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【深夜の最短ルート山口→大分】徳山〜竹田津(国東)の夜行フェリーは便利?[2307南阿蘇再開(2)]
本州から大分へ陸路で行く場合、関門海峡を渡って南へ下るのが一般的です。 しかし、地図上で見ると結構な遠回り、北九州(小倉)まで行ってから東へ戻っています。 これをショートカットしてくれる ...
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2023年7月15日の早朝、JR九州は博多祇園山笠「追い山」に合わせて臨時列車を設定しました。
各方面からの普通列車に加え、門司港〜博多では臨時特急きらめき91号が運行されています。
使用されたのは787系特急電車で、これには個室も備えたグリーン車が備えられていました。1時間ほどの所要時間ですが、深夜早朝の鹿児島本線を走る夜行列車、寝台列車気分を味わえるグリーン個室の旅をお届けします。
列車の始発駅であり鹿児島本線の起点である、門司港駅に来ています。
時刻は深夜2時前。ライトアップはもちろん、時計の部分まで明かりが消されており、レトロ駅舎は真っ暗でした。
駅舎内で流される門司港駅の紹介ビデオなども消えており、非常に静かで風格に馴染んだ空間です。
自動券売機横には今回の臨時列車の時刻表が置かれていました。
門司港駅から特急きらめき91号が出発する前に、同区間で普通列車も運行されることになります。
それが発車標にも表示されている2:20発の普通列車で、博多山笠号と付けられていました。その下に表示されているのが、今回乗車する特急きらめき91号です。
しばらくすると右側に定期列車の始発も出てきました。今日の門司港駅は24時間営業みたいです。
おそらく最終列車の普通門司港行きとして到着し、夜通し2番線ホームに止まっていたこちらの列車。
2:10頃、行き先表示が「博多」に変わりました。
特に博多山笠号の表示は現れておらず、臨時普通列車にすぎない印象です。
817系電車9両編成での運行、3両で組まれた車両が3つ繋がっている形です。
一方でお客さんはまばらで、1車両に1人いるかどうかくらい。そもそも門司港駅から乗車される方が少ないため、博多に近づくにつれて増えるはず。また、輸送量に合わせてわざわざ編成を組み替える方が非効率的です。
ここで留置線の方に目をやると、787系電車がドアを開閉していました。特急きらめき91号として入線する準備を整えているようです。
そんなのを見ているうちに2:20、普通列車博多行きが出発しました。
次に発車するのが、乗車する特急きらめき91号です。
きらめき91号の下にも、定期列車の5:25発博多行きが表示されました。
さて、真っ暗な5番線ホームの向こう側には、特急列車が引き込まれる留置線があります。
一番手前に先程ご覧に入れた787系特急電車が停車中です。前照灯も点いており、いつ動いてもおかしくない状況です。
2:41に留置線から出発しまして、おそらく引き込み線上で進行方向を変えたと思われます。
そして2:47、先程普通列車が発車したのと同じ、3番線ホームヘ入線しました。
リレーかもめ門司港行きのままで入線したため、停車後に幕回し。きらめき博多行きになります。
ホームには深夜やってくる列車の姿を収めようとする鉄道ファンが10人以上いらっしゃいました。運転士さんがフレンドリーに接してくださっていたのが印象的でした。
それでは車内へ入りましょう。
やはり門司港駅の時点では、自由席含めガラガラの状況。しかし、今回利用するのは1号車グリーン車です。
入って左手、透明な扉の向こうには座席が並んでいますが、その手前にあるのがグリーン個室。今晩はこの空間を独り占めすることになります。
扉を閉めていたら2:59、電気が消えてフッと空調の音も無くなりました。
どうやら一瞬停電していたみたい、まるで車庫へ連れて行かれてしまったみたいな体験ができて、ちょっと面白かったです。
3:01 門司港駅 発
いよいよ列車は始発駅、門司港駅を出発しました。
いつもの特急きらめき号と同じ自動放送が流れ、発車後は到着時刻案内についての、車掌さんによる肉声放送はありませんでした。
静かな住宅街を通っていき、小森江駅を通過します。
深夜でも電気のついている駅を通る時、パッと車内が明るくなるのが、夜の個室の醍醐味ですね。
次の停車駅は門司駅。同じJR九州管内とはいえ、関門海峡を越えて下関からの臨時列車運行はされていませんでした。
門司駅〜小倉駅には大きな貨物ターミナルが形成されています。大雨で山陽本線が寸断されて運休しているためか、深夜の主役である貨物列車とはすれ違いませんでした。
小倉駅に到着。
新幹線は早朝6時からしか運行できないため、当然山陽新幹線からの乗り継ぎはありません。
北九州市の中心駅として、20人くらい乗車されていたでしょうか。
今停まっていたホーム以外については、まだ暗いままでした。
通常でも節電にかなり力を入れている印象のJR九州、使うホーム以外の照明は落としているのでしょう。
工業地域の広がる海側と反対側なのが少々残念ですが、寝静まる政令指定都市の住宅地を眺めるのもまた楽しいものです。
戸畑駅着
ホームには10人いるかどうかくらいのお客さん。
それでも深夜の特急利用者にしては、割と多い印象です。
進行方向右手に見えている光は、筑豊本線の終着駅がある若松地区。
この間には真っ赤な若戸大橋で結ばれているほか、片道100円の渡船も運航されています。
かつて遊園地スペースワールドがあった跡地を通過。ショッピングモールが完成しました。
その最寄駅となる、スペースワールド駅を通過します。
八幡駅 着
こちらで乗車された方は2,3人だけで、戸畑駅に比べてかなり少なかったのも意外でした。
次は特急列車が全て停車する黒崎駅。
駅を中心に放射環状路が形成されており、飲屋街としても知られています。その帰りに博多のお祭りへという方もいらっしゃるかと思いましたが、そこまで乗車する方はいなかったようです。
直方駅までを結ぶ筑豊電鉄の黒崎駅前駅が隣接しており、乗り換えできます。ここでは路面電車形の車両が使用されていて、西鉄北九州線と相互乗り入れをしていました。
西日本鉄道については早朝時間帯の臨時列車運行を行なっていますが、筑豊電鉄は特に走らせていないみたい。
筑豊本線と接続する折尾駅に到着。
やはり向こう側の使っていないホームについては、明かりがついていません。
こちら発車標には午前3:32の表示。フルカラーLEDの発車標でもカラフルに示されています。
北九州最後の駅として、10人以上はお客さんが乗られていました。
特急でも割と頻繁に停車していましたが、ここで峠越えのためしばらく無停車の区間に。この間に軽くグリーン個室内をご紹介します。
座席は3人掛けのソファが壁2面に沿って、1人掛けのリクライニングシートがその対角に位置しています。1人掛けの座席については45°回転させることも可能です。
ある程度の明るさを保っている室内ですが、ここから暗く調整することもできます。
通路寄りの照明がコントロールされ、窓よりだけ残っている状態になりました。
扉近くのコントロールパネル下には、コンセントも備わっています。
そしてグリーン個室といえば、このように寝転がれるほどの広々した空間。
今回は特に運行時間と相まって、寝台列車と言っても過言ではない状況です。
峠を越えまして、赤間駅に到着しました。
ここでも10人くらいの乗車です。宗像市の中心駅で、福岡都市圏に入ってきました。
そして暗くした個室からだと、微妙に山の稜線がぼんやりしてきたように見えます。
日の出なのか、街の明かりなのか、はたまた気のせいか…。とにかく新たな1日を思わせてきたのは間違いありません。
東郷駅に到着しまして、グループの方も乗車。やっぱりお祭りへは友人や家族で行く方が多いものです。
そしてこちらが最後の停車駅、福間駅です。
お隣には昨日の最終列車としてきたのでしょうか、真っ暗な回送列車がいました。
この特急には博多へ向かうすべてのお客さんが乗車されました。ここでお客さんの状況を見てみましょう。
自由席は半分くらいの区画が埋まっている印象です。
0時頃に券売機を見た限りでは満席だったのですが、数席空いている状態でした。もしかしたら家などで寝過ごしてしまった方など多いのかもしれません。
一方、同じく満席だったグリーン車は、完全に席が埋まっている様子です。
福間駅からはノンストップということで、130km/h近くの高速通過をしてくれます。
千早駅を通過、こちらは西鉄貝塚線の西鉄千早駅の乗り換え駅です。西鉄貝塚線でも新宮駅から貝塚行きの早朝臨時列車が2本設定されていました。
吉塚駅を通過する頃、JR九州のチャイムが鳴って、まもなく博多駅到着の放送が流れます。
篠栗線の乗り換え駅であり、直方からの臨時列車が設定されていました。そのため向こうのホームは明るく、発車標にも4時台の表示が出ています。
門司港駅からは1時間ほど、博多駅の端っこに位置する7番のりばに到着しました。
4:07 博多駅 着
この列車は回送されるとの放送があり、列車からは大勢のお客さんが降りて行かれます。
いくら快適でも個室ごと引き上げられてはたまらないので、名残惜しいですが降りることにしましょう。
発車標には4:30に回送されると示されていました。
本当の夜行列車でも、この早朝時刻と回送の組み合わせは中々見られないはずです。
8番のりばには福北ゆたか線からの列車が到着、4:24に回送となります。
それにしてもこんなに乗っておられるとは想像以上で、驚くばかりでした。
最後に福岡市営地下鉄の臨時列車も見てみます。
こちらは地下鉄空港線。
福岡空港駅・姪浜駅両方面共に、まるで日中のように4時台の列車が表示されています。
特に姪浜行きからは、多くのお客さんが降りてこられました。
JR筑肥線を走ることから、JRの車両が入線。福岡空港行きとしてやってきます。
そしてこちらは3月に延伸開業したばかりの七隈線です。
追い山笠は櫛田神社からスタートするため、同時に開業した新駅の櫛田神社前駅は大活躍したことでしょう。
早朝に沢山の方が訪れるお祭りだからこそ設定された、これらの臨時列車。
もし来年も走ることがあれば、ぜひこれで博多祇園山笠へいらしてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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