

 

座席は1+2配列、背もたれはあまり高くなく、ぽちゃっとした印象です。

 

座席間隔は十分広く、フットレストがあっても圧迫感は感じません。

もちろん靴を脱いで足を乗せる面が作られています。

 

背面テーブルはありませんが、インアームテーブルが備えられています。

半分に折ったまま、もしくはこのように開いて使うことができます。

 

ただし、グリーン席でもコンセントが無いのは要注意点。

特に特急にちりんシーガイアでは長距離乗車になるので、これは気をつけておく必要があります。

 

古賀駅で門司港駅始発の特急かささぎ101号肥前鹿島行きとすれ違いました。

 

福津市の中心駅、福間駅を通過しました。鹿児島本線単独駅でありながら、3面5線とかなり大きな駅です。

 

時速は85km/h、東郷駅を通過します。土休日ダイヤとはいえ朝の本数が多い時間帯で、前後にも列車が詰まっているものと思われます。

 

宗像市の中心駅、赤間駅に到着です。ここは福岡都市圏の東端になっています。



福岡都市圏と北九州都市圏の城山峠です。

ここまで並んで走ってきた複線ですが、ここで向こうへ離れていってしまいました。

 

峠を越えるとトンネルが並ぶ形で戻りました。

 

海老津駅を通過したところで、特急きらめき3号とすれ違い。博多〜小倉・門司港を結ぶ特急列車で、途中停車することで山陽新幹線との差別化を図っています。



まもなく折尾駅に到着。筑豊本線と鹿児島本線の乗り換え駅で、日本初の立体交差駅だったのが2022年3月に全ホームが高架化されました。

右手のトンネルからは筑豊本線より鹿児島本線へ直通する線路が出てきます。

元々は鷹見口という独立したホームが設置されており、AのりばBのりばがありました。

 

折尾駅に到着、鹿児島本線ホームは1〜5番のりばです。

 

そこから離れたところには、筑豊本線の6,7番のりばが位置しています。奥の方へ進むと、港のある若松方面へ至ります。

 

2つのホームに挟まれたところに駅舎が建設されました。

このデザインは旧駅舎を踏襲しており、当時からの雰囲気を今に伝えています。

 

進行方向右手からは、直方からの筑豊電鉄がやってきました。

 

かつて西鉄北九州線と相互乗り入れを行っていたため、路面電車型の車両を使用しており駅もそれっぽい規模です。



黒崎駅もまた全ての特急列車が停車する駅です。

北九州市の副都心として位置付けられ、駅を中心に放射環状路型の商業地が形成されています。

 

八幡駅〜枝光駅の鹿児島本線は、かつて新日本製鐵八幡製鉄所を避けるようにして迂回していました。

 

それが縮小されたため現在では直線に線路を切り替え、跡地には遊園地スペースワールドが開園しました。

2017年12月をもって営業を終了し、イオンモールTHE OUTLETS KITAKYUSHUがオープンしています。

 

枝光駅を通過する直前、日本製鉄の専用鉄道くろがね線が交差していきました。

さらに、右側へも海に向かって貨物線が分かれており、製鉄業が衰退気味と言われる現在でも、関連する貨物線の姿を見ることができます。

 

海沿いを迂回してきた貨物線は、戸畑駅あたりで戻ってきました。

ここから旅客線と貨物線が並ぶため、複々線区間になります。



山陽新幹線の高架下をくぐり、まもなく小倉駅に到着です。

進行方向右手からは、これから走る日豊本線がやってきました。

しかし博多方面から直接あの線路に入ることはできません。

 

接続駅となる西小倉駅はいったん通過しまして、小倉駅まで走行。

進行方向を変えて出発し、日豊本線へ入る形です。博多から大分方面へ向かう特急列車は、西小倉〜小倉を重複走行しています。

 

小倉駅では3分間の停車。ホーム上で待っておられた運転士さんが乗車され、大分まで乗務されます。



8:34 小倉駅 発

車内では乗客自身が座席を回転させまして、この先の日豊本線の向きへ変えています。

 

先ほども通過した西小倉駅、今度は一番左側の線路を通っています。

これによって日豊本線へ入線できる訳です。

 

小倉総合車両センターの横を通過、西小倉駅周辺にはJR九州北部九州地域本社や、JR貨物九州支社などが集まっています。

 

特急ソニック8号とすれ違い、青いソニックと呼ばれる883系です。

停車型と速達型の停車パターンを交互に発車させるのが基本ですが、朝の時間帯は停車型の便が連続しています。

 

城野駅を通過しまして、ここからは日田彦山線が分岐していきました。

田川後藤寺駅まで向かっており、九州北部豪雨で被災した末端区間の添田〜夜明は今年夏にBRTで復旧予定です。

 

列車はかなり速度を出してきまして、120km/h近くまで上げてきました。

重そうな見た目ながら車両最高速度は130km/hです。



行橋駅に到着しました。

行橋市は北九州市のベッドタウンとして発展。

辰野金吾による1914年に建てられた旧130銀行行橋支店は、県内最古の銀行建築物。レンガ造りのモダン建築があり、北九州市南部の沿岸の中心都市として栄えたことを伝えます。

 

行橋駅の切り欠きホームからは、平成筑豊鉄道田川線が分岐します。

筑豊炭田から石炭が輸送され、行橋を経由して苅田港へ運ばれていました。

 

新田原駅〜築城駅で旧にカーブする日豊本線、これは築城飛行場の滑走路を避けるためです。

電化に際して飛行機がオーバーランした場合、衝突してしまう危険が発生し線形を変更する必要が生まれました。

 

豊前松江駅を通過すると海が広がり、奥には豊前発電所や工場などが建つ埋立地を見られます。

 

ここで特急ソニック12号とすれ違い。白いソニックと呼ばれる885系電車も充当されています。

 

山国川を渡り、福岡県から大分県に入りました。



大分県に入って最初の停車駅、中津駅です。中津市は大分県第三のまちであり、車内の音声広告でも福沢諭吉の出身地がアピールされていました。

普通列車大分行きよりも先の出発。小倉〜中津は北九州への通勤通学圏となっており、ここで多くの列車が系統分離されています。

 

右手には背骨みたいにボコボコと連なる、耶馬日田英彦山国定公園の山々が広がります。



特急ソニックも停車する柳ヶ浦駅を通過。

かつては柳ヶ浦機関区があって、この先立石峠の25‰勾配に備えて補助機関車の連結が行われていました。

 

宇佐市の中心駅とされるのはこちら宇佐駅。しかし、市街地からは7kmほど離れています。

宇佐神宮にちなんだ朱色の駅構内、駅名標に描かれた絵にも採用されていますが、どこかでみた星条旗…。

 

宇佐市はローマ字表記で「USA」、これにちなんでアメリカっぽい見所がいくつかあります。

その中でも面白いのが、ハリウッドをイメージした白看板。宇佐駅を通る前後で左手の山に注目していると見られます。



これから越える立石峠は、日豊本線の中でも大きな見どころです。

ただいま通過している西屋敷駅。ホームの高さを見比べると、下り線が上り線よりも少し高いところを走っています。

 

上り線は向こうへどんどん離れ、どこかへ行ってしまいました。

今走っている下り線はそのまままっすぐ、立石トンネルに入ります。

 

この立石峠を越える区間については、上下線2つのルートが存在します。

元々単線だった日豊本線ですが、当時は長いトンネルを掘削する技術に乏しかったため、山を避けるルートを取っていました。

戦後複線化の際には技術が向上したため、追加する線路についてはトンネルでまっすぐ貫くことになったのです。

 

トンネルを出た先通過する立石駅は、まだ上下線が近づいている途中。そのためそれぞれのホームが離れた構造になっています。

ここまでずっと複線だった日豊本線ですが、立石駅から単線区間に入ります。



しかし、お隣の中山香駅からは再び複線に。

しばらく隣同士走っていましたが、また違うルートを通るようになります。

 

今度は下り線が八坂川沿いの山を避けるルート。上り線が山を貫く新しいルートです。

 

橋梁を見てみるとコンクリート造りで、確かに新そうだなと見た目にも分かります。

 

ちょうど八坂川を渡る橋梁を走っていたところ、特急ソニック16号とすれ違いました。

この列車は南宮崎5:47発の特急にちりん2号と大分駅で接続しており、宮崎から博多への鉄道ルートで始発列車となっています。



峠越えを終えまして、杵築駅に到着しました。

杵築市は杵築城の城下町として栄え、その街並みが今でも保存されています。

駅構内も武家屋敷風のデザインへリニューアル、非常に落ち着いた雰囲気が社内からも感じ取れます。

 

杵築駅からは再び単線区間。カーブしつつどんどん登っていきまして、大分県の形でアイデンティティとも言える丸い国東半島、両子山の縁が見られました。

 

日出ひじ駅から再び複線区間に入りまして、これが大分駅まで続きます。

左手に広がるのは別府湾、下り線ではより近いところに眺めることができます。

 

別府駅手前で特急ソニック18号とすれ違いました。この列車は中津駅まで止まらない、速達便となります。

 

温泉地として知られ、大分県第二の都市でもある別府市街です。

中央には別府のシンボル的存在の別府タワー。名古屋テレビ塔、通天閣に次いで日本で3番目に建てられた高層タワーです。



GWということもあり、別府駅からは多くのお客さんが乗車されます。

通過しているのはお隣の東別府駅、1911年開業当時からの駅舎が残っています。

改築が検討されたことがありましたが、保存の方針が固められて2004年に修復工事が行われました。いつまでも残って欲しい駅舎ですね。

 

内陸寄りを走っていましたが、再び別府湾沿いへ戻ります。

本州、九州、四国に囲まれた上、国東半島と佐賀関半島に守られているので非常に穏やかな海です。

 

貨物駅も隣接する西大分駅を通過。北九州からの高速貨物列車が設定されています。

かつては富士紡績大分工場への専用線や、大分港臨港線も分岐していました。

 

高架線を登っていきまして、47万人都市を形成する大分市へ入ります。



10:03 大分駅 着

博多〜宮崎を直通する特急にちりんシーガイアは1日1往復だけ。

ほとんどの特急列車が大分駅で運行系統を分割しており、大分を越える長距離移動は特急ソニックと特急にちりんの乗り継ぎになります。

 

今回乗車している特急にちりんシーガイア5号は、引き続き運行。そのまま宮崎まで連れて行ってくれる貴重な列車です。

 

大分駅では5分間の停車。

日豊本線はこの先単線となっているため、特急にちりん4号と行き違い待ちを行っていました。



10:08 大分駅 発

大分から先も同じ787系電車に乗車、引き続き宮崎空港駅までお世話になります。

 

大分駅を出発後、久大本線、豊肥本線と順番に非電化路線が離れていきました。

 

そして、牧駅の手前には大分車両センターが広がります。通勤電車のほか、特急ソニックや特急にちりんの車両がお休み中でした。



次の停車駅は鶴崎駅、数人程度下車されました。

ここで普通列車と行き違っておりまして、大分方面へ沢山のお客さんが乗って行かれました。大分近郊ではかなり利用者は多いようです。

 

大野川を渡りまして、これが作り出す三角州沿岸部には工業地帯が広がっています。

大分市は九州を代表する工業の街となっていまして、鉄工業や石油化学工業を中心とした重工業が盛んです。

 

四国方面へ佐賀関半島をショートカットするようにして、山の中を走ります。

佐賀関港から愛媛県佐多岬半島の伊方港までは国道九四フェリーで結ばれており、これが九州と四国の最短経路です。四国新幹線がここを通って大分まで来る構想もあります。

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佐志生さしう駅を通過する時には、普通列車が行き違い待ちをしていました。戦後1947年に仮乗降場として設置された駅です。

 

臼杵市の中心部へ入りまして、臼杵川を渡り続けるカーブを走ります。醤油の製造が盛んな町ですが、なんとこの川の中州に醤油工場があるというのが驚きです。



臼杵駅に到着しました。大分駅との結びつきが強く、普通列車のうち半分がここで折り返します。

宮崎駅から来た特急にちりん6号と行き違いました。

 

駅を出発すると港町が広がっており、臼杵から八幡浜へは宇和島運輸フェリーが就航しています。

 

大分市佐賀関から日向市美々津にかけては、日豊海岸国定公園に指定されています。特徴的なのがリアス式海岸、波が穏やかな凹部分に町が広がっており、線路は凸部分を短絡するような線形をとっています。

 

津久見市の中心駅、津久見駅に到着。

ホーム上には名物でもある、みかんのベンチがあります。



佐伯市に出てきますと、海崎駅近くには太平洋セメント大分工場佐伯が見られます。

しかしこちらは閉業しているようで、建物が残っているだけみたい。

このあたりの地域は先程の津久見市とともに、セメントの街として栄えてきました。

 

佐伯駅に到着。基本的に大分行きで揃っている特急ソニックですが、1往復だけ佐伯発着の特急ソニックも設定されています。



11:06 佐伯駅 発

ここからの普通列車の本数が非常に少なく、1日3往復だけです。

 

ここから向かうのは大分から宮崎の県境区間、1時間以上停車駅が無くなります。

 

最初の停車駅、上岡駅を通過します。

駅の周辺に佐伯ICがあるため、近くにビジネスホテルがあったりと、普通列車の本数の少なさを感じさせない車窓です。

 

次は直見駅を通過。列車の写真を撮っている一般の方もいらっしゃいました。

 

速度は60km/h程で、電化特急にしてはゆっくりめ。急カーブが続くため、速度も出しづらいのかなと思います。

 

そして重岡駅を通過、佐伯〜重岡については1日3往復普通列車が設定されています。

ここからは普通列車がさらに減りまして、重岡〜延岡については1日1.5往復だけです。



この区間については宗太郎越えと言われています。

ちょうど通過するのが宗太郎駅。九州随一の秘境駅としても知られており、駅周辺にはわずかな民家だけが立ち並びます。

 

延岡方面の普通列車については、1日1本だけで6:54発が終電

土曜日運行の36ぷらす3(宮崎空港→別府)では、宗太郎駅でドアを開けられてホームに降り立つことができます。

 

この辺りは日豊本線の難所であり、何十ものトンネルで構成されています。最急勾配は20‰、1923年に開通しました。

 

並行する国道10号ですら、山にへばりついて川にせり出している状態です。

 

ちょうど鐙川を渡り国道10号と交差する時、大分県から宮崎県へ入りました。

特急にちりんシーガイアは3県しか通らないですが、それぞれ面積が大きいため日本一の走行距離を誇っています。

 

北川駅で6分の停車、特急にちりん8号と行き違いました。

単線区間でありながら、運転停車によって行き違うのはこれが初めて。基本的に通常の停車駅で行き違いが行われており、比較的効率的な運行に思います。

 

山を抜けまして、北川沿いの長閑な景色が広がるようになります。

 

久しぶりに大きな街に入りました。旭化成の企業城下町でその工場も見えている、宮崎県第三のまち延岡市です。



険しい峠道を越えまして、ようやく延岡駅に到着。

貨物駅が隣接していまして、旭化成の化学製品を運びます。

 

2017年にオープンした新駅舎は、ツタヤ図書館やスターバックス等で構成される複合施設「エンクロス」と一緒になっています。

非常に綺麗に整備されており、18きっぷの日本縦断で足止めされる時、いつもお世話になっているところです。

 

延岡駅を出発した先、日豊本線は旭化成や関連会社の工場を走ります。

 

南延岡駅から工場へ専用線が伸びており、延岡駅の隣でありながら特急列車が全て停車します。GWですが出張の方なのでしょうか、お仕事らしき方が数人降りて行かれました。

 

延岡駅から先、かなりスピードが上がりました。

元々最高速度85km/hの区間だったのですが、沿線自治体とJR九州、さらに旭化成も出資して高速化工事が行われたのです。

 

出張需要が多いながらも空港から遠かった延岡。1898年より宮崎空港からヘリコプター便を運航していました。

ところが、天候が悪く視界も開けてらず、日向灘の向こうにある馬の瀬と呼ばれる山にヘリが墜落する事故が起きてしまいます。

この事故を機に空港からの社員移動は日豊本線の特急に託されることとなりました。レールを40kgレールから50kgレールに改良、枕木もコンクリート製のPC枕木に交換し、最高速度は110km/hへ引き上げられています。

 

同じく旭化成の工場がたくさんある日向市へ。高架線を登ってきました。

 

中心駅となる日向市駅は2006年に高架化。この駅舎は鉄道の国際的デザインコンテストのブルネル賞で、最優秀賞を受賞しています。

ここで特急ひゅうが2号と行き違いました。この列車は宮崎空港〜延岡を結ぶ列車です。

 

日豊海岸国定公園の南端、美々津を通過。日本神話で神武天皇が大和国へ向かった、船出のまちとして知られます。



左手には何やら不思議な高架線が見え始めました。

こちらはリニアモーターカー開発が行われた宮崎実験線です。実際に車両を走らせており、1979年には517km/hの速度を達成しています。

 

現在はリニア中央新幹線ルート上の山梨実験線に役割を移し、高架線上には太陽光パネルが設置されました。

 

あまり日向灘を一望できる区間は無いのですが、一番見えるのは高鍋駅の手前、小丸川が注ぐあたりです。河口は非常に穏やかで、もはや海水浴場にも見えます。

 

高鍋駅に到着。ここで特急にちりん10号と行き違います。



宮崎市に入りまして、佐土原駅に到着しました。

佐土原オフレールステーションがあって、延岡駅との間でトラック輸送が行われています。宮崎駅が高架化されたため、貨物の機能はこちらへ移りました。

また、1984年に廃止された国鉄妻線の分岐駅でもあります。くま川鉄道湯前線と接続して、熊本と宮崎を短絡する計画でした。

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特急にちりん「シーガイア」は、1993年開業のリゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」が由来。海「Sea」と地球「Gaia」を組み合わせた造語です。

その中心的な建物が左手に見られて、こちらはシェラトン・グランデ・オーシャンリゾート。高さは154mで九州一高い建築物でした。

福岡アイランドシティのオーシャン&フォレストタワーレジデンスWESTが2022年に建てられ、高さが161.25mのため、その座を譲っています。

 

1993年に高架化された宮崎駅へ向かって、高架線を走行。ヤシの木が生えていたり、家が南国風に見えたりと、南の国へ来たと印象付けられます。

 

13:07 宮崎駅 着

博多から宮崎のアクセスとしては、九州新幹線で新八代駅へ行き、接続する高速バスB&Sみやざきに乗車するのが便利。JR九州としてもそちらを推しています。

1日1往復だけでも宮崎行きの特急を設定しているのは、博多駅から九州の全代表駅に列車が走っているという、広告的役割が大きいものと考えられます。

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宮崎から先については、乗車券のみで自由席に乗車できる区間です。

 

川幅が非常に広い大淀川を渡ります。市街地はこの川を挟んで、南北両方に形成されています。

 

南宮崎駅で特急ひゅうが4号と行き違いました。

自由席からかなり多くのお客さんが降りられ、こちらも宮崎駅と並んで大きな駅です。

 

宮崎駅で残り1人になっていたグリーン車ですが、南宮崎駅で誰もいなくなりました。

 

区画の中には入りませんが、車端部には3席だけのDXグリーン席が備えられています。

元々は「トップキャビン」と呼ばれる、3+3で対面テーブルのセミコンパートメントだったのですが、九州新幹線八代駅〜鹿児島中央開業時に3席のDXグリーン席に変わりました。

 

南宮崎駅には宮崎車両センターが併設されており、宮崎地区における運行の拠点となっています。

 

列車は鹿児島駅まで続く日豊本線を離れ、日南線に入ります。

 

さらに1駅先の田吉駅からは、宮崎空港線へ。

先述のヘリコプター墜落事故に伴い、旭化成は宮崎空港〜延岡のヘリコプター運航を断念。日南線から宮崎空港へのアクセス鉄道が建設されました。

 

宮崎空港線はわずか1.4kmの路線、JRで最も短い路線です。

在来線最長特急列車の行き着く先が、JR最短路線とは中々面白いですね。

 

目の前には飛行機が見えているところで、宮崎空港駅の構内へ侵入。

数ある空港駅の中でも、列車からここまで間近に飛行機を見られるのは、かなり珍しいように思います。



13:19 宮崎空港駅 着

博多駅を7:31に出発してから5時間48分。非常に長い道のりでしたが、終わってみるとあっという間に感じるのは、旅行していればいつものことです。

 

特に在来線で次々変わっていく車窓を眺めていれば、全く飽きることはありませんでした。

鉄道黎明期から存在する鹿児島本線と日豊本線の歴史を感じつつ、最大限高速輸送に努めるその姿には頼もしさを感じます。

 

かなり時間のかかる特急にちりんシーガイアですが、乗っているだけで充足感に溢れる素敵な在来線特急。ぜひ機会を作って乗っていただければと思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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