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【なぜ赤字路線に増21号車!?】増結時の特急大雪に現る「謎の指定車」とは[史上最長片道切符の旅(97)]
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昨日はさっぽろ雪まつりを見るため、ルートから外れていました。
札幌の快活CLUBに宿泊しまして、特急オホーツクでルート上の旭川駅へ戻ります。
今回充当されているのは、183系気動車ではなく261系気動車ラベンダー編成。
これは北海道と国の支援を受け、北海道高速鉄道開発株式会社が所有し、JR北海道に無償で貸されている車両です。
函館本線を爆走しまして、旭川駅に到着。
これから乗車しますのは、旭川〜富良野を結ぶ観光路線、富良野線です。
現在使用されているのはキハ150系気動車。
2023年春のダイヤ改正で、新型車両H100形電気式気動車に置換えられることになっています。
富良野線でこの車両に乗るのはおそらく最後、純粋なディーゼルカーで富良野・美瑛の丘を越えます。
09:38 旭川駅 発
北都の名に相応しい立派な高架駅は、2011年に完成しました。
地上駅時代、富良野線ホームは旧旭川運転所を挟んで函館本線から大きく離れており、忠別川の原生林に面する別世界だったそうです。
長い地下通路を通る必要があったのですが、現在は全て同じ場所に並んで便利になりました。
旭川市街地を高架線で走り続け、しばらくすると忠別川を越えて美瑛川沿いへ宗谷本線から分岐します。
富良野線はJR北海道が単独で維持困難な線区として、黄線区に指定されています。
それでも旭川都市圏に含まれており通勤通学需用が比較的大きいことから、2021年度の輸送密度は960(人/日)でまだ良好な方です。
最初の停車駅は神楽岡駅。
路線バスも並行していまして、旭川駅周辺から市街地が続いています。
近くの国道には自動車屋さんが非常に多く見られまして、まさに都市郊外という感じ。
緑が丘駅は1996年に開業した新駅で、地元住民による請願駅でした。
実際この時も4,5人ほど下車されています。
1km離れているので冬は大変そうですが、北海道旭川工業高校、旭川医科大学の最寄り駅です。
すぐ西御料駅に停車、旭川南高校の最寄り駅で利用者も2021年の乗車人数も206(人/日)で多めになっています。
元々は国道側にホームがあったのですが、宅地開発により反対側に移されました。
旭川市街地はここで終わりまして、田んぼが広がる地域へ。
西瑞穂駅になると駅周辺は、民家が数軒見られる程度。2021年度の乗車人数も15(人/日)にまで減少します。
西神楽駅は1899年の旭川〜美瑛開通当時から設置された、歴史ある駅です。
辺別駅だったのですが語呂が悪いとして、当時の神楽村の西側にあったことから、1942年に改名されました。
旭川空港が位置する東神楽町というのがありますが、あちらは1943年に神楽町から分村したものです。
停留所型の駅が続いていましたが、ここは交換可能駅。
旭川〜美瑛は日中1時間に1本程度、朝夕は更に増えるためその時に活用されます。
列車は富良野線らしくなってきまして、雪原の中を駆け抜けます。
西の冠が連続する形で、西聖和駅。
「聖和」は「聖人の如く平和に暮らすことを願って」付けられたとされており、アイヌ語由来ではありません。
丘で見えなくなっていますが、左手の向こう側には旭川空港があります。
地味に空港最寄駅となっているのが、千代ヶ岡駅です。徒歩40分でかなり歩くためほとんど使われず、空港アクセスは旭川駅からバスがメインになっています。
ここ千代ヶ岡駅で列車の行き違いが行われました。
基本的に2両編成での運行ですが、かなり長い有効長がとられています。夏には長編成の「富良野・美瑛ノロッコ号」が走るため、現在でも必要な設備です。
列車は旭川市から美瑛町へ、最高速度85km/hで駆け抜けます。
その途中にある小さな駅が、北美瑛駅。
旭川市内にも多く見られた停留所型の駅は、気動車運行を開始した1958年に設置されたものが多いです。
丘を切り拓いて線路が敷設されており、美瑛らしさを感じさせられます。
位置関係的には、ぜるぶの丘、ケンとメリーの木、セブンスターの木など、美瑛で定番の観光地が点在する地域です。
多くの観光客を降ろしました、こちらは玄関口になっている美瑛駅。
1952年に建てられた新駅舎で、鉄筋石造の駅としては珍しい建物。美瑛軟石が用いられていて、少しピンクがかった優しい色合いが素敵です。
ここから富良野までは、列車の本数が半減する区間に入ります。
美瑛はアイヌ語の「ピイェ(油ぎっている)」に由来するとされます。
今渡っている美瑛川が、十勝岳から硫黄が溶けこんで濁っていたそうですが、「美しく、明朗で王者の如し」という意味も込めて、「美瑛」と当て字されました。
さて、列車はここから28.6‰のJR北海道最急勾配区間へ入ります。
巻き上げる雪で全く分からない状態ですが、まずはどんどん下っていきます。
そして唸り声を上げつつ一気に駆け上がる、まるでジェットコースターのようです。
近くの踏切からでも、その角度の凄まじさが分かります。
2019年に根室本線が被災した時には、民営化以降初めて貨物列車が走ったそうですが、よく通れたなと思ってしまいます。
美馬牛駅は、レンタサイクルで美瑛観光される方がよく使う駅。
鹿の出没で遅れていた反対方向の列車と行き違いました。
その後も比較的山の中を走りまして、住宅の点在する田畑の中へ出てきました。
10:37 上富良野駅 着
富良野へ急いでもそこから先進めないので、上富良野駅にて下車することにします。
ホーム上の除雪時に雪を飛ばせるよう、北海道でよく見られる千鳥型のホーム配置です。
上富良野町はラベンダーが有名ですが、冬はちょっと向かない場所かもしれません。
昨日泊まった快活CLUBにシャワーがなかったので、フラヌイ温泉に日帰り入浴。
源泉風呂は31℃でかなり冷ためですが、慣れればちゃんと浸かれる塩梅。加温されたポカポカ温泉も併せてしっかり温まれます。
12:27 上富良野駅 発
左手には富良野岳が見えており、雪原の中を駆け抜けます。
この時間帯ともなれば観光客で混雑してきて、路線観察はちょっと厳しかったです。外国人観光客もかなり戻ってきた印象、6割ほど占めていたと思います。
12:42 富良野駅 着
大荷物を持った観光客を吐き出しまして、ホーム上ではきっぷを提示するよう多言語の放送が繰り返されます。
富良野駅にはDF200形機関車が停車中。
夏には根室本線滝川〜富良野にて、ふらのベジタ号という貨物列車が走ります。
季節運行の臨時貨物であり、冬の間は空っぽのはず。
一方で富良野貨物駅は除雪されており、トラック輸送は行われているのでしょうか。
多くの観光客輸送を担う富良野線ですが、2023年春のダイヤ改正で全列車H100形へ置換えられます。
車内が少し狭くなるため、倶知安周辺のような混雑や積み残しが起こらないか少々心配ですが、新型車両があの丘を越えることは楽しみです。
キハ150については別の場所で活躍すると考えられています。一体どこで走るのか、非常に気になるところです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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