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【並行国道寸断!】豪雪地帯を行くJR只見線 運休直前のローカル線乗車記[超快速(2)]

2023年3月3日

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こちらは上越線の小出駅。上越新幹線の浦佐駅から北へ2駅、魚沼市の中心駅です。

 

ここから分岐しているのが、風光明媚なローカル線として名高いJR只見線です。

2022年10月に全線復旧を果たし、鉄道ファンを中心とした多くの観光客で賑わっています。

 

只見線のホームは、キムワイプ配色のラインが引かれた跨線橋の向こう側です。

 

2両編成で運行されており、小出〜只見・会津川口の列車本数は1日3往復。今回乗車するのはその中でも利用しやすい、13:12発の便になります。

 

この日は祝日とあって多くのお客さんがいらっしゃっていました。

その一方で、JR東日本は3月4日からJR只見線の大白川〜只見の運転を当面見合わせると発表しました。これは気温上昇によって落雪の可能性があるためです。

もはや毎年恒例と言える雪融けの只見線運休。その直前の雪景色をお届けします。



13:12 小出駅 発

日本酒でも有名な八海山を始めとした国境の山脈に見送られ、冬の只見線を楽しみにしてきた人々を秘境へと誘います。

 

最初に渡るのは信濃川から直接分かれる1次支流、魚野川です。その名前の通り、鮎やニジマスなどの川魚が多く棲みます。

 

魚野川は谷川岳を水源としているため南下、只見線はこれから分かれる破間あぶるま川沿いを走ることになります。

 

魚沼市街地は駅の反対側に広がっていまして、只見線の線路はそれを縁取ります。

 

現在は魚沼盆地の北端に位置しており、ここから越後山脈へ挑もうというところ。

 

最初の駅は藪神駅。山小屋みたいな建物から雪が滑り落ちているようです。

 

波間川を渡りまして、県境を越えるまでこれに沿って走ることになります。

 

越後広瀬駅、魚沼田中駅と、それぞれ駅周辺に商店も見られる集落が形成されています。



越後須原駅は生活利用者さんが多く、5人の下車。うち1人が定期券利用の生徒さんでした。

2004年に新設合併した守門村の中心駅で、周辺には旅館もあります。

新潟県中越地震の震源に近く、魚沼市が発足したのはそれから一週間後のこと。新たな市の誕生は震災復興から始まりました。

 

だんだん山に入ってきまして、クリアな水面に景色を映し出す只見線らしい景色になります。



上条駅では地元の方が降りていかれまして、列車が出発する時には手を振ってくださいました。

魚沼市と只見町では『只見線にみんなで手をふろう条例』が制定されており、住民の方は只見線の列車を見かけたら手を振る事になっています。

当然努力義務に過ぎませんが、只見線に親しみを持っていただいて、観光客にとっても暖かい気持ちになり素敵ですね。

 

国道は池ノ峠をトンネルで貫く一方、只見線は迂回するので川の流れをじっくり眺められます。

 

峠を越えると旧入広瀬村の町並みが広がっていて、こんもりと積もる雪景色の中で見下ろすことができました。

 

その中心駅となっているのが、入広瀬駅。1988年に建て替えられた駅舎は、雪国観光会館と一緒になっています。

 

近くの道路には上路式トラス橋が架けられており、まるで鉄道のよう。川にはその鉄骨が映し出されています。

 

ダイナミックな渓谷とまでは行きませんが、川に削られた岩と雪の模様を観察するのも楽しいです。

 

2015年に廃止された柿ノ木駅跡周辺を通過。駅だったことはちょっと分かりませんが、近くに民家は見られます。

 

国道252号が六十里越街道と一緒になり、真っ赤に塗られたスノーシェッドが水墨画のアクセントです。



新潟県内最後の停車駅、大白川駅に到着です。

駅舎には食堂があって、蕎麦に舌鼓を打つこともできます。

 

しばらくお休みになるのは、ここから只見駅までのひと区間です。

 

すぐ横を走る道路を見てみると、思い切り雪に埋もれているのが分かります。

例年冬の間は、只見から新潟県へ抜ける手段がJR只見線のみに。冬期交通が鉄道だけになる場所も全国的にここぐらいです。

 

この時点では積雪で通行止めになっている道路と、定刻通り走れている鉄道。それでも融け出す雪の危険性には勝てません。

 

6,359mに及ぶ六十里越トンネルで、県境を越えて新潟県から福島県に入ります。

 

トンネルを出た後、スノーシェッド内にあるのが田子倉駅跡。2013年に廃止されましたが、今でもホームが残っています。

 

駅廃止時点からトタンで作られた駅舎もそのままで、ここからホームまで下っていたのでした。

 

右手に見られるのは田子倉湖、こちらは田子倉ダムのダム湖です。

田子倉発電所の認可出力は40万kW、奥只見発電所に次いで日本第二位の水力発電所となっています。

 

会津若松〜会津川口を結んでいた只見線の東側ですが、ダム建設に際して1957年〜1961年に会津川口〜只見で専用鉄道が敷設。これが1963年に只見線として延伸開業されました。

1971年に最後の区間として、大白川〜只見が開通。只見線が存在するのはダム建設によるものとも言えます。

 

更に進むと只見ダムと、奥には田子倉ダムの姿を見ることができます。

山に擬態している程の大きな壁、それだけ大規模であることが分かります。

 

県境を越えまして、只見町の中心街へやってきました。



14:25 只見駅 着

この駅ではすべての列車が最低10分停車します。

 

ここから福島県側ではワンマン運転のため、一旦すべての扉が閉められました。

 

今日は只見駅で下車するため、会津若松へ向かう列車を見送ります。ここで降りる人は他に2人ほどでした。

 

列車がいなくなると完全に静まり返り、そもそも駅周辺に人気が殆どありません。

 

駅前にインフォメーションセンターがあるので、近くのマップをいただきました。

 

夏であればレンタサイクルを借りて、只見ダムまで行ってみるのもオススメ。ただし冬の間は休業中のため、徒歩で行くのは難しそうです。

 

三石神社が人気のパワースポットになっているみたいですが、こちらも雪が積もっているので立ち入り禁止。山の中を参拝していると3つの奇岩を楽しめる様子。

 

今回やってきたのは、ふるさと館田子倉です。

ここでは田子倉ダムに沈んだ田子倉の暮らしが展示されていました。

 

ダム建設は多くの富をもたらす訳ですが、その影で故郷を失った人たちもいます。知識では知っていても、実際の経緯やそこにあった日常を詳らかに紹介されていました。

ダムを訪問するのであれば、是非ここもセットで訪れると良いと思います。

 

只見駅のすぐ近くにはカフェがありまして、ここで軽く食事を。

 

只見町のB級グルメとなっている味付マトン、ダムカレー等この地域ならではのメニューが揃っています。

 

今回は味付マトンケバブを。この山中で羊肉とは?と思いましたが、田子倉ダム建設時労働者の方に提供したのが始まりだそうです。

 

臭みは無いながら、濃厚な風味を引き出しています。しっかり味の染みたジューシーさがとっても好みです。

停車時間10分の間では難しいですが、9:07〜9:30の只見駅停車なら買って来られそう。いつか只見駅のホームで売ったりしてほしいですね…。



今日は旅館みな川さんに宿泊します。

楽天トラベルでも予約できるので、気軽に利用可能です。

 

昔ながらの旅館そのもので、雪を見ながらのんびりできそうなところ。

 

夕食は1階の食堂にて。山菜やお刺身など自然の恵みを強く感じる豊富な品揃えです。

 

メインになるのが、豚のしゃぶしゃぶ。じんわりとジューシーさが滲み出て、シャキシャキ野菜とピッタリ。

 

ピリッとした味噌で味わう馬刺しも、柔らかくてとっても美味しいです。

 

さらに、鮎の塩焼きは庶民的な味わいで、ホクホクした焼き魚の風味をひきたてます。

 

こちらは蕎麦をカリッと揚げて、鮎の煮付けで包んでいます。違った食感でありながら、その組み合わせを楽しめます。

 

明日は朝から只見線のハイライト区間とも言える、会津若松方面へ進みます。こちらも是非お楽しみに。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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