大阪ミナミにおけるターミナル駅、南海なんば駅に来ました。
現在の時刻は23時過ぎ、これから向かうのは四国の徳島です。
大阪を含む関西圏から徳島といえば、明石海峡大橋を渡る高速バスが一般的。
しかし、この時間ではもう徳島行きのバスは無く、松山行きの夜行バスが表示されているのみです。
徳島バスのホームページで時刻表を見てみると、徳島行きの最終バスは、なんば21:55発/徳島駅前0:55着。
最終便が出発してからもう1時間以上経っています。
夜行バスの設定も無いのですが、この時間帯の移動を支えてくれるのが南海電鉄。
明石海峡大橋に鉄道は通っていませんが、一体どうやって徳島へ行けるのでしょうか。
南海なんば駅から乗車するのは、23:35発の特急サザン和歌山市行きです。
この列車は大阪から和歌山への、最終列車でもあります。
特急サザンは8両編成で、前寄り4両は指定席車両です。
新型車両のサザンプレミアムならコンセントが付いているのですが、古い車両だったので通常車両で行くことにしました。
指定席券は大人520円、ホーム上やインターネットでの購入も可能です。
乗車予定のサザンがプレミアムかどうかは、ネット予約画面で確かめることができます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
23:35 南海なんば 発
9面8線に及ぶターミナル駅らしい頭端式ホームより、徳島へ向けて出発です。
新今宮駅の手前では、大阪のシンボル二大巨頭である、通天閣とあべのハルカスを見られました。
新今宮〜堺では結構混雑していたので、指定席を取っても良さそうです。
貝塚駅を通過しているあたりで、日付を超えました。
泉佐野駅を発車しまして、南海空港線が分岐。
泉佐野駅で降りても関西空港行きの終電は終わっているので、空港へ渡ることはできません。
トンネルで山を越えまして、大阪府から和歌山県へ。
南海はJR阪和線より海側に線路が通っており、比較的トンネルが短めです。
最初の停車駅が、和歌山大学前駅。
上り列車の運行は終わっているようで、反対ホームは明かりが消えていました。
紀ノ川を渡りまして、終点和歌山市駅到着の放送が流れました。
0:34 和歌山市駅 着
もうこの時間から和歌山市を出る列車は無く、発車標には何も出ていません。
一体どうやって徳島へ行くのか…
その答えはこの時刻表にあります。
見慣れた鉄道の時刻表の一角に、怪しい「四国航路」の文字が。
これこそ今回ご紹介します、和歌山港〜徳島港を結ぶ南海フェリーです。
日中だけでなく深夜便も設定されており、和歌山港2:40発がちょうど良い時間帯。
和歌山市駅から先、和歌山港駅まで線路は伸びています。
日中ならフェリーの時間に合わせて列車が走っているのですが、深夜は残念ながら運行しておらず。
和歌山市駅から和歌山港フェリーターミナルまでは3kmで、タクシーなら6分。
フェリー出港まで時間的に余裕があるので、歩くことにしました。
和歌山市駅を出て向かって右手へ。
そのままずっとまっすぐ歩きます。駅近くにはセブンイレブンがあるほか、道中にローソンやファミマもありました。
フェリーのりばを示す看板も現れるので、それに従えば迷うことも無いはず。
ピクトグラムは、ちゃんと車を乗せられる「フェリー」だということを示しています。
正面に吉野家とローソンが見える交差点で、右へ曲がります。
川を渡るところで、和歌山市駅から和歌山港駅への線路が見えました。
全線単線になっており、途中にあった3駅は全て2005年に廃止されています。
こちらは廃止された駅の一つ、築港町駅跡です。
踏切周辺の線路沿いは空き地になっており、いかにもホームがあったんだなという雰囲気が漂っています。
この辺りは住宅やお店が数多くありますが、利用者数は100人/日と低迷し、廃止に追い込まれました。
歩くこと40分、和歌山港フェリーターミナルに到着しました。
和歌山港の電気が消されたプラットホームと、煌々と光が漏れるフェリーターミナルが隣接している様子を確認できます。
「南海四国ライン」「フェリーターミナル」と完全に海を渡る看板の上には、南海のロゴマーク。
こちらの航路は、完全に南海ネットワークの一部であることが分かります。
ターミナル内にはきっぷうりばがあって、こちらでの販売は2:10から開始。
自動車などを載せない徒歩乗船ならば、こちらの自動券売機できっぷの購入が可能です。
窓口ではクレジットカード、QRコード決済、電子マネーなど網羅し尽くしています。
料金は大人2,500円です。
南海電鉄とフェリーを乗り継ぐ場合、「好きっぷ」がお得です。
料金は2,500円で、和歌山港駅までの電車運賃は実質無料。各駅の自動券売機や窓口で購入できます。
しかし、電車に乗る日とフェリーに乗る日は同じである必要があるため、日を跨ぐ場合は利用できません。そのため、今回は南海なんば〜和歌山市の930円を通常通り購入しています。それでも計3,430円なので十分安いですけどね。
ターミナルの2階へ上がりまして、乗船へ進みましょう。
向かって左側には、和歌山港駅があります。
改札を出てそのまま跨線橋を歩けば、フェリー乗船口に辿り着けます。
完全に鉄道と船が連絡しており、かつて青森駅から函館駅を結んだ青函連絡船のよう。
青森駅のホームから跨線橋へ上がり、そのまま船内へ。それに似た姿が今でも残っているのです。
東京駅京葉線ホームよろしく、動く歩道に運ばれます。
待合スペースを挟みまして、こちらが乗船口。
乗船券を係員さんに提示しまして、フェリーへ乗り込みます。
ブリッジを渡りまして、最初に降り立つのは甲板のようなところ。
その正面にある「↑客室」と書かれた扉の中に入ります。
まずはリクライニング座席がずらっと並んだエリアです。
短距離フェリーでよく目にする設備ですね。
他にもコンセント付きの自習スペースみたいな、ビジネスコーナー。
会話できるエリアのファミリー席もあります。
こちらには鉄道とフェリーの接続時刻表がありました。
今回乗船したのと逆方向、徳島港2:45発なら和歌山港駅から南海電鉄に接続。好きっぷも利用できるので、より便利かと思います。
2:40 和歌山港 発
フェリーは時刻通り、和歌山港を出港しました。
深夜の紀淡海峡を横断しまして、徳島港を目指します。
臨海部には工場や発電所が集まっており、真っ暗なはずの海を明るく照らしていました。
深夜フェリーで一番重宝するのが、じゅうたん席。
完全に寝転がることができまして、眠るのには最適です。
カップ麺やお酒の自動販売機も設置されており、最低限食事もできます。
売店はずっと閉まっており、係員さんもほとんど見かけませんでした。
早朝4時、東の空が明るくなり始めました。
進行方向右側には、淡路島とその近くの沼島。東大がチカチカと点滅しています。
奥には徳島市街の明かりが見えてきました。
進行方向左側では月が赤くなっており、こちらは阿南市や小松島市の方向です。
徳島港は遠浅のため大型船が座礁しやすく、徳島における海の玄関口は小松島港に置かれていました。国鉄小松島線も港近くまで伸びており、徳島市までのアクセスを担っていたのです。
しかし、港の役割が徳島港へ移っていき、小松島港の規模が縮小。小松島線も利用者減少により1985年に廃止されました。
4時半になると大分明るくなり、徳島港へ向かって波もカーブしています。
徳島県を横断する吉野川が、海へ注ぐ河口部。
徳島南部自動車道の、吉野川サンライズ大橋が架かっています。
徳島港には南海フェリーのほか、オーシャン東九フェリーも就航。こちらは北九州から東京まで2泊3日で結ぶ航路で、途中こちらの徳島に立ち寄るのです。
自動車専用道の下をくぐると、すぐに南海フェリー徳島港が見えてきます。
和歌山港から2時間少々、徳島港に到着です。
4:55 徳島港 着
接岸すると折りたたまれていたボーディングブリッジが、カニのハサミみたいに開かれます。
乗船券は下船時に回収されるので、無くさないよう気をつけてください。
徳島フェリーターミナルの外へ出てきました。
カクカクっとした字体がまたレトロで、昭和っぽさを感じさせられます。
扉には「大阪なんば連絡」と書かれており、やはり鉄道へ連絡する船として位置付けられていることが分かります。
徳島港では自動車による乗船は、ドライブスルー方式。
ターミナルの窓口で車を止め、乗ったまま乗船券を購入できるみたいです。
さて、徳島港から徳島駅までは少々離れています。
日中なら路線バスが来るのですが、始発は4:45発で1時間半待たなければなりません。
タクシーの電話番号が貼ってあるので、こちらを利用しても良さそう。
距離は4.3kmで1時間掛かるので、和歌山駅〜和歌山港より長めです。
と言う訳で、徳島駅に到着しました。
大阪→徳島の始発バスは、なんば6:30発/徳島駅前9:30着。そのため高速バスと比較しても深夜フェリーの利便性が、如何に高いかお分かりいただけるかと思います。
2時間しか眠れないことと、港までのアクセスにだけお気をつけいただき、ぜひ活用してみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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