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【日本一長い列車】定期寝台特急サンライズ出雲 上段シングル乗車記[一週間サンライズ(6)]

2023年8月20日

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【昼まで走る寝台特急】臨時サンライズ91号 東京〜出雲市15時間乗車記[一週間サンライズ(5)]

  国内最後の定期寝台特急サンライズ出雲号、終点の出雲市駅には午前9時に到着します。 しかし、今回利用する臨時サンライズ出雲91号は、出雲市駅に13時の到着。東京駅から実に15時間も乗り続け ...

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ここ2日間、臨時サンライズ出雲91・92号で出雲市〜東京を往復してきました。

13時に出雲市駅に到着しまして、今回乗車するのは定期サンライズ出雲号。出雲市駅の出発は18:55、今日はサンライズ漬けの一日です。

 

サンライズ出雲の運行時間は12時間13分、定期列車では日本最長の運行時間を誇ります。

特別な空間を提供してくれる寝台特急の旅、毎日でも楽しめる憧れの旅を存分にお届けします。



いつものモスバーガーにいましたが、出発時刻の1時間ほど前。やってきたのは出雲市駅前らんぷの湯です。

サンライズのシャワーカードが売り切れるのはいつものこと。列車内で浴びることにそこまでこだわりが無くなったので、乗車前に浴びてしまいます。

 

サンライズ出雲では車内販売が無いので、あらかじめ食べ物など買っておく必要があります。ここでおすすめしたいのがローソンポプラです。

ポプラは中国地方が本拠地の地方コンビニ、関東でも見られましたが近年ではローソンに吸収されています。

しかし、この店舗ではポプラの色を今でも残しているのです。

 

出雲市駅高架下にあるセブンイレブンも便利ですが、せっかく山陰に来たのなら現地の日常を味わいたいものです。

 

発車標には18:55東京の文字。山陰地方の果てに最大の都会が表示される、この地方の人々にとって特別な存在であって欲しいです。



出雲市駅2番線ホームに入線。

これがかなりギリギリで、出発時刻7分前の18:48に入ってきます。

夏なら夕焼けがバックになり、茜色とクリーム色の車体が映えまくりです。

 

ホームにはシャワーカードの行列ができており、始発駅の時点で売り切れ必至です。車内でシャワーを浴びる体験をしたい方は、入線5分前には並んでおいた方が良いでしょう。

 

一面広がるオレンジ色の空は高架ホームのおかげ、そこに佇む寝台特急の存在感は何とも言い難いです。

 

ちょうど空にはライバルの航空機がやってきました。出雲縁結び空港へ着陸するようで、おそらく福岡からやってきた日本エアコミューターと思われます。

 

今回利用するのはシングル上段個室、7号車なので一番前の車両でした。

お盆の時期ということで親族一緒に乗車されている方も多く、いつもと違った車内が微笑ましいものです。



18:55 出雲市駅 発(7分遅れ)

数分程度遅れましたが、無事に出雲市駅を出発です。通路からは元気な子供たちの声が聞こえ、この特別な列車を楽しんでくれているのが嬉しくなります。

 

ここ数日3回サンライズで渡った斐伊川、今回の旅ではこれが最後です。

自動放送が流れまして、なぜか既に名残惜しさを感じています。無意味に東京と出雲市を往復した人にしか共感してもらえない感情です。そんな人いない。



ところで温泉を出た後ガリガリ君を手にしており、いつの間にか買っていたのですが…

夏の暑さを舐めていました。いくらエアコンが効いているとはいえ、ハズレ棒がおみくじのようにスルッと抜け落ちてしまう事態です。

形はとどめてくれていたので、四角い袋入りかき氷としていただきました。

 

次の停車駅は宍道駅です。駅前には新しそうな建物、しんじ公民館がありました。

ここ「くらしステーションしんじアルイネ」では若者グループがイベントを開催したりと、地域住民の拠点になっています。

 

宍道駅を出発したあたりで、車掌さんが検札にいらっしゃいました。

 

そして宍道駅を発車したら、進行方向左側を見るほかありません。

どんどん彩度が落ちていく宍道湖、その中で黄色い夕焼けが顔を覗かせます。雲が地平線まで迫っているおかげで、輝きが一層増して見えました。



さて、出雲市駅近くのローソンポプラで買ってきたのがこちら。

ラップで黒い容器が包まれていますが、ビーフカレーです。

 

ポプラには「ポプ弁」という商品がありまして、レジに持っていくと炊飯ジャーからご飯を詰めてくれます。

 

ルーをかけて完成。もちろんご飯はホカホカで程よい温かさ、ピリっとしたカレーとマッチして非常に美味しいです。

 

カレーだけではなく、唐揚げ弁当や鮭弁当などもあります。これらなら匂い的に特急やくもなどでも食べられると思いますので是非。

 

電気を消して宍道湖を見ながらカレーというのが、完全に動くホテルです。

 

ビアへるん・縁結麦酒スタウトをいただきました。黒ビールのイメージに反し、比較的スッキリした味わいです。

松江で「へるん先生」と親しまれていた明治の文豪・小泉八雲が由来になっています。

 

乃木駅で停車中の特急スーパーまつかぜ9号益田行きとすれ違い。

自治体が出資して高速化工事された山陰本線を、わちゃわちゃ車体を揺らしながら飛ばしていきます。



遂に宍道湖とお別れの時、山陰最大都市の夜景に迎えられました。

湖の向こうには松江城があって、その周りに城下町由来の明かりが広がります。松江駅は大橋川を挟んで南側に位置しており、本当の中心部からは少し外れた形です。

 

松江駅を出発する時には、帰省してきた家族を見送るおじいちゃんおばあちゃんの姿も。

新幹線ホームではよくある光景ですが、それが寝台特急でも見られて、一つの手段として定着しているんだと感動しました。

 

空の割れ目にあった太陽の鼓動も遂に絶え、明朝東海道までお別れです。

 

揖屋駅でやくも21号と行き違い、夜の山陰本線を駆けていきます。

 

安来駅に到着し、遂にここ4日間お世話になった島根県を離れます。



鳥取県では唯一のサンライズ停車駅、米子駅に到着しました。

ゲゲゲの鬼太郎の作者水木しげるさんの出身地、境港へ向かう境線が分岐します。

新駅舎になっても残るレトロな跨線橋を目にしなければ、山陰を発つことはできません。

 

反対側ホームに止まっているのは、鳥取発米子行きの特急スーパーまつかぜ11号です。

寝台特急サンライズ出雲に接続しており、鳥取県沿岸部の町からでもサンライズへ乗り換えられます。実際米子駅から乗車する方は結構多いです。

 

日野川を渡る時には、王子製紙米子工場の夜景が輝いていました。煙まで見られるほどの眩い光、元気な山陰の姿です。

 

伯耆大山駅から伯備線に入りまして、山陽地方へ南下します。

貨物列車が来るのはここまでで、先ほどの王子製紙へ専用線も伸びています。

 

伯耆溝口駅で特急やくも23号と行き違い。

 

そして江尾駅では普通列車がサンライズの通過を待っていました。

あちらからサンライズ出雲を見送り、乗りたい気持ちが最高潮になったこともあり、おそらくそうなっている18きっぱーが今もいらっしゃることでしょう。



トンネルを抜けまして、鳥取県から岡山県へ。

生山駅で特急やくも25号と行き違いました。

出雲市行きのWEST EXPRESS銀河がここで停車し、物産品などの販売が行われます。

 

秘境駅としても知られる布原駅で、特急やくも27号と行き違い。夜なので分かりづらいですが、国鉄復刻編成です。

 

伯備線のちょうど中間地点、新見駅に到着しました。

特急街道とはいえローカル色強い、伯備線はまだまだ続きます。



サンライズ出雲上り便の伯備線は真っ暗です。

しかも部分的に電波が通じないところもあるので、寝ておくのが正解に思います。寝台個室の生活を存分に楽しみましょう。

 

備中高梁駅に到着しました。2015年からサンライズ出雲の停車駅に追加されたのですが、正直利用者は見たことがありません。

いつかサンライズでここを利用してみたいですね。

 

ここからは岡山の鉄道ネットワークに入り、複線区間ですがまだ沿線暗いまま。景色は楽しめないので、寝ておくことになります。

 

倉敷駅に到着。ここからは山陽本線に入ります。



岡山の車両基地横を通過中、チャイムが鳴って到着放送が流れます。

黄色い電車たちが集まる真横を通過していきました。

 

デビューしたばかりの新型車両Uraraへ、完全に置き替えられる日も近いのでしょうか。

 

ここで、岡山駅にて連結作業が行われることが案内されました。

 

信号待ちのためしばらく停車。真横をサンライズ瀬戸号が通過していきまして、5分遅れで岡山駅に到着します。

サンライズの中からサンライズを見る、なかなか珍しい体験かできました。

 

そのままゆっくり岡山駅構内へ、Uraraが停まる宇野線ホームで一時停止しました。

 

ここで山陽本線のUraraともすれ違い、もう完全に日常となっている状況です。

 

反対側ホームには、連結の様子を撮影していらっしゃる方も。第2夜でサンライズ瀬戸号に乗った時、あの中に混ざって撮影していました。

 

ここからはサンライズ瀬戸・出雲号として東京へ向かいます。



22:34 岡山駅 発

自転車解体場が設けられた、5番線ホームを横目に出発。瀬戸内地区の観光列車、ラ・マル・ド・ボァが来る場所で、尾道や直島などサイクリストのお客さんをターゲットにしています。

 

サンライズは山陽本線を走行。しばらく山陽新幹線の高架橋が並行しますが、東岡山駅から分岐する赤穂線を並行するように変わります。

 

しばらく待っていたら、山陽新幹線が追い抜いていきました。本当に夜を貫く光の矢です。



岡山駅で前寄りに連結されたサンライズ瀬戸号、四国の空気を積んだ車両へ移動することもできます。

岡山まで締め切られていた自動扉、手をかざすと開きまして…

 

運転士さんが運転台へ登る空間です。さらに貫通扉の取っ手を引く形に。

 

連結部は引き伸ばされたZみたいになっています。安全面から、あまりこの場所に滞留しない方が良いです。

 

これでサンライズ瀬戸号へ来られました。

空いていれば出雲号のシャワーカードが売り切れていても、瀬戸号なら売れ残っている場合もあります。



山陽本線もまただいぶ山の中を走っています。

特に三石峠は中国地方と近畿地方の境目。12.8km駅も作られないようなところです。

 

久しぶりの駅、上郡駅を通過しました。

2006年〜2010年はサンライズ号も止まっていたのですが、ホーム長が足りず前後3両ずつドアカット扱いをする必要があり、現在では通過になっています。

代わりに上下列車共に特急スーパーいなば号を岡山駅で接続し、サンライズの割引きっぷを発売する対応が取られました。

 

5分ほど遅れて、相生駅を通過しました。東岡山駅で別れた赤穂線が合流します。



関西のアーバンネットワークに入ると、明らかにこれまでより街の明かりが強いです。全国どこでも同じ東横インの光すら、ワンランク上な気がします。

遂に私鉄網もここまでやってきまして、山陽電鉄と直交しました。

 

そして播但線・姫新線ホーム越しにはライトアップされた姫路城。その白さから白鷺城と呼ばれ、もはや発光しているかのようです。

 

完全に時間が経つのを忘れていましたが、時刻は23:33。列車も徐々に終わりへ近づいており、構内に回送列車が留置されるようになりました。

 

播磨地域の中核都市、加古川駅を通過。丸亀製麺創業の地として知られています。

 

高架駅からは加古川線が分岐しており、阪神淡路大震災の時には山陽本線の迂回ルートとして機能しました。それを機に電化されたのですが、現在では赤字ローカル線として北側は存廃も視野に入っているレベルです。

 

西明石駅を通過し、ここからは120.9kmの日本一長い複々線区間。と言ってもこの時間では追い抜く列車もありません。

少々遅れておりこの時点で0時を迎え、明石駅を通過しました。



定刻通りならサンライズからでも、ライトアップされているはずの明石海峡大橋。土祝日と特定日は0時消灯ですが、今日は見られませんでした。

逆にいえば淡路島の明かりが闇に浮かんでおり、橋がなければ完全な離島なんだと思い知らされました。

星空は新月の方が綺麗に見られる、そんな話を思い出します。

 

六甲山地が迫るこの辺りでは私鉄とJRが海沿いに押し込まれています。ちょうど山陽電鉄とすれ違いました。両数が短いのでJRじゃないとすぐに分かってしまいます。

 

0:11、看板のカラフルさから賑やかな様子が伝わってくる、三ノ宮駅に到着です。この後大阪駅到着を見ることなく、寝落ちてしまっていたようでした。

この記事を書いてて初めてそのことに気づくっていう(笑)



目を覚ましたのは富士駅に到着した頃。5:09の到着です。

製紙工場の煙突が林立する富士市。貨物輸送も行われており、JR貨物の富士駅が隣接しています。

 

5:25、沼津駅に到着です。ここまで乗り入れてくるJR東日本の通勤電車も見えてきました。



そしてまもなく三島駅を通過しようという頃、左手には見覚えのあるシルエットが姿を現しました。

日本の象徴とも言うべき最高峰、富士山です。

手前の愛鷹山からひょいと顔を覗かせているみたい。

 

穏やかな朝焼けに迎えられ、深く青い山色をしています。

 

東海道新幹線停車駅でもある、三島駅を通過。

もう普通列車も走っている時間帯、早朝から動き出す人々がいらっしゃいます。

 

いよいよ太陽もお目覚め、空も生気を取り戻しました。

 

東海道本線最大の難所とも言える、丹那トンネルへ突入です。



5:43、熱海駅に到着します。

山が迫るギリギリのところに東海道新幹線のホーム、そして手前には東京と伊豆を結ぶ特急踊り子がいました。

 

熱海駅を出発するとしばらくは相模湾を見下ろせる区間。夏サンライズに乗ったなら、この素晴らしい朝焼けを見逃すわけにはいきません。

 

その光を受けた住宅街や温泉街なども注目すべきもの。新たな一日が街に吹き込まれる、そんな瞬間を目の当たりにできます。

 

東海道本線では一番海が近いとされる根府川駅を通過、柵の向こう側は海と空が広がるのみです。

 

早起きしてお腹が空いてきました。昨日ローソンで買ってきたメロンパンと、車内自販機のコーヒーをいただきます。



まもなく小田原駅を通過する頃、何の気なしに箱根登山線の線路を撮っていたら…。

なななんと向かい側からVSEが来ました!!

2022年に定期運行を終えて、現在は団体列車などでのみの運行。まさかサンライズから見られる機会があるとは、もう感動するしかありません。

 

どうやらこれは夜通し運転ミステリーツアーで、VSEの夜行運転が行われていたみたい。おそらくサンライズの通過時刻に合わせて走らせたと思われ、粋な計らいにこっちが涙しそうです。

 

小田原駅を通過しまして、もちろん小田急線の通勤電車もいます。

ここからサンライズはラッシュを避けるため、小田原〜茅ヶ崎で並行する貨物線を走ることに。進行方向右手であれば、ホームの無い線路を走っているのが分かるはずです。

 

箱根の山々を迂回してきた御殿場線がやってきて、この時には富士山もいらっしゃいました。

明治の東海道本線では先ほどの丹那トンネルが掘削されておらず、この御殿場線を走るルートでした。

 

貨物線ということで、相模貨物駅の近くを通過。

コンテナの向こう側には島のように独立した低い貨物ホームがあって、いつも見る旅客ホームとは違った姿が面白いですね。

 

いよいよ貨物線の走行が終わります、茅ヶ崎駅を通過です。

ここから北上する相模線が停車中、この水玉顔もサンライズから見られるようになりました。

 

6:24藤沢駅通過あたりで、おはよう放送が流れました。横浜駅到着の20分ほど前です。

 

今度は電子レンジ顔、こちらを見ると首都中心部の香りがしてきます。



6:44、横浜駅に到着しました。

静岡県内にも停車していましたが、ここからサンライズも目覚めたって感じがします。

 

多摩川を渡りまして、東京都へ。

今日は進行方向左手のため京浜東北線の橋梁が目の前にあり、河口側で開けている反対側とはかなり印象が異なります。

 

京急線も走っている品川駅を通過。東京にしては青空が広い、高輪の開発地区を眺めるのも良いです。

 

ビルの隙間から東京タワーや国会議事堂などスッと抜き取るように観光しつつ、朝ラッシュの通勤電車を縫っていきます。

 

遂に丸の内駅舎に迎えられまして、終点の東京駅に到着。

それにしても京浜東北線と一緒に入線する光景も見慣れてしまいましたね。



7:08 東京駅 着

この人まーた浴衣使って無いです、寝落ちばっかり。

まあ、それだけ快適な車内空間ということで…。

 

出雲市から12時間13分の旅、毎日走る定期列車ではこれ以上長い時間走る列車はありません。

 

特別な空間で夜通し列車に揺られる、寝台特急サンライズ出雲の旅。

ぜひ当たり前に走っている今のうちに、乗ってみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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