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【九州最長普通列車】熊本発門司港行き区間快速 4時間15分鹿児島本線の旅[2312いしづち(3)]

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熊本城の石垣をイメージした黒い駅舎、12月の雪がちらつく熊本駅です。

 

九州新幹線が開通してから、在来線の鹿児島本線は地域内輸送がメインに。

その中で1日1本、熊本駅から北九州市の門司港駅まで至る列車があります。

 

それが、15:55熊本駅発門司港行き区間快速

2022年9月の西九州新幹線開業ダイヤ改正で、九州最長普通列車になりました。

 

途中駅で後から来た列車と連結したりと、長距離運行だけでない見どころも沢山。4時間に及ぶ普通列車の旅をお届けします。



八代駅始発の熊本行き普通列車として、15:22に到着した821系電車。

15:47頃に表示が区間快速門司港行きに変わり、ドアが開きました。

 

この車両自体は八代駅から来ているので、熊本駅一度途切れる別列車扱いとはいえ、実質鹿児島本線を走破することになっています。

 

車内のディスプレイでは、とてつもなく長い途中停車駅の表示。

二日市駅から福間駅まで快速のため通過駅があるのですが、そこまでの各駅停車区間で埋め尽くされていました。

 

熊本駅からは3両編成、鳥栖駅までワンマン運転です。



15:55 熊本駅 発

地面に着いたらすぐ溶けてしまいますが、雪に包まれながらの出発です。

鳥栖駅まで車掌さんがいないワンマン運転で、『門司港行きです』と当たり前のように自動放送が流れます。

 

九州新幹線の高架と並走し、お隣の上熊本駅に到着しました。

この先で熊本城の天守閣を見られますが、一瞬なので進行方向右手に張り付いてないと、見つけるのは難しいです。

 

その一方で、じっくり観察できるのが洋風の城郭。

こちらは崇城大学のキャンパスでして、近くに崇城大学前駅があります。

 

植木駅を発車してスイカの名産地を過ぎると、一気に山へ入ってきました。



西南戦争激戦地の中、田原坂駅に到着しました。

「田畑が広がる平地から大地へ登る、凹道になっている坂」が由来の田原坂。

その通りかなりの山中でして、熊本の市街地と有明海沿いの玉名平野を隔てています。

 

ドア位置によっては、列車よりホームの方が高いような部分も。

 

明らかに駅周辺の雰囲気も、他の駅と全く異なりました。

 

玉名平野へ出てきまして、肥後伊倉に到着。戦前からの木造駅舎がありましたが、新駅舎になって昔ながらのデザイン性が保たれています。

伯備線に井倉駅があることから、旧国名の肥後が付けられました。



県内5番目に人口の多い玉名市、中心駅の玉名駅に到着。

九州新幹線開通前は多くの特急列車が止まっており、今でも駅の規模からその名残を感じられます。

2.5kmほど東側に新幹線単独駅の、新玉名駅が設置されました。

 

熊本駅からだんだんお客さんが降りていましたが、ここから多くの生徒さんが乗られます。

 

大野下駅の旧駅舎には、機銃掃射の跡が天井に残っていました。

2010年に新駅舎へ建て替えられましたが、その天井板が保存されています。

 

長洲駅のプラットホームには、約3mの大きな金魚のオブジェが置かれています。

 

有明海沿いへ大分近づいてきまして、晴れていれば海の向こうに長崎の雲仙普賢岳が見られます。

長洲港からは島原半島へ有明フェリーが運航しており、海で隔てられた熊本と長崎を短絡してくれます。



三井三池炭鉱で栄えた地域、荒尾市に入りました。

南荒尾駅にはラムサール条約にも指定された、荒尾干潟の夕焼けを描いた絵画が飾られていました。

こちらは県立岱志高校美術部の方が制作したもので、跨線橋の改修工事のため複製をこちらへ移設しています。

 

駅名標の枠が黄色に塗られていたりと、かなり目立つものです。

 

荒尾駅には日中滞泊する811系がいて、このあと17:28発の区間快速海老津行きになります。

 

荒尾駅始発の4本門司港行きが走っているので、ここから先では行先自体、そこまで珍しくありません。

 

熊本県荒尾市から福岡県大牟田市へ入るのですが、市街地が完全に一体化しているため、県境がほとんど分かりません。



福岡県に入りまして、大牟田駅に到着。

こちらも三井三池炭鉱で栄えた都市で、多くの貨物列車が来ていました。

現在コンテナ貨物は貨物列車ではなくトラック便による輸送で、トラック輸送の拠点である大牟田オフレールステーションが隣接しています。

 

お隣には西鉄大牟田駅があって、日本最南端の大手私鉄駅です。

ここからJR鹿児島本線と西鉄天神大牟田線が並走しているものの、走る場所がやや異なるため、うまく棲み分けがされています。



16:47 大牟田駅 発

こちらからも多くの高校生が乗車されまして、大牟田駅を発車。

 

しばらくは天神大牟田線と並走しており、大牟田市の中心部が近い新栄町駅横を通過しました。

 

ちょうどタイミングが合って、西鉄大牟田行きとすれ違い。

 

西鉄銀水駅横を通過したところで、今度は西鉄甘木行きと並走してくれました。

 

西鉄銀水駅と銀水駅はちょっとだけ離れています。

銀水駅を発車したところで天神大牟田線が柳川方面へ離れ、西鉄とお別れです。

 

1991年に開業した吉野駅近くには、県立ありあけ新世高校と明光学園中学・高校があって、生徒職員専用のの改札もあります。

新幹線単独駅となっている、新大牟田駅はここから1.5kmくらいです。

 

かつて国鉄佐賀線が分岐していた瀬高駅で、鳥栖発熊本行き普通列車とすれ違いました。



内陸の山間部をトンネルで貫いていた、九州新幹線が熊本駅ぶりに近づいてきました。

鹿児島本線との接続駅になっているのが、筑後船小屋駅。駅前に何もないことで知られる新幹線駅です。

 

一方で、近くにはHAWKSベースボールパーク筑後があり、ソフトバンクの二軍・三軍・四軍の専用球場になっています。

 

筑後船小屋駅がある筑後市の中心駅は、羽犬塚駅。

羽の生えた犬を塚に葬ったことが、地名の由来とされています。

 

この辺りには「牟田」と付く地名が多いですが、草が湿っている沼を指します。苗字になっている方も、有明海を囲った地域に多いです。



荒木駅では進行方向右手に、当駅17:23始発813系門司港行き区間快速がいます。

この列車が後で結構大事になるので、覚えておいてみてください。

 

まもなく久留米駅に到着するところ、西鉄天神大牟田線と立体交差。

 

大分駅から由布院・日田を経由してきた、JR久大本線が合流してきます。

 

福岡県第三の都市である久留米市、九州新幹線も停車する久留米駅に到着しました。

久留米市の中心部は西鉄久留米駅の方が近く、JR駅は少々街外れになっています。

 

発車標を見てみますと、区間快速(二日市〜福間快速)の表記も現れました。

 

筑後川を渡りまして、福岡県から一旦佐賀県に入ります。

 

紫色の夕焼けの中、長崎本線が合流してきました。

その分岐駅となっています、鳥栖駅に到着です。



17:32 鳥栖駅 着

熊本駅を出発してから1時間半以上、まだ前半戦も終わっていません。

鳥栖駅で15分ほど停車時間があり、後ろに6両繋いで9両編成になります。

 

ここでやってきたのが、荒尾始発門司港行き区間快速。

そう、これは荒尾駅で隣に停まっていた、あの813系電車なのです。

 

熊本から乗ってきた3両編成の821系電車とともに、門司港駅まで9両編成で走っていきます。

 

鳥栖駅では、特急ゆふいんの森4号博多行きに追い抜かれました。

 

まだまだ門司港は表示されていない一方、快速通過部分が現れてきました。

 

熊本駅から鳥栖駅まで先頭車両は3号車でしたが、後ろに6両連結したため、9号車になっています。



17:47 鳥栖駅 発

ワンマン運転は鳥栖駅までで、ここからは車掌さんが乗務されています。

 

次の田代駅には鳥栖貨物ターミナル駅が併設されており、機関車もたくさん見られました。

 

甘木鉄道の乗り換え駅である基山駅で停車、特急リレーかもめ44号に追い抜かれます。



佐賀県最後の駅、けやき台駅を発車。

九州縦貫自動車道の下を潜ったあたりで、佐賀県から福岡県への県境を越えました。

 

再び福岡県に戻りまして、原田駅に到着。

筑豊本線の中でも実質ローカル線として切り離されている、原田線の乗り換え駅です。

 

熊本駅から二日市駅まで2時間以上各駅停車でしたが、種別は「区間快速」。

二日市駅から福間駅では快速運転で、途中駅を通過します。

 

運転席のところにも、二日市駅から先の停車駅が赤く示されていました。

 

都府楼南駅と水城駅を通過して、大野城駅に到着。

国鉄時代には一部の普通列車すら通過していた大野城駅ですが、JR九州による不動産開発も成功してか、現在ではベッドタウンの駅として快速も停まります。

 

次の停車駅は、かなり広い構内の南福岡駅。

南福岡車両区が隣接しており、駅の左側には通勤電車がズラリと並んでいます。

 

竹下駅ではホームに面していない、通過線を走行していきました。

 

熊本駅から2時間半、九州最大のターミナル駅である博多駅に到着です。



18:26 博多駅 着

夕方の帰宅ラッシュと完全にバッティングしており、車内は満員電車になります。

 

3分停車したのち博多駅を出発、ちょうど山陽新幹線のぞみ37号が到着してきました。

新幹線なら小倉駅まで15分ですが、今日はまだまだ時間を掛けていきます。

 

次の吉塚駅では、同じ821系の羽犬塚行き区間快速とすれ違い。

外からならイカ釣り電車と言われる821系を、並んで見ることができます。

 

西鉄貝塚線と少しだけ並走、ちょうど名島駅に黄色い西鉄電車が停まっていました。

西鉄は基本的に線路幅1435mmの標準軌ですが、貝塚線だけ1,067mmの狭軌を採用しています。

 

千早駅は2003年にできたばかりの駅で、西鉄千早駅に隣接して貝塚線と乗り換えできます。

 

貝塚線の香椎宮前駅まで並走しまして、海の方へと離れていきました。

 

一部特急も停車する、香椎駅に到着です。

博多のベッドタウンとして栄える香椎線沿線へ、乗り換える方も多くいらっしゃいました。

 

福工大前駅では、海老津行き普通列車を追い抜きます。



福岡市を出まして、次の停車駅は古賀駅。

島式ホームの待避線へ入り、特急きらめき4号門司港行きに追い抜かれました。

 

門司港行き区間快速で最後の通過駅となる、千鳥駅を通過。

 

福間駅に到着して快速運転は終了。ここから門司港駅までは各駅停車に戻ります。

 

福岡都市圏と北九州都市圏を隔てる、城山峠をトンネルで越えていきました。

 

一部列車は130km/h運行する直線区間で、遠賀川を渡ります。



鹿児島本線と筑豊本線の乗り換え駅、折尾駅に到着です。

かつては日本初の立体交差駅でしたが、2022年3月に全線が高架化されました。

レトロな旧駅舎をモデルにした新駅舎が、高架線に挟まれる形で位置しています。

 

右手からは筑豊電気鉄道が近づいてきました。

ちょうど電停に電車がいますが、路面電車のような車両となっています。

 

その乗り換え駅でもあるのが黒崎駅。

折尾駅と共に特急ソニック全停車駅で、北九州市における副都心の役割を担います。



左手の重化学工業地域を見つつ、スペースワールド駅でしばらく停車。

かつてスペースワールドという遊園地があったのですが、2018年に閉園しました。

現在その跡地はイオンモールのアウトレットモール業態、THE OUTLETS KITAKYUSHUになっています。

 

ここで特急ソニック49号大分行きに追い抜かれました。

 

戸畑駅を前にして、真っ赤な若戸大橋が見えてきました。



洞海湾で隔てられた、筑豊本線の終点である若松駅周辺と、こちらの戸畑駅周辺を結びます。

戸畑駅では向かいに、特急ソニック52号博多行きが停車していました。

 

黒崎駅〜小倉駅には貨物線があり、旅客と貨物を分離した複々線区間となっています。

ここでまさに貨物列車が左側をすれ違ってくれました。

 

日豊本線と鹿児島本線の分岐駅、西小倉駅を発車します。



19:53 小倉駅 着

北九州市最大のターミナル駅、小倉駅に到着しました。

かしわうどんでジンワリ温まりたいところですが、この旅もあと一息です。

 

鹿児島本線の上下線を挟むようにして、広大な北九州貨物ターミナルの横を通過。

 

九州の玄関口として、特に山陽新幹線開通前は数々の特急を本州から迎え入れた、門司駅に到着しました。

 

関門海峡を通って本州は下関へ向かう、山陽本線が海底へ潜っていきます。

 

小森江駅を過ぎますと、ついに終点の門司港駅です。

 

真正面にはライトアップされた関門橋が迎えてくれました。

 

そして行き止まりのホームにレトロなプラットホーム、夜の暗闇に温かなランプの光が迎えてくれます。

 

JR九州ならではの大きな車止めに向かい、終点の門司港駅に到着です。



20:10 門司港駅 着

関門トンネルが開通するまでは、本州から船で運ばれた貨物や旅客を、九州各地へ送り届けていました。

鹿児島本線の起点であるとともに、名実ともに九州における鉄道の0キロポストです。

 

熊本駅から4時間15分、本来なら新幹線で移動する駅間を、普通列車1本で来ることができました。

新幹線と並行するような幹線上において、これだけ長距離走る普通列車はかなり貴重なものです。

 

九州の大幹線である鹿児島本線を一気に乗り通す体験、ぜひ一度お試しください!

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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