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【諦めた鉄路の高速バス】松本〜高山で便利な濃飛バス乗車記[2023ダイヤ改正(15)]

2023年5月26日

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鉄道は都市と郊外を結ぶ放射状の路線が、優先して建設されます。

その一方で、ある程度の地方都市同士は鉄路で繋がっていない場合もしばしば。一度都市へ出て再出発する「Vの字移動」をしなければなりません。

こういった場所では、道路なら繋がっていることが多く、公共交通機関として高速バスが運行されます。

 

今日はどちらも在来線特急の行き先として名高い、松本と高山を便利な高速バスで移動します。

実は鉄道が建設される予定もあった未成線、今も走る地方鉄道と廃線も一緒にご覧いただきましょう。



まずやってきたのは長野県第二の都市、松本駅です。

新宿始発の中央線特急あずさ号の行き先で、かつては長野県の県庁所在地だったこともあります。

松本城など観光地も多く、外国人観光客を中心に高山へ直接行きたい方もいらっしゃるハズ。

 

鉄道もゆったりできて良いのですが、今回ご紹介するのは直線で結んでくれる高速バス。

お城口(東口)から右奥、松本バスターミナルへ向かいます。

 

商業施設アルピコプラザと一体化しており、入り口の三角屋根が特徴的です。

 

1階にあるチケットカウンターにて、高山バスセンターまでの乗車券を購入します。料金は大人3500円、クレジットカードでの支払いも可能です。

 

高山まで行くのは1日4往復と少なめなので、バスの時間に合わせた行程を立てる必要があります。



チケットカウンターと一体化した待合室を出て、横断歩道を渡った先が高速バスのりばです。

一番端っこの6番のりばに、濃飛バスが停車中でした。

 

先程購入した高速バス乗車券を渡します。

 

一般的な高速バスの座席、自由席となっています。

 

窓側にはコンセント、通路側にはUSB充電ポートがあって、電源に関しては充実していました。



11:55 松本バスターミナル 発

大きなビルにお店が入居するビルの中を掻き分け、松本駅前を出発します。

 

ここからバスが走るのは、国道158号。この国道は松本から高山を経由した後、福井まで至ります。

以前、福井〜美濃太田を結ぶはずだった未成線、越美線をご紹介した時に歩いた国道です。

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松本ICへ導く緑色のラインが見えてきました。

こちらは長野自動車道で、特急しなのと並行して、北は長野、南は塩尻へ連れて行かれるルート。

今回は高山の方へ行かなければならないので、こちらは素通りです。

 

奥には雪が消えるのを待つ北アルプス。3月では真っ白な装いを残したままでした。



左側には私鉄線、アルピコ交通上高地線が並行し始めます。

こちらは松本駅から東へ向かう路線となっています。

路線名の通り上高地の方面へ向かっており、観光客の利用も多いです。

 

一方で、松本市内の生活路線としての需要も大きくなっています。三溝駅横を通過する時には多くの自転車を見られました。

 

下島駅は石積みホームとなっており、歴史の重みを感じさせられます。

上高地線が全通したのは1922年のこと、戦後の登山ブームには国鉄からの直通列車も運行されていました。

構想段階であったものの、かつての終着駅「島々駅」から高山駅まで線路を伸ばすことも考えられていたのです。

 

結局構想は具体化すること無く、その意志を受け継いでいるのが中部縦貫自動車道。

松本から高山まで自動車専用道を建設しようとしていますが、部分部分の事業化に留まっており、全線の開通はかなり先のことになりそうです。



バスは上高地線の終点、新島々駅に停まります。

ここから乗ってこられるお客さんが1人いらっしゃいました。鉄道で来てバスに乗り込むのも面白そうです。

上高地線の終着駅は、ひと駅先の島々駅でした。

 

しかし、バスターミナルを作るのに島々駅前は土地が狭かったのです。そこで、ひと駅手前の赤松駅に整備し、駅名も新島々駅に変更されました。

多くの列車が新島々駅止まりになり、1983年に新島々〜島々で土砂災害が起こって不通になったのを機に、1985年に廃止されています。



バスは完全に鉄道が存在しない区間へ入ります。

ここでウネっと右側へ出っ張った道路を走るようになります。

 

土砂災害があったのか、元々あった道路の工事中で、仮線になっているようです。

 

島々駅跡の先にある集落を過ぎ、ここから山の中を走ります。

 

松本盆地が終わりまして、山が迫りカーブが連続するところです。

 

1969年に完成しました、稲核いねこきダムの真横を走ります。

 

このダム湖は梓川、新宿〜松本を結ぶ特急列車の名前にもなっています。

 

梓川にはダムが3基あって、梓川3ダムや安曇3ダムと呼ばれます。

こちらはその中間に位置する、水殿ダムです。



今走っている道は野麦街道と呼ばれており、古くから松本〜高山を結んでいました。

野麦とは野麦峠周辺に生い茂るクマザサのこと。街道は奈良時代から存在したそうですが、この名前は明治時代になってから浸透しました。

 

トンネルは非常に狭く、車とすれ違うのもかなりのスリルです。

 

松本駅へ向かうバスとすれ違い、これは本当にビクビクして、運転士さんの技術に驚かされます。

 

トンネルを出たところで現れたのは立派なコンクリート橋、高速道路みたいに見えます。

 

中部縦貫自動車道の建設工事かと思いましたが、波田IC〜中ノ湯ICは事業化されていません。

こちらは国道158号のバイパス道路。先程の狭いトンネルでは時間がかかるため、新しい国道ルートを整備しているのです。



野麦峠スキー場の看板が現れました。

野麦街道はトンネルを抜けた先で南側へ向かうため、国道158号から外れます。

 

そして国道はなんと、奈川渡ダムの上をしちゃいます。

 

こんなのダム観光に来て歩いたりするとこですよね、バスに乗ったままここを走れるとは驚きです。

 

奈川渡トンネル、親子滝トンネルと引き続き狭いトンネルの中を走っていきます。

 

トンネルを抜けた先、こちらが親子滝とのことです。

 

山沿いに国道の旧線が見られ、重機も入っていました。

おそらく土砂崩れからの被害を防ぐため、川に橋を架けた新線に付け替えたのでしょう。

 

さわんど温泉の周辺までやってきまして、近くには何軒か旅館やホテルも見られました。



中の湯ICより安房峠道路に入ります。

1997年に開通した安房トンネルへ、当初は2005年開通予定だったのですが、長野五輪に合わせて整備されました。

いろは坂も涙目のヘアピンカーブが連続していたのですが、4.3kmのトンネルによって80km/h出せるようになっています。

 

このトンネルを抜けると、長野県松本市から岐阜県高山市に出てきました。

 

中部縦貫自動車道の一部である安房峠道路、平湯ICで終了となります。



平湯バスターミナルにて10数分の休憩です。

宿も多い平湯温泉街が近くにあって、外国人観光客でも賑わっていました。

 

バスは再出発しまして、ぐんぐん山を上ります。

 

平湯峠をトンネルで貫き、久手川沿いを走っていきました。

 

高山市丹生川支所の前にも、松本へのバス停が設置されています。

松本市に面するこちらは丹生川村だったのですが、2005年に高山市へ合併。この時に9町村を編入し、高山市は日本一広い市町村となりました。

 

中部縦貫自動車道の丹生川IC〜高山ICは事業中、建設中らしきコンクリート橋を見られます。

 

富山〜高山で高山本線が並走する宮川を渡り、高山市の中心部へ。

 

JR高山駅と隣接する、高山濃飛バスセンターに到着です。



14:28 高山濃飛バスセンター 着

松本から高山まで、2時間33分で来られました。

同じ時間帯に松本駅から高山駅まで鉄道で移動した場合、所要時間は4時間20分、料金は計9230円です。

 

鉄道では大規模すぎても、バスなら需要を汲むことができる、そのバランスが取れている区間に思いました。

両方観光で訪れる際にはルートの一部になり得るバス路線、ぜひ利用してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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