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【最北端の最終列車】北東パスで行く宗谷本線夜汽車の旅(稚内駅→旭川駅)[天北宗谷岬線(2)]
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JR北海道は2016年に単独では維持困難な線区を発表しました。輸送密度200未満の赤線区はバス転換を視野に入れるべきとされ、留萌本線は最後まで残った路線です。
(地理院地図を改変)
留萌〜増毛は2016年冬に廃止され、日高本線の鵡川〜様似が廃止されるまでは、日本一短い本線(50.1km)になりました。
そして留萌〜石狩沼田駅は2023年春、石狩沼田〜深川駅は2026年春に廃止される方向です。
やって来ましたのは、留萌本線が分岐する深川駅。
4年前、留萌本線の全ての駅を訪問し、このブログでもご紹介しています。
おそらく夏休みに乗車する計画を立てた方も多いでしょうから、深川〜留萌駅に乗車してなるべく詳しくご紹介できたらと思います。
LEDの発車標には留萌の文字。
途中駅を通過する便も多いですが、1日6往復運行されています。
列車は10:50頃に入線、4番線に停車中です。
キハ54が使用されており、0系新幹線から持ってきた転換クロスシートで非常に快適。ただし窓枠が合っていないところも多々ありますから、景色を楽しみたいなら早めに席を確保しておきましょう。
留萌方面なら進行方向左側の方が良いかと思います。
6番線ホームからは、一部の留萌本線の列車が発着します。
0キロポストは6番線ホームに刺さってました。
駅名標にはお隣の駅、北一已駅が書かれています。
函館本線の列車が到着すると多くの方が乗り換えてこられ、座席はほとんど埋まるくらいになりました。
平日の18きっぷ期間でこれなので、もの凄く混む訳ではないですが、土日になれば大分増えるでしょう
深川駅を出発しました。
留萌本線はワンマン列車での運行。途中で降りられる方の邪魔になってしまうので、後面展望でお送りします。
留萌本線は1910年に深川〜留萠駅が、1921年に留萠〜増毛駅が開業した歴史ある路線です。
留萌港は日本海側でも非常に栄えた港で、石炭や木材、ニシンなどの海産物を輸送する役割を担いました。
これらの輸送が無くなった上、過疎化やモータリゼーションの影響を受けた結果が現在です。
函館本線からは、すぐにカーブして分かれます。
函館本線に対して直角方向になったところで、直進することに。
右手遠くに見えてきたのは、深川第一病院です。
1950年から開業しており、2002年にはこの場所に、7階建ての大きな病院が出来上がりました。
右手に目を移すと、大きな貯蔵庫のサイロを有するカントリーエレベーターが見えてきました。
深川マイナリーという農業組合の施設だそうで、道内屈指の米どころである深川市を支えています。
最初の停車駅は、北一已駅です。
この駅舎は、1941年〜1956年に朱鞠内湖辺りでダム建設のために設置された、宇津内駅の駅舎を利用しています。住民が自ら解体し、90キロそれを運んで建設したのです。
この駅は住民の要望で1955年に開業した駅、それに対する思いは非常に強かったのでしょう。
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【廃止された駅舎を再利用!?】北一已駅の駅舎は深名線から持ってきた[初北海道の旅(19)]
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以前来た時、駅の正面にはそば畑が広がっていましたが、今年は作物を作っていない様子。1年毎に育てるものを変える輪作で、今年は休ませる年なのでしょうか?
深川市内にある留萌本線の駅は北一已駅だけ。
1日の乗降者数は2人程度ですが、深川市は留萌本線の存続を求めています。鉄道が廃止されれば、沼田町や秩父別町から深川への通学が難しくなり、両町から子供のいる家族が流出。深川市への通学生徒が少なくなることを危惧してと考えられます。
桜山公園を過ぎたあたりで、秩父別町に入ります。
その名の通り、深川市内の桜の名所として知られているそう。
留萌本線にトドメを刺した張本人、深川留萌自動車道と交差します。
深川JCT〜深川西IC〜秩父別ICは1998年、最初に開通しました。2020年には大和田IC〜留萌ICの開通により、全線が開通しています。
左手には道の駅 鐘のなるまち・ちっぷべつが見えてきます。
シンボルの展望台は秩父別町開基100周年を記念し、開拓当初使われた「屯田の鐘」にちなんで、鐘のついた100フィートの展望台が作られました。
秩父別駅は秩父別町の中心駅であり、綺麗な木造駅舎が残っています。ホーム上にはマリーゴールドが咲いていて、なんだか明るい気分になります。
すでに短いホームですが、端っこは立入禁止に。乗り降りするところの板は外されていました。
この列車はかつて仮乗降場だった、北秩父別駅を通過。
木造の待合室は倒壊の危険性があるそうで、立入禁止になりました。
列車は雨竜川橋梁を渡ります。
隣を走る道路たちの橋は新しそう、こちらはかなり大きな音を立て、古くからの鉄橋を渡ります。
1978年に架け替えられたという、5連続のトラス橋は非常に魅力的。三角形が連続したワーレントラスと呼ばれる構造で、一つの三角の中に垂直な柱がないのが特徴です。
家々が現れまして、沼田町市街地へ入ります。
留萌市内を除いて、自治体の中心駅周辺しか集落が形成されていないんですよね…。
石狩沼田駅は流石に大きめの駅舎が建っています。
1972年に改築されたもので、コンクリートの壁面はちょっと剥がれ落ちてました。
石狩沼田駅は簡易委託駅なので、きっぷの販売を行っています。ただし休業日も多いですから気をつけなければなりません。
向かいには島式ホームがあるのですが、脆くなったアスファルトを突き破って植物が繁茂するばかり。
駅舎改築と同時に跨線橋が設置されましたが、1994年に交換設備が撤去され、跨線橋もありません。
留萌本線は今後3年間、ここが終着駅になるということ。
一時的とはいえ本当に石狩沼田駅まで存続するとは、ちょっと信じられないですね。
かつて石狩沼田〜札幌駅では、札沼線が繋がっていました。
(日本語版ウィキペディアのLincunさん, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4855701による
以上を改変)
2020年春に北海道医療大学〜新十津川駅が廃止されたのは記憶に新しいですが、1972年には新十津川〜石狩沼田駅が廃止されています。
この区間は特に利用者が少なく、平行道路も整備されていたことから先に廃止対象になったのです。
線路沿いには農業倉庫が続きます。煉瓦造りの歴史を感じるものから、プレハブの新しいものまで様々です。
これに沿っていた道が、神社へ向かうようにしてカーブしていくのですが、それが札沼線の廃線跡に当たります。
沼田町もまた田んぼが多く、大きなサイロが立っていました。
真布駅は北秩父別駅と同じく仮乗降場から昇格しており、瓜二つの板張りホームと待合室です。
ホームが短いために、隣接する踏切を塞ぐことになっています。
恵比島駅は沼田町最後の駅です。
沼田町は恵比島駅までの存続を希望していましたが、どうやらそれは難しい様子です。
この駅はNHK連続テレビ小説『すずらん』にて、明日萌駅駅として登場しました。
駅舎に見える奥の建物は、皆さんの受信料の賜物です。
実際の駅舎は隣にある小さな建物。元々はよく北海道で見る貨車駅舎だったのですが、カモフラージュのために板が貼られ、ドラマではお手洗いの設定だったらしいです。
深川〜留萌・増毛では臨時列車SLすずらん号が2006年まで運行され、ドラマの世界を再現し続けました。
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【NHKの本気】連続テレビ小説のセットが立派すぎて、恵比島駅が霞んでいる件。[初北海道の旅(20)]
続いてやってきましたのは、恵比島駅です。 かなり駅名標が傾いていますが、もうひとつ、全く違う駅名標があります。 いもしあ…? これ、実際は右から読むので、明日萌あしもい駅です。アイヌ人も ...
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駅舎に囚われる恵比島駅ですが、ホームとは反対側にも注目していただきたいです。
ここ恵比島駅からは、留萠鉄道炭鉱線が分岐していました。草むらの奥に見えるのは、留萠鉄道の本社建物です。
沼田町内の恵比島〜昭和駅17.6kmを結び、石炭を留萌港へ運び出す役割をしていました。この路線は1971年に廃止、列車が発着していた島式ホームはその姿を留めていませんが、あの建物だけは留萠鉄道の存在を知らせてくれます。
恵比島地区から北東に向かっては幌新と呼ばれる地区がありますが、ここではヒグマによる獣害「石狩沼田幌新事件」が起きました。
1923年、恵比島地区で行われた祭りの帰りをヒグマが襲い、逃げ込んだ先の農家に侵入するなど、おぞましい事件です。このヒグマは体長2m、体重200kgにも及び、4名の死者、4名の重症者を出しました。
列車は恵比島峠を登っていきます。カーブが続いており、これによって勾配を10‰以内に抑えています。
こんなアーチを作っちゃって、JR北海道は最近ガーデニングに力を入れているようです。
最初のトンネル、秩父別トンネルを抜けました。
高原地帯を走っているような景色になり、峠のてっぺんまで来た様子。
峠下トンネル内でも勾配緩和のためカーブしており、すぐに入り口の光が消えてしまいます。
速度は50km/h、鉄輪による摩擦の少なさに耐えながら、じっくりと峠を走ります。
駅名がピッタリすぎる、峠下駅に到着。
ここは留萌本線内で唯一の交換可能駅です。
駅舎に掲げられた大きなJRマークが特徴。冬には除雪員さんがいらっしゃいます。
留萌まで開通した1910年から存在しており、蒸気機関車時代は恵比島峠に備える重要な拠点で、給水塔や貨物ホームもありました。
現在では周囲に民家も無くなり、秘境駅と化しています。
ここからのカーブは留萌川の流れに沿うことで、なるべく開けたところに線路を引いた結果です。
奥には深川留萌自動車道が見えています。
石狩沼田駅から峠下駅にかけては、留萌本線と別のルートを取っていました。ここから留萌駅まで並行し続けます。
2006年に廃止された東幌糠駅跡を通過。元は仮乗降場だった板張りホームだけの駅です。
列車は80km/hで高速のまま走行。
最高速度は90km/hなんですが、そんなに出すことあるんですかね…?
こちらは第四留萌川橋梁です。
ここから蛇行する留萌川を、橋梁で渡っていきます。
幌糠ICが見えますと、幌糠駅に到着。こういった小さな途中駅に相当するICも設置されています。
北海道でよく見る水色の貨車駅舎デザインです。
1986年に交換設備が廃止されており、右側の線路スペースがわかりますね。
幌糠駅周辺に重機が集まる会社を見ながら、第五留萌川橋梁を走行。
国道233号と交差する手前で、1990年に廃止された桜庭駅跡を通過しました。
藤山駅は木造駅舎が残っていますが、地面を見てみると基礎部分がむき出しです。
かつてはもっと大きい駅舎だったのですが、半分ぐらいに減築。その姿がここには現れています。
ここも交換可能だったのですが、1984年に棒線化。プラットホームは草で覆われていますが、バラストはなんとなく分かります。
今度は大和田ICが見えてきました。向こうの自動車道も新しいトンネルで山を貫いています。
大和田駅はホームと貨車駅舎がやや離れています。
多分元々の大きい木造駅舎だったら、不自然ではない距離感だったのでしょう。
下が透けていない、高所恐怖症対策タイプ(?)の第八留萌川橋梁を渡ります。
左側を走っていた深川留萌自動車道ですが、進行方向右側へ移ってきました。
列車はこれまでで一番大きい、留萌市の市街地へ入ります。
すぐ左手には留萌市立病院が現れました。
留萌市は沿線自治体で唯一、留萌本線の廃止に賛成の立場でした。これは深川留萌自動車道の整備に加え、こういった大きな病院、高校などインフラが市内で十分整っているからです。
留萌市にとって鉄道はもう完全に必要なく、高速道路を軸にしたまちづくりを進めています。
深川留萌自動車道は、ここ留萌ICで終わりです。
深川JCTから留萌ICまで49.0kmでした。
ここから羽幌方面へは国道232号が日本海沿いに繋がっています。札幌〜稚内を結ぶ高速バスは、道央自動車道、深川留萌自動車道、国道232号を通っていくのです。
ここで最後の留萌川橋梁シリーズ、第九留萌川橋梁を渡りました。
ゆっくりとホームへ入線していきまして、1時間の短いローカル線の旅が終わりました。
やはり観光客や鉄道ファンの方がほとんどでしたが、昼間でも地元の利用者さんが数人いらっしゃいました。
現在使用されているのは1番線だけで、跨線橋を渡った先の島式ホームには行けません。
2018年に訪れた時は普通に立ち入れたのですが…。増毛方面への列車が無くなって、棒線駅で十分なのですね。
先程車内から撮ったものですが、信号機にバツがつけられ、完全に使用されないようです。
羽幌線や留萠鉄道、天塩炭礦鉄道が分岐する一大ターミナルだった留萌駅。それが手放される日も近くなりました…。
ホーム上では函館駅の「旅立ちの鐘」みたいな音楽が流れて、出発の気分を高めてくれます。
折り返し時間は11分で、鉄道ファンが慌ただしく動き回っています。
列車がいなくなってその振動すら消えると、駅には静けさが戻ってきました。かつての光を失ってしまった留萌駅としては、正直この雰囲気が似合います。
みどりの窓口は8:45~16:20の営業。記念に切符を購入する方もいらっしゃいました。
駅待合室には立ち食いそば屋さんがあって、列車関係なく地元の方が頻繁にいらっしゃっていました。
有名なのが、にしんそば650円。ニシンの甘露煮とつゆが絶妙なバランスです。
他にも予約限定の駅弁、にしん親子弁当なんてのもあるそう。ぜひ狙ってみてはいかがでしょうか。
留萌までの鉄路は、今年最後の夏を迎えます。
チャンスも残り少なくなりましたが、留萌本線の旅を楽しむのに、参考になったなら幸いです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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