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大阪市は「キタ」と「ミナミ」大きく2つの都市圏に分かれていまして、前者は梅田、後者は難波を中心にしています。
「キタ」に位置する大阪駅では2023年春にうめきたエリアが開業予定。これまで大阪駅を通っていなかった特急はるか・くろしおが、地下ホームに停車することになります。
その一方で、ミナミのJR難波駅はかなり寂しい印象。近鉄や南海等のターミナル駅から外れた場所に位置し、利用者も少なめです。
そんなJR難波駅ですが、今回のダイヤ改正でオープンする大阪駅うめきたエリアと関連して、将来的に大きく変わる可能性を秘めています。その歴史と未来について、紐解いていきましょう。
今日は夜行バスに乗ってきまして、こちらは難波の高速バスターミナル、OCAT(オーキャット)です。
ここからは中国・四国地方を中心に、多くの高速バスが発着しています。
OCATとは大阪シティエアターミナルの略。「エア」と付いている通り、殊に空港へバスによるアクセスを担います。
このバスターミナルとJR難波駅は一体化しています。ここから地下へと潜りましょう。
駅とバスターミナルの間には通路があり、マクドナルドやサイゼリア、ファミリーマートなどが入居しています。
この先を進んでいきますと、空港への交通ターミナルを担った名残を見ることができます。
東京や横浜にも存在する「シティエアターミナル」ですが、かつてこの建物で出国手続きや手荷物預かりを済ませておくことができました。あとはここからバスに乗って、空港でチェックインをするだけだったのです。
それが、2001年のアメリカ同時多発テロに伴う手荷物検査の厳格化により、このサービスは終了しました。
現在ではテナントとしてそれとは関係のないお店や事務所が入居しますが、そのなかでもマレーシア航空だけは旅行代理店が残っていました。
ここで、JR難波駅の歴史を見てみます。
名古屋〜JR難波を結ぶ関西本線は、東海道新幹線や近鉄特急が結ぶ以前、両都市間を最短で結ぶ手段として重要視されていました。
大阪側の終着駅は、湊町駅として開業。急行列車や東京からの夜行列車も走っており、正真正銘ミナミの玄関口だったのです。
名阪輸送の役割を終えた関西本線、そこに舞い込んだのが関西国際空港の開港でした。
湊町駅を地下化して、広大な線路用地にバスターミナルを建設。関西国際空港への交通ターミナルを作ろうとしていたのです。
外部から訪れるお客さんが増えるため、分かりやすいよう駅名もJR難波駅へ改称。JR西日本の新駅にはよく「JR〇〇駅」がありますが、最初につけられたのがJR難波駅です。
しかし、大手私鉄の近鉄、阪神、南海やOsakaMetroの難波駅から離れており、JR難波駅の利用者は少ないまま。
南海なんば駅が35万人/日、近鉄・阪神難波駅が15万人/日なのに対して、JR難波駅は2万5000人/日です。
空港利用者が多くなると踏んで、デザインにもそれっぽさが見られます。
広々としたコンコースはクリーム色感に統一されており、おしゃれな雰囲気。
こちらには日本列島と帆船の描かれた大きな壁画。
このあたりはかつて難波津と呼ばれ、遣唐使として中国へ船が出港していました。かつての駅名「湊町」にもその歴史が残っています。
海外や遠くから来た人に向けた広告も。
エスカレーターを降りるところには北陸特急の写真が飾られていました。
大阪から各地へJR特急を使ってくださいね、と伝えているのでしょうか。
他にも特急はるか、大阪周辺に留まらず海外の写真まで飾ってあります。
これほどまでに空港色が強いのは、JR難波駅発着の関空快速が走っていたからです。
しかし、それも利用者が少なかったため全て大阪環状線からの発着に、JR難波駅からの関空快速は2008年に廃止されました。
今は大都市に眠る寂しいターミナル駅。
しかし、地下深くの車止めからは「キタ」の代表駅、大阪駅へ繋がる計画があります。それがなにわ筋線計画です。
2023年春に開業する大阪駅地下ホーム(うめきたエリア)からJR難波へJR西日本の路線が伸ばされます。
これに加えて南海の路線も、新駅の南海新難波駅から新今宮駅へ繋がる計画です。
なにわ筋線の開業により大阪駅と繋がれば、終着駅ではなく途中駅となり流動が増え、今よりは多くの利用者が見込めるでしょう。
一方で、そもそもJR難波駅は難波の中心部からかなり離れています。この周辺まで都市規模を広げてJRを選んでもらえる状況を作り出すことが必要です。
関西空港の需要に頼っていた前回の二の舞にならないよう、十分な利用予測の下計画を進めるべき部分と思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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