JR北海道 北海道

2022年秋に引退する281系特急 自由/指定/グリーン席全部乗る[18きっぷ空港駅(6)]

 

ここは渡島半島の付け根に位置する温泉地、長万部です。

函館〜札幌を結ぶ特急北斗が停車する駅で、北海道新幹線の駅も設置される予定です。

 

現在、特急北斗には2種類の車両が使用されています。

白い261系と青い281系、そのうち281系が今年10月で引退することが発表されました。

 

今回は最後の乗車として、自由席、指定席、グリーン席をそれぞれ見てみることにしました。



新幹線開業に向けて工事が進む駅周辺。

函館〜長万部は並行在来線にあたり、貨物列車のことを考えなければ廃止されるとも言われています。

 

7両編成の特急北斗が到着しました。先頭の方向幕はLEDでなく幕式、かつてはスーパー北斗の列車もありました。

 

3号車の指定席車両に乗車します。

車椅子座席がある号車のため、自動扉は両開きです。

 

JR北海道は指定席と自由席で座席が異なっており、指定席のほうがグレードが高いです。

 

分厚い座席に頭には可動式の枕。これから統一される261系と同じ座席です。



僅かなお客さんの流動の後、長万部駅を出発しました。

北側には倶知安方面へ向かう、函館本線が分かれていきます。

かつて広大な鉄道用地だった敷地を越えていく大きな跨線橋。現在この撤去作業が進められているところです。

 

長万部温泉へ行くのにこれが便利だったのですが、北海道新幹線工事のために撤去中。新幹線開通後はより元気になるはずですから、それまでの辛抱です。

 

キハ281系はカーブの多い特急北斗の高速化のため、1992年に開発した特急形振子式気動車です。

曲線部分を通過する際、車体を傾斜させることで高速走行を維持可能。気動車で初めて最高速度130km/hの営業運転を行い、函館〜札幌駅は183系気動車の3時間29分から、最速2時間59分までに短縮しました。

 

しかし、石勝線脱線火災事故を始めとしたJR北海道の安全に関する問題により、現在の最高速度は120km/hです。振り子を使って高速のまま線路を走行すれば、線路の痛みが早く、保守費用も増加します。

限られた資金の中で安全を最優先とした結果120km/hに引き下げ。その場合281系と261系の計2種類を1つの特急系統に入れている意味は無く非効率なため、今回261系へ統一することになりました。



室蘭本線は険しい峠道を越えるため、トンネル区間に入ります。3本目のトンネルを抜けた先で通過するのが、日本一の秘境駅小幌駅です。

トンネルとトンネルの間に置かれた貧相なホーム。山の中に位置する小さい駅です。

現在では観光地化されて、多くの方が足を運んでいます。

 

特急北斗が走るルートは、本州と北海道を行き来する貨物列車のルートでもあります。農業作物や出版物など、北海道の経済に欠かせない存在です。

 

しかし、北海道新幹線開通によって、長万部〜函館はJR北海道から経営分離されます。

貨物列車のために、沿線自治体が僅かな旅客しかいないこの路線を第三セクターで維持するのは困難。もっと大きな単位で、北海道や国がどのような方向性を示すのか注目されます。



前より2両の自由席車両を覗いてみましょう。

先程の指定席と比べて、簡単な作りの座席であることが分かります。大きな枕がなく、座席の大きさもなんとなく小さめです。

 

背面テーブルもひと回り小さく、700系新幹線と同じサイズ感。

 

足元には指定席では無かったフットレストが設置されています。

指定席と自由席で座席が異なっているために、指定席料金の+530円は着席保証だけでなく、座席自体にも価値があります。

 

次の停車駅、洞爺湖駅を出発しました。コロナ以前は台湾の方を中心に、外国人観光客にも人気でした。

2008年には洞爺湖サミットが開かれています。



かつて特急北斗では、事前に駅弁を予約しておけばホームで受け取りができるサービスを行っていました。

長万部駅はかにめし、大沼公園駅は大沼牛牛めしの予約が可能でした。

今回は長万部で降りている訳なので買いに行けましたが、ケチってコンビニで買っちゃいました。

 

以前かにめしは食べたことありますが、ふわふわのカニは本当に最高でした。

 

内浦湾の景色は室蘭本線からでも綺麗ですが、函館本線の森〜長万部がピークです。特急から海の景色を楽しみたいなら、そちらの方が良いでしょう。

 

室蘭市は鉄鋼業を中心とした工業が盛んな都市。海沿いには沢山の工場を見ることができます。

 

室蘭駅からの支線が合流してきました。札幌〜室蘭には特急すずらんが運行されていて、札幌〜東室蘭は特急北斗と特急すずらんによる2本体制です。

 

東室蘭駅は立派な橋上駅舎で、わたれーるという名前です。室蘭駅よりも東室蘭駅周辺の方が、大きな町が形成されています。

 

向かい側には、函館方面へ向かう特急北斗が停車中。

これからは全部、この白い261系に統一されるのですね。



東室蘭駅からはグリーン車に乗車。

デッキ部分には車掌室があって、中間車両からホームの安全確認を行います。

 

グリーン席は2+1で、座席配列が途中で反対になっています。

これは振り子車両でよく見られるもので、重心のバランスを取っているのです。

 

布張り座席で座り心地が良い座席。

グリーン座席って革張りのも見られますが、個人的にはこっちの方が包まれる感じで好きなんですよね。

 

指定席には無かったフットレスト。土足面と靴を脱ぐ面が分かれています。

 

背面テーブルは引き出す方式、若干正方形に近い形です。

 

各座席にはコンセントが備えられており、JR北海道の特急で充電したいならグリーンへという法則があります。

 

外側の肘掛けにはドリンクホルダー。輪っかを組み立てた後にちゃんと押し下げないと大変なことにやるので、気をつけましょう。

 

チケットホルダーも金属で、一つ一つ指定席との差を見せつけてきます。

 

プライベート感を作り出して包み込むような頭部分で少々分かりにくいですが、リクライニングは結構倒れます。

 

横から見てみればかなりゆったりしていることが分かるでしょう。

 

登別駅に到着。北海道を代表する温泉地であり、駅舎の壁も岩模様です。

 

特に登別地獄谷は非常に人気で、赤茶色の岩肌からは湯けむりがモクモクと立ち込めます。



白老駅の到着放送では、頭が混乱するような「ウアイヌコロコタン ウポポイ オルンパイエ クル アナシ シラヲイオッタ ラプ ヤン」という放送が流れてきます。

これはアイヌ語による放送で、アイヌ民族共生象徴空間ウポポイへはここで降りることを案内しているのです。

 

コロナ禍真っ最中の2020年春にオープン。鈴木知事の会見時、背景に聞き慣れないウポポイだらけだったのが注目されていました。

 

白老駅〜沼ノ端駅には28.7kmに及ぶ、日本一長い在来線の直線区間があります。

 

苫小牧もまた工業が盛んな都市。大きな煙突が線路のすぐ横に立っており、非常に迫力を感じられました。



苫小牧駅の先には、苫小牧貨物駅があります。

空の千歳に対して、海の苫小牧。貨物船が多数出港する港があるため、貨物駅もまた広大なものです。

 

苫小牧駅のお隣、沼ノ端駅から千歳線に入りました。

 

左手には国道36号と並走するようになり、その奥には新千歳空港の滑走路があります。

 

帯広・釧路方面から峠をトンネルで貫いてきた、石勝線が合流してきます。

 

新千歳空港駅から地下を通ってきた空港支線が、高架下から顔を出してきました。



南千歳駅に到着。

千歳空港が旅客輸送も担っていた頃、この駅は空港アクセス駅として千歳空港でした。現在は新千歳空港から各方面へ、特急に乗り換えてもらうターミナルの役割をしています。

 

JR北海道の特急といえば、昔から青色の特急をイメージしていました。この列車が引退してしまうのはとても寂しいですが、北の鉄路を守るのにあれもこれもという訳にはいきません。

積雪のある北海道という厳しい環境において、鉄道の強みをなんとか引き出そうとした頃。ぜひ当時の思いを感じながら、最後に乗ってみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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