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【幻の九州横断観光鉄道】高森〜高千穂の未成線バス 湧水トンネルの先へ[2307南阿蘇再開(6)]

2023年7月26日

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2016年の熊本地震で被災した、九州の真ん中を走る南阿蘇鉄道高森線。 同年7月に中松〜高森で運転再開しましたが、他路線と接続しない完全な独立路線のままでした。   それが本日2023年7月1 ...

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2023年7月15日、熊本地震で被災した南阿蘇鉄道が7年ぶりに全線復旧を果たしました。

JR豊肥本線の立野駅から、カルデラの南側へ入り込む路線。現在終着駅は高森駅ですが、元々は県境を超えて宮崎県まで繋げられる予定でした。

 

宮崎県側にも延岡駅から高千穂駅を結ぶ高千穂鉄道があったのですが、2005年の台風14号による被災で、2008年に全区間廃止されています。

現在では廃線跡上を高千穂あまてらす鉄道によるスーパーカートが走っており、大きな人気を博しているところです。

 

本来なら繋がるはずだった南阿蘇鉄道(旧国鉄高森線)と高千穂鉄道(旧国鉄高千穂線)。この未成区間を結んでくれるバスで行って見ることにしました。



ここは南阿蘇鉄道の終着駅、高森駅です。

線路はしばらく真っすぐ進んできたのですが、終点直前でクルンとカーブしています。

 

高千穂方面へ延伸する時には、線路を付け替えてまっすぐ伸ばす予定でした。

しかし、延伸まで時間がかかりそうなこともあり、線路をカーブさせて町の中心部に高森駅を設置。延伸を果たした時に駅を移転させる計画だったようです。

 

そして今回の南阿蘇鉄道全線開通に合わせて、このカーブあたりに新駅の高森湧水トンネル公園駅が開業する予定でした。

 

しかし、結局それは見送られて駅は設置されていません。

その高森湧水トンネル公園は、まっすぐ走ってきた線路の延長線上にあります。



旧国鉄高森線と高千穂線を結ぶ工事は、1973年12月に着手されました。

しかし1975年2月、トンネル工事中に大量出水に見舞われ、その後も出水事故が連続しました。これにより鉄道建設工事は中断してしまったのです。

ここ高森湧水トンネル公園はその跡地で、長さ2055mのトンネルからは常時毎分32トンの湧水量があるといいます。

 

熊本県阿蘇地域は水源に恵まれており、いろはすや天然水の採水地としても、地域によっては「南阿蘇の〜」というのを目にします。

それゆえにトンネル掘削はかなり困難だったようで、鉄道で結ぶことは叶わぬ夢になってしまいました。

 

現在では高森町の観光地となっており、駐車場にも多くの車が停まっていました。トンネル内から漏れ出る冷んやりした空気が、汗だくの体を癒してくれます。

 

入り口部分には「1977-1」と刻まれており、行き止まりになってしまったトンネルの無念さを物語っているようでした。

一方で今では公園としての役割を全うしており、間抜けに口を開けたままの蛙がその感情を塗り替えてきます。

 

トンネル内「湧水館」への入場料は300円です。

今回は時間的に厳しかったので断念しましたが、イルミネーションやウォーターパールなどを楽しめるみたい。



南阿蘇鉄道の終着駅、高森駅へ戻ってきました。

全線運行再開当日とあって、イベントを行っている駅周辺は非常に賑やかです。

 

高森駅は2023年4月28日に新駅舎がオープンし、白を基調にした清潔感あふれる建物になりました。グッズも豊富な売店も併設されています。

 

一方でこちらが旧駅舎、まさに国鉄から分離されたローカル駅の雰囲気を纏っています。

 

列車の停車位置も立野寄りに変わっていまして、プラットホームは真っ白に整えられました。

 

線路の延長線上には車庫があって、JRへ直通できる白いMT8000形気動車の隣に、トロッコ列車ゆうすげ号が停車中です。

前述の通りこの先に続くかもしれなかった…というわけではないのですが、永遠の終着駅になってしまったのも少し寂しく感じます。



高千穂方面へのバスに乗車するため、高森中央のバス停へ向かいます。

高森駅からは歩いて5分ほど、高森町観光交流センターに隣接しています。

 

出店していたキッチンカーで、タコスを買ってきました。

深夜3時発の特急きらめき号を撮影してから何も食べていなかったので、ピリピリした辛さが細胞に染みていくようでした。トマトのまろやかな甘さもピッタリです。



高森中央バス停より、たかちほ号に乗車します。

このバスは熊本駅から高森、高千穂を経由して延岡駅まで九州を横断するバス。ここで休憩を兼ねているようで、10分ほど停車していました。

 

現在は1日1往復しか運行しておらず、ほぼ満席だったのですが、一番前が空いていたのでこちらに。

 

南阿蘇鉄道と高千穂鉄道が鉄道で繋がっていた場合、赤い線のルートで建設されたと考えられています。

ここには国道325号が並行しているのですが、このバスは国道265号を経由して南回りです。



11:15 高森中央 発

正面に高森駅の旧駅舎を見つつ、今日一日賑わう駅前からお別れです。

 

高森町役場がある交差点より、国道325号を走り始めます。

 

左へ国道265号を北上すると阿蘇方面へ、南阿蘇鉄道と合わせて阿蘇山を一周することになります。

 

しばらくは国道325号と265号の共用区間。九州北部を襲った大雨で土砂崩れが起こっており、このあたりでも被害が見られました。

 

高森峠を越えるため旧カーブが連続しており、湧水を乗り越えてもトンネル一本で貫くのは相当大変だったはずです。

 

阿蘇くじゅう国立公園立森展望所があって、阿蘇山のカルデラを綺麗に見られるようでした。



ここで鉄道未成線に沿った国道325号が離れ、国道265号で南下します。

熊本県で一番面積の広い町、山都町に入りました。国道265号は熊本県阿蘇市から宮崎県小林市に至る南九州のど真ん中を貫く道路で、どう考えても険しそうな道のりです。

 

今度は国道218号へ。こちらは熊本県熊本市から宮崎県延岡市を結ぶ道路です。今回は高千穂で降りてしまいますが、このバスは延岡までずっとこの国道を走ると思われます。

 

馬見原中鶴で、1人ずつの乗降。バス停の近くには「九州のへそ其石」があって、九州のど真ん中がここだそう。

 

日本最南端のスキー場、五ヶ瀬ハイランドスキー場の看板が現れました。

ヤシの木が生えてそうな宮崎県ですが、ここでは樹氷が見られるそう。



急に雨が強まってきまして、天気の変わりやすい山の中です。

ひむか神話街道という相性がつけられた道路で、カーブで勾配を緩和しつつ橋で登っていきます。

 

そしてここが熊本県と宮崎県の県境、山都町から五ヶ瀬町に入りました。

 

2021年秋に開庁した五ヶ瀬町役場の新庁舎を横目に、すぐトンネルに突入しました。

 

続いて津花トンネルに入り、峠を越えます。

 

カーブが連続する津花峠沿いには棚田も形成されており、家が点在する田舎風景を見下ろせました。



五ヶ瀬町から高千穂町に入りました。

雲海橋から部分的に開通している、九州中央自動車道の看板も見え始めます。

 

五ヶ瀬川を渡り、道の駅高千穂の近くまできました。

 

昭和レトロを感じる建物が立ち並ぶ、高千穂町中心市街地まで入り込みます。

 

その中に広がるぽっかり空いた空間、高千穂バスセンターに到着です。



12:19 高千穂バスセンター 着

南阿蘇鉄道と高千穂あまてらす鉄道をセットで楽しむのに、欠かせないバス路線でした。ぜひ利用していただけたらと思います。

 

さて、高千穂バスセンターから坂をのおりまして、高千穂あまてらす鉄道の発着地となる、高千穂駅へ向かいます。

 

10分ほど歩きまして、橋の下に線路が見えてきました。こちらが高千穂駅です。

 

階段を降りまして、こちらが高千穂駅。高千穂あまてらす鉄道の看板を掲げています。

 

駅構内線路上を歩くこともできて、スタンドバイミーごっこを楽しんでおられる方もかなりいらっしゃいました。

 

あの車庫の向こうから線路が繋がっていたら、どんなに素敵な観光路線になったか…。そんな幻想を抱かせてくれるのが未成線を辿る魅力です。

 

高千穂駅近くにある、2階のカフェで過ごさせていただきました。

次回は高千穂あまてらす鉄道さんのスーパーカートをご紹介します。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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