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【まるで貨物船!?】新居浜〜神戸の隠れた深夜フェリー おれんじホープ乗船記[2312いしづち(1)]
本州と四国に橋が3本架けられた今でも、四国へはいくつかフェリーが運航されています。 今回ご紹介するのはその中でも異常にお客さんが少ない、神戸〜新居浜の夜行フェリーです。 オレンジフェリー ...
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こちらは四国最大の人口を有する松山市、ここから九州最大の都市である博多へ向かいます。
四国と九州はかなり距離が近いですが、陸路で直接繋がってはいません。
松山から様々な都市へ出ているバスも、伊予鉄高速バスの道後エクスプレスふくおか号が、夜行便を運行しているのみです。
四国新幹線は松山から豊後水道を大分へ至る計画ですが、瀬戸大橋を渡って松山に来るのが精一杯ではと思ってしまうところ。
少なくとも新幹線が来ていない現状、瀬戸大橋を渡って岡山まで遠回りするのは、得策ではありません。
今回ご紹介する、松山から福岡までの陸路最短ルート。
今治からしまなみ海道を渡り、福山から新幹線で一気に博多へ行く、便利な乗継ぎをお届けします。
まずは松山駅より、特急列車で今治駅へ向かいます。
松山駅には自動改札機が設置されておらず、有人改札の駅員さんにきっぷを見せるスタイル。
30年選手になりつつある8000系電車、特急しおかぜ14号に乗車します。
10:21 松山駅 発
特急いしづち高松行きと特急しおかぜ岡山行きが連結しており、途中の宇多津駅で切り離し作業を行います。
松山駅では高架化工事が行われており、今走っている線路へ繋がるようにして、高架から降りてきました。
伊予鉄道と立体交差しまして、ちょうど列車同士交差したところ。
予讃線はカーブも比較的多く、振り子車両の8000系は車体を傾け、速度制限を最大まで抑えてくれます。
JR初期から活躍する特急車両ですが、先日リニューアル車両が導入され、今後も長く走るようです。
1988年に瀬戸大橋が架けられるまで、本州と四国は国鉄の鉄道連絡船、宇高航路(宇野〜高松)で結ばれていました。
それを補完する形で仁堀航路というのも存在し、それが通過している堀江駅から、広島県呉線の仁方駅まで結んでいた過去もあります。
列車は鮮やかな瀬戸内海沿いを駆け抜け、向こうには島々が浮かんでおり、本州の陸地も見えています。
愛媛県が地盤となっている、太陽石油の工場も勇ましく煙を上げていました。
特急が走る幹線でありながら、単線となっている予讃線。途中駅で特急同士の行き違い停車も行われました。
そしてこれから渡ることになります、しまなみ街道の来島海峡大橋が見えてきます。
高架線に登っても爆走していき、今治駅に到着です。
10:59 今治駅 着
松山駅から40分足らず。愛媛県第二の都市であり、尾道へ橋渡される今治で下車しました。
愛媛県に自動改札機は無いので、当然ここも有人改札。駅員さんにきっぷを渡して外へ出ます。
今治駅からしまなみ海道を渡って本州へ行く訳ですが、利用するのは高速バス。
東口を出てロータリー越しの正面に、分かりやすくバスのりばが設けられていました。
こちらで乗車券を購入、今治から福山駅前まで結ぶ「しまなみライナー」です。
1日16往復、1時間に1本程度運行しているので、かなり便利かと思います。
松山から新尾道・福山を結ぶバスは2往復で、どうしても時間に制限があります。乗り換えはあれど今治まで鉄道で来た方が、予定に柔軟性が持てます。
一般的な高速バスと同様に、4列シート。
座席予約は無く自由席になっているので、最繁忙期など次便に乗らないといけない場合もあるそうなので、その点は注意が必要です。
11:10 今治駅前 発
特急いしづち号からの接続も11分と非常に良く、無事バスの乗車券を買って乗れるか少々心配になったくらい。
しまなみ海道は自転車で渡れるため、今治市はサイクルツーリズムが盛んで、道路には自転車レーンが設けられています。
しばらくは先ほど走っていた、JR予讃線の高架沿いを走行。
そして今治北ICより、しまなみ海道へ入ります。
ここでいよいよ四国からお別れ。瀬戸内海に浮かぶ芸予諸島を伝うように、本州へ向かいます。
まずは来島海峡第三大橋へ、来島海峡だけでも3つの橋で構成されているのです。
最初の大島へ至る間にも、小さな島々がいくつか存在します。
その中の一つ、馬島ICに併設したバスストップを通過。
このバスは今治駅〜福山駅を結ぶだけでなく、途中の島での乗降も考慮されています。
引き続き来島海峡第二大橋、第一大橋を渡りまして、大島へ来ました。
今治市と合併する前、大島は吉見町と宮窪町で構成されていました。左手には吉見町の市街地を見下ろします。
続きまして、伯方・大島大橋。
伯方島と大島の間に見近島があり、そこを境に伯方橋と大島大橋を併せて、この名称が付けられているわけです。
バスは伯方島ICで一度高速道路を降ります。
これは料金所を出た先にある、バス停に寄るため。
その近くには道の駅があったりと、島の玄関口的な役割を感じられます。
再び高速道路へ戻ってきまして、大三島橋へ。
これまでの吊り橋とは違ったアーチ橋で、アーチ支間297mは1979年開通当時、日本最長でした。しまなみ街道の中で最初に架けられた橋です。
大三島でも一旦ICを降り、同様にバス停へ寄り道していきます。
バス停を出る時、これから渡ることになる多々羅大橋を見ることができました。
中央支間長890mで、完成時世界最長の斜張橋でした。
吊り橋と大きく異なるのは、塔と橋桁が直接ケーブルで結ばれていることです。吊り橋は塔と塔の間を繋ぎ、そこから何本ものケーブルで橋桁を吊っています。
元々は吊り橋で計画されていたのですが、斜張橋の技術向上に伴って変更。
そんな多々羅大橋を渡って、大三島へ向かいます。
大三島の瀬戸田はレモンで非常に有名となっており、探さずともレモン畑を発見することができました。
レモン畑に気を取られていたら、ここが愛媛県と広島県の県境。
市町村合併で離島感が薄れていますが、今治市から尾道市に入りました。
途中休憩ではありませんが、バス停があるため瀬戸田PAに入っていきます。
レモンを飼料に加えて育てたポークや、レモンラーメンなど、とにかくレモン押しが凄いです。
生口橋で因島へ渡り、振り返ると斜張橋の姿。
生口橋で斜張橋建設の技術が培われた結果、多々羅大橋で世界最大の斜張橋が生まれたのです。
因島大橋を渡りまして、因島から向島へ。
しまなみ海道で大三島橋の次に建設された橋で、当時日本最大の吊り橋でした。
ここに料金所が設けられており、しまなみ海道を渡ってきた車たちは、ここで受け止められます。
そして向島と本州の間に架けられています、新尾道大橋へ。
JR山陽本線と直交しており、本州へ渡ってきた実感が湧いてきます。
列車から新尾道大橋を見た事は何度もありますが、逆視点で見るのは非常に新鮮でした。
西瀬戸尾道ICで尾道福山自動車道(国道2号)と接続しており、しまなみ海道の終点を意味します。
ここで広島・岡山方面へ分かれるほか、山陽自動車道へ向かう道路の案内も。
看板一枚ではちょっと理解しづらいですが、分岐する道路網が形成されているようです。
尾道市から福山市に入りまして、岡山県と接する自治体までやってきました。
なんなら福山市は岡山県と言われたりするほど、東側との結びつきが強い地域です。
広島県第二の人口を有する福山市、その称号に恥じない駅前大通りとなっていまして、正面には新幹線駅でもある福山駅が姿を現しました。
12:39 福山駅前 着
1時間半ほどで福山駅に到着、今治駅から20人くらいは利用されており、途中のバス停で乗降なさる方は1人もいらっしゃらなかったと記憶しています。
ここからは山陽新幹線に乗車。こちらも非常に接続が良かったので、乗車券を購入できるか少し心配だった場面です。
ちゃんと福山駅停車便ののぞみ号が来る時間、のぞみ号との接続をかなり意識して、バスのダイヤが組まれているはずです。
あとはこれに乗って、終点の博多駅へ行くだけ。
これまであまり意識していなかったのですが、東海道山陽新幹線から愛媛への最短ルートを作る上で、福山駅にのぞみ号が停車している意味の大きさを突きつけられたようです。
乗車するのはのぞみ21号博多行き、N700系新幹線がやってきました。
13:04 福山駅 発
福山駅で下車なさる方もかなり多く、のぞみ号が停車するだけの需要がここに表れています。
程なくして新尾道駅を通過。
先ほど尾道駅近くの山陽本線と立体交差しましたが、新尾道駅はさらに山へ向かったところです。
僅かな乗り換え時間の間でしたが、福山駅でお昼ご飯を買ってきました。
岡山圏の歴史ある駅弁浜吉さん、瀬戸内海を走る列車の描かれた、漫遊弁当をチョイスしました。
広島県民ならCMでお馴染みらしい、なかやま牛の旨煮。
海老天やわさび菜など、豊かな味わいを楽しめます。
そしてなんと言ってもこの穴子でしょう!
ツルンと輝いていて舌触りも滑らか、段々ほぐれていくのが魚らしい繊細さです。
しまなみ海道が重要な鍵になった今回のルート、折角なのでそれに縁あるお酒を購入しました。
レモン推しの瀬戸田でしたが、ハッサクも和製グレープフルーツの異名を持ちます。柑橘の甘さを基本にしつつ、ほろ苦さまで売りです。
まもなく広島駅に到着。
広々した貨物ターミナルに、マツダスタジアムがシンボル的存在になります。
今回のルートでは、松山から広島まで3時間6分。
松山観光港から広島港で高速船ジェットフォイルが1時間10分で結ぶので、この都市間では海上の方が便利そう。
こののぞみ号は福山駅に停車したので、山口県内の駅は全て通過します。
新山口駅で500系新幹線のこだま号を追い抜くことになりました。
新下関駅を通過しまして、新関門トンネルへ。
日本列島の中でも本州から九州の関門海峡は、戦時中に世界初の海底トンネルでもって、陸路での接続が果たされました。
九州の地へ足を踏み入れまして、北九州市の中心駅である小倉駅に到着。
地理オタクとしてはぜひ一度訪れたいと思っている、ゼンリンミュージアムを横目に、紫川を渡っていきました。
個人的にこの川は、北九州市街におけるシンボル的な存在に思います。
14:30 博多駅 着
松山から4時間9分、目的地の博多駅に到着しました。
松山空港〜福岡空港を結ぶ飛行機は、日本航空が4便で40分のフライト。それに比べて陸路は時間が掛かりますが、鉄道とバスお互いの接続を取っており、1日16往復のバスが便利なルートを作ってくれていると思います。
四国と九州を直接結ぶ陸路が無い現状、1番便利な陸路としてぜひ参考になれば嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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