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【新しい特急いしづち】8000系リニューアルデビュー!自由&指定何が変わった?[2312いしづち(5)]

2023年12月24日


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岡山・高松〜松山を結ぶ特急しおかぜ・いしづち号。

使用される車両のうち、古い方が8000系電車です。

 

このたび2度目のリニューアルが行われまして、12月23日に初めての営業運転を迎えました。

 

今日は8000系リニューアル車両による営業初列車の、団体列車に乗車。

リニューアルして一体どこが変わったのか、自由席と指定席両方と、車内デッキなど含めご紹介します。



8000系電車はJR四国初の特急車両で、1992年9月にデビューしました。

登場から既に30年以上経っていますが、まだまだ現役で活躍することになります。

 

2004年に1度目のリニューアルを実施。最大の特徴は指定席を「S-Seat」と呼ばれる難燃木材製座席に交換したことです。

 

外観も大きく変わっており、ドア周りの塗装をグリーン車は赤、指定席はオレンジに変え、自由席の青と区別して分かりやすくしました。

 

そして2023年、2度目となる今回のリニューアルが行われました。

全く同じ特急しおかぜ・いしづちで活躍し続けていながら、2回もリニューアルされるのは非常に珍しいです。

 

しかも2014年には特急しおかぜ・いしづち号の新型車両、8600系がデビューしています。通常であれば、新型車両8600系で8000系を置き換えるもの。

 

JR四国は走行機器を更新すれば使い続けられ、あと15年ほどは活躍してほしいと発言していました。JRグループの中でも特に経営状態が厳しいJR四国、リニューアルで利用者のニーズに応えつつ、できるだけ既存車両を活用する方針のようです。

 

加えてこれは勝手な予想ですが、8600系電車を新造せず8000系のリニューアルに留めた理由として、松山に四国新幹線が来ることを見越しているとも考えられます。

JR四国で電車特急が走るのは岡山・高松〜松山だけで、仮に岡山〜松山の四国新幹線が開通したら、電車特急がほとんど必要なくなります。今すぐ四国新幹線に着工しても15年後に開業するのはかなり難しいですが、できるだけ8600系の新造数を抑えておきたいのではと思いました。



松山駅では、8000系リニューアルの広告ポスターが大量に入れられていました。

駅前で団体列車の受付を行いまして、有人改札を通ります。

 

ホーム上の発車標ではLED職人さんが本領を発揮しており、横から見た8000系リニューアル車両を細かく描いていました。

 

1番線ホームある高松方では、出発式も執り行われています。

 

松山運転所より回送列車として入線してきた、8000系リニューアル車両。テープカットが行われまして、松山特急の新たな1ページが開かれました。



あまり時間がありませんでしたが、まずは外装からご紹介。

先頭車は顔から上にかけて濃い灰色で塗られ、マットな質感を印象付けます。

流線型の先頭から車両全体へ、2色のラインが流れていくようです。

 

瀬戸内の温暖な気候、愛媛の柑橘を表すオレンジと、香川のオリーブをイメージしたグリーン。2本のラインが先頭車両より引かれており、特急らしいスピード感を演出します。

 

この外観は8600系に準じたデザインとなっており、岡山・高松〜松山を結ぶ特急列車としての分かりやすさを重視したとのことです。

 

本当は臨時表示にしたかったみたいですが、一時的に「ミッドナイトEXP」の表示になっていました。

既に廃止された特急列車で、復活しなければリニューアル車両で運行される事はありません。まさかの珍しい表示を見られてしまいました。

 

反対側の先頭車両は切妻型で、しおかぜ号といしづち号の連結面になります。流線型先頭車と同様の配色で、こちらの方が外装の変化がはっきりしていました。

 

LEDライトが用いられており、まさに新型車両のように見えます。



車内へ乗り込みまして、扉が閉まりました。

自由席のドアは、青色に塗られています。

デザインとしては、2700系電車など新型車両と同様。ここもまで綺麗に整えられて良かったです。

 

松山駅長さんによる出発合図。ホーム上では盛大なお見送りをしてくださいました。

これまでの走行機器は東芝GTOでしたが、経年劣化と部品調達困難に伴い、リニューアルと同時にSiCへ取り替えられています。IGBTとの併用になっており、走行音もやや小さい印象です。

 

車内チャイムを2回鳴らしていただきまして、添乗員さんによる放送が流れました。



それではリニューアルされました、6号車の自由席をご紹介します。

自由席の座席はこれまでと同じものを使っており、モケットだけ張り替えられています。

 

座席の型は変わっていないので、リクライニングの角度などもこれまで通り。

 

新しいモケットは、瀬戸内の海をイメージしたデザインとのこと。いろんな青系の丸が並べられており、タイルアートみたく整列していながら、独特な模様を感じさせます。

 

床も木目調に張り替えられ、ナチュラルな雰囲気に整えられました。

 

自由席では窓側座席にコンセントが備えられており、スマホなどの充電も安心です。

大きな出っ張りなども無いので、後付け感を植え付けない自然な見た目です。

 

背面テーブルも既存のものなので、使い古された様子など窺えました。

 

気が付かなかったのですが、自動ドアのセンサーも取り替えられたとのこと。

ドアがガタゴト言いながら開くようなことも、なくなるかもしれません。

 

車内の照明は蛍光灯からLEDになり、天井が高く開放的な空間になりました。

 

荷物棚の下に間接照明が入っており、室内全体を明るく照らします。

 

これまでカーテンだったのですが、日除けはブラインドに変えられています。

 

瀬戸内の海をイメージした椅子越しに、海沿いを走行していきました。



続きまして、8号車のお手洗いを見てみます。

この車両にあるのは一般的な鉄道車両の、男女共用お手洗いです。

 

取手を少し引くと扉を押し出す機構で、横へスライドしやすくなっています。

 

これまで6号車のお手洗いは和式だったのですが、洋式に取り替えられました。

 

鏡や手洗い場もピカピカで、完全に新品のようです。

 

温水便座付きのウォシュレットが備わった、最新のものになっています。

 

鍵を掛けると扉部分の表示が切り替えられるほか、使用中のランプが点ります。

 

洗面台は、これまでと変わらず三面鏡。

蛇口右側に丸く埋められているところがありますが、温度調節のひねりが無くなったみたいです。

 

藍色のカーテンを閉じることができ、こちらも瀬戸内をイメージしたものでしょうか。



伊予北条駅で停車しまして、ここでは30分以上時間があります。

前面の窓を大きく見せるかのような黒色の塗装、両側まで回り込むオレンジの帯が非常にカッコ良いです。

 

ここで特急しおかぜ16号に追い抜かれました。

 

床下に注目してみますと、確かに綺麗になっている部分があります。

走行機器はどれがどれやらですが、多分新しいやつがそうなんだろうと想像できました。

 

振子特急なので、台車も車体を傾ける機能を備えています。

 

扉が閉まっている方から見ると、斜めのカットが並行で、より特急の疾走感を伝えてくれるようです。



伊予北条駅を発車しまして、列車は再び海岸線沿いへ。

予讃線の中で一番海が近い区間となっており、向こうには広島や愛媛の島々を眺めることができます。

 

振子装置を搭載しているため、カーブが連続するこのあたりでは車体を傾けます。

 

木目調になったデッキや連結部に来ると、その傾き具合が分かりやすいかと思います。



高架線を登りまして、今治駅に到着しました。

3番線に特急車両が停車するのは珍しいはず。新型車両8600系の特急しおかぜ7号と行き違いました。

大きく印象が変わった貫通型先頭車、8600系に似せているのがよく分かります。

 

ここでツアーのお昼ご飯が積み込まれました。

掛け紙には歴代8000系電車を描いており、15年ごとに変化する時代の現れです。

 

今治駅「二葉」さんの駅弁、特選鯛めし弁当でした。

出汁がしっかり染み込んだ炊き込みご飯、鯛ならではの優しい香りが包んでくれます。

 

こちらは受付時にいただきました、ノベルティです。

記念乗車証やマウスパッド、アクリルスタンドなどになります。

 

中でも凄かったのが、リニューアル車の指定席モケット。まさかこんな素晴らしい物をいただけるとは…。

添乗員さんのオススメはランチョンマットとしてでしたが、とてもそんな風に使えません笑

 

壬生川駅では普通列車、特急しおかぜ9号と行き違いました。



そして往路の終点、伊予西条駅に到着です。

8000系リニューアル車両は入れ替え作業を行い、留置線へ入ります。

 

まずは松山方の本線上へ入り、進行方向を逆に。

 

そして留置線の6番線へ入っていきました。

フリーゲージトレインが展示されている四国鉄道文化館南館、その近くに撮影エリアを作っていただきまして、写真を撮りやすい留置線に置いてくださいました。

 

四国を走ったフリーゲージトレインの試験車両が、8000系リニューアル車両と一緒にいる、なんとも贅沢なことです。

 

リニューアルしたと分かりやすいのは、やはり側面オレンジとグリーンのライン。

横向きのラインに統一され、流線型とともにスピード感を印象づけます。



四国鉄道文化館の屋外には、フリゲージトレインが展示されています。

車輪の幅を変えることで、線路幅の異なる新幹線と在来線を直通できるようにする、フリーゲージトレイン。

こちらは第2次試験車で、2007年にデビューしました。

 

九州の在来線と九州新幹線で試験走行を行い、2011年からは四国へ。予讃線でも試験走行が行われ、2014年に試験を終えました。

 

今回のツアー参加者は、こちらの車内へ入ることができました。

 

連結面側には機器類が置かれており、まるで工場見学をしているかのようです。

 

在来線特急っぽい座席も並んでいました。

 

車内は試験走行当時から保たれているとのことで、車内を埋め尽くすだけの機器類が、新たな鉄道技術を実現化しようとしていたのです。

 

今回はなんと運転席にまで、入らせていただけました。

 

かなり窓が小さくて、運転がかなり大変そう。

新幹線なら障害物等無いので良いですが、踏切のある在来線だと、特に両側の視界が遮られている印象でした。

 

一番右の上から3番目に、「軌間変更」のスイッチがありました。

線路幅が変わる時に、これを押すのかなと思います。

 

全然分かりませんが、左側にもいろいろスイッチが並んでいました。



伊予西条駅へ戻ってきまして、発車標には松山へ帰りの列車が表示されています。

8000系リニューアルデビューのお祝いメッセージが流れていました。

 

撮影のため6番線に留置されていた8000系、再び入れ替え作業を行いまして、2番線ホームへ戻ってきました。

 

こちらから床下を見ていなかったのですが、8号車にVVVFと書かれた機器を見つけました。この辺りだけ新しくなっていたので、おそらくこれが交換された走行機器でしょう。



帰りは8号車、指定席に乗車します。

非貫通側の流線型先頭車、こちらの扉より乗り込みます。

 

指定席のドアは、オレンジ色です。

これまで8000系では、扉周りの塗装で自由席と指定席を区別していました。

リニューアルで外側の塗装が統一されたため、乗車した正面の扉の色で、自由席か指定席か分かるようになっています。

 

指定席の座席については新造されています。

8600系や2600系とは異なり枕はなく、2700系とにた形です。それよりも頭の両側が、少し出っ張っていました。

 

リクライニングの角度は、一般的な特急座席くらい。座面は割としっかりしている印象でした。

 

背面テーブルは自由席と比べて、指定席の方が一回り大きいサイズ。ノートパソコンも安心して置くことができます。

 

ドリンクホルダーも設置されており、振子特急の揺れでも安心して飲み物を入れられます。

 

指定席は通路側含め、全席にコンセントが備わっています。肘掛け部分に設置されており、使いやすい位置です。

 

指定席は「光きらめく柑橘」をモチーフにしており、モケットにはみかんが描かれています。

 

また、指定席の一番端には車椅子用座席も備えられました。

今後リニューアル予定のL編成では、車椅子のグループでも利用できる、広い区画が用意されるとのことです。

 

指定席も自由席と同様、車内照明が蛍光灯からLEDになりました。荷物棚下の間接照明もあって、明るい印象です。

 

車両中央部分にはパネルが差し込まれており、黒いテープで隠されていました。

2両編成で運転時は半室自由席になっていたので、どこから指定席か示すものです。



続きまして、指定席車両8号車のお手洗いです。

ドアの取手などはこれまで通り、壁面のみ黒色になっていました。

 

鍵についても変わりなく、昔ながらの表示方法です。

 

こちらはもともと洋式でしたが、新しく綺麗な室内です。

 

同様に温水洗浄便座、ウォシュレットが備えられています。

 

洗面台周りにも黒の壁紙が貼られ、砥部焼の洗面器はそのまま。こちらも温度調節ができなくなっていました。

 

鏡にライトが埋め込まれたLEDミラー。

上部分のしおかぜロゴは、現行と比較すると上下が逆になっていました。リニューアル後の方が正しいと思われます。

 

カーテンを閉めることもできまして、こちらは茶色でした。

 

かつて8号車に設置されていた、飲み物の自動販売機は廃止。荷物置き場になっていました。



多くの方に見送られまして、伊予西条駅を発車。

こちらはモーターの無い車両なので、静かな走行です。

 

伊予小松駅で特急しおかぜ22号と行き違い。

 

さらに特急しおかぜ13号にも追い抜かれます。

 

今回乗車しているのは団体列車。そのため特急停車駅の壬生川駅を通過することもできちゃいます。

 

それどころか、愛媛県第二の都市に位置する、今治駅までも通過。こんな経験、普段じゃ絶対にできません。

 

大西駅で普通列車と行き違いのため停車。

 

さらに追加でノベルティをいただきました。

クリアファイルとノート、マグネットです。これだけグッズを作ってプレゼントしてくださるなんて、太っ腹が過ぎます。

 

夕暮れの時間帯、ちょうど予讃線の海沿い区間に入り、ちょうど良い具合でした。

 

最後の停車駅、三津浜駅に停車。8000系リニューアル車両の旅も終わり、最後に後悔しないよう写真に収めます。

 

2回チャイムを鳴らしてくださいまして、終点松山駅到着の放送が流れました。異様に乗り換え案内が長く、こんなに列車が色々出ていたんだと驚かされます。



17:11 松山駅 着

松山駅は2024年秋に高架へ切り替えられる予定です。

地上駅に停まるリニューアル編成は、割と貴重かもしれません。

 

向こうには特急宇和海の2000系気動車が到着。同じ切妻顔で連結できそうに思ってしまいます。

 

3分ほどで松山運転所へ回送されていきました。

 

今回ご紹介した8000系S編成リニューアル車両は、2023年12月24日より定期運行開始。

特急いしづち号を中心に運行され、1編成あたり1日2,3往復程度とのことです。

2024年8月からはグリーン車も備えた、L編成リニューアル車両が走り始めます。

特急しおかぜでも、機能性に富んだリニューアル車両に乗れる日が今から待ち遠しいです。

全ての8000系電車11編成がリニューアル車両になるのは、2027年度を予定しています。これからも末永く活躍してくれることを期待します!

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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