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【選ばれない最短ルート】北上線が秋田新幹線になれなかった理由[只見Shu*Kura(5)]

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国鉄駅の雰囲気を残した北上駅、岩手県で5番目の都市である北上市の中心駅です。

 

今回乗車するのは、秋田県の横手駅までを結ぶ北上線です。現在ではローカル線となっておりJR東日本が収支を公表している路線ですが、かつては特急も走った重要な路線でした。



秋田へ優等列車が走った過去

かつて東北本線から秋田へ行くルートは2つありました。

仙台〜秋田では北上線を経由する急行きたかみ、盛岡〜秋田では田沢湖線を経由する特急たざわが走っていました。

南から秋田へ行くには北上線経由の方が距離が短いのですが、東北新幹線の速達便を北上に停めたくない考えから、秋田への長距離輸送は盛岡からの急行に担わせていたのです。

長距離輸送を重要視する秋田新幹線のルート選定において、北上線ではなく田沢湖線が選ばれた一番大きな理由はこれと同じく、分岐駅を全列車停車の盛岡駅にしたいからというのに尽きるでしょう。

 

しかし、1997年に田沢湖線を改良した秋田新幹線が開業。これによって秋田への優等列車は田沢湖線のミニ新幹線こまち号に集約されました。

田沢湖線では線路幅を新幹線の標準軌に変える改軌工事が行われていたのですが、それに伴う1年間の運休時には北上線を経由する特急「秋田リレー号」が走っていました。

 

使用されたのは現在の普通列車と同じキハ110系、北上線の線形の良さとも合わさって所要時間は最速1時間53分でした。これは現行の新幹線こまち号で北上〜秋田を行くのとほぼ同じです。



北上線は切り欠きホームの0番線から発着する場合も。

乗車するのは快速列車のためか、1番線ホームから出ていきます。

 

13:40 北上駅発

快速列車とは言っても、ほとんど各駅停車みたいなものです。

新幹線ホームは東北本線を挟んで一番左側。もしここから秋田新幹線が分岐していたら、盛岡駅と同じように高架線が東北本線をまたいでこちらへ来ていたでしょう。

 

北上駅にはそんな大掛かりな構造物はなく、東北本線と並走していたところから分岐します。

 

住宅街の中新しそうなホーム、柳原駅が最初の停車駅です。近くの国道107号にはロードサイド店舗が並んでいます。

 

東北自動車道の北上江釣子ICの下をくぐりました。

 

藤根駅は行き違い可能な2面2線構造。やはり特急も走らないローカル線にしては、有効長が長いように感じました。

駅舎は新しくなっており、「座禅草を取り入れたデザイン」をコンセプトにしています。

 

立川目駅は単式ホームですが、太陽光パネルの辺りは昔鉄道用地だったのでしょうか。



古い非電化路線が仇に

北上線はご覧の通り、気動車での運行です。

田沢湖線の全通は1966年と遅かったですが、1982年に電化が完了しました。

北上線は1924年全通と古かったためトンネルが小さく、新幹線を走らせるために電化するには大規模な拡張工事が必要だったんですね。

 

1986年に交換設備が撤去された横川目駅。秋田リレー号が走っていた時には、既に行き違えなくなっていまた。



日本海〜東京 迂回ルート

北上線は他ローカル線に比べても、高規格な路線です。

 

北上線の定期貨物列車は廃止されていますが、陸羽東線や電化前の田沢湖線と異なり大型機関車が入線できたことから、奥羽本線の輸送力を補うため東北本線直通の貨物列車が走っていました。

 

また、日本海側の羽越本線や上越線が停まった時、貨物列車の迂回ルートとして使われたこともあります。

寝台列車も迂回に使っており、2011年の新潟・福島豪雨では特急あけぼの、2019年の山形県沖地震では四季島が走りました。

非電化のため貨物輸送にはディーゼル機関車の必要性がネックですが、このように北上線は日本海から東京の貨物ルートが寸断された際の迂回ルートとしても捉えられます。

 

線路から見える和風の建物は多聞院伊澤家。羽黒派の修験者としてこの地に土着し、信仰を集めて来たそうです。

 

岩沢トンネルを抜け、仙人発電所が見えてきました。ここには湯田ダムが建設されています。

 

和賀仙人駅にはたくさんの側線が並んでいました。

有効長も非常に長いため、長編成の列車をやり過ごせるようにしているのでしょうか。



ダム湖に沈んだ旧線

北上線は旧線がダムに沈んでおり、和賀仙人駅からルートが変わります。1962年に現在の位置へ移転しました。

 

この新線は1962年に建設されたので、もしかしたら電車規格にしている可能性もあります。

 

キハ110は80km/h出しています。路線の最高速度は85km/hで、それギリギリです。

 

ここは大荒沢信号場跡。旧線の時は駅だったのですが、新線付替え時に信号場に格下げ。1970年に信号場としても廃止されました。

 

奥に見えているのは秋田自動車道、自動車専用道は距離の短さを重要視するので、北上から分岐を選んだんですね。

 

1991年に陸中大石駅から、ゆだ錦秋湖(きんしゅうこ)駅に改名しました。近くには錦秋湖SAがあります。

 

ダム湖には北上線の旧線が沈んでいます。水が引くと今でも駅の跡を見られるそうです。

 

中央部の真っ赤なトラスが特徴的な、第二和賀川橋梁を渡ります。2003年の青春18きっぷのポスターにも選ばれました。

 

和田川沿いを走ったのち、第一和賀川橋梁を渡ります。今度はトラスが無いため、迂回貨物が走ったときなどここで撮影される方が多いそう。



観光地の少なさ

ダムに沈んだ旧線と合流しまして、従来の線路へ復帰します。

北上線の駅では主要なほっとゆだ駅。1989年に入浴施設ほっとゆだが開業し、1991年に陸中川尻駅から改称しました。

 

北上線に乗ってきて代表的な観光地が無く大きな所は、ほっとゆだと横手くらいです。一方で田沢湖線なら角館、田沢湖があるわけですから、この点でも田沢湖線に分があります。

 

ゆだ高原駅も、1991年に岩手湯田駅から改称された駅。ゆだシリーズの駅が3連続になっていて、北上線沿線の観光需要取り込みに熱心だったことが分かります。

 

県境を越えまして、岩手県から秋田県に入りました。岩手県の膨らんでいる部分に敷設されているので、結構岩手県部分が長いです。

 

黒沢駅は昔ながらの駅舎が残っています。

 

ホームも異様に長く、優等列車や貨物列車が走ったかつての繁栄を思わされます。



2022年3月に廃止された駅

北上線沿いに走る秋田自動車道と交差しました。

自動車専用道が北上線ルートを取ったために、その需要が高規格道路に奪われているのが現状です。

 

この列車は快速列車なので、小松川駅を通過。実は快速列車にも関わらず、唯一の通過駅でした。



これまで快速が通過していた駅は、加えて2駅ありました。しかし、2022年春に廃止されたのです。

ここは平石駅跡。ホームの残骸も無くなっていて、駅があったことも分かりません。

 

近くには道の駅さんないがあります。

 

再び街へ入ってきて、横手市立山内小学校が見えてきました。道沿いが芝生になっていて、目に優しい感じ。

 

相野々駅の駅舎は、1996年にオープン。山内ふれあい交流センターを併設していて、カラオケルームもあるそうです。

 

先程の街へ寄るため北上線は大きくカーブしていました。元のルートへ復帰します。

 

2022年春に廃止したもう一つの駅が、矢美津駅です。ここもホームの跡は分かりません。

これら廃止された2駅は2017年から冬季全列車が通過していました。利用者も少なかったため、2022年に廃止されたのです。

 

その後、北上線は横手川沿いを走り続けます。

 

横手市街に入りまして、保健センターなど公共施設も現れました。

 

奥羽本線が合流してきて、パンタグラフも出現。

 

トラックの輸送拠点である横手オフレールステーションが隣接しており、貨物コンテナがたくさん並んでいます。



14:51 横手駅 着

61kmに及ぶ北上線は、横手駅で終点を迎えます。

 

電光掲示板では矢美津駅、平石駅が廃止されたという表示が繰り返し流れていました。



奥羽新幹線ルートへ

福島駅から秋田を経由して青森駅へ至る奥羽本線。基本計画線には奥羽新幹線が存在します。

現在、奥羽本線上を走る山形新幹線は新庄駅までで、ここから横手を経由して秋田まで行こうとしているのです。

 

奥羽本線内でも大曲駅〜秋田駅は、秋田新幹線が走る区間です。秋田新幹線は田沢湖線から奥羽本線へ入るため、大曲駅で進行方向を変えることになります。

 

また、大曲駅〜秋田駅は複線に見えますが、在来線が走る狭軌と秋田新幹線が走る標準軌の単線並列です。今乗っているような普通の在来線車両や、貨物列車も走れます。

 

刈和野駅ではE6系新幹線と行き違いました。

 

新幹線を中心に列車が停まっている、車両センターのすぐ横を走り去りました。



秋田新幹線の終着駅、秋田駅に到着です。

羽越本線を走り新潟までを結ぶ、特急いなほが停車中でした。この区間についても羽越新幹線の計画が存在します。

 

2つの候補が存在した秋田新幹線のルート。北上線の方が距離だけを考えればメリットが大きいですが、その他の部分にたくさんの障害がありました。

 

山形県は奥羽新幹線を推しているようですが、すでに秋田新幹線によるメリットを享受している秋田県。

フル規格化実現のハードルの高さを感じさせられました。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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