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【地下化で便利な地方都市JR線】仙石線仙台市内の地上時代廃線跡めぐり[超快速(6)]

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あおば通駅・仙台駅から石巻駅まで、松島の海沿いを走るJR仙石線。

仙台市中心部については地下を走っており、東京・大阪以外の都市圏では珍しいJRの地下路線です。

 

現在、あおば通駅〜陸前原ノ町駅が地下化されていますが、これが行われたのは2000年のこと。隆起地形を避けて住宅密集地を蛇行していた線形改良、踏切撤去による道路交通の円滑化や、他交通との乗換利便性向上が図られました。

 

現在でも地上に残る都市郊外の廃線跡を巡ってみましょう。

(GoogleMapにて、ご紹介する廃線跡や踏切跡の位置を示しています。合わせてご覧ください。)



JR仙石線は仙台駅から東へ伸びています。

ペデストリアンデッキがあるメインの西口とは反対側、やってきたのはこちら東口です。

 

ガラス張り駅ビルの1階部分に注目してみると、まるで地下鉄のような入り口があります。もちろん東北本線などから改札内で乗り換えられますが、地下ホームへ近いのはこちらという訳です。



地下化される前の仙台駅仙石線ホームは、ここから少し離れたところに位置していました。

元々この路線は私鉄の宮城電気鉄道、1944年に国有化されて今に至っています。電化方式も東北地方唯一の直流で、他電化路線の交流から孤立しているのはこれが理由です。

かつて仙石線ホームがあったところには、立体駐車場が建てられています。

 

近くの駐輪場から北を向いてみたところ、先程の立体駐車場から右奥へ進んでいました。

 

その先にはコインパーキングや新しめのマンション、公園などがあって、廃線跡を活用したことを実感させられる様子です。



それではここから仙石線地上線の廃線跡を歩いていきましょう。

まず最初に現れる踏切跡は、「東七番丁踏切」跡です。こちらは南を向いた写真、線路は右奥から左へ斜めに渡っていました。

 

各踏切跡近くにはこのようにプレートが埋め込まれており、どこを走っていたのか非常に分かりやすかったです。

 

少し北側をカーブしたのち、石化メロンパンナちゃんへ向かって線路がやってきます。こちらが東八番丁踏切跡です。



次は東九番丁踏切跡。

何の変哲もない踏切と思ったら甘い、なんと交差点を斜め横断していた踏切なのです!

線路は今立っているところから対角線上の公園へ向かい、本当に交差点のど真ん中を線路が貫いていたのです。

明らかに危険なため、廃線直前まで職員さんが踏切を手動で操作していたとのこと。

 

別の角度から撮影、線路は右から左の公園へ斜めに渡されていました。

今ではなんの変哲もない交差点ですが、スクランブル交差点の斜め横断歩道みたいだったんですね。



引き続き廃線跡を辿りますと、中央分離帯もある幹線道路を横断。廃線跡はミニストップの右側にある道路沿いへ向かいます。

こんな広い道路に踏切があったのかと思ったのですが、当時は道路が無く住宅が並んでいたとのこと。線路が地下化されたおかげで遠慮なく道を作れたんですね。

 

道沿いには長細い天神前榴ヶ岡公園があるのですが、こちらが廃線跡上に整備された公園です。遊歩道的な感じで、くねくねした歩道が続いています。



その突き当たりが仙台駅のお隣、榴ヶ岡駅です。

こちらも地下駅になっていまして、あんまりJRの駅という実感が湧きません。

 

榴ヶ岡駅は地上時代にも存在しており、航空写真を確認した限りでは、歩道に面した広場は駅用地の一部だったようです。

手前には新倉通り踏切跡のプレートが設置されていました。

 

榴岡公園は地上駅時代から存在しており、桜の名所としても有名です。この広場は公園本体ではなく、その入り口に過ぎません。

 

榴ヶ岡駅を挟むようにしてもう一つ、柳の目踏切跡を通ります。こちらは比較的小さな踏切だったみたいです。

 

線路地下化によりできた広い道路を外れ、廃線跡は左側の細い道路へ入ります。

 

廃線跡は駐車場や新しめのアパートなどに転用されたと思われます。この近くにあったのが第二悪水上踏切です。

 

プレートは榴岡公園の柵に貼り付けられていました。

 

踏切はこれに背を向けて、正面突き当たりに位置したと思われます。

 

このまま進んでいくと道路は行き止まり。回り込むようにしてこの先へ向かいましょう。



住宅街の中を抜けまして、ある程度広い道路へ。

JRバス東北仙台支店を発見して、勝手にテンションが上がっていました。

もしかして仙石線の廃線跡上にグループ会社の施設を作ったのでは?と思ったのですが、1950年代から前身の仙台自動車営業所が位置していました。

 

この西側にあるのが荒浜街道踏切跡です。歩道を見ていただくと、明らかに黒い部分を後から舗装したのが分かります。

 

渡った先には廃線跡特有の緩やかなカーブが現れました。ご覧の通り廃線跡は駐車場に転用されているのです。

 

しかもコンクリート製の土地境界杭まで残っていました。線路の断面が由来の「工」マークは、鉄道の境界杭であることの証拠です。

 

この先にも駐車場は続いていますが、フェンスで行き止まりになっているみたいでした。

 

外から五輪一丁目公園まで回り込みまして、先ほどの廃線跡が続く先は宮城野踏切跡です。

 

廃線跡は住宅の左側に伸びていたようです。



近くには仙台育英学園高校宮城野キャンパスがあります。

野球に疎い僕でも分かる甲子園の常連校、東北勢初の優勝校になりました。

 

ちょっと寄り道しますが、仙台育英学園高校の向こう側に、現在の宮城野原駅がありました。

楽天モバイルパーク宮城の最寄駅で、一番近い出口はクリムゾンレッドで塗られています。



住宅の向こうにあった廃線跡の先へ戻ってきました。

2階建ての新そうな住宅が見えますが、この辺りが廃線跡。

ここの道路交差部分に東街道踏切がありました。

 

そして左に顔を向けると、廃線跡がそのまま更地で残されています

注目したいのが現役時代からの石垣と柵。仙石線地上線廃線跡の中で非常に貴重な遺構です。

 

反対側の歩道から観察することもできます。都市部の廃線跡ということもあり、ここまではっきり残されているのは珍しいです。

 

ここからは2018年に完成した新しい道路、元寺小路福室線を渡ります。当時は無かった道路なので、踏切も存在していません。



ここからやや上り勾配ながら、カーブの先を進んでいきます。

ここで石垣に埋もれた丸太を見つけました。これはおそらく架線柱、もしくは信号の通信線を支えた電柱。いずれにしても鉄道関連の遺構であることは間違い無いでしょう。

切られて上部分は無くなっていますが、根本だけ残されていました。

 

道路が合流してくるあたりが、下山通り踏切跡です。

 

続いて鹿島通り踏切、同様に合流してくる道路にかかった踏切です。

 

ここで陸前原ノ町駅へ向かって右へカーブ、宮城野町踏切跡を渡ります。



この滑らかのカーブにも、明らかに廃線跡らしさを残しています。

コインパーキングの部分が廃線跡だったはずです。

 

駅が地下化されたのはここまで、陸前原ノ町駅に到着です。駅の場所は変わっておらず、地上駅はまさにこの場所に整備されていました。

 

かつては車両基地も併設されていたのですが、地下化に際して福田町駅近くに移転しました。

そのためかなり広大な用地が残されており、仙台市宮城野区文化センターを中心とした公共施設が建てられています。



地下化区間はもう少し先まで続きます。

陸前原ノ町駅から150m東へ進むと、幹線道路と交差します。

ここにあったのが最後の踏切、太田見踏切です。交通量が多い道路かつ、車両基地まであった訳ですから、かなり道路交通に影響していたことは想像に難くありません。

 

正面に見えている線路は宮城野貨物ターミナルへ向かう貨物線。

東北本線の旅客線は仙台駅を経由するため急カーブするのですが、貨物線は真っ直ぐのままで短絡しています。

 

JR仙石線はこの道路を過ぎたところへ地上へ上がってきます。

陸上自衛隊仙台駐屯地の寮があって奥へは立入禁止なので、列車が登ってくる様子を撮影したりはできません。



陸前原ノ町駅へ戻ってきました。

駅には航空写真が展示されており、地上線時代の線路の様子を見ることができます。

 

ホームからは地上の光が輝いており、その世界は目と鼻の先と分かります。

 

地上から降りてきた205系電車に乗車。仙台方面へ戻りましょう。



さて、下車したのは終点、あおば通駅です。

仙石線地下化と同時に開業した駅で、仙台駅からわずか0.5kmしか離れていません。

 

あおば通駅周辺は仙台市の中心部に近く、仙石線沿線からこちらへ来たい方にとっては非常に便利となっています。

この距離であれば歩けそうですが、混雑する仙台駅の東西連絡通路を通らなくて良いため、その利便性はかなりのものと言えるでしょう。

 

今回は地下へ移されたJR仙石線、地上の廃線跡を巡ってきました。

都市部のため残された遺構は少ないですが、ぜひウォーキングがてら歩いてみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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