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【終点直前で逃げ切れず】特急に「2回も」抜かされる特急が面白すぎる!

2022年12月18日

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日本一路線総延長が長い大手私鉄、こちらは終着駅でもある近鉄名古屋駅です。近鉄はその路線長を活かし、多くの特急列車を走らせています。 近鉄特急では特急同士30分以内に乗り換える場合、特急料金を距離全体に ...

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こちらは三重県の志摩地方、鳥羽駅。JRと近鉄両方が来ています。

 

JRの駅は参宮線の終着駅ですが、2020年3月に無人化されて、かなり寂しくなっています。

 

一方、近鉄は観光にいらっしゃった方が沢山です。

関西・名古屋からの近鉄特急が多く走り、それだけのお客さんが利用しています。

 

今回取り上げるのは近鉄特急、15:15発の特急大阪上本町行きです。この特急に乗るとダイヤ改正により生まれた、非常に珍しい光景が見られるそう。

一体どんなことが起きるのか、お楽しみください。

 

向かいからは名古屋行き伊勢志摩ライナーが出発。

伊勢市を出ると津駅しか停まらない、土休日限定の最速達型です。

 

この特急にはビスタカーが運用に就いていて、階上席から景色を見下ろせる他、階下席にはグループで使える半個室的な空間もあります。

 

今日は1,4号車の通常座席へ。先頭で「大阪上本町」をLED表示している車両に乗り込みます。



15:15 鳥羽駅 発

鳥羽市は鳥羽水族館など多くの観光地が人気。

三重県内では伊勢市、桑名市(ナガシマスパーランド)に次いで観光産業が盛んです。

 

JR参宮線と並走しながら、近鉄鳥羽線を走行。

近鉄は鳥羽より南、賢島駅まで志摩線の線路が伸びています。

 

停車駅は、五十鈴川、宇治山田、伊勢市、松阪、伊勢中川、榊原温泉口、名張、大和八木、布施、鶴橋、大阪上本町。停車駅が比較的多めの特急です。

 

木々に隠れながらも、所々鳥羽湾(?)の景色を見られました。複雑な地形をした志摩半島に海水が入り込みます。

 

五十鈴川駅は「内宮前」という副駅名の通り、伊勢神宮内宮から一番近い駅です。

駅名を「内宮前駅」にしようとしましたが、伊勢市中心部を通らず参拝されることを恐れ、副駅名に留められました。



ここから伊勢神宮周辺では、3駅連続で特急が停まります。

宇治山田駅は天皇陛下や首相の伊勢神宮参拝でも利用され、貴賓室などもある荘厳な駅です。

 

近代建築による大きなレトロ駅舎は、国の登録有形文化財にもなっています。

 

JR参宮線と交差しました。4両目が宇治山田駅ホームを出たかどうか、早くも伊勢市到着の放送が流れます。

宇治山田駅から伊勢市は0.6kmしか離れていませんが、どちらにも特急が停まります。

 

伊勢市駅はJR参宮線の乗換駅です。

JRと近鉄のホームの間にJRの留置線があって、オレンジの列車が並んでいます。

 

ここは伊勢神宮外宮の最寄り駅としても重要です。

JRと近鉄の駅構内が一体化しており、改札も一緒になっています。

 

JRは快速みえを走らせていて、名古屋〜伊勢で近鉄特急と対抗しています。JRは単線ディーゼルカー、近鉄は複線電車特急と違いが大きいです。

 

JR参宮線は多気駅を経由するため、近鉄から離れて内陸へ向かいます。日本一大きな半島・紀伊半島をなぞる紀勢本線と多気駅で接続しています。

 

伊勢の3駅連続停車を終え、特急らしい走りを見せてくれます。とにかく静かで滑らかな走り、この快走は近鉄特急ならではです。

 

明星駅には検車区があり、特急が居座っています。



JR乗換駅ともなる松阪駅に到着です。

鳥羽駅で見送った名古屋行き伊勢志摩ライナーは、松阪駅を通過してしまいます。

 

JRホーム上には駅弁のあら竹さんがあり、近鉄特急含め列車積み込みもして頂けます。

電話一本で列車内で松阪牛を食べられる、いつかやってみたいけど、いつになるやら…。

 

ここからはJR東海屈指のローカル線、名松線が分岐します。名張を目指していましたが、近鉄大阪線が開通して建設意味が無くなり、伊勢奥津駅までで断念。



大阪方面と名古屋方面の分岐点、伊勢中川駅に到着です。今回の乗っている特急、1回目の見どころはここで現れます

向かいには名古屋からの鳥羽行き特急が停車中。名伊特急ですが、アーバンライナー車両が充当されています。

 

反対方向なので、この特急の扉が開く前に発車。逆に名古屋→伊勢中川→大阪方面の接続を取っています。

 

伊勢中川駅では6分間の停車。この特急は、観光特急しまかぜに追い抜かれます。

「同種別同士の追い抜き」+「特急同士の追い抜き」は非常にレアです。



観光特急しまかぜ京都行きが来ました。

しまかぜ号が鳥羽駅を出発したのは、特急が出た5分後です。

この特急はこれから停車駅が増えるので、伊勢中川駅でしまかぜを先に行かせます。近鉄の特急は2種類に分けられ、停車型の乙特急速達型の甲特急があります。乙特急甲特急に追い抜かれる状況。

 

かなりゆっくり通過しましたが、これには訳が。

 

特急しまかぜは名古屋から大阪難波へ向かう、名阪特急ひのとりに道を譲っています。

 

同じ甲特急であっても、阪伊特急より名阪特急を優先させます。この特急からしてみれば、ひのとりに二重に追い抜かれているみたいです。

 

特急同士追い抜かれたところで、伊勢中川駅を出発です。赤福の広告がこちらを圧迫してきます…。

 

右手に分岐していったのは、伊勢〜名古屋方面の線路。ひのとりが走っていた中川短絡線と共に、中川デルタ線を形成します。

この線路のお陰で、大阪難波〜近鉄名古屋の特急は伊勢中川駅を経由せず走れています。

 

京都行きしまかぜの後を追うようにして、伊勢〜大阪の線路を走ります。賢島〜京都を結ぶしまかぜは、私鉄最長距離を走る特急です。

右手より名古屋~大阪を結ぶ、単線の中川短絡線と合流します。

 

この特急は榊原温泉口にも停車。中川デルタ線に看板が立っているのが印象的で、10人くらいホームにお客さんがいらっしゃいました。

 

東青山駅を通過して、新青山トンネルへ向かいます。駅前にはだだっ広い公園だけ。

 

トンネルによる峠越えを終えまして、秘境駅とされる西青山駅を通過。

 

名張駅には広く留置線があり、名阪間における中間の拠点です。急行など名張での系統分離が行われていて、峠越え手前まで輸送を担います。

 

名張駅にはアーバンライナーが停車中。2編成しかないアーバンライナーネクストでした。通常はアーバンライナープラスで、この車両はレアですが顔が黒いこと以外違いはほぼ無いです。



名張駅や榛原駅では、特急が特急を追い抜くことがあります。

中川デルタ線では基本的に名阪甲特急を阪伊乙特急より先に行かせるのですが、ダイヤの兼ね合いで阪伊乙特急が先に行くことがあります。

この時、途中で名阪甲特急に道を譲らなければなりません。そこで起こるのが、名張駅や榛原駅での特急同士の追い抜きです。伊勢から来た特急列車が、名古屋からの特急ひのとりに追い抜かれる光景を見られます。



高架を登ってきまして、大和八木駅へ。

近鉄橿原線は直交してこの下を通っており、立体交差構造になっています。

 

先を行く特急しまかぜは大和八木に停車後、近鉄橿原線へ入り京都へ向かいます。この直通を可能にするのが、大和八木発車後の新ノ口連絡線です。

 

近鉄大阪線から北へ分岐して迂回した後、南北に走る橿原線へ合流します。近鉄大阪線の線路を渡り、新ノ口連絡線へ向かう様子が分かります。



まもなく布施駅に到着するところ、奥からは近鉄奈良線がやってきました。

駅構造は3階が近鉄奈良線、2階が近鉄大阪線になっていて、上下での乗り換えができます。

 

そしてなんとこの特急、布施駅でまた特急に追い抜かれちゃいます

特急が鳥羽駅を発車した16分後、大阪難波行き伊勢志摩ライナーが出発して追いかけてきていました。この伊勢志摩ライナーは速達型の甲特急で、伊勢市の次は鶴橋まで停まらない便です。

 

布施駅では内側にホームに面した乗降可能な線路、外側に通過線が設けられています。

 

伊勢志摩ライナーは外側の通過線を駆け抜けていきました。

 

「同種別同士の追い抜き」+「特急同士の追い抜き」は非常にレアなのに加え、「同列車で2回も起こる」という珍しさ。

しかも停車駅はあと2駅で終点の大阪上本町駅直前なのに、逃げ切れないというのも面白ポイントです。



鶴橋駅では向かい側に、さっき追い抜かれた伊勢志摩ライナーがいました。

この列車は伊勢市以来の停車、名古屋方面と乗り間違えたら大変です。

 

そしてこの特急が停まる直前に発車していってしまいました。

ダイヤ改正前、この特急は伊勢志摩ライナーに追い抜かれずに大阪上本町駅まで行けました。一方で、特急が鶴橋駅を出発すると同時に、伊勢志摩ライナーが鶴橋駅に入線してました。

それがダイヤ改正により逆転、布施駅で伊勢島ライナーに追い抜かれるよう変更されたのです。



17:18 大阪上本町駅 着

伊勢志摩ライナーは大阪難波行きで、大阪上本町駅の地下ホームへ到着します。この特急は大阪上本町行きなので、地上ホームに入線です。

 

布施駅で追い抜かれた伊勢志摩ライナーは、今度は奈良行きに変わるようです。特急車両が働き続けるダイヤが、こんな現象を起こしたのでしょうか。

近鉄の顔とも言える特急たちが切磋琢磨する様子を間近で見られました。時間はかかりますが、ぜひ伊勢からの帰りに乗ってみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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