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【謎の未成駅】駅舎もロータリーもあるのに開業できない理由 南阿蘇鉄道の新駅「小池水源駅」[2212南阿蘇(4)]
第三セクター鉄道では地域内での利便性向上のため、新駅を設置することが多くあります。 しかし、中にはせっかく駅施設を整備したのに、結局開業しなかった未成駅も存在。今日ご紹介するのは熊本県の南阿蘇鉄道、未 ...
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大都市間をなるべく直線で結ぶ新幹線、途中駅の中には小さな駅も数多くあります。
街の中心部から外れているために、駅周辺に何もないと言われます。
今回ご紹介するのは、在来線と乗換可能でありながら、駅周辺に何もないと取り上げられる駅。九州新幹線の筑後船小屋駅です。
なぜここに新幹線駅が設置されたのか、周囲にはどんな景色が広がっているのか見てみましょう。
九州新幹線の起点はここ!?
元々、九州新幹線は博多〜筑後船小屋まで在来線の線路上を走り、筑後船小屋〜鹿児島中央に専用高架線を建設する、スーパー特急方式の新幹線建設が計画されていました。
線路幅は在来線と同じ1067mmで、博多から鹿児島中央まで直通可能。専用高架線上では新幹線と同様に高速走行ができます。
久留米方から在来線を走ってきた新幹線は、このあたりに建設された連絡線を通って高架線上へ。ここから南は鹿児島中央まで高速走行を始めるという運行形態です。
しかし、九州新幹線は全線フル規格新幹線で建設されました。これによって山陽新幹線から九州新幹線へ直通運転が可能になっています。
本来なら連絡線を建設するために確保していた用地ですが、そこに設置されたのが筑後船小屋駅です。
新幹線開業前、在来線に「船小屋駅」があったのですが、新幹線開業に伴って500mほど南下した位置に移転。「筑後船小屋駅」として現在まで営業しています。
西九州新幹線分岐駅になるかも
2022年秋に武雄温泉〜長崎で開業した、西九州新幹線。現在検討されているルートでは新鳥栖駅での分岐が有力です。
しかし、佐賀県が提案した新幹線ルートには、筑後船小屋駅から分岐させて佐賀空港を経由し、武雄温泉駅を目指すというものがありました。
恐らくこのルートは選ばれないと思いますが、一つの可能性としては考えられています。
新幹線駅
2012年春に全線開業した九州新幹線、近年の整備新幹線と同様デザイン性に富んでいます。
改札周辺は広々していますが、緑も窓口は結構コンパクト。指定席券売機も1台だけです。
改札外にはガラス張りの待合室が備えられています。ただし、この駅には売店など一切無く、最寄りのコンビニも1km近く歩きます。
改札内に入りますと、中二階が存在する構造。当然ですがエレベーターならホームまで直接行けます。
駅設備は最低限に抑えられていながら、どうしてここまで空間の大きな駅になっているのか謎です。
11番線ホームに来ました。アスファルトではなく色づいたタイル張りで、かなり力が入っているように感じます。
この駅は元々2面2線構造の予定でしたが、JR九州の負担で待避線が設けられて2面3線構造になりました。
下り線ホームだけ島式ですが、13番線には上下列車どちらも入ることができます。
九州新幹線の11駅中7駅で行われているホーム無人化ですが、筑後船小屋駅は2016年度に始まっています。
ホーム上にもベンチのある待合室が設けられていました。
駅周辺には何が?
筑後船小屋駅は筑後広域公園の中に位置しています。コンセプトが「公園の中にある駅」で、地図を見るとまさにその通りです。
公園が広がるばかりの東口
駅東側を見てみますと、その公園が一面に広がります。これは駅周辺に何もないと言われて然るべきです。
一際目立つ折り紙みたいな建物、これは九州芸文館です。
それ以外は謎の木箱がひしめいているだけ。
多目的広場や物産館、温泉館など機能的な施設は、新幹線駅から離れた奥の方に位置しているらしいです。
こんなのが新幹線の駅前に広がっているなんて、この異常性は本当に面白い駅です。
野球スタジアム最寄り駅
福岡ソフトバンクホークスの球場と言えば、福岡PayPayドーム。筑後船小屋駅前には二軍・三軍専用球場があります。
中二階では周辺自治体の他、ソフトバンクホークスについても紹介がされていました。
西側にはHAWKSベースボールパーク筑後がありまして、そこの球場がタマホームスタジアム筑後です。
球場があるのは鹿児島本線を越えた、更に西側です。パークということでこっちも公園なんですね(笑)
在来線の踏切を渡って、線路の向こう側へ行くことになります。
新幹線駅からの二次交通
新幹線駅舎内には、赤い自転車が並んでいました。
在来線側にある筑後船小屋観光案内所が土祝日のみ営業のため、平日はみどりの窓口がレンタサイクル受付を請け負っているそうです。
駅前ロータリーからは西鉄バスも発着しています。
鹿児島本線と並行して、西鉄久留米駅までを結ぶ路線バスです。JR在来線が無く観光地の柳川へ繋いだら良いのではと思いましたが…。
そのような路線バスが無くても、やっぱり筑後船小屋駅の利用者は自家用車で来られる方が多いです。
地方の新幹線駅では欠かせない、駐車場が整備されています。
通常は1日600円のところ、JR利用者は400円。改札外に駐車券割引機が置いてあります。こういうのって改札内に置くと思うのですが、これで良いのでしょうか?
新幹線の停車本数は1時間に1本程度。朝夕にはさくら号も停車して便数が増加しており、それだけの需用があるということです。
在来線駅
在来線は新幹線の改札を出る必要があり、そもそも駅舎が別です。
新幹線と在来線の間にも公園らしい広場があり、「船小屋」にちなんだ船が置かれていました。
かつて、矢部川の河川工事用の平田船をしまう小屋がありました。住民は小屋番の監督下に置かれていたことから、「御船小屋」「石船小屋」と呼ばれたのが転じ、これが「船小屋」の地名の由来とされています。
見た目的には新幹線乗換駅に思えない、小さな駅舎です。その奥にあるのは自由通路ではなく、ホーム同士を繋ぐ跨線橋です。
その代わり線路下をくぐる地下通路があって、この先に先程の駐車場が整備されています。
あれだけ新幹線駅を広く作っておいて、観光案内所はこっちなんですね。
コンパクトな駅舎内、左側には待合室があって、改札はICカード読み取り機だけです。
新幹線とは別に窓口が営業しています。確かに営業時間は短いですが、新幹線側へ行けば問題ないのに十分良心的です。
駅周辺に何も無いことで注目を浴びる筑後船小屋駅。
もしかしたら新幹線運行上重要基地になるかも知れなかった、影に隠れた歴史を見られました。
車で新幹線駅へアクセスし、博多へ通勤する方もいらっしゃいます。普通の新幹線駅とは違い、狙って『駅周辺に何もない』を表しているのが面白かったです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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