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【かにカニダイヤへ改正】特急はまかぜ1号 大阪〜鳥取乗車記[2305GW(4)]

2023年5月13日

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関西〜鳥取のアクセスといえば、特急スーパーはくと。

航空機との競争にも打ち勝った、高性能なディーゼル特急として名を馳せています。

 

同じく大阪〜鳥取を走っているのが、特急はまかぜです。播但線と山陰本線を経由する遠回りルートで、同区間を結ぶ列車としては1日1往復だけ設定されています。

 

しかし、この列車はほとんどのお客さんが途中で降りてしまいます。

全区間乗り通す乗客はほぼいない、不思議な特急列車。2023年春のダイヤ改正で運行時間帯が夜から朝に大きく移った、特急はまかぜ1号鳥取行きのご紹介です。



GW真っ只中の5月4日、朝7時の大阪駅に来ました。

カーテンのような大屋根が降ろされる、デザイン性にも富んだ駅です。

 

特急はまかぜ1号鳥取行きは7:48の発車。その11分前に特急スーパーはくと1号鳥取・倉吉行きが発車します。

 

もちろん鳥取駅へ先に到着するこの列車ですが、特急はまかぜに乗るため見送ります。



そして同じホームに特急はまかぜ1号が入線です。

2010年に投入されたキハ189系、播但線のラインカラーであるワインレッドをまとっています。

 

特急はまかぜに大阪〜鳥取の全区間乗り通す乗客がいない理由、それは遠回りの運行ルートにあります。

 

もし特急はまかぜ1号を見送ったとしても、後続の新快速電車に乗車、上郡駅から特急スーパーいなば3号に乗り継げば、終点鳥取駅には特急はまかぜ1号が到着する1時間前に着いてしまいます。

 

ダイヤ改正以前、鳥取行きの特急はまかぜは最終便に充てられていました。

改正以前のダイヤで冬季運行の臨時列車「かにカニはまかぜ」と同じ運転時刻で、鳥取まで運行区間を延長。定期列車と臨時列車の運転順序が入れ替わる形です。

 

普段は3両編成での運行ですが、GWの多客時ということで増結、6両編成で走ります。



7:48 大阪駅 発

大きなエンジン音を立てながら、播但線を経由して鳥取へ至る停車駅の案内がされます。

 

淀川を渡りまして、梅田のビル群からお別れ。川に挟まれているために、ニューヨークのマンハッタンのように独立した都会の雰囲気です。

 

大阪駅を通らずに東海道を結ぶ、北方貨物線が近づいてきました。山陽新幹線とほぼ同じところを走ります。

 

ちょうど博多方面へ新幹線が走っていきました。GWの最繁忙期でかなり頻繁な運行、非常に賑わっている様子です。

 

複々線のうち新快速線を走っている特急はまかぜ。緩行線と並走やすれ違いを繰り返しつつ、神崎川を渡って兵庫県に入ります。

 

尼崎駅を通過したところで、離れていくのは福知山線。大阪と城崎温泉を結ぶ特急こうのとりは、あちらを走ります。



神戸市の中心部、三ノ宮駅に到着です。

駅前には阪急百貨店や広々した道路が続いており、150万人都市の中心部の力を見せつけられます。

 

特急はまかぜ号については、神戸駅にも停車します。

 

東京駅から3社に渡って来た東海道本線と、山陽本線の境界です。

 

兵庫駅までは方向別複々線でしたが、新長田駅手前で緩行線の複線と快速線の複線それぞれでまとまる、路線別複々線に変わりました。

 

そして須磨の海が広がるようにもなります。

 

123km/hにまで速度を上げまして、気動車とは思えない走行。

三ノ宮〜姫路はトップスピードを見せてくれる区間です。

 

緩行線の列車を見下ろしつつ、本州と淡路島に架けられる明石海峡大橋がハイライト。気動車ならではの旅情を感じながら、瀬戸内地域の始まりを告げられます。

 

さらに右手には、日本標準時子午線が通る明石市立天文科学館。

 

明石駅に到着する時には、ホームの向こうに明石城が見られます。

この区間は本当に車窓を見るのが忙しいです。



草津駅から続く日本一長い複々線区間は、西明石駅を通過して終わりになります。

加古川線が合流してくるところで、加古川駅を通過。複線になったため、通過待ちの普通列車を駅にて追い抜きました。

 

まもなく姫路駅に到着、これから特急はまかぜが走る播但線の分岐駅で、ワインレッドの103系が停まっていました。



08:52 姫路駅 着

特急はまかぜは姫路駅で進行方向が変わるため、座席の方向転換を行います。

 

そのため姫路駅で乗務員交代も同時に行われており、6分の停車時間。

急げば改札内のセブンイレブンで買い物くらいはできそうです。

 

この間に回送列車が向かいから来ました。特急はまかぜはこの回送列車が、ポイントを通るのを待っていると思われます。

 

播但線の列車は基本的に、中間改札を通った先の1,2番線ホームから発車です。

そこに停車中だったのが特急はまかぜ2号、城崎温泉駅から播但線を経由して、大阪駅へ向かいます。



08:58 姫路駅 発

山陽本線からお別れしまして、カーブしつつ播但線に入ります。

姫路駅から乗車されるお客が半分くらいを占めており、おそらく新幹線から乗り継いで来られたのでしょう。

 

左手には姫路城が見られます。

走行中の山陽本線や山陽新幹線よりも、長時間はっきりと見られるのが非常に楽しいです。

 

いろんな角度から舐め回すように観察しつつ、2008年に高架化された区間を走っていきます。

 

川の向こう側には兵庫製紙の大きな工場、清流として知られる市川の恵みを受けているのでしょう。

 

香呂駅で普通列車と行き違いました。

1番のりば側が一線スルー構造になっており、速度を落とすことなく60km/hほどで通過していきます。



特急はまかぜが全て停車する、福崎駅に到着。

柳田國男の出身地として知られる、福崎町の中心駅です。姫路方面へ神姫バスが発着しており、鉄道で補いきれない輸送を担います。

 

市川町の中心駅となっている、甘地駅を通過。町内に特急列車は停車しません。

 

列車は速度を上げていきまして、播但線の最高速度110km/h近くへ。



神河町の中心駅、寺前駅に到着です。

播但線の電化区間はここまでとなっていまして、姫路都市路線とローカル線の境界でもあります。

 

ここから先はキハ40・41形が走る非電化区間。

播但線(寺前〜和田山)はJR西日本が収支を公表した赤字線区であり、赤字額6.1億円、営業係数377円、輸送密度924人/日と、特急列車が走っていながらも厳しい状況の区間です。

 

寺前駅を発車すると、鉱石場になっている山の一角。やったことないけど、マインクラフトを思い浮かべちゃいました。

 

列車はここから山の中へ入り、エンジンの音も一際大きくなります。



180°カーブしつつ市川を渡るところ、ここは1959年に真名谷トンネル列車脱線転覆事故が起きた場所です。

和田山から煙突を後ろ向きに南下していた蒸気機関車、生野トンネル内で機関士と機関助士を煙と熱気が襲い、窒息してしまいました。これによって操縦できなくなった列車は、このカーブを曲がりきれずトンネルにぶつかる形で脱線します。

事故後、機関士へのガスマスク装備や、ディーゼル機関車への置き換えが進み、蒸気機関車は姿を消していきました。

 

日本有数の銀山として知られた生野銀山、生野のまちへ入りました。

史跡生野銀山は1000年以上に渡る歴史を伝え、重要な観光資源として活用されています。

 

その玄関口ともなる、生野駅に到着です。左側通行では勾配途中で速度制限を受けてしまい、蒸気機関車の停車が困難であったことから、今でも右側通行の停車が行われています。

 

そして列車は生野トンネルへ。ここが分水嶺となっており、太平洋側から日本海側へ入ります。

 

ここで播但連絡道路が真横に現れました。完全に播但線のライバルとなる有料道路です。

 

年々数を減らしている鯉のぼりですが、こどもの日らしい風景が流れていきます。



竹田駅に停車する特急はまかぜは、大阪発着便の1往復だけです。

一方で播但線の中では、降りられるお客さんが比較的多い駅でした。

 

近くには天空の城とされる、竹田城跡があります。

円山川の川霧により霞み、その雲海に石垣が浮かぶ様子は多くの方に人気です。

 

そろそろ播但線は終わり、右手から山陰本線が近づいてきました。

 

接続駅となる和田山駅に到着、ここで注目したいのがレトロな旧和田山機関庫です。

春になってレンガ積みの建物に植物が繁茂し始め、自然に呑み込まれている様子がよく分かります。



和田山駅で6分間の停車。

停車時間の間にホームへ出てみると、なぜか鉄道ファンの方が多く乗られている様子でした。

臨時サンライズ出雲92号の運行日でもないですし、ちょっとよく分かりません。

 

ここでは城崎温泉から大阪へ向かう、特急こうのとり12号と行き違います。

 

生野トンネルで分水嶺を越えたことにより、並行する川は日本海へ注ぐ円山川へ変わっています。



八鹿駅に到着。

この特急はまかぜ号に乗れば湯村温泉の玄関口、浜坂駅まで連れて行ってくれます。

しかし浜坂駅へ行く特急はまかぜは普段1日1往復だけ、本数の多い特急こうのとりで八鹿駅からのバスに乗り継いだ方が便利です。

 

あまり景色的な注目ポイントではないですが、江原駅手前でフジテックの横を通過する時、自分が乗っている車両が映るのが結構楽しみだったりします。

 

江原駅で停車中、普通列車と行き違いました。



兵庫県北部における中心地、豊岡市の中心部へ来ました。

コウノトリの街としても知られており、先ほど行き違った特急列車の名称にも選ばれています。

 

豊岡駅からは京都丹後鉄道宮豊線が分岐しており、快速たんごリレー1号が入線してくるところでした。

 

玄武洞駅では京都〜城崎温泉を結ぶ、特急きのさきと行き違います。

城崎温泉には京阪神全ての都市から、特急列車で結ばれているのです。



10:46 城崎温泉駅 着

後続の特急こうのとり1号に乗ると、城崎温泉駅の到着は10:58着。特急はまかぜの方が遠回りですが、早く着けるので乗車する意味はちゃんとあります。

 

実はダイヤ改正前のはまかぜ5号では、後続の特急こうのとりと特急きのさきを乗り継いだ方が、城崎温泉駅に早く着くという状態だったのです。

 

実際ここでほとんどの方が下車。姫路駅から8割くらいの乗車率でしたが、ガラガラ状態です。

 

城崎温泉駅を発車した後は左手に注目、代表的な風景とも言える温泉街の柳並木を楽しめます。

 

ここまで来ると日本海まであと少し、険しい山の中をトンネルで貫きます。



1911年開業当時からの木造駅舎が残っている、竹野駅に到着。

駅からは少し離れていますが、海沿いに広がる竹野温泉の玄関口です。

 

掘削されているトンネル入口に注目するとレンガ造り、この区間は明治末期に開業しており、その歴史がこのように現れています。

 

ここは山陰海岸国立公園の区域、複雑に入り組んだリアス式海岸が発達しています。

日本海の荒波に削られた自然の厳しさを感じる地形は、特急はまかぜ号ならではの車窓です。

 

佐津駅で運転停車、普通列車と行き違います。やってきたのはキハ47形気動車で、急にローカル感が強まりました。

 

通過する柴山駅の海側1番線ホームは2001年に閉鎖されていますが、風に侵食されつつも残っていました。

それどころか錆びついたレールも放置されたまま、なんとも寂しい雰囲気を醸し出しています。



香美町の中心駅、香住駅に到着。

改札口の上には、札幌かに本家を思わせるカニ看板。

香住漁港で水揚げされるベニズワイガニは「香住ガニ」と呼ばれ、冬には多くの観光客が訪れます。その時期に運行されているのが、特急かにカニはまかぜです。

 

温泉街向こうの日本海には、海岸から取り残された島々を見受けられます。

 

山には藤が咲き誇り、藤棚とは違った華やかさを感じられました。

 

日本海の上に鯉のぼりが架けられており、集落の原風景が広がります。



そして列車は余部橋梁へ差し掛かりました。

ここは山陰本線の中でもハイライトと言うべき景色、地上40mの高さから日本海と黒屋根の家々が広がり、この上なく素晴らしい車窓です。

 

展望施設である『余部鉄橋「空の駅」』が整備されており、地上には道の駅あまるべ。完全に観光地化しており多くの観光客が訪れます。

 

そこから餘部駅のプラットホームが接続しています。ぜひここは降り立ってみたい駅のひとつです。

 

久谷駅を通過、ここも2012年に棒線化されて向こうのホームは使用停止しているのですが、今でもそのまま残っています。

 

田んぼの真ん中からは農作業をしている方が手を振ってくださったりと、中々素敵な光景でした。



新温泉町の中心駅、浜坂駅に到着です。

八鹿駅でもご紹介した通り、ここから湯村温泉へバスが出ています。

しかし、特急はまかぜが来るのは定期列車でこの1往復のみです。

 

浜坂駅で乗務員さんが交代、残り僅かな区間ですがここで運転系統が変わります。

 

諸寄駅を通過した先、建設中の諸寄高架橋が見えてきました。

こちらは山陰近畿自動車道のうち、新温泉浜坂IC〜居組ICの浜坂道路II期区間。2025年度に開通予定です。

 

居組駅を通過しまして、陸上トンネルへ。これで兵庫県から鳥取県に入ります。



東浜駅で運転停車、地元の方が手を降ってお出迎えしてくださいました。

この駅はトワイライトエクスプレス瑞風が立ち寄る駅でもあります。

2017年にガラス張りの新駅舎が完成しまして、海の見える駅の特色がより前面に押し出されています。

 

駅を出発して少し先のイタリアンレストラン、アルマーレはトワイライトエクスプレス瑞風の立ち寄りに合わせてオープンしたレストランです。

とてつもなく人気で予約必須のお店、店内からも日本海を望めるとのこと。

 

これまでとは一転、砂浜が広がる穏やかな海岸も楽しめます。

 

鳥取県内に入って唯一の特急途中停車駅、岩美駅に到着です。内陸寄りに岩井温泉があって、駅にも昔ながらの看板が掛けられていました。

 

福部駅を通過してから、カーブが連続する山の中へ突入。最後に待ち構えているのは、緑溢れる山々です。

 

ここで滝山信号場を通過しました。

上下それぞれ1本枝分かれする待避線があって、かつては普通列車をここに入れ、通過列車をやり過ごしていました。普通列車の立場では、スイッチバック方式の運行をしていたことに。



山を抜けまして、街の中を高架線で走り始めます。

4時間以上に渡る運行を終えまして、まもなく終点鳥取駅に到着です。

 

左手からは、特急スーパーはくとが走る因美線が合流します。

 

1日1往復だけやってくる特急列車、遂に鳥取駅へ入線しました。



12:08 鳥取駅 着

大阪駅からの所要時間は4時間20分、鳥取駅まで非常に長い道のりでした。

それでもメインルートの特急スーパーはくとでは味わえない、ローカル感や日本海の景色、温泉街へポツポツ止まっていく様子は非常に楽しかったです。

 

この列車はそのまま大阪へ折り返します。

非常に本数の少ない特急列車ですが、ぜひ選択肢の一つとして選んでみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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