JR九州の看板特急に位置付けられる特急ソニックは、博多〜大分を2時間ほどで結びます。
日豊本線の特急は運行区間ごとに名前が変わっており、大分駅より南を走る特急には「にちりん」と付けられるのが通常です。
その中で1日1往復だけ、大分より先へ足を伸ばす「特急ソニック」が走っています。
それが博多〜佐伯を結ぶ特急ソニック41号です。
白い885系電車が大分駅より南に入るのも、この1往復のみ。
そんな特別感溢れる、特急ソニック佐伯行きに乗ってみます。
列車の始発駅は博多駅ですが、今回は北九州市の小倉駅から乗車です。
指定席券売機で検索したところ、指定席とグリーン席共に満席。そのため自由席で行くことになりました。
ネット予約なら自由席と指定席の料金が同じため、指定席のほうが人気になるのでしょう。
小倉駅で佐伯行きの表示が現れるのは、この特急ソニック41号だけ。
大分南部の港町が、日田彦山線の添田行きと並んでいるとはかなり新鮮です。
ホームへ降りて発車標の停車駅案内は、大分駅までに留まっていました。
実際の途中停車駅は、行橋,中津,別府,大分,鶴崎,大在,臼杵,津久見,佐伯です。
博多から小倉の停車駅も、折尾駅と小倉駅のみ。
この特急ソニック41号は、博多〜大分は最速達型で停車駅が少ない一方、大分駅から先の停車駅が多いのが特徴的です。
3分ほど遅れて博多駅からやってきた、特急ソニック41号佐伯行き。
885系の正方形行き先表示器に、佐伯の表示が出ています。
パンパンに張ったクッションみたいな座席に身を委ね、大分県南部を目指します。
17:44 小倉駅 発
特急ソニックは小倉駅で進行方向を変えるため、お客さんが次々座席を回転させていきます。
小倉駅を出発して、日豊本線へ入りました。
しばらくすると右手には、小倉総合車両センターが見えてきます。
7月に発表されましたが、2031年頃に休止状態の貨物駅である、東小倉駅構内へ移転予定とのことです。
車内では途中停車駅の到着時刻が流れます。終点佐伯駅には20:09着です。
早くも列車は最高速度の130km/h、特急ソニックらしいスピードで飛ばし続けます。
17:58 行橋駅 着
特急ソニックには停車型と速達型の停車パターンがあるのですが、この便は速達型。
博多〜小倉でも折尾駅と黒崎駅にしか停まっておらず、この先も停車駅が最小限です。
筑豊方面へ第三セクター鉄道の、平成筑豊鉄道田川線が分岐。
ここから鹿児島駅まで、日豊本線沿いにJR線以外の普通鉄道は現れません。
宇島駅の手前で海のすぐ近くを走るようになり、豊後灘を眺められます。
少々暗くなってしまいましたが、埋立地に形成された工場や発電所が特徴的です。
一部の特急ソニックが停車する、豊前市の中心駅である宇島駅を通過。
かつては発電所や宇島港へ貨物線が伸びており、肥料や石炭など貨物の取り扱いも行っていました。
特急ソニック48号とすれ違い。
特急ソニックには青い883系と白い885系があり、青い方ではグリーン車から全面展望を楽しめます。
【国内最速】青ソニックのパノラマキャビンから徹底解説 883系グリーン車乗車記[2304かささぎ(3)]
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まもなく中津駅の放送を聞きつつ、山国川を渡って福岡県から大分県へ。
18:14 中津駅 着
大分市、別府市に次いで県内第三の都市である中津市。
博多駅を22:34に出発する最終の特急ソニック201号は、運行区間が短縮されて中津駅止まりです。
福岡でライブなどが開催されると、臨時で大分駅まで運転する場合があります。
中津駅を発車すると、次の停車駅は別府駅。ここから40分近くノンストップです。
山に立ち込める雲に夕陽が隠れ、列車は宇佐市に入りました。
車両基地を併設している柳ヶ浦駅を通過です。2018年春までは早朝4:17発の、日本一早い始発列島が出ていた駅でもあります。
1駅挟んで宇佐駅も通過。宇佐神宮を連想させる朱色の駅舎が、サブリミナル効果で植え付けられます。
日豊本線はここで、上下線が二手に分かれます。
小倉方面の線路は山を迂回する形で敷設されたのですが、大分方面の線路を追加して複線化することになり、こちらはトンネルで貫いています。
トンネルを抜けると再び線路は同じ場所を走ります。
立石駅を通過する段階では、まだ各ホームがやや離れており、違った場所を走っていたことが、視覚的にも分かりやすくて面白いです。
中山香駅で普通列車を追い抜き。
今度は大分方面の線路が、戦前からの山を迂回するルートです。
山の中から抜け出して、別府湾沿いへ。
海側の座席でなくても、ちょっとだけ夜景を盗み見できちゃいました。
大分都市圏に入りまして、亀川駅を通過。普通列車の本数も増えてくるエリアです。
18:52 別府駅 発
優しい光がホームを包み込む別府駅。観光客とビジネスのお客さんが混じって降りて行かれます。
別府駅〜大分駅は別府湾を綺麗に眺められる区間。
昼間だと『世界の車窓から』で知られる石丸謙二郎さんによる、ナレーションが流れます。
夜でも国道9号沿いを流れる自動車のランプが、脳裏に残像を残してくれます。
まもなく大分に到着。「終点」の文字が入っていない表示は中々見られません。
佐伯駅まで直通してくれる特急ソニック41号。しかしながら、ほとんどの方は大分駅で下車してしまいました。
大分駅を跨いで利用するお客さんは、この車両でほか1人だけでした。
19:03 大分駅 発
大分駅から2,3人乗り込まれましたが、車内は少し寂しい状況。
そのまま白いソニックは大分より南へ入ります。
向かい側に停まっていた博多行き特急ソニック56号には、スプラトゥーンラッピングの885系電車が充当されていました。
大分駅〜佐伯駅に関しては、最高速度が110km/hになります。
19:10 鶴崎駅 着
大分駅より先の駅が885系で表示されるのは、佐伯発着の特急ソニック1往復のみです。
19:14 大在駅 着
また、大分駅を境に停車駅が非常に多くなっています。大在駅に関しては、1日3本しか停まらない特急のうちの1本です。
左手には埋立地に構える工場夜景が、ちらっと顔を覗かせてくれます。
幸崎駅では扉の開かない、運転停車。
特急にちりんシーガイア14号と行き違います。
あちらは宮崎空港駅から博多駅までを結ぶ、5時間49分に及ぶ長距離列車です。
列車は大分平野から山間部へ、四国へ突き出す佐賀関半島をショートカットします。
一線スルー化されていないためか、速度を落として通過していきました。
19:38 臼杵駅 着
リアス式海岸の入江それぞれに港町が形成されており、各々に特急停車駅が設けられています。
19:47 津久見駅 着
ここで普通列車と行き違いのため、2分ほど停まっていました。
遂に車内では、「終点佐伯」が表示されました。
途中の浅海井駅で運転停車し、反対方向の特急にちりん16号小倉行きと行き違い。
宮崎県から大分県へ県境を越える、最終の特急列車です。
通常の特急ソニックに1時間プラスした形で、終点の佐伯駅に到着しました。
20:09 佐伯駅 着
特急ソニック41号は、博多駅17時ちょうど発。
3時間9分かけて大分県南部へ至りました。
この885系電車は、しばらくすると留置線へ引き込み。
翌朝、当駅始発の特急ソニック12号博多行きになります。
佐伯駅に来る特急は黒い787系電車ばかりの中、真逆の白い885系電車がいるのは違和感でしかありません。
それでも毎日走っており、深夜でもないので、ぜひ機会があれば乗ってみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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