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【どこまで乗り継げる?】気動車特急リレー旅[宿毛〜紀伊勝浦]

2023年10月21日

 

全国各地で運行されている特別急行列車。徐々に伸びている新幹線を幹にしつつ、地方都市とを結ぶ重要な枝の立ち位置にいます。

電化されていない路線を走る特急列車も多く存在しており、ここでは西日本を中心に気動車特急が運行されています。

今回は気動車特急だけを乗り継いで、一番長いルートをたどってみることにしました。

 

途中第三セクター鉄道を3社挟むため、一枚の乗車券にはできず、あくまで最長ルートの乗り継ぎという形。国鉄分割民営化後も重要路線として維持されている3セク鉄道にも力を借りつつ、バリエーション豊かな気動車の旅に違いを見出していただけたらと思います。



気動車特急乗り継ぎの旅、最初の出発地は土佐くろしお鉄道宿毛線の終着駅、宿毛駅です。

初っ端より第三セクター鉄道からのスタート。

末端部の宿毛線が開通したのは1997年のことで、国鉄時代からの工事を土佐くろしお鉄道が引き継ぎ、宿毛市に鉄道が来ました。

 

宿毛すくも・中村〜高知を結ぶ9往復の特急、そのうち1.5往復が宿毛駅発着です。宿毛・中村〜窪川では第三セクターの土佐くろしお鉄道に乗り入れます。

宿毛駅から出発する特急あしずりは、6号と18号の2本です。気動車特急最長ルートを形成するべく、今回は朝の特急あしずり6号で宿毛駅を発ちます。

 

行き止まり式の1面2線高架ホーム、特急あしずり6号が停車中です。この便ではJR四国発足時に開発された、2000系気動車が使用されています。

 

本州目線で四国最果ての地と言っても良い宿毛より、気動車特急王国の四国を駆け巡ります。



9:05 宿毛駅 発

ディーゼルならではのエンジン音を轟かせながら、宿毛駅を出発。大きな唸り声を聴きながらの鉄道旅が、ずっと続くことになります。

 

全長5,084mに及ぶ聖ヶ丘トンネルへ。近代になってから建設された鉄道路線とあって、山があっても思い切りトンネルで貫いてくれます。

 

田んぼの中でも高架線が闊歩しており、高規格ローカル線の代表例と言える存在です。

 

最高速度は120km/hで、気動車特急ではトップレベル。

途中駅も一線スルー構造になっており、通過列車はスピードを落とさず直線の線路を駆け抜けることができます。



四万十川を渡りまして、土佐の小京都と呼ばれた中村へ。

中村駅には車庫が併設されており、ラッピングの施された普通列車の数々が止まっていました。

 

駅舎に面した1番線ホームに入線、ここで車掌さんが交代されました。

宿毛駅からのお客さんは自由席に4,5人程度でしたが、中村駅からは15人以上乗ってこられます。ほとんどの特急あしずり号が中村駅発着になっている理由も、何となく分かった気がします。

 

窪川発中村行き普通列車と行き違いつつ、中村駅を発車。

宿毛湾で秋から冬に見られる、太平洋に沈む夕日が水平線に溶けるような蜃気楼、だるま夕日が描かれています。

 

中村駅からの土佐くろしお鉄道中村線は、1970年全通。元々国鉄中村線でしたが特定地方交通線に指定され、第三セクター土佐くろしお鉄道へ移管されました。



太平洋沿岸部の黒潮町に入りまして、右手には海が一望できます。

ゴツゴツした岩肌が露呈した海岸に、細かく模様を描く白波も大迫力です。

 

この辺りで列車はかなり速度を落としており、臨時徐行信号機で15km/hの制限速度がかかっていました。

 

まるで観光列車かのように、白浜海岸を堪能できました。

ここでは2023年6月に普通列車が土砂に乗り上げ脱線。おそらく復旧作業を行なっている時間帯のため、速度を落として運行しているようです。

 

土佐佐賀駅を出発したところで、太平洋と一旦お別れ。

山の中へ突入し、稲荷〜川奥信号場には中村線の最急勾配、23‰の坂が存在します。

 

ここではその勾配を、ループ線によって緩和しています。

鉄輪と鉄のレールで摩擦が小さく、坂道に弱い鉄道。距離を稼ぐことで勾配を緩くし、山を越えることができたのです。

ちょうど一周して線路が立体交差する辺り、川奥信号場を通過します。

ここで高松発中村行き特急しまんと1号と行き違いました。こちらは高知駅を跨いで一体運行される、唯一の特急列車です。宿毛発高松行特急しまんと10号もあったのですが、2022年春のダイヤ改正で廃止されました。

ここからは予讃線宇和島方面へ、JR予土線が分岐しています。

 

旅客案内上の分岐駅は若井駅。予土線の普通列車は若井駅〜窪川駅の1区間、土佐くろしお鉄道中村線に乗り入れています。

 

もうすぐ窪川駅に到着しようというところ、急に滝のような雨が降ってきました。この日JR土讃線ではかなりの大雨となっており、行き違った特急しまんと1号もこれで遅れていたのかもしれません。

 

窪川駅にはJR予土線の鉄道ホビートレインが停車中。四国新幹線としてよくネタにされる、0系新幹線を模した人気の列車です。



11:56 窪川駅 発(6分遅れ)

窪川駅で土佐くろしお鉄道からJR四国の方へ乗務員交代が行われました。ここからJR土讃線に入ります。

 

影野駅から土佐久礼駅にかけては最急勾配25‰区間です。連続するカーブによって、何とか勾配を緩和しています。

この2000系気動車は日本初の制御付き振り子式車両となっており、振り子式気動車としては世界初。車体を傾けることでカーブで受ける速度制限を小さくし、急勾配の運行にも適した車両です。

再び海沿いへやってきまして、安和海岸まで来ました。



安和駅はホームから海を望める駅として有名です。

須崎駅では特急あしずり1号中村行きと行き違い。今乗っているのと同じ2000系気動車で、2023年前期のNHK連続テレビ小説『らんまん』のラッピングが施されています。

 

沿岸部にはセメント工場があって、港に近い重工業地として発展しているようです。鉄道黎明期には須崎港から物資が輸送され、高知県の鉄道建設はここから始まりました。

今度は太平洋から本当のお別れ、再び山越えへ挑みます。

左手の山肌には白石工業土佐工場が貼り付いており、その姿はハウルの動く城とも言われます。

2km近くに及ぶ斗賀野トンネルを抜け、佐川駅に到着です。

連続テレビ小説『らんまん』でモデルになった植物学者・牧野富太郎の出身地です。先ほど須崎駅で見た特急ラッピングも、高知県が舞台であることから施されました。

伊野駅を出発しまして、路面電車のとさでん交通と並行し始めます。

向こうは1時間に1本くらいの本数で、土讃線から路面電車を目にすることは中々難しいです。

 

高知市中心部へ入りまして、2008年に連続立体交差事業が行われた高架区間へ。

集合住宅やビルが立ち並ぶ向こう側に、高知城の天守閣もはっきり見ることができました。



11:06 高知駅 着(10分遅れ)

特急あしずり6号は特急南風12号と接続しており、対面乗り換えで岡山まで行くことができます。

次は特急南風に乗車するのでこれに乗っても良かったのですが、この先の行程を考えると急いでも仕方ないので、後続の特急へ乗車することに。

 

改札前では大雨の影響で、高知〜窪川の特急が運休との案内。宿毛に閉じ込められるスレスレだったんですね…。

 

高知駅近くにある、高知アイスカフェへ駆け込みました。

こちらは、わらび餅スムージー。黒蜜ときな粉のほのかな香りに、とろけるような舌触りのわらび餅。高知アイス自家製というのがポイントです。

 

さて、高知駅から先へ進む特急列車は、特急南風・しまんと号しかありません。

 

高知駅も大雨でしたがこちらは通常運行、特急南風16号岡山行きに乗車します。

 

ホーム上に停車していますのは、2700系気動車です。

2019年にデビューした新型車両、2021年春のダイヤ改正で特急南風・しまんとの定期列車がこちらの車両に統一されました。



13:13 高知駅 発

全席にコンセントが備わっており、非常に快適な車内。電車並みの加速度性能で高知駅を出発しました。

 

高知駅の高架化に伴って移転された、高知運転所横を通過。様々なディーゼルカーがたくさん止まっています。

 

特徴的な駅名で知られる、後免(ごめん)駅に到着しました。

ここからは土佐くろしお鉄道もう一つの路線、ごめん・なはり線が分岐しています。2002年に開通した日本最後のローカル線です。

 

土佐山田駅からは普通列車の本数が激減。貴重な一本である普通列車琴平行きがいます。

 

アンパンマンラッピングの特急南風7号と行き違い。やなせたかしのふるさとであり、車両が塗装されているほか、起終着駅ではアンパンマンの声優さんが放送します。



ここから四国の真ん中でそびえ立っている、四国山地へ挑みます。

グネグネカーブが連続する区間へ、制御付振り子装置の性能を発揮してどんどん登っていきます。

当初はメンテナンス費用を抑えるため、空気ばね制御を採用した2600系気動車を導入予定でした。しかし土讃線ではあまりにカーブが多く空気容量が足りなかったため、制御付き振り子装置の2700系気動車を製造することになったのです。

 

1車両あたり900馬力のエンジンを搭載し、5.2km/h/sの減速性能を実現したブレーキを持っています。

ぐんぐん山を登っていきまして、さっきと同じくらいの標高の地域は、あんなに小さくなってしまいました。



土讃線にはスイッチバック駅が2つありまして、そのうちの一つである新改駅を通過します。

特急列車は直線の線路をまっすぐ通過。

 

一方で左側に線路が分岐しており、向こうには新改駅のプラットホームがあります。

新改駅に停車する一部の普通列車は左へ入って行き、進行方向を変えて引き込み線で再び進行方向を変え、阿波池田方面へ発車します。

 

高知駅のKioskで、「天むす薫」さんの天むすを購入。

一口サイズの小ぶりで可愛らしい天むす、えび天とシソをくるんと海苔で巻いています。

 

ふわっとした衣にシソの香りが凝縮され、えび天の塩気と歯応えともぴったりでした。

 

橋梁の中に駅があるという、非常に珍しい構造の土佐北川駅を通過します。

 

度々災害に見舞われる区間でして、1986年に切替られた新線区間。蛇行する穴内川を渡って行きます。



トンネルを抜けまして、徳島県に入りました。

冷んやりしたトンネルや標高の高い区間が続いていたため、窓が曇っています。

渓谷美が観光資源にもなっている祖谷地区の玄関口、大歩危駅に到着です。

 

ここから土讃線の中でも特に景色の良い区間へ、沿線の建物も崖っぷちに建てられています。

 

ゴツゴツした渓谷には迫力を感じ、白い岩が構える区間が約8km続いていました。

阿波の青石と呼ばれる三波川変成岩さんばがわへんせいがんによって構成されます。

 

四国で一番面積の広い三好市、その中心部である池田地区の中心部で下車しました。



14:23 阿波池田駅 着

最終的には岡山へ行くことになるのですが、今回の目的は最長ルートを辿ること。向こうに停車中の特急剣山で徳島まで迂回します。

 

ここで使用されているのは国鉄が四国向けに製造した特急型車両、キハ185系気動車です。

定期列車で走る最後の国鉄型特急の一つになります。

 

国鉄フォントの行き先方向幕は煙で黒くなっており、塗り重ねられた歴史を特に感じます。

 

デッキから車内へ客室へ入ろうとする時点で、特急踊り子で使用された185系特急電車や、北海道の183系気動車を思い出されます。

 

見た目からわかる程のフカフカ座席、非常に座り心地が良くゆったりしていました。

 

ひと回り小さく黄ばんだ背面テーブルなど、至る所にレトロさを感じます。



14:30 阿波池田駅 発

ディーゼル特急ってこういう事だと主張するような、エンジンの振動を体全体で感じながら、阿波池田駅を出発しました。

 

ひと区間は土讃線を走行、左手には池田の街並みを見渡すことができます。

 

お隣の佃駅から徳島線に入りまして、吉野川沿いを走行。徳島線では観光列車藍よしの川トロッコが運行されています。



つるぎ町の中心駅、貞光駅に到着。

特急の名前にもなっている剣山の登山口でして、ホーム上にはその石碑が立っていました。

 

穴吹駅の駅前には日乃出本店という和菓子屋店があって、ぶどう饅頭の看板が掲げられています。国鉄時代にはホーム上での立ち売りも行われていたそうです。

 

入場券が受験生に人気の、学駅を通過。現在は無人駅ですが、受験シーズンには駅員さんがきっぷを販売するほどの影響力です。

 

だんだん吉野川から離れていきまして、最高速度110km/hに対して国鉄型特急も奮闘します。

 

倉本駅を通過する時には、徳島大学病院のある徳島大学蔵本キャンパスが見られました。医学部や歯学部などの校舎がここに集まっています。

 

左手奥の方からは、高松から徳島を結ぶ高徳線が近づいてきました。佐古駅で合流しまして、高徳線に入ります。

 

1時間ちょっとで徳島県を横断し、終点の徳島駅に到着。駅に隣接して徳島運転所が広がっています。



15:44 徳島駅 着

切り欠きホームとなっている、一番端っこの1番線ホームに入線しました。今回乗り継ぐ気動車特急で唯一の国鉄車両、貴重な列車ですからぜひお早めに乗っていただきたいです。

 

徳島駅は大きな駅ビルやホテルが一体になっています。

徳島県は全国唯一電車が走らない都道府県で、ディーゼル列車しか走っていません。

 

さらにJRや路線バス含め、交通系ICカードが一切利用できない県でもあります。



徳島駅から乗車するのは、特急うずしお22号です。

特急うずしお号は1日16.5往復、かなりの本数運行されています。今回は特急南風と同じ2700系気動車でしたが、2600系気動車が運用に就く便もあります。

 

そのほとんどが高松〜徳島の運行ですが、今回乗車するのは2往復だけ設定されている岡山発着便

徳島〜高松を59分で結ぶ、特急うずしお号最速達便です。

 

岡山〜徳島を直通する特急うずしお号に関しては、以前の記事でも詳しくご紹介したため、そちらも参考になれば幸いです。



16:45 徳島駅 発

鳴門線からの普通列車と行き違うようにして、徳島駅を発車します。やはり国鉄からのキハ40・47系気動車が走っています。

 

徳島駅〜佐古駅は重複区間になりますが、改札を出なければ重複区間の料金は不要のルールまであります。特急列車の乗り継ぎが規則上強く考慮されているため、これで続けていくことに。

徳島線でずっと左手に見えていた、吉野川を渡ります。

 

鳴門線が分岐する、池谷駅に到着。地元高校生の生徒さんが主に利用されており、鳴門の渦潮など観光地までは鳴門駅から路線バスに乗り換える必要があります。

 

板野駅で特急うずしお21号と行き違い、高徳線もまた全線単線の路線です。

 

並行して高松高速道路が走っており、高松〜徳島の高速バスの運行もあります。それでも特急うずしおは本数の多さやダイヤの正確性もあって、割と対抗できている区間です。



列車は県境の山間部に入り、大坂峠を越えます。

山あいの区間がこの辺りだけの特急うずしおでは、空気ばね振子装置の2600系気動車でも運行可能。

一方で、先程も触れた通りカーブや勾配が連続する土讃線では空気が足りませんでした。そのため制御付振子装置の2700系気動車を製造することになった訳です。

 

最速達便ということで通過駅も多く、ほとんどの便が停車する引田駅も通過しました。



さぬき市の中心駅となっている、三本松駅を出発。

部分的ですが海の近くを走るようになり、瀬戸内海の景色を見られます。

 

JR四国グループによって開発された、オレンジタウン駅を通過。一部の特急列車も止まります。

 

志度駅で特急うずしお23号と行き違い。近くに高松琴平電気鉄道の琴電志度駅があります。

 

高徳線と琴電志度線は、しばらく道路を挟んで並走するようです。

 

源平合戦でも有名な屋島を右手にしつつ、讃岐平野の北部を走ります。



栗林駅到着直前、琴電長尾線と立体交差します。

線路の向かう先は、高松市の中心部でもある瓦町。3路線がそこへ向かって集結し、高松築港駅に至ります。

 

瓦町駅にある大きな商業施設、瓦町FLAGも見られました。

 

その中心部の近くに位置する、栗林駅に到着です。

 

琴電琴平線は一部区間が複線になっており、運行本数も多い地方私鉄として知られます。



高徳線を乗り通し、高松駅に到着しました。

多くの特急うずしお号はここで終点ですが、この便はそのまま岡山駅を目指します。

 

完全に行き止まり式のホーム構造となっていまして、かつては本州へ向かう宇高連絡船に乗り換える方が多かったです。

 

進行方向を変えまして、予讃線へ。

この旅で複線電化区間を走るのは、これが初めて。架線下ディーゼル特急の運行になります。

 

さらに貨物列車までやってきてすれ違い。予讃線は四国で唯一、貨物列車の運行が行われている路線です。



列車は3本の列車が三角形を描く、宇多津デルタ線を通過します。

岡山行きの列車ですが直接瀬戸大橋へは向かわず、松山方面へ抜けて行きました。

 

その先に位置している、宇多津駅に到着しました。ここでしばらく停車しまして、高知からの特急南風と連結します。

 

高知から土讃線を通ってきた、特急南風22号が入線。

 

ここで連結しまして、一緒に岡山を目指します。

岡山発着の特急うずしおは、全て岡山〜宇多津で特急南風と連結して走ります。

 

今度こそ瀬戸大橋を渡りまして、本州へ。

前面展望を見ていると、立体交差により線路が複雑に絡み合っているのが分かります。

 

快速マリンライナーが通る、高松から岡山への線路と合流しました。ここからは本四備讃線ですが、専ら瀬戸大橋線の愛称で親しまれています。

 

臨海工業地域を横目に、瀬戸大橋のトラス橋へ突入。

本州から四国各都市を結ぶ特急や快速マリンライナーが走ります。



左の山に鷲羽山ハイランドの観覧車が見えてきました。

瀬戸内の小島を渡ってきた瀬戸大橋区間を終え、本州へ至ります。

 

児島駅に到着し乗務員さんが交代、JR四国からJR西日本エリアへ入りました。

 

茶屋町駅を通過し、ここから宇野線に入ります。

かつては終着駅の宇野駅から宇高連絡船があって、高松への鉄道連絡船として本州と四国を結んでいました。

 

一部の複線区間で2023年7月にデビューした新型車両Uraraとすれ違い、桃色をした岡山地区の新しい顔です。

 

再び単線区間になりまして、山陽新幹線の高架橋も現れました。



18:47 岡山駅 着

徳島駅から岡山駅まで遠回りしながらの特急うずしお号、列車は折り返し徳島駅まで向かうことになります。

 

まだここからディーゼル特急に乗り継ぐこともできるのですが、今日中に動いても結局この先の行程で時間が空きます。岡山駅から先はまた日を改めてということで…。



おはようございます。朝の岡山駅です。

四国・山陰方面へ数々の特急列車が発着しているターミナル駅。

 

四国特急は先日ぐるっと回らせてもらったので、今度向かうのは山陰地方です。

特急スーパーいなば3号鳥取行きに乗車します。

 

2001年にデビューしたキハ187系気動車は山陰の鉄道高速化に貢献、鳥取県もこれに協力したことから、県の花である二十一世木梨が描かれています。



9:13 岡山駅 発

特急スーパーいなばは途中、後期各路線の智頭急行線を走ります。

 

それ以前は津山線と因美線を経由する急行砂丘が運行されていました。

現在はキハ40・47系気動車などが活躍するローカル線でして、2022年夏にデビューした、観光列車SAKU美SAKU楽も止まっていました。

 

しばらく山陽新幹線の高架橋と並行、数多くの貨物列車ともすれ違います。

 

吉井川の穏やかな流れと共に、寝台特急サンライズからも見慣れた山陽本線の区間を走っていきました。

 

船坂峠をトンネルで越え、岡山県から兵庫県へ入ります。



左手には高速道路みたいな、立派な高架橋が見えてきました。

あちらが第三セクター智頭急行智頭線、これから走っていくことになる高規格路線です。

 

上郡駅から智頭線へ入るため、ここで進行方向が変わります。乗客自身で座席を転換、そのままの部分も混ざっているのが特徴です。

 

智頭急行の普通列車が停まるプラットホームを素通り。このカラーリングにも見覚えがありますが、京都・大阪〜鳥取を結ぶ特急スーパーはくと号も走ります。

 

山陽本線に対して高架線へ登っていき、北へ針路を取ります。トンネルや高架が連続する路線です。

 

全線単線になっている智頭線、河野原円心駅で特急スーパーはくとと行き違いました。

 

姫新線との乗り換え駅、佐用駅に到着。

姫新線は新見駅と姫路駅を結ぶ路線です。智頭線が開通する以前、急行みまさかが津山〜姫路をメインに走っていました。

 

智頭線の最高速度は130kmh、特急スーパーいなば号は最高速度120km/hで走ります。

 

制御付き自然振子装置を備えており、カーブで車体を傾けて制限速度を抑えています。



兵庫県から岡山県へ戻ってきまして、大原駅に到着です。

ここには智頭急行の車両基地が隣接しています。

 

智頭線最長のトンネルとなります、5,592mに及ぶ志戸坂トンネルで山陽から山陰へ。3県に跨る智頭線は最後、鳥取県に入りました。

 

普通列車しか止まらない小さな駅ですが、一際目を引く駅があります。それがピンク一色に塗られた恋山形駅です。

駅名に『恋』がつくことにちなみ、フォトジェニックスポットとしてSNSでも人気を博しています。



智頭で少々の停車時間、特急スーパーいなば同士で行き違いが行われました。

智頭急行はここで終わりまして、JR因美線に入ります。

JR西日本エリア屈指の赤字ローカル線である因美線、智頭〜鳥取の区間は陰陽連絡特急が走る重要路線です。

 

第三セクターローカル線、若桜鉄道が近づいてきました。

 

これが接続する郡家駅に到着、再びスーパーはくと号と行き違います。

 

因美線は山陰本線に向かって合流。単線非電化高架線同士が一緒になっていく、結構珍しい光景に思います。



11:04 鳥取駅 着

スーパーはくと号は倉吉駅を終点にしますが、スーパーいなば号は鳥取駅が終点です。

 

高架上の留置線には、若桜鉄道の普通列車が止まっていました。水戸岡鋭治さんによる、桜をモチーフにした昭和感あふれるデザインです。

 

鳥取駅には自動改札機が無く、駅員さんによる有人改札となっています。この旅をしていると、有人改札に遭遇する機会も非常に多いです。

 

日本一人口の少ない都道府県とされる鳥取県。

1978年に高架化されており、地方の拠点駅として重要な立ち位置にいます。

 

鳥取駅から乗車する気動車特急は、特急はまかぜ4号です。

1日1往復だけ鳥取発着の便が設定されており、2023年春のダイヤ改正で日中の運行となりました。

 

使用されているのはキハ189系特急型車両。2010年にデビューした比較的新しいディーゼル特急です。

 

この時間帯は全てのプラットホームが埋まっています。電化されていない県庁所在地駅、ディーゼル天国の光景です。

ちょうど特急スーパーいなば5号が到着したところでして、かなり良い接続で乗り換えできます。



12:57 鳥取駅 発

全車指定席で直前はほぼ満席状態、車椅子用座席しか残っていませんでした。

それでも鳥取駅発車後はガラガラでして、通しで乗る方はいらっしゃいません。鳥取から関西を移動するなら特急スーパーはくと号の方が圧倒的に早いです。

 

鳥取市街地を高架線で抜けてきまして、すぐに山の中へと入ります。

 

かつてはスイッチバックもあったそうで、その跡地が残されていました。

 

山を越えたところで見えてくるのは、この美しい日本海。ゴツゴツした岩場の合間に堆積したと思われる砂浜も非常に綺麗です。

 

普通列車と行き違いのため運転停車した東浜駅、近くにはトワイライトエクスプレス瑞風の朝食会場があります。そのためガラス張りの綺麗な駅舎が建てられまして、先ほどご覧にいれたような砂浜と日本海の美貌を望めます。



鳥取駅改札外にある駅弁屋さんにて買ってきました、元祖かに寿しと鳥取産二十一世紀梨チューハイをいただきます。

アベ鳥取堂さんのかに寿しは、昭和27年から半世紀にわたって販売されているロングセラー商品です。八角形の容器はカニの甲羅に似せて作ったそう。

 

カニの身をふんだんに使っており、錦糸玉子との調和もピッタリ。色鮮やかで主役のカニを引き立てます。

 

どちらもフワフワした口当たり、ほのかな味わいを酢が整えてくれてくれていました。



山陰地方におけるカニの産地、浜坂駅に到着です。

冬の時期には臨時特急かにカニはまかぜ号が大阪〜浜坂を往復し、日本旅行の旅行商品も設定されます。

 

そして列車は『天空の駅』としても知られる、餘部駅を通過。ここから一番のビュースポットへ突入します。

 

山陰海岸国立公園の真っ只中に架けられた余部鉄橋からは、迫力ある崖っぷちの日本海を見渡せました。

 

素晴らしい景色を挟んで香住駅も、カニで有名なところです。また、このあたりには温泉街もたくさん広がっています。



日本海からお別れしまして、日本を代表する温泉街へやってきました。

それがこちら、柳がなびき石橋の架かる城崎温泉です。

外湯と呼ばれる温泉が7つ点在しており、湯めぐりしていくという楽しみ方。情緒あふれる温泉街は大きな人気を博します。

 

城崎温泉から京阪神へは数多くの特急列車が運行、中でも主要なのが大阪から福知山線を経由する特急こうのとり号です。

その合間に特急はまかぜ号が運行されており、ガラガラだった車内もやはり城崎温泉駅からほぼ満席になりました。

 

豊岡駅には若桜鉄道で見たのと似たデザイン、水戸岡鋭治さんによるデザインの普通列車が止まっている、京都丹後鉄道の乗り換え駅です。

 

宿南信号場で運転停車しまして、特急はまかぜ号と行き違います。

 

和田山駅に到着、奥には旧和田山機関庫が見られます。明治45年に建てられており、いつも目を引く朽ち果てた姿に歴史を感じます。

城崎温泉駅からは電化区間を走っていましたが、和田山駅から播但線に入るため、再び非電化区間へ突入です。

 

雲海に浮かぶ「天空の城」竹田城跡が有名、竹田駅に到着です。その景観は日本のマチュピチュとも呼ばれます。

 

播但線特急はこの辺り最高速度95km/h、非電化区間は赤字ローカル線のいち区間に数えられています。

 

かつては生野銀山で栄えたこの地域、その中心部が生野駅です。

ここまでは円山川の流域を走っていましたが、険しい山を越えることになります。

 

寺前駅には103系電車が停車中。ここから先は電化区間で姫路都市圏に入ります。

 

高架線へ登りまして、遠くには立派な姫路城を見られます。山陽本線や山陽新幹線よりも非常に見やすく、車掌さんからも肉声で案内されました。

 

中間改札が設けられている、姫路駅播但線ホームに到着です。



姫路駅で進行方向が変わりまして、山陽本線を走ります。

山陽新幹線と並行して市川を渡りまして、N700Sに追い抜かれました。

 

西明石駅からは草津駅まで続く、日本一長い複々線区間へ。この旅で一番の大都市路線に突入です。

 

山陽電鉄と並行し始め、ライバルの大手私鉄が結集する阪神エリアに挑みます。

 

右手の播磨灘を眺めていると、淡路島へ架かる明石海峡大橋が見られました。

徳島から鳥取まで遠回りしてこ来ていますが、高速バスを使ってしまえばここまで2時間ちょっとです。

 

神戸駅からは日本一重要な在来線、東海道本線に入ります。

東海道本線と山陽本線の境界という重要な駅でありながら、特急列車はほとんど止まらず、特急はまかぜ号と通勤特急らくラクはりま号が停車です。

 

やはり神戸市で一番大きいのは三ノ宮、こちらには寝台特急サンライズ号含め、全ての列車が止まります。

 

今回最長となる、4時間8分の乗車時間。遂に終点大阪の表示が現れました。

 

とにかく広かった兵庫県からお別れし、大阪府へ。

奥に赤い観覧車を目にしつつ、大きな屋根の下に滑り込みます。



17:05 大阪駅 着

これからディーゼル特急で進もうとすると、特急びわこエクスプレス2号で草津までいくことができます。しかし、結局その先へは日を跨ぐことになるので、今日はここまでです。

 

東へ向かうディーゼル特急といえば、1日1往復だけ運行されているあの列車。



再び日を改めまして、大阪駅へやってきました。

ここから乗車するのは特急ひだ25号高山行き。

1日1往復だけ大阪発着の特急ひだ号が運行されており、名阪間をディーゼル特急で繋ぐ最後の砦です。

 

まだJR西日本エリアではありますが、JR東海のディーゼル特急にお世話になります。

2023年春のダイヤ改正で、特急ひだ号の定期列車は全て、キハ85系から新型車両HC85系へ生まれ変わりました。

 

JR東海初のハイブリッド気動車でして、HCとは「Hybrid Car」の略。車体側面にもグラデーションのかかった格好良いロゴが貼られています。

 

これまで乗車してきた気動車特急については、「気動車(キ)」を示す「キハ」でした。一方でこちらはハイブリッド気動車ということで「モーター(モ)」を表す「クモハ」の表記、まるで電車のようです。

そうは言っても架線から電気を摂って走行するわけではないので、ここでは気動車特急の仲間として乗っていきたいと思います。

 

行先方向幕にはフルカラーLEDが採用されており、列車名のところもグラデーションがかかっている、近代感を伝えてくれるデザイン性です。

 

2両編成で運行されることもありますが、今日は土曜日で4両編成。グリーン車は無く、最後部1両の自由席を利用します。



8:02 大阪駅 発

北陸特急サンダーバードを待つ多くの人々を横目に、西の大ターミナル大阪駅を出発しました。

 

大阪駅を通らずにUSJ近くの貨物駅へ至る、梅田貨物線と共に淀川を渡ります。

 

東海道新幹線の乗り換え駅、新大阪駅を発車しまして、アルプスの牧場のチャイムから始まる自動放送が流れます。

軽快なエンジン音がボワーっと包み込むように響き、だんだんと加速していきました。

 

巨大なミルクチョコレート看板を横目に、高槻駅を通過します。



2022年夏にデビューしたHC85系、最新型特急として非常に快適性も高いです。

東海道新幹線N700Sの座席と変わりない座り心地、テーブルも非常に大きいです。

 

もちろん全席にコンセントが備わっています。

 

京都鉄道博物館の横を通過、展示に向けて117系電車が外に止まってました。

 

30番線ホームには特急はるか号が停車中、その先に0番線ホームが繋がっていまして、日本一距離が長いプラットホームとして知られています。

 

特急ひだ号はその0番線ホームに到着。中央改札が目の前でして、駅舎とマッチしたシックなプラットホームです。

 

逢坂山トンネルに入りまして、京都府から滋賀県へ。

 

最高速度120km/hで新快速線を駆け抜けていきます。



ハイブリッド気動車であるHC85系、その仕組みが車内液晶ディスプレイに表示されていました。

エンジンが発電した電気を使って、モーターを動かすのが基本形。発電機を列車に積んでいるイメージです。

 

ブレーキをかける時にはモーターからバッテリーを充電。

このように加速する際、エンジンが発電した電気に加え、そのバッテリーに充電した電気も使ってモーターを回すのです。

 

大阪駅から草津駅に関しては、キハ189系で運行される特急びわこエクスプレス2号も走っています。

その一方でここから先、気動車が走るのはHC85系のみです。

 

遠くに彦根城を見ながら、JR西日本エリアはまもなく終わりを告げます。



北陸本線、東海道新幹線の乗り換え駅である、米原駅に到着です。

ここでJR西日本からJR東海へ、乗務員さんも交代されました。

 

近江長岡駅では特急に追い抜かれる特別快速という、ちょっと珍しい光景も見られます。

 

綺麗に塗り分けられた緑色の伊吹山、手前には東海道新幹線を見つつ岐阜県へ入ります。

 

関ヶ原駅から東海道本線は二手に分かれ、大阪行きの特急ひだ号であれば下り特急・貨物専用の新垂井線を走ります。今回乗車しているのは上り線なので、通常の東海道本線です。

 

まもなく岐阜駅に到着。特急ひだ号はこの先高山本線へ入るため、ここで下車しなければなりません。



時刻表上ではかなり停車時間が確保されているので、ゆっくり降りようとしていたところ…

なんと扉が閉まってしまいました!

 

それどころか何故か元来た道を戻るようにして、後ろ向きへ出発。

そう、この大阪発特急ひだ25号では、お客さんを乗せたまま岐阜駅の車庫に入るという、非常に珍しい体験ができるのです。

 

本線から外れまして、これから連結する名古屋発の特急ひだ5号到着を待ちます。

 

しばらくすると留置線を出発し、今度は岐阜駅4番線ホームに入線しました。

 

これで名古屋から来た特急ひだ5号と連結。こちらに関してはグリーン車が備わっています。

 

ここからは特急ひだ5・25号一緒に高山へ。非常に面白い体験をさせてもらいつつ、見送りました。

 

岐阜駅で行き違うように特急ひだ4号が出発。急いでも名古屋駅から接続しないので、次の便を待つことにしました。



1時間ほど待っている間、ドトールでモーニングをいただきました。

高山本線から転線してきた、特急ひだ6号名古屋行きに乗車します。

 

外国人観光客も増えてきまして、6両編成でも立ち客が出るくらいの混雑です。

 

岐阜駅から名古屋駅で特急に乗るお客さんはほとんどいらっしゃいません。

快速列車に乗ってもあまり変わりませんが、自由席特急料金は760円とまあまあの金額です。

 

岐阜駅で進行方向が変わりまして、座席は後ろ向きのまま出発。

左手に名鉄岐阜駅を見下ろしながら、この先で東海道本線と名古屋本線が並行します。

 

木曽川を渡って愛知県に入りました。木曽三川公園に立つツインアーチ138が見られます。

 

そしていよいよ名駅地区のビル群、あのあたりだけ高層ビルが凝縮されているのが面白いですね。



12:04 名古屋駅 着

大阪駅から名古屋駅まで特急ひだ号の旅。在来線特急なのに実は新幹線より料金が高くつくという、普通の人は中々やらない行程になっています。

 

ホーム上でお昼ご飯のきしめん、やっぱり名古屋駅へ来たらこれですよね。



長かった旅もこれで最後の列車、乗車するのはこちら。

2023年7月新型車両がデビューしました、特急南紀号です。

こちらも同じくキハ85系からHC85系へ。ちょっと変わり映えがないですが、長時間乗っていても疲れることの無い、非常に好きな車両の一つです。

 

名古屋駅から三重県を縦断しまして、和歌山県の紀伊勝浦駅を目指します。

 

特急南紀号として到着しまして、名古屋駅で折り返し。車内清掃が行われます。

 

洗面台横にはナノミュージアムとして、伊勢和紙が展示されていました。特急ひだ号の編成でも美濃和紙や飛騨春慶などが飾られています。



12:58 名古屋駅 発

あちらも新型車両製造が発表された特急しなの号を横目に、名古屋駅を出発。

 

関西本線を走り始めまして、車両基地には役目を終えたキハ85系気動車がいました。

 

JR東海エリアの関西本線(名古屋〜亀山)は電化されており、引き続き架線下ディーゼルの運行となっています。

 

近鉄の線路とともに木曽三川を渡り、三重県に入りました。南北170kmに及ぶ長い長い三重県縦断の旅の始まりです。

 

三重県の玄関口には中京工業地帯の一端、四日市のコンビナートが現れます。

臨海部の埋立地で日本の重工業を支えている地区です。

 

このエリアには貨物列車も走っており、町外れに位置するJRの四日市駅は貨物の拠点でもあります。国鉄時代のDD51ディーゼル機関車が走っていましたが、北海道と同じDF200形ディーゼル機関車が持ち込まれました。



河原田駅で関西本線からお別れしまして、第三セクター伊勢鉄道伊勢線へ。

この旅では土佐くろしお鉄道、智頭急行、伊勢鉄道の計3社の第三セクター鉄道にお世話になりました。

電化区間は終わりまして、ここからは完全な非電化区間です。

 

伊勢鉄道で唯一の特急停車駅、鈴鹿駅に到着。伊勢鉄道の駅は街からちょっと外れていますが、東海地方で10番目に人口の多い市です。

 

三重県の県庁所在地である津駅に到着。伊勢鉄道伊勢線はここで終わりまして、JR紀勢本線に入ります。



多気駅からは伊勢志摩方面へ、JR参宮線が分岐。近鉄と並行する区間です。

一方で特急南紀は引き続きJR紀勢本線へ。全国に鉄道ネットワークを張り巡らせるJRならでは、三重県南部へ長距離輸送を担います。

 

途中では高校生の生徒さんによる、観光案内も何度か流れました。

熊野古道など外国人観光客にも人気の観光地がある県南部、英語放送によっても特急が走る道のりの歴史など紹介してくださいます。

 

志摩半島をショートカットすべく、どんどん険しい山の中へ入っていきました。

 

三瀬谷駅を出発した先、宮川を渡るところでは渓谷らしい景観を楽しめます。

 

滝原駅を通過する時、ホームにはカメラを構えた鉄道ファンの方が4,5人ほど。何を撮っているのかと思ったら、ドクター東海と行き違いました。

在来線の検測を行う事業用車両で、快速みえのキハ75系気動車をベースにしています。

 

ここから越えるのは荷坂峠、Ωカーブによって勾配を和らげています。

 

この線形によって進行方向右手には、紀伊長島駅あたりが見られました。これからあの場所まで下っていくのです。

 

遂に太平洋に面する地までやってきました。湾に形成された港を目にしつつ、紀伊長島駅に到着します。

 

戦前から開通しているとあって、リアス式海岸に沿ってカーブの連続する区間。その分、海へ流れ込むような岩場がすぐ真横に見られます。

 

尾鷲駅では10人くらい下車。三重県南部の中心部として機能しており、台風の通り道で降水量が多いまちとして知られます。

 

ロックシェッドの中を潜り抜けつつ、すぐ横に海が広がる景色は、JR東海エリアの紀勢本線で最も迫力ある部分だと思います。

 

三里木駅〜新鹿駅は1959年に開業した区間で、紀勢本線最後の区間となっています。

湾を点繋ぎするようにしてトンネルが掘削されており、トンネルの合間で海が見られる景色が移り変わります。

 

駅には日本一美しいと看板が立っている、新鹿海水浴場を見下ろします。



熊野市駅に到着しました。

熊野観光の一玄関口であり、夏には熊野大花火大会が開催。個性的な臨時列車も数多く運行されます。

 

木々や住宅が建ち並んでいるためあまり綺麗には見えませんが、太平洋沿いを走行。リアス式海岸の岩場から一転して、七里御浜と言われる砂浜が続いています。

 

鵜殿駅で遅れている反対方向の列車と行き違ったため、5分ほどの遅れ。

 

熊野川を渡りまして、遂に三重県から和歌山県に入りました。

 

新宮駅に到着し、JR東海エリアから再びJR西日本エリアに入りました。まさかのJR西日本再会です。



会社境界駅となっており、ここで乗務員さんが交代。

車両基地にはWEST EXPRESS銀河が止まっていました。

同じ紀勢本線ですが、JR西日本エリアは電化区間。再び架線の下をディーゼルカーが走っていきます。

 

王子ヶ浜に面してゆっくりとした走行、特急南紀で一番海を綺麗に見られる区間です。

 

三輪崎駅で特急くろしお号と行き違いました。新大阪〜新宮を結ぶ電車特急で、紀伊半島を西から攻めています。

 

ロードサイド店舗の裏側を抜け、新宮市から那智勝浦町へ入りました。

 

熊野那智大社の最寄駅である那智駅を通過、海側には那智海水浴場が広がっています。

 

アルプスの牧場が流れまして、HC85系に乗り続けた一日が終わり。

そしてディーゼル特急乗り継ぎ旅もここが終着駅です。



16:43 紀伊勝浦駅 着

名古屋駅から紀伊勝浦駅まで3時間45分、やはりその距離を実感させられました。列車は折り返し特急南紀8号として名古屋駅へ、準備が進められています。

 

朱色に塗られた跨線橋の柱は、熊野三山を巡る観光の拠点を思わせます。

 

ディーゼル特急乗り継ぎ旅、宿毛駅から紀伊勝浦駅まで遠回りしつつ、1282kmを3日間かけて結びました。

 

西日本のローカル地域を中心に走る、ディーゼル特急。高速化を図る振り子や三セク路線、国鉄型からハイブリッド新型車両まで非常に個性的でした。

ぜひ地方へ足を運ばれる際、その道中にも注目していただければ嬉しいです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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