JR西日本 京都 奈良

【25年越しの複線化完了】JR奈良線ダイヤ改正で高速化! 最大の難所も[超快速(9)]

2023年3月2日

前の記事
【うめきた新駅から繋ぐ!】大都会の閑散ターミナルへ なにわ筋線計画[超快速(8)]

大阪市は「キタ」と「ミナミ」大きく2つの都市圏に分かれていまして、前者は梅田、後者は難波を中心にしています。 「キタ」に位置する大阪駅では2023年春にうめきたエリアが開業予定。これまで大阪駅を通って ...

続きを見る

近鉄王国と称され、JRはやや影の薄い奈良県。今日は高架駅のJR奈良駅に来ています。

乗車するのは京都駅と奈良駅を結ぶJR奈良線、両都市間の速達輸送を担うみやこ路快速です。

 

奈良線では複線化事業が行われており、先日京都〜城陽の複線化が完了したところ。

2023年春のダイヤ改正ではそれを活かしたダイヤが組まれ、より便利になります。



JR奈良線の複線化事業は20年以上前から始まっており、第一期と第二期に分かれています。

第一期複線化事業として2001年に完了したのが、京都〜JR藤森、宇治〜新田。

続いて第二期複線化事業が進められており、2020年12月に山城多賀〜玉水、2022年2月に新田〜城陽、2022年5月に六地蔵〜黄檗、2022年12月に黄檗〜宇治が複線化されています。

 

そして複線化事業最後の区間となったのが、2023年2月に行われたJR藤森〜黄檗。これによって第二期複線化事業が完了し、京都〜城陽の完全複線化が達成されました。

まだダイヤ改正前ですが、複線化が一段落したJR奈良線の様子を見てみましょう。



列車は奈良駅を出発しました。

列車の運行系統は奈良線として案内されますが、実際の奈良線の区間は木津〜京都だけ。奈良〜木津は関西本線を走っています。

 

関西本線については複線化されているため、向かいからも列車がやってきました。

 

木津駅を出発しまして、ここから単線の奈良線へ入ります。既に京都府に入っておりまして、奈良線は奈良県内を走らないことで有名です。

 

上狛駅で反対方向の列車と行き違い。こちらは一線スルー化された方を減速せずに通過していきました。

 

山を越えまして棚倉駅も一線スルー化された方を通過

通常の左側通行の法則に反していますが、それよりもスピードを落とさなくて済む速達性を重要視しています。

 

玉水駅では反対方向の列車と行き違います。向こうの列車は停まっており、こちらが通過するのを待っているところです。

 

ここで最初の複線区間、玉水〜山城多賀に入ります。

先程、反対方面の列車が玉水駅にて行き違い待ちを行っていましたが、この複線区間上でもすれ違えるため、ダイヤにゆとりが生まれているはずです。

 

複線区間はひと区間だけで山城多賀駅で終わり、単線区間に入ります。

ここだけ複線区間が孤立していますが、これは今乗車している、みやこ路快速の速達化が目的です。

 

今度は分岐側を走っているため、こちらがスピードを落として通過します。

 

奈良線の全通は1896年のこと、複線化事業で新しくなった所もありますが、煉瓦積みのトンネルなどにはその歴史を感じさせられます。

 

城陽駅の手前では、突如東京ビッグサイトみたいな門が現れました。これは現在建設中の新名神高速とのこと。

ここだけ道路が橋渡されているので、違和感でしかありません。



みやこ路快速は城陽駅に到着しました。

JR奈良線はここから先が全区間複線に。

京都〜奈良を速達化してお客さんを近鉄から奪うというのもありますが、京都〜城陽の輸送安定化、本数増便の方が大きな目的です。

 

城陽〜新田は2022年2月に複線化された区間。バラストの色にハッキリ違いが現れていますが、今走っている方が従来から存在した線路で、右側が新たに敷設された線路です。

 

新田〜宇治は2001年に複線化されている区間。

複線化前提のダイヤが既に組まれているため、JR小倉駅ではお互いスピード落とさずにすれ違いました。

このJR小倉駅は複線化と同時期、2001年に開業した駅です。



途中の主要駅となっている宇治駅に到着。

2面4線構造でお隣には普通列車が停車しており、緩急接続を行います。

 

宇治〜黄檗は2022年12月に複線化された区間です。

線路は途切れているものの、単線時代のポイントが残されています。

 

宇治川に架けられた橋梁を比べると、その差は一目瞭然。同じ路線とは思えない格差です。

 

京阪宇治駅の駅舎をJR奈良線が思いっきり横断。

この駅舎は南海特急ラピートをデザインした若林広幸によるものです。

 

その後、京阪宇治線はすぐに並走してきました。黄檗駅側についても、単線時代のポイントが残っている状態です。

 

黄檗駅にて反対方向の列車とすれ違い。ダイヤ改正前でまだ複線化前提のダイヤが組まれていないので、駅で運転停車しているところです。

 

JRと京阪で黄檗駅同士、ホーム上では目と鼻の先ですが、改札は離れていて乗り換えはちょっと不便になっています。

 

黄檗〜六地蔵は2022年5月に複線化された区間。こちらについては複線化当日に訪問して記事にしています。

関連
【JR奈良線複線化事業】 複線化された六地蔵〜黄檗の様子を観察

JR奈良線では京都〜城陽の区間を中心に、複線化事業が行われています。 (地理院地図を改変) 2001年複線化されたのが、京都〜JR藤森、宇治〜新田。2020年12月には山城多賀〜玉水、2022年2月に ...

続きを見る

 

公式な接続駅ではなく150m程歩くことになるのですが、京阪宇治線とJR奈良線の乗り換えには木幡駅が一番便利です。



ギリギリ京都市内に入れていないところ、地下鉄東西線の終着駅でもある六地蔵駅に停車。

駅周辺には高層マンションが立ち並んでおり、ここから京都中心部へ向けた通勤通学者が多いです。

 

六地蔵駅では改良工事が行われている最中で、エレベーターを設置してホーム幅も広げられます。

 

まだ入ることはできませんが複線化事業と並行して工事が進み、利用しやすい駅として2023年春にオープンします。

 

六地蔵〜JR藤森については、2023年2月に複線化されたばかりの区間です。

最後まで残っていただけあって、複線化が最も難しかったエリアになります。

 

こちらは複線化以前、2022年5月の状況。

木々の生い茂る山がすぐ近くまで迫っており、それに立ち向かう重機の様子が確認できます。

 

そんな山も複線化に際して切り拓かれ、右側に線路が敷設されました。

 

続いて2021年6月時点、山の縁に沿って走る単線ですが、今度は左側に新線を建設しているのが見られます。

 

この辺りはカーブが連続するのですが、それだけ厳しい地形ということ。現行の線路を維持したまま複線化するのは相当大変だったはずです。



桃山駅は元々2面3線だったのですが、バリアフリー化に伴い2面2線に。

かつては1番のりばが上下線退避ホーム、2番のりばが上り本線、3番のりばが下り本線でした。

現在は1番のりばが上り京都方面、2番のりばが下り奈良方面で単純化されています。

 

桃山駅では向こうの列車が運転停車していました。

行き違い前提でダイヤが組まれていますが、ダイヤ改正後はこの停車もなくっているはずです。

 

桃山駅を過ぎた先が、奈良線複線化の最難関。

先程は自然の地形に抗っていましたが、それに合わせた街や住宅が障害になります。

 

特にこのカーブについてはすぐ右側に住宅が迫っており、左側には道路がピッタリとくっついています。

 

こちらは2022年5月時点の写真。それでも何とか道路側に用地を確保して、線路を2本にするスペースを作り出しました。

 

単線時代は35km/h制限があったと思いますが、複線化後はそこまで速度を落とさずに走っていました。

 

奈良線複線化のトリに相応しい、難関工事の名残を色濃く残しています。



JR藤森を通過しまして、ここからは2001年に複線化されている区間です。

JRと冠についていることからも分かりますが、1997年に開業しており比較的新しい駅です。

 

既に敷設から20年以上経っていますが、何となくバラストの色に差が見られます。

 

稲荷駅は普通列車しか停まらない駅ですが、特に外国人観光客が沢山利用されます。

それでも遠近分離による旅客分散のため、快速列車を停める気配はありません。

 

次の東福寺駅では京阪本線と乗り換えが可能。京都駅の隣でありながら、最高種別のみやこ路快速まで全列車停車します。

 

一見古そうなトラス橋によって鴨川を渡りまして、終点の京都駅に到着です。

 

京都駅の奈良線ホームは3本と潤沢に用意されており、駅構内も含めて複線化されているので上下間のダイヤ制約を受けません。

 

現在、京都〜奈良を結ぶみやこ路快速は、京都→奈良を45分、奈良→京都を49分で結んでいます。単線区間の行き違い待ちが解消されることにより、2023年のダイヤ改正で44分へ5分の短縮を達成します。

朝時間帯には増発や運転区間延長も見られるため、利便性の向上が体感的にも分かりやすくなるでしょう。

 

国鉄時代は重要視されていなかった奈良線ですが、この複線化事業はJR西日本が奈良線で行った最大のテコ入れだと思います。

大きな通勤通学需用を安定した輸送で支える、そんな奈良線の姿が日常になることを期待したいです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

関連
私鉄に追いつけ!複線化工事が進む奈良線の進捗を見る(4)

  こちらはJR奈良駅、近鉄奈良駅とは異なって奈良市の中心部から少し外れています。   今回乗車するのは京都までを結ぶ奈良線の快速列車、みやこ路快速です。   奈良線は案 ...

続きを見る

鉄道コム

応援してくださる方は、クリックをお願いします! 鉄道コム

関連コンテンツ

タグ

パスケース

鉄道・バス等公共交通機関を利用した旅行の様子をご紹介します。交通機関のレビュー、車窓の解説が多いです。

-JR西日本, 京都, 奈良
-

Copyright© Pass-case.com , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.