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【なぜ赤字路線に増21号車!?】増結時の特急大雪に現る「謎の指定車」とは[史上最長片道切符の旅(97)]

2023年2月11日

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こちらは石北本線の北見駅。北見市は人口11万を有する道内でも有数の大都市を形成しています。

これから乗車するのは旭川行きの特急大雪。札幌・旭川〜網走では特急オホーツクと合わせて4往復特急が運行されています。さっぽろ雪まつりの期間で旅行需要が戻り、利用者が多くなってきました。

 

そこで今日は指定席を取った訳ですが、券面には何だか不思議な号車が印刷されています。

 

号車番号に注目してみると、その名も「増21号車」

新幹線でもありえないような番号の大きさ、一体この特急に何が起きているのでしょうか。



こちらは北見駅に特急大雪が到着する様子です。

キハ183系で運行されていますが、両数を数えてみても5両しかありません。

 

増21号車がどこにあるのかというと、2号車と3号車の間です。どうしてこのようなことが起きているのでしょうか。

 

石北本線の特急は基本的に4両編成で運行されています。しかし今回のような多客時には、指定席を1両増結して運行するのです。

 

増結可能な車両は中間車なので、どこかの間に車両を入れる必要があります。そこで選ばれたのが、分かりやすいグリーン車と普通車指定席の分かれ目である2号車と3号車の間でした。

しかし、ここに入れる車両を3号車にしてしまうと号車番号が1つずつズレます。特に4号車は運転席のある車両ではなく中間車になってしまいます。4号車運転席よりはかぶりつきシートとして発売しているため、発売する座席と実際の座席で大きな違いが生じてしまうのです。

 

そこで、増結車両に関しては1〜4の番号とは別枠で、「増21号車」として発売。これによって既に発売していた座席に影響を与えず、指定席を増やすことができます。

 

このような増結方法は、智頭急行の特急スーパーはくとでも行われていますが、あちらは「増2号車」でした。

「増21」は恐らく「増2-1」のように枝番から来ていると思うのですが、通常ではありえない番号にすることで車両位置に注目させているのかなと思いました。

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かつて札幌〜青森を走った急行はまなすでも、増21号車が存在していたそうです。



特急大雪は折返し列車遅れのため、30分遅れでの運行中です。

冬の北海道では遅れるのが当然という考え、鹿の衝突も日常茶飯事です。

 

無事北見駅にやってきた特急大雪、凹凸が浮き出る老体に差し込まれた増21号車へ乗り込みます。

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13:25 北見駅 発(33分遅れ)

北見駅を出発してしばらくは、左手に第三セクターふるさと銀河線の廃線跡と並行します。北見から池田・帯広を結んだ路線で、2006年に廃止されました。

 

その直後、石北本線は北見トンネルに入ります。

山がある訳ではなく、地下へ潜っていく形の都市トンネルです。鉄道による道路交通の分断を解決、地下化することで除雪の手間も省けます。

 

北見市は特に戦前、ハッカの栽培で栄えた街です。最盛期には世界のハッカ生産量の実に70%を占めていました。

 

北見駅の四季彩館で購入してきたのが、薄荷羊羹。

口に入れた瞬間は普通の羊羹と同じねっとり感に小豆の風味。しかし後からスーッとハッカ特有の香りが鼻に抜けてきます。

 

ひんやりとした爽快感とともに、列車は雪原上を駆け抜けます。

 

次の停車駅は留辺蘂駅。元々は留辺蘂町でしたが2006年に北見市が新設合併、北見市は北海道で最大の面積を誇っています。



金華信号場を過ぎると、石北本線を語る上で欠かせない常紋トンネルに向かいます。

元々金華駅だった建物には「常紋トンネル工事殉職者慰霊碑」と看板が掛けられていました。

 

まずはスノーシェッドに囲われた、スイッチバック方式の旧常紋信号場を通過。その後すぐに常紋トンネルへ入ります。

 

常紋トンネルが開通したのは1914年のこと、タコ部屋労働で掘削され、監督の指示に従わない労働者は、人柱として立てたという言い伝えがありました。

それが事実だと分かったのが、1968年の十勝沖地震受けて行われたトンネルの改修工事。頭蓋骨に損傷がある人骨が見つかったのです。

 

今このように列車が走れているのは、そのような過去の下。このことが忘れ去られないようにしてほしいです。



まもなく遠軽駅というところで、左手から線路が近づいてきました。

石北本線は遠軽駅で行き止まりとなっており、ここで進行方向を変えることになります。

 

お隣には261系ラベンダー編成が停まっており、行違いのため遠軽駅で待っていました。

 

巻き上げた雪が張り付く特急大雪。今度はこちらが先頭になって出発します。

 

遅れているのでかなり急ぎめ、2分ほどの停車ですぐに発車です。右手にはまるで山のように大きな瞰望岩がせり立ちます。

 

ここで号車についての放送が流れました。「増21号車」については「にじゅういち」としており、「にいち」ではありませんでした。

 

石北本線の中では貴重な、立派な構造物。湧別川ダムを右手すぐに見ることができます。

 

一部特急が停まる丸瀬布駅ですが、この便については通過しました。



列車は国を分ける峠越えのため、いよいよ山の中へ。

周りにはエゾシカが頻繁に見られて、列車も時々速度を緩めるようになります。見ている分には可愛くて良いんですが、列車の運行上はかなりの障害です。

 

右手には旭川紋別自動車道が見えてきました。遠軽ICまで自動車専用道として開通しており、特急列車は高速バスの脅威にさらされています。

 

石北本線では旧白滝駅が廃止されたのですが、同じように旧白滝インターチェンジも廃止されています。

自動車道建設中に白滝IC〜丸瀬布ICで遺跡が発見されたため、とりあえず途中に旧白滝ICを設置して2007年に旧白滝IC〜丸瀬布ICを開業。2009年に白滝ICまで開通したため、この出入り口は封鎖されました。



停車中の白滝駅から上川駅までは36.3kmあり、日本一長い在来線の駅間距離です。

これは途中駅がことごとく廃止されたためであり、この辺りはもはや特急専用路線と化しています。

 

列車の行違いが可能な、奥白滝信号場を通過。

かつては5駅連続で白滝が続くため白滝シリーズと呼ばれていたのですが、現在では白滝駅しか残っていません。

 

ここで北見国と上川国を分断する石北峠、4329mに及ぶ石北トンネルで貫きます。



上越信号場で停車し、快速きたみと行違いました。

石北本線は特急が少ないため、空白時間帯に旭川〜北見で長距離輸送を担う列車を運行しているのです。

 

札幌〜北見の高速バスは1〜2時間に1本間隔の9往復運行されており、JRはその利便性で劣っています。なるべくその差を埋めようとしているのが現状です。

 

深い山を越えまして、ようやく家が見えてきました。こちらは上川町の中心部です。



白滝駅から上川駅まで信号場はいくつか通過しましたが、40分以上ひとつも駅がありませんでした。

上川駅から層雲峡へバスが発着しており、特に紅葉の景色はとても綺麗です。上川〜旭川については、比較的本数が増える区間になります。

 

中愛別駅ではラッセル車と行違いました。

 

間にいる機関車は、富良野・美瑛ノロッコ号で使われています。ぽわぽわしたファンシーな機関車が、険しい赤い顔に挟まれている編成とは、かなりギャップがあって面白いです。



新旭川駅から宗谷本線へ入りました。

特急電車が入る車両基地があるため、架線が張られるようになります。

 

雪に包まれた高架線を走り、北海道第二の都市へ到着。最終的には44分遅れとなりました。

 

おそらく日本で一番大きな番号の号車。

今回乗車した183系は2023年春で引退するのですが、その直前に乗ることができてよかったです。



本来接続するライラック34号には乗れなかったので、次の36号に乗車。

これも特急大雪からの接続を待っていたため、発車時間を過ぎており急いで乗り換えました。

 

指定席は満席、グリーン席が1席だけ空いている状況。自由席のデッキは中々のものでした(笑)



史上最長片道切符の旅のルートは旭川駅までだったのですが、特急ライラックで札幌駅まで。

これは個人的な希望だったのですが、さっぽろ雪まつりへ行かせていただきました。

 

大雪像のプロジェクションマッピングは迫力があって、音楽と光の華やかさは精巧に作られた雪像のおかげです。

 

たくさん並べられた小さな雪像たちも、ひとつひとつ面白どころがあります。コロナ禍明け初めての雪まつり、北海道を代表するイベントに来られてよかったです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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