東海道新幹線の最終列車が出た後、夜間移動する手段といえば夜行バス。
それらもほとんど出てしまった後、夜の東海道本線を走るのが寝台特急サンライズ号です。
本来なら東京〜高松・出雲市を結ぶ列車ですが、二大都市間の大阪→東京で利用される方も多くいらっしゃいます。
寝台個室で寝転がりながら深夜を駆け抜ける空間は唯一無二、近年特に人気を博している列車です。
深夜遅くからでも東京へ行ける便利な手段、初心者向けにも分かりやすいよう、乗車方法とその様子をお届けします。
サンライズを運行しているのはJR、主要駅にあるきっぷ売り場「みどりの窓口」できっぷを購入するのが主な方法です。
一方で、JR西日本のインターネット予約サイトe5489での予約も可能。
新規予約より乗り換えアプリのように、サンライズの時間に合わせて検索します。
ここで表示されるのが、特急サンライズ瀬戸と、特急サンライズ出雲。最初の画面ではノビノビ座席、シングルツイン(B寝台)、シングルDX(A寝台)だけが表示されています。
シングルやソロなど他の設備を選びたい場合、「この列車を変更」から選択できるようになります。
今回は特急サンライズ瀬戸(シングル)を選択。サンライズで最も多く設定されており、基本的な設備がシングル個室になっています。
あとは支払うクレジットカードを選択し、購入が完了です。
続きましてJR西日本の、みどりの券売機へ来ました。
大きめで緑色をした券売機などで、予約したサンライズのきっぷを受け取ることができます。
まずは「予約したきっぷのお受け取り」を選択。
続いて「JR西日本5489サービス」を選びます。
ここで予約時に支払ったクレジットカードを挿入。
登録している電話番号の下4桁を入力して、無事発券されました。
この通り見慣れた台紙に印刷されています、細長い寝台券が発券されます。
JRのきっぷは1ヶ月前の10時から購入可能です。今回は8月2日0時33分に大阪駅発ですが、基準は始発駅の高松駅を発車する日時。そのため7月1日10時に発売開始となります。
最近では人気なので1ヶ月前の10時ぴったりに窓口で購入した方が良さそう。一方で、乗車日直前のキャンセルも割と高い確率で拾うことができます。
さて、深夜0時を過ぎた大阪駅へやってきました。
これから出発するのは、寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号しかありません。
3分ほど遅れていますが、夜行列車は長距離走ることもあり、結構遅れがちなので注意が必要です。
自動改札機に通すのは、「乗車券」と書いてあるきっぷだけ。
細長いきっぷの「寝台券」は自動改札機を通れず、詰まってしまう可能性もあるので、通さないようにしましょう。
サンライズ出発直前の時間帯、桜橋口改札を進んで右側のセブンイレブンが0:30まで営業しています。
車内販売は無いため、食べ物など必要なら予め購入しておきましょう。
サンライズが発車するのは11番線ホーム。北陸方面への特急サンダーバードが出発するのと同じ場所です。
線路に向かって左側が瀬戸号で、右側が出雲号。東京方面の左側が大きい番号になります。
0:35頃、3分遅れで寝台特急サンライズ号が入線してきました。
大阪から利用される方がかなり多く、半分近く占めているのではと思うほど。
最近では人気が高まり、若年層の旅行者が多いです。
今回利用するのは、喫煙個室が並ぶ13号車です。
サンライズ出雲の6号車、サンライズ瀬戸の13号車が喫煙個室の車両で、他にもシングルデラックスやサンライズツインにも喫煙個室が備わっています。
入った瞬間はちょっと臭うかなという印象、気になる方は禁煙個室を選んだ方が良いでしょう。
そしてこちらが今回利用します、シングル個室です。
テーブルに足を向ける形で、十分寝返りを打てる広さ。一晩この空間に寝転がっているだけで、東京駅まで連れて行ってくれます。
レバーを奥までカチッと押し込んでから、鍵をかけましょう。
0:33 大阪駅 発(3分遅れ)
室内の電気を消しまして、駅の光だけが注ぎ込まれる寝台個室。
国内二番目の大都市である大阪のビルに包まれながらの出発です。
東海道・山陽新幹線の乗り換え駅である、新大阪駅については通過。
大阪から静岡までドアが開くことはありません。
それでは今回利用しています、シングル個室をご紹介します。
シングル個室には上段と下段があり、今回は下段。モーターの振動など伝わりやすいため初心者の方には上段がおすすめですが、室内の設備についてはほとんど変わりありません。上段か下段か選びたい場合、みどりの窓口で購入時にお願いすれば探していただけます。
シングル個室には2Aのコンセントが備わっており、パソコンやスマホの充電が可能。
下のブレーカーをONにしないといけないので、この点注意が必要です。
スリッパとゴミ袋も用意されており、個室内だけでのんびり過ごせちゃいます。
プラスチックのコップもあって、晩酌的な雰囲気を味わうことも。
コントロールパネルでは、室内の照明やアラーム、足元ヒーターなどの調節が可能です。
常夜灯と室内灯に分かれていて、テーブルのみ点灯させることもできます。
深夜1時前、車掌さんがドアをノックして検札にいらっしゃいました。
乗車券と寝台券を見せる必要があり、すぐ眠ってしまわないよう注意しましょう。
今度は10号車のラウンジへやってきました。
フリースペースになっていまして、個室と反対側の景色を楽しんだりできます。
こちらにはシャワー室があって、列車内でシャワーを浴びることも。
利用には車内の販売機で、シャワーカード(330円)の購入が必要です。
ただ最近ではサンライズがかなり人気になっており、始発駅の東京駅、出雲市駅、高松駅で並んでいないと買えない場合もしばしば…。大阪駅ではこの通り、売切のことがほとんどです。
以前シャワー室を利用した時の素材を使ってご紹介。扉を閉じたら鍵を掛けて、シャワーカードを入れます。
これでシャワーを使える状態になりました。
ここで鍵を開けるとシャワーを使えなくなってしまうので、注意が必要です。
シャワーの水が出る時間は6分間。緑色のボタンを押すとお湯が出て、赤色のボタンを押せば止まり、利用可能時間のカウントダウンもストップします。
使わない時はお湯を止めておけば安心ですが、女性の方など短く感じるかもしれません。
シャンプーリンスとボディーソープが置かれているので、わざわざ持ってくる必要はありません。
6分使い終えると、「カードを入れてください」の表示になります。
最後に洗浄ボタンを押しまして、水と風でシャワールームを綺麗にしてもらいます。この風の音がかなり大きいので、初めての方はびっくりするかもしれません。
ドライヤーもありますが、かなり風力が弱いので根気よく乾かす必要があります。
どうしてもシャワールームには水滴が残ってしまいますが、脱衣所くらいは拭いてから外に出ておきたいところです。
シャワー室の向かいには自動販売機があって、飲み物の購入は車内でも可能になります。
個室内へ戻ってきまして、深夜の東海道を堪能。室内の照明を落とせば、ありのままの夜景を楽しめちゃうんです。
北陸特急サンダーバードが寝込んでいる京都の車両基地横を通過。旅客列車がほぼ走っていないからこそ、沢山停まっている様子を見られます。
京都駅には停車せず、そのまま通過していきます。サンライズに乗るには、大阪まで少し戻らなければなりません。
それではそろそろお休みの時間。
枕と掛け布団の他に、浴衣まで用意されています。
わざわざ寝巻きに着替えることもできちゃう、ビジネスホテルと変わりありません。
掛け布団に関しては、毛布をシーツで挟んでいる形です。
A寝台のシングルDXのみ、羽毛布団になっています。
それでは毛布に潜り込みまして、おやすみなさい…。
ふと目を覚ましまして、名古屋駅を通過しているところでした。
ここまで大きな駅なのに通過してしまう、特別な体験です。
サンライズに乗ると保線作業の様子も目に入り、鉄道の日常を支えて下さっている方への感謝が湧いてきます。
まもなく岡崎駅を通過するところで、突然の緊急停車。
2:55から5分ほど停まっていましたが、特に問題なく走り始めました。
大阪駅以来、最初の停車駅がこちらの静岡駅です。
夏だったので日が昇りかけ、ここで下車される方も5人ほどいらっしゃいました。
茅ヶ崎を通過しているあたり、6:25頃に朝の放送が流れてきました。
東京駅で下車するならアラームを設定していなくても、大抵この放送で起きることができます。
6:45、横浜駅に到着しました。次は終点の東京駅です。
洗面所やお手洗いなど、新幹線並みに沢山用意されています。夜行バスと違って、朝の身支度も完璧にできちゃうのが良いですね。
東海道新幹線のぞみ号が全て停まる品川駅は通過、朝ラッシュで緊張感ある東海道を、堂々走り抜けます。
そう思っていたら東京駅を発車した東海道新幹線が、新大阪方面へ走っていきました。進行方向右手だと、朝走り始めたばかりの新幹線を堪能できるのが良いですね。
ここで国鉄時代の復刻塗装を施した、普段はここを走らないE653系K70編成とすれ違い。
この日は長岡まつり大花火大会の開催日。横浜から長岡へ臨時列車が走るため、その送り込みだったみたいです。
JR東日本のカラフルな新幹線たちを目にしつつ、終点の東京駅に到着しました。
7:08 東京駅 着
完全に横になれる上、個室ならではのプライベート空間に寄る快適性。夜行バスと比べて、圧倒的に高いものです。
大阪駅からの所要時間は6時間半ほどで、あっという間に着いてしまいます。
初心者の方の使い方として、出雲市や高松を観光した後の、帰宅に利用するのがオススメ。やはり寝られるかどうかは人によりけりなので、この利用方法が一番安心感があると思います。
いつでも気軽に乗れる夜行列車は、日本で唯一コレが最後。
ぜひこちらで思い出に残る、特別な旅をしてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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