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【山陰の個室特急】スーパーはくとのコンパートメント座席 貫通型先頭車の運用限定[2306メトロ400系(4)]

2023年7月4日

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関西から鳥取を結ぶ特急スーパーはくと。そのシンボルといえば流線型先頭車の顔です。

鳥取方面の先頭自由席からはパノラマ展望を楽しめるため、京都駅からそれをご紹介しようと思っていたのですが…

 

やってきたのは非貫通型先頭車でした。

残念がるところですが、非貫通型車両だけの特別な区画が存在します。

 

それが運転席すぐ後ろにある半個室スペースです。

一体どんな区画となっているのか、ここで楽しめる景色やスピード感と共に倉吉までお届けします。

 

先頭車両の1号車自由席に乗り込みました。

後ろ側にしかない扉から入りまして、通常の4列シートが並ぶ真ん中を進みます。

 

運転席を目の前にした突き当たり、右側にあるのが特急スーパーはくと号の半個室座席です。

 

1人掛け座席が向かい合わせになっており、真ん中にはテーブルが備えられています。

座席の真横には透明ですが板が設けられていて、コンパートメントのような区画です。

 

背もたれが壁面に貼り付いているため、特にリクライニング機構などはありません。

 

また、通常座席なら窓側に設置されているコンセントも、この区画では見当たりませんでした。

 

貫通型先頭車では、最前列のC席が存在していません。そのため充当車両が貫通型車両か非貫通型車両か関係なく、先頭車両1番C席の指定席は発売されない対処が取られています。

スーパーはくとの車両運用については、智頭急行に電話で問い合わせるとお答えいただけるそうで、これは公式に「よくある質問」に記載されていました。と言っても何だか申し訳ないので、今回は連絡せず来ちゃいましたが…。

 

京都駅の時点で自由席は3分の1程度の区画が埋まり、列車が動き始めました。

半個室座席でも大きな魅力は、この大きな窓。

通常座席と異なりブラインドではなくカーテンのため、真ん中に仕切りが無く広い景色を楽しめます。

 

高槻の巨大板チョコもしっかり収まるほどでした。

 

複々線区間で普通列車を追い抜いていくのも、この大きさでは迫力満点です。

 

大阪駅到着時には、反対方面の特急スーパーはくととすれ違いました。

 

関西最大の主要駅、大阪駅を出発です。

大阪と鳥取を直接結んでくれる特急スーパーはくと。やはりここからの利用者が多いです。

 

兵庫県に入りまして、かなりスピードを上げていきます。

特急スーパーはくとの魅力は、気動車ながら130km/h出せる力強さです。エンジン音を響かせながらグングン加速します。

 

神戸市の主要駅となる三ノ宮駅にも停車し、数人程度乗車されました。あまりここから乗られる方はいらっしゃらないようです。

 

半個室座席があるのは進行方向右側で、左側には多目的室があるため海側を見られません。

そんな時は席から2,3歩で前面展望へ。パノラマ展望ではないですが十分景色は楽しめます。

 

山陽本線の車窓でもハイライトと言える明石海峡大橋、これはやっぱり見ておきたいところです。

一方でこれ目当てならば、通常の座席で左側AB席を確保した方が綺麗に見られます。

 

山側の右手にも見どころが多く、こちらは明石市立天文科学館。日本標準時子午線上に位置することで知られています。

 

明石駅に到着すると、ホーム向こう側には明石城がすぐそこです。

石垣に櫓が設けられており、かなり広々しているのが特徴的。

 

関西の主要駅に停まってきましたが、最後の停車駅が姫路駅。山陽新幹線から乗り継いで来られる多くの方は、ここから乗車されます。

タイミングが良ければホーム越しに姫路城を見られるのですが、今回は残念ながら新快速や姫新線が停まっていました。

 

上郡駅に到着し、JR西日本から智頭急行智頭線に入ります。

この路線はJR西日本ではなく、第三セクター鉄道の路線で別会社。乗務員さんも交代されました。

 

奥の方に位置する智頭急行智頭線ホームには、普通列車が停まっています。

しかし、この路線は山陽と山陰を結ぶ特急専用路線の色が非常に強いです。

 

山陽本線から立体交差して高架を登ると、早くもその様子が現れてきます。

1994年に開業したこの路線、新たな陰陽連絡路線として、非常に高規格で建設されました。

 

全線単線ですがトンネルも真っ直ぐ貫かれており、さすがは現代に建設された新線です。

 

智頭急行の最高速度は130km/h、ほとんど速度を落とさないため東海道本線や山陽本線を走っているよりも、高速走行を感じられます。

 

この車両はカーブで車体を傾ける振子装置を備えているため、カーブでも速度を速度を保ったままで通過できるのです。

 

JR姫新線との乗り換え駅、佐用駅に到着です。

この列車も停車した姫路駅より伸びている姫新線、中国山地に沿うようにして新見駅へ至ります。

かつては関西から鳥取を結ぶ急行みまさか号がこの線路を走っていましたが、高規格な智頭急行智頭線が開業して、特急スーパーはくとにその役目を明け渡しました。

 

岡山県に入り、次の停車駅は大原駅。車両基地が併設されており、智頭急行の運行拠点です。

ちょうど普通列車が停まっていますが、スーパーはくとと同じカラーリングです。完全に智頭急行=スーパーはくとのイメージが付けられています。

 

岡山県から鳥取県の県境では、志戸坂トンネルを通過します。全長5,592mに及び、智頭線で一番長いトンネルです。

 

鳥取県に入ってしばらく車窓に注目していると、一瞬視界がピンク色に染められます。

こちらは恋山形駅、駅名にちなんでペイントが行われ、今ではSNSでも話題の駅になりました。

 

智頭急行開業により、速達性に富んだ特急スーパーはくと。

一方で並行する中国横断道路の姫路鳥取線が2022年に全線開通し、道路交通も追い上げてきています。

大阪〜鳥取で特急列車が6590円に対し、高速バスは3800円と安さは圧倒的。一方で速達性と定時性を求める人は特急列車の利用と、ちょうど住み分けできている印象です。

 

智頭駅に到着、ちょうど反対方向の特急スーパーはくとと行き違いました。

あちらも非貫通型先頭車です。

智頭急行は智頭駅で終わりまして、ここから再びJR西日本へ。因美線に入ります。

 

因美線はローカル線の部類ですが、智頭〜鳥取は特急が走るため速達化事業が行われています。

 

それでも智頭急行の区間と比べると揺れが大きく、速度も落ちました。最高速度は110km/hとなっています。

 

郡家駅に到着、お隣には若桜鉄道の列車が停車中です。

桜をあしらったこちらの車両は、観光列車のデザイナーでお馴染み水戸岡鋭治さんによるもの。ピンク色のSL展示や隼駅にライダーさんを集めたりと、個性的な鉄道会社さんです。

 

京都から続く日本一長い在来線、山陰本線が近づいてきました。単線高架線を走りまして、鳥取駅に到着です。

 

大阪〜鳥取の所要時間は2時間27分。同時間帯発の高速バスに乗っていた場合、所要時間は2時間53分でした。

向かいには特急スーパーまつかぜ号が停車中。

スーパーはくとが鳥取駅に到着する6分前には、日本一長時間走るディーゼル特急、スーパーおき5号新山口行きが発車しています。

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鳥取駅を出発してしばらくすると、山陰本線を彩る列車たちが集まっています。

国鉄車両から高速で走る特急車両まで、バリエーションに富んでおり魅力的です。

 

鳥取大学前駅を通過。

1年に1本だけ鳥取大学前駅から大阪駅へ向かう特急ビクトリーはくと号が発着します。これは鳥取大学入試を終えた受験生に向けて設定される列車です。

 

さて、因美線から山陰本線に入ったところで、列車の走行音が明らかに変わりました。

山陰本線の鳥取〜益田では、県が出資して高速化事業が行われています。

特に鳥取〜出雲市の最高速度は120km/h。この速度には本当に圧倒され、鉄道ファン的な楽しみ方としては、鳥取で降りるのではなく倉吉まで乗って欲しいところです。

 

正面からそのスピード感を味わうのもまた素晴らしいもの。

今回乗車した時、前面展望へ3人くらいローテーションで来られていたのですが、そのうち2人が女性だったのが割と珍しかったです。

 

朱色の石州瓦を載せた家々を見ると、山陰地方へ来たのだという実感が湧くところ。

 

少しだけ日本海を見られるところも走るため、右側の半個室座席でも楽しめる海の景色です。

そういえば半個室に注目すべき記事なのに、あまりにその速さに気を取られて、スピード感にフォーカスしてしまっていました…笑

 

鳥取駅から25分ほどで、終点の倉吉駅に到着しました。

京都駅から3時間半近く楽しませていただきました、半個室の旅はこれで終わりとなります。

 

特急スーパーはくとの終着駅は、基本的に倉吉駅。

はわい温泉や三朝温泉の玄関口であり、鳥取二十世紀梨記念館や白壁土蔵群など観光名所がたくさん。多くの方がここまで足を運んでいらっしゃいました。

 

パノラマ展望が楽しめる非貫通型では味わえない、貫通型だけの半個室の旅。

指定席車両に設定される場合この区画が充てられないため、利用したい場合は自由席に貫通型先頭車が運用される場合です。ランダムなのでどうしても乗りたい方は、迷惑にならない範囲で智頭急行へお電話していただければと思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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