岡山駅から山陽新幹線で一駅進んだところに位置する、新倉敷駅のご紹介。
倉敷市は岡山県で2番目に人口が多く、45万人を有する大都市です。
臨海地域には工場地帯が造成され、美観地区をはじめとした観光客も多く訪れます。
一方で市内の新幹線駅、新倉敷駅は一時期こだま号しか停まっていませんでした。
倉敷市にある小さな新幹線駅、新倉敷駅を実際に訪問してみます。
岡山駅から新幹線こだま号に乗って、博多方面へ向かいます。
こだま号には500系新幹線と700系レールスターが使われていますが、今回は500系。ハローキティラッピングが施された列車でした。
鉄道ファンよりむしろ一般の方々がカメラを向けられており、多くの外国人観光客にも人気です。
車内デザインも「キュート」が似合う可愛らしさ。
観光列車かと思うくらい、車内には楽しそうな雰囲気が漂っていました。
2024年3月をもって廃止されてされてしまいましたが、撮影当時はまだ残っていた喫煙スペース。
座席などよりは控えめですが、ピンク色のリボンで彩られています。
何となくテーマパークの一角にある喫煙所のような、イメージを壊さずとも落ち着いた雰囲気です。
今は廃止されているため中から見られませんが、不思議な空間を体験できて良かったです。
岡山駅から新倉敷駅までは10分程度。山陽本線よりも山側を、トンネルで貫いていきます。
今回の目的地、新倉敷駅に到着しました。
新倉敷駅は意外にも歴史が古く、明治24年(1891年)に玉島駅として開業したのが始まり。
1975年に山陽新幹線の岡山〜博多が延伸開業し、新倉敷駅へ駅名が改称されました。
ちょうど在来線ホームを見下ろすことができ、2面3線の立派な構造が見られます。
新幹線駅開業に合わせて設置されたのではなく、鉄道駅としての歴史を感じられました。
倉敷市内の新幹線駅は、倉敷駅、西阿知駅も候補に挙がっていました。
最終的に建設コストや用地取得から、現在の位置になっています。
新幹線ホームは2面2線で、真ん中に通過線が設けられています。
新幹線の途中駅によく見られる構造です。
新幹線は1,2番線ホーム。
駅舎側から在来線ホーム5,4,3番線、新幹線ホーム1,2番線と、順番が逆になっているのが特徴的です。
JR西日本では全ての新幹線駅に喫煙所を設けており、新倉敷駅ではホームの端っこに囲いの無いものがありました。
また、駅名を示す大きな看板も。
現在では通過した駅を新幹線の車内で表示してくれますが、それが出来なかった時代は動体視力任せで判断していたそう。
新倉敷駅に停まる定期列車は、1日1本東京行きひかり号を除いて全て8両編成。
博多方面は8両編成しか来ないので、16号車の停車位置案内では「ひかり」が消されていました。
ホーム中程には車両によって変わっていった、歴史の痕跡。
読み取るのも難しいですが、12号車っぽい文字が見られます。
昔ながらの3色LEDが残されており、こちらも液晶などへ変わるのかもしれません。
列車本数が少ないためか、ホーム上にも空調設備のある待合室を設けています。
ガラス張りに日除けのすだれが垂れて、非常に涼しげです。
ホームから降りて、コンコースへ。
踊り場上にある広告スペースには、デスクトップ背景になりそうな写真が貼ってありました。
謎の小ささ…
クリーム色をした床面のコンコースには、高架を支える太い柱がズドン。
無機質な空間にベンチがたくさん並んでいます。
エスカレーターのところには何時からあるのか、注意喚起の看板が立っていました。
他にも16両編成の編成案内も。
どうやら博多方面の16両編成は、「ひかり」ではなく「こだま」で走っていたみたいですね。
改札から待合室方面を見た角度。ちょっと距離あるところに、発車標が設置されています。
改札から正面で迎えてくれるのが、玉島だるま。手作りながら、転んだら起き上がってくれるそう。
現在では製造業者が一軒のみになりましたが、西日本有数のダルマ製造地です。
待合スペースのベンチ近くには、自動販売機とSTATION WORKが設置されています。
かつてはここに売店があったそう。
お手洗いは2017年にリニューアルされたもので、何となく倉敷っぽいレトロな雰囲気を醸し出していました。
在来線への乗り換えも考慮されており、右側が新幹線改札、左側が在来線乗り換え改札です。
東京・大阪から新倉敷を経由して倉敷へ行く場合、折り返しになるため券売機も設置されていました。
実際に新倉敷駅を使って、倉敷へ向かう人がどれくらいいるか分かりませんが…。
また、かつては精算窓口があったであろう跡も残されていました。
新幹線改札から一度外へ出てみましょう。
岡山駅から新倉敷駅まで、自由席特急券は870円です。
特定特急券なので、割安になっています。
新幹線改札はとてつもなくシンプル。新幹線駅とは思えないコンパクトさです。
新幹線改札の関係者専用出口近くには、新幹線の車両や模型が展示されていました。
さらに、100系・300系ラストランの時に書かれた、メッセージボードも保存されています。思いがけず貴重なものに出くわせるとは…!
新幹線改札内に入れるのは、朝6時から。
おそらく岡山へ新幹線通勤する方もいらっしゃるでしょう。
新倉敷駅には、基本的に1時間に1本「こだま」が停車。朝の時間帯に東京方面へ2本、博多方面へ1本「ひかり」が停車します。
1997年には「ひかり」の停車が廃止されており、「こだま」のみ停車駅でした。2008年に「ひかり」停車が復活し、現在の形へ落ち着きました。
改札横に設置されているのは、オレンジ色のきっぷが発券される在来線と同じもの。
現金や交通系ICカードのみ利用できます。
手前側にはクレジットカード専用の、みどりの券売機が設置されています。新幹線改札周辺にみどりの窓口はありません。
現金で長距離きっぷを購入するには、在来線改札近くのみどりの窓口か、みどりの券売機プラスを利用する必要があります。
改札外にはセブンイレブンハートインがあって、この点は非常にありがたいポイント。
改札正面には、かなり広々したスペースがありました。
ちょうど楽器の準備をしている方がいらっしゃったのですが、イベントスペースとして活用されているみたいです。
階段を降りた高架下にも、かなり広いスペースが取られていました。
何かに使われた形跡もないので、構造上どうしても生じたものでしょうか。
北口は駅の裏側なので、駐車場やロータリーになっています。
駅周辺には集合住宅などが見られ、岡山・倉敷のベッドタウンとして機能している印象です。
レンガ積み風の外壁に、間隔の空いた小さな文字。
いかにも山陽新幹線のモデルと言える駅です。
茶色のサッシや高架の外壁など、国鉄らしさ満載の新幹線駅でした。
新倉敷駅は山陽新幹線と山陽本線の乗り換え駅。
階段を登って、今度は在来線の方を見てみましょう。
新幹線より在来線の方が、改札周辺は広々しています。
券売機の台数も多く、みどりの窓口は新幹線でなく在来線側にあります。
2022年にみどりの窓口プラスが導入されたため、営業時間が短縮しています。廃止には至っていないのが、正直意外なところです。
2021年度の乗車人数は、5,783人。新幹線と在来線合わせての数字ですが、岡山駅、倉敷駅、中庄駅に次いで県内4番目の利用者数を誇ります。
改札脇には、いかにも売店や待合室があったであろうスペース。パンフレットラックが寂しそうに置かれていました。
観光案内所も新幹線ではなく、在来線改札の前に設けられていました。
新幹線改札から駅表側へ出るにもここを通るので、新幹線・在来線どちらから降りた人でも案内しやすいよう、この立地になったのではないでしょうか。
続いては、そんな新倉敷駅の表側へ。
夕方の時間帯になりまして、高校生や大学生の方が目立ってきます。
自由通路で結ばれた、南口の駅舎。
階段を降りた先にはデイリーヤマザキがあります。ロータリーの車の往来も割と頻繁です。
このほか路線バスも発着しており、1番のりばからは倉敷芸術科学大学へのバス。
倉敷駅からも路線バスが出ているバスでは44分かかるのに対し、新倉敷駅からなら12分です。鉄道駅からバスで行くなら、新倉敷駅からが便利になっています。
また臨海地域には玉島ハーバーアイランドを中心に港が整備、工場地帯となっています。こちらへも路線バスが出ており、新倉敷駅は通勤通学の交通拠点にも位置付けられているのです。
さらに、駅南側は2000年代に区画整理が行われ、国道2号との間に新倉敷駅前の町区を設定。エディオンやはるやま等の店舗や住宅街が広がり、岡山・倉敷へのベッドタウンとして利便性が向上しています。
新倉敷駅は新幹線駅としてというよりも、倉敷における一地域の玄関口としての機能を高めた印象です。
最後に在来線のホームへ向かいます。
列車は1時間に3本程度、朝時間帯の岡山方面は倍に増えます。
特に倉敷〜岡山の混雑は激しいため、新倉敷駅周辺に住んでいる方は、岡山駅まで新幹線通勤する方も多そうな感覚です。
在来線ホームは3〜5番線。写真右側に新幹線ホームがあって1,2番線と続くので、番号が順番ではありません。
在来線ホームからも、新幹線への乗換導線を見てみます。
階段を上がって右側に、新幹線の案内。
階段左側にかつてエレベーターがあったのですが、撤去中です。在来線改札を一度出れば、エレベーターを使っての乗り換えができます。
階段を降りてこちらが、新幹線乗り換え改札。
ここには現金とクレジットカードともに利用できる、みどりの券売機が設置されていました。
今回は倉敷市の新幹線駅、新倉敷駅のご紹介でした。
倉敷への観光には、岡山駅から倉敷駅へ在来線が便利。駅名まで変えていながら、倉敷の玄関口とはなっていない印象です。
それでも駅周辺が開発され、地元利用へ振り切っている事がよく分かりました。新幹線駅になったことをきっかけとして、倉敷の一地区の拠点を知れて良かったです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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