こちらは夜の東京駅八重洲口、各方面への新幹線が最終時刻を迎える頃になりました。
19:56発かがやき517号敦賀行きは、東京〜福井・敦賀を一本で結ぶ最終新幹線です。
それから30分後、今夜中に東京から福井へ鉄道で行く手段は、20:30発のぞみ477号新大阪行きが最後。
名古屋駅でひかり663号に乗り換え、米原駅で臨時快速に乗り換え、敦賀駅でハピラインふくい快速に乗り換えれば0:01に福井駅に着けます。
これを乗り過ごしてしまった今、鉄道だけでは東京駅から福井駅へ今夜中に行けないはず。
しかし、今からでも夜までに福井へ行く方法があるのです。
東京から福井の隠された最終、実証実験中の手段を使って試してみました。
まずは東京駅の改札内へ、北陸新幹線の改札に向かいます。
階段には「福井」方面の文字があって、遂に福井まで新幹線が来たのだという実感。
かがやき号は全車指定席なので、指定席特急券を確保。
人気の北陸新幹線で祝前日でしたが、さすがに終電なのでA・E席でも空きが多少あるくらいです。
途中の停車駅はごく普通、上野, 大宮, 長野, 富山, 金沢です。
21:04 東京駅 発
新幹線は0〜6時に走れないのですが、タイムリミットまで3時間を切って金沢駅を発車。
距離的には遠回りしているのに、これから福井へ行けるとは思えません。
それを可能にする交通網を整備してくれているのが、凄いところ。東京の夜景に見送られ、北陸ロマンを聞きながら出発です。
かつては北陸地方へも、多くの夜行列車が発着していた上野駅。
下り線からだと見づらいですが、かつて夜行列車がお休みしていた尾久の車両基地が広がります。
21:49 大宮駅 発
この時間からでも、東北新幹線はやぶさ47号は仙台駅まで連れて行ってくれます。
こちらは上野駅も通過しており、一番停車駅の少ないパターンです。
しばらく東北新幹線の高架と並行していましたが、こちら北陸・上越新幹線と離れます。
大宮〜高崎は2023年春のダイヤ改正で、最高速度が240km/hから275km/hへ引き上げられた区間。
上越新幹線の速度向上が目立ちますが、北陸新幹線もその恩恵を受けています。
北陸新幹線の一部かがやき号ではお菓子など車内販売がありますが、こちらは利用者の少ない最終列車なのでそれは無く。
東京駅で夜ご飯に、駅弁を買ってきました。
せっかくの北陸新幹線敦賀延伸なので、それを記念して「にぎわい福弁当」をチョイス。
掛け紙に描かれた観光名所について、こちらで解説が加えられています。
福井の郷土料理をイメージした食材が多く、ジャケット買いでも想像以上に満足。
中央には海鮮ちらし寿司、福井といえばのカニ、小鯛、大阪への鯖街道も連想させます。
「さつまいも甘煮福井梅のせ」「にしん昆布巻」「羽二重餅(抹茶くるみ)」はどれも福井に縁ある食材です。
「里芋のころ煮」「厚揚げの煮たの」も同様。
「煮たの」とは福井の言葉で、親しみを込めて煮物をこう呼ぶそうです。
新幹線は少し速度を落として、高崎駅を通過しました。
上越新幹線との分岐駅ですが、かがやき号はこちらも通過してしまいます。
上越新幹線の高架が徐々に分かれていきました。
新潟行き最終新幹線は東京駅21:20発へ繰り上げられ、距離や停車駅数の割に早くなっています。
碓氷峠を越えまして、軽井沢駅を通過。
W7/E7系新幹線はこの峠を越える勾配に対応した性能を持ち合わせています。
22:23 長野駅 着
長野駅から金沢方面へ行けるのも、これが最終です。残るは東京から来るあさま号を迎えるのみ。
長野駅を発車して右手には、名古屋〜長野を結ぶ特急しなの号383系電車がお休み中。
最終の特急しなの号に乗り遅れても、新幹線で東京駅を経由した方が遅くまで滞在できます。
北陸新幹線で一番長い、22,251mの飯山トンネルへ。
上越妙高駅を通過し、JR東日本からJR西日本エリアへ入りました。
かがやき号が通過するため、長野駅で乗務員さんが交代されています。
23:12 富山駅 着
日本海側へ出てきまして、富山駅に到着です。
お隣には、つるぎ63号金沢行きの表示。富山〜金沢の需要を、夜遅くまで支えてくれます。
富山駅で下車される方はかなり多く、これは想像以上でした。金沢駅よりちょっと少ないくらいではと思います。
新高岡駅を通過。富山駅でつるぎ63号へ乗り継げば、東京駅を21時に出ても新高岡へ帰れます。
終点の金沢駅に到着。
お隣の小松駅もシールが剥がされましたが、今日はこの先新幹線で行くことはできません。
23:32 金沢駅 着
東京駅からは2時間28分。上野駅通過の最速便だと最速2時間25分ですが、十分速いです。
ここから在来線の乗り換えですが、JR七尾線は接続しておらず23:19発高松行きが終電。
IRいしかわ鉄道は接続しており、共に23:48発小松行きと津幡行きがあります。
目的地は福井ですが、在来線でも行けないのでここで下車。
この時間でも金沢から福井へ行ける手段があるので、こちらをご紹介します。
新幹線改札を出て左側、金沢港口(西口)へ。
まだセブンイレブンが開いていたりと、北陸随一の主要駅と知らしめられます。
出てきたのは、よく見る赤い鼓門と反対側です。今度は左側にあるバスのりばへ向かいます。
4番のりばには、大型バスが停車中。そう、これこそが今から福井へ行く手段になっています。
こちらは「かがやき最終便連絡バス」。
ご覧頂いた通り、北陸新幹線の最終は金沢止まり。福井・敦賀への最終は、これより1時間早いです。
そこで金沢止まりのかがやき号に接続するバスを運行することで、福井への最終を延長できます。
こちらは実証運行となっており、3月31日までの運行。広告には4月以降も実証運行予定と書かれており、今後もしばらく走るようです。
途中の降車可能バス停は、丸岡IC24:50着、福井北IC25:00着、福井駅東口25:15着です。
料金は3,500円、乗車時に運転士さんへ払います。
そしてこの日は祝前日だったのですが、他にお客さんはいらっしゃいません。
バス自体の知名度がまだ低いのか、それとも東京から夜遅くに福井へ行く需要が小さいのか、どうなのでしょうか。
アンケートが渡されまして、実証運行ならではの調査のようです。
23:50 金沢駅 発
乗客が他にいないので、運転士さんが直接お声がけいただき、金沢駅を出発しました。
高速道路のある国道8号まで突き当たります。
ここて早くも0時を周り、金沢西ICから北陸自動車道へ。
松井秀喜ベースボールミュージアムがある、能美市の能美根上スマートICを通過します。
北陸新幹線敦賀延伸を機に、新幹線駅に能美市の広告が結構出ていて、東京駅でも見た記憶があります。
北陸地方空の玄関口、小松空港の横を通過しました。
最終かがやき号からでも、小松駅までは在来線で来られます。
加賀ICを通過し、石川県から福井県へ入ります。
ケイカン交通は福井の京福グループ、この辺りも東京からの終電が早いエリアですが、石川県内で降りることはできません。
一方で福井県に入り、坂井市の丸岡ICで降りることはできます。
この実証運行において、もしかしたら福井県が税金で補助しているのかなとも予想。
他に乗客がいないので、当然途中で降りる方はおらず。時刻より早めに福井市へ入りました。
永平寺・勝山へ中部縦貫自動車道が分岐する福井北JCT、福井北ICで自動車専用道を降ります。
こちらの福井北ICで降りることもできるので、地元の方の帰宅などには便利かもしれません。
えちぜん鉄道勝山永平寺線の線路と並行。深夜なので暗いですが、街の中を走ります。
そして、遂に北陸新幹線の高架が見えてきました。
あのコンクリートの構造物が、どうしてこんなに安心感を得させてくれるのでしょう。
1:00 福井駅東口 着 (15分早着)
金沢駅から1時間ちょっとで、福井駅に着きました。少し経ってから回送されていきます。
新幹線改札にはシャッターが降ろされ、その奥には朝の発車標が表示してありました。
ハピラインふくいも0:06着が最後。改札や精算所も閉じていました。
最終かがやき号から深夜バスへの乗り継ぎ、東京から福井へ最後の手段として、あって便利なものではありました。
一方で、やはりお客さんの少なさが目立っているのが残念なところ。やはり福井は関西との結び付きが強く、東京からの需要は小さいのでしょうか。
仮にこのバス存続維持のために県の税金を投入するなら、ハピラインふくいの終電を維持するのに使ってほしいというのが個人的な意見。これを残すだけでも東京からの終電は30分延長されるので、最後の手段としては申し分ないように思います。
深夜バスの設定は非常に面白い取り組みで、実証実験としては価値あるものだったと思います。しかし、今後継続していくのは難しそうというのが、正直なところです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。