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【終点が3回!?】四国ロングラン普通列車 土讃線多度津〜伊野の旅

 

四国を縦断する幹線、JR土讃線。始点の多度津駅にやって来ました。

 

予讃線と土讃線の分岐点であり、四国における鉄道の一大拠点です。

今回は普通列車で四国山地を越え、高知県を目指します。

 

利用するのはこちら、阿波池田行き普通列車です。

阿波池田駅があるのは讃岐山脈を越えた徳島県で、まだ四国山地すら越えられていません。

 

しかし実はこの列車、最終的には高知駅より先の、伊野駅まで連れて行ってくれるのです。

 

この車に乗っているだけで、多度津駅から伊野駅まで連れて行ってくれる。5時間21分に及ぶローカル列車の旅です。



15:59 多度津駅 発

列車は土讃線の始発駅である、多度津駅を出発しました。

向かい側には高知〜岡山を結ぶ特急南風が停車中。これから走る土讃線は特急幹線で、普通列車の本数が非常に少なくなっています。

 

それでも琴平駅までは電化もされており、日中1時間に1,2本とかなり多め。

高松〜松山・宇和島を結ぶ予讃線から分岐しまして、普通列車は南下を続けます。

 

最初の停車駅は金蔵寺駅、四国遍路の一つである金倉寺の最寄駅で、駅名とお寺の表記が異なります。

 

続いて善通寺駅に停車。寝台特急サンライズ瀬戸の琴平延長便含め、全ての列車が停まる駅です。

1889年開業時からの木造駅舎が使われており、日本一古い現存駅舎の説が存在します。

 

香川県の代表的な観光地、こんぴらさんの門前町が広がってきました。

「ことでん」の愛称で親しまれる高松琴平電気鉄道、琴平線を立体交差で越えます。



その玄関口となっています、琴平駅に到着です。

土讃線の電化区間では電車が用いられており、こちらに停まっているのは国鉄121系電車を改造した7200系電車。他にも6000系、7000系も走っています。

 

こんぴらさんに合わせて、プラットホームの屋根までレトロな琴平駅。

焦茶色で統一されており、なんとも落ち着いた雰囲気を演出してくれます。

 

琴平駅を出発してしばらくすると架線が途切れ、ここから非電化区間に入りました。

 

塩入駅で、四国まんなか千年ものがたりと行き違います。

土讃線の渓谷美を堪能できる観光列車、車内では食事を楽しむこともできるそうです。

 

さらに香川県最後の駅、讃岐財田駅で特急南風20号と行き違い。

 

讃岐平野から讃岐山脈へ登っていき、土讃線らしい光景が広がります。



猪鼻トンネルを抜け、徳島県に入りました。

そして右下には四国で一番の秘境駅、坪尻駅が見えています。

この駅はスイッチバック駅になっていまして、進行方向を変えてあの位置まで降りることになるのです。

 

まずは高知方面へ駆け降りる線路の左側、行き止まりの引き込み線に入ります。

ここで運転士さんが反対側へ移動し、進行方向を変えました。

 

そして先ほど見下ろしていた駅舎がある、坪尻駅に到着。

列車性能が高くなかった時代、駅は平らな場所に設置しないと列車が坂を登れなかったので、スイッチバック構造にすることで解決していたのでした。

 

坪尻駅を出発しまして、そのまま高知方面へ繋がる本線を下ります。

特急など坪尻駅の通過列車は進行方向を変えず、そのまま通過できる構造です。

 

徳島平野の先端部へ到達、箸蔵駅で普通列車琴平行きと行き違います。

 

進行方向右手には、吉野川流域の田舎町が広がっています。

遠くにはトラス橋が見えていますが、今からあの場所まで降りるのです。

 

旧カーブによって勾配を緩和しつつ、さっきの鉄橋で吉野川を渡ります。

 

川沿いの田畑にはカカシが大挙してました。列車で来た人々を、ここで歓迎してくれるのです。

 

佃駅に到着、ここは徳島線の分岐駅です。

吉野川に沿って徳島県を横断しており、特急剣山が走っています。

 

四国最大の面積を誇る市町村、三好市の代表である池田町の中心部を走ります。

 

その代表駅でもある、終点の阿波池田駅に到着しました。



17:06 阿波池田駅 着

終点に到着しまして、列車の行き先方向幕は阿波池田のまま。しばらく注目していますと…

 

「高知」に変わりました。これまで阿波池田行き普通列車だった車両が、高知行き普通列車して運行します。

時刻表上では、多度津〜阿波池田から阿波池田〜高知に乗り換える形なのですが、実際には自分で自分にバトンを渡しているような感じです。

 

ここで特急南風22号岡山行きと行き違い、特急南風17号高知行きに追い抜かれます。

普通列車高知行きはまだ表示すらされていない段階です。

 

特急南風は駅舎に面している、1番線ホームを発着。南風22号と行き違いました。

 

徳島県といえば阿波踊りですが、今日は池田阿波おどりの前夜祭。駅前にはステージが組まれて、阿波踊りの披露も行われていました。



17:48 阿波池田駅 発

特急南風17号に追い抜かれたあとでの出発。実に42分間停車して、ようやく阿波池田駅を出られるようになりました。

 

しばらくすると迫力満点の高規格道路、徳島自動車道の池田へそっ湖大橋を潜ります。四国の中央に位置するへそのまちであることから、この名前が採用されたみたいです。

 

川之江東JCTで高知自動車道へ繋がっており、土讃線と完全なるライバル。特急列車の性能が向上しても戦前に建設された線路では、中々太刀打ちするのも難しいです。

 

阿波川口駅で、普通列車琴平行きと行き違い。

阿波池田〜土佐山田の県境区間は、普通列車が1日5往復。四国山地の中はほぼ特急専用線状態です。

 

阿波川口駅には「ぽんぽこ阿波川口」という副駅名がついており、たぬきの駅として知られています。妖怪タヌキ伝説が伝わっており、四国まんなか千年ものがたりが運転停車する時には、化け狸の着ぐるみを来た方がお出迎えしてくださいます。

 

小歩危駅で南風24号と行き違いました。

特徴的な駅名で目につく「小歩危」と「大歩危」。「ほき(ほけ)」から付けられた説のほか、「大股で歩くと危ないから大歩危」、「小股で歩いても危ないから小歩危」という説があります。

 

四国山地の渓谷美を見せてくれるこの区間、土讃線の中でも一番景色の良いところです。

 

落石などから線路を守るため、断崖絶壁の線路はロックシェッドで囲まれています。

 

その隙間からは、大きな骨組みで支えられた崖っぷちの建物も見られました。



特急南風も停まる、大歩危駅に到着です。

屋島の合戦に敗れて逃れた平家の人々が隠れ住んだ、隠田集落に架けられた「祖谷のかずら橋」が有名になっています。

大歩危駅からバスが出ており、最近ではここで降りる外国人観光客も見られるようになりました。

 

徳島県から高知県に入りまして、最初の停車駅となる土佐岩原駅。

県境には4,179mに及ぶ大歩危トンネルがあって、予讃線短絡ルートの犬よりトンネル(6,012m)が開通するまで、四国のJR線トンネルで最長を誇っていました。

 

一部の特急南風も停車する、大豊町の中心駅である大杉駅。ちょうど普通列車と行き違いました。



土讃線の高知・徳島県境区間はかつて多くの災害に見舞われ、大杉駅〜加茂谷駅間では大杉トンネル経由の新線に付け替えられています。

その新線に位置する第三穴内川橋梁で、列車は停まってしまいました。

実はここ、駅なんです。

 

1960年に旧線で開業した土佐北川駅、線路付け替えが行われて1986年にここへ移転してきました。

その位置がトラス橋の内部、駅と鉄橋は一体的に設計されています。

ここで特急南風26号と行き違い、普通列車に乗っていると頻繁にここで行き違うので、このスリルをかなり長い間味わうことができます。

 

ホームから階段を降りると出口へ続く側道があって、道へ出ることができます。

それにしてもこれが駅とは、なかなか信じ難い姿です。

 

繁藤駅で特急南風19号に追い抜かれました。

 

夏でも時刻は19時半前、だいぶ日が落ちてきて、列車は闇へと入ります。



四国にある2つのスイッチバック駅、先ほど通ってきた坪尻駅に加えて、もう一つが新改駅です。

引き込み線で進行方向を変え、運転手さんが反対側へ。ホームのある新改駅へ入線していきます。

 

この駅も坪尻駅と並んで、四国で名高い秘境駅。

線路が草に沈んでいるように見え、こんな山奥の駅でも明るく照らしてくれているのがすごいですね。

 

再び進行方向を変えて四国山地を降り、土佐山田駅に到着。

ここで南風28号と行き違いました。

 

土佐山田駅からは高知の都市圏に入り、普通列車も1時間に1,2本と増えます。

香美市の代表駅で、やなせたかし記念館(アンパンマンミュージアム)へバスが出ています。

 

突然謝られました、ごめん駅です。

漢字の「後免」ではなく、わざわざ「ごめん」なのがポイント高いですね。

 

ここからは土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線が分岐しており、四国の右下へ線路が伸びています。2002年の開業で、非常に新しいローカル線です。

 

土佐一宮いっく駅で、ごめん・なはり線の普通列車と行き違いました。後免〜高知で多くの列車がJR土讃線に乗り入れており、その分列車本数が増えています。

 

2008年に高架化された高知駅、連続立体交差部分の高架線へ登ってきました。



20:27 高知駅 着

2回目の終点である高知駅に到着。既に多度津駅から4時間半経っており、さすがに折り返すかと思いきや…

 

行き先方向幕は「伊野」に変わりました。

今度は伊野行き普通列車になりまして、同じ車両で高知駅より先へ連れて行ってくれるのです。

 

お隣には特急しまんと8号高松行きが停車中。

2021年春のダイヤ改正で、特急南風・しまんとは新型車両2700系に統一されました。

しかし、撮影したときはお盆の時期。多客時には対岡山の輸送力が増強されるため、特急しまんとでも2000系気動車が運用に就くことがあるのです。

 

これを彩ってくれたのが、打ち上げ花火。

高知市納涼花火大会の延期日で、特急列車と夏を感じられた瞬間でした。

 

向こう側には普通列車土佐山田行きが停車中。後ろ1両は高知駅で切り離されまして、1両外しながら出発していきました。

 

また、ここまで乗ってきた普通列車は1両編成でしたが、ここで後ろに1両増結。

普通伊野行きは2両編成で運行されます。

 

普通列車伊野行きの出発時刻は21:00。高知駅についてから33分も停まっています。

 

続いて岡山からの特急南風21号が到着しました。

普通列車伊野行きに乗り換えられるよう、接続が取られています。



21:00 高知駅 発

綺麗な打ち上げ花火に別れを告げつつ、33分停車していた普通列車に乗り込みます。

 

ここからしばらくは高架区間。夜なので難しかったですが、進行方向左手には高知城なんかも見られます。

 

地上区間に降りてきて、旭駅に到着。一部の特急が停まる主要駅でもあります。

路面電車のとさでん交通とも並行しており、中距離輸送と短距離輸送がそれぞれ棲み分けられています。

 

こちらは駅前に高知大学がある、朝倉駅です。

各駅周辺には割と学校が多く、朝夕には結構なお客さんが見られます。

 

高知駅から20分ほどで、今度こそ終点の伊野駅に到着しました。



21:20 伊野駅 着

路面電車の終点も近く、高知都市圏の西端に位置する伊野駅です。

讃岐平野より終点を変えながらも、険しい山々をくぐり抜け、遂にここまでやって来ました。

 

向かいからは特急あしずり18号高知行きが到着。

基本的に中村駅発着ですが、こちらは1日1.5往復しか無い宿毛発着の便でした。

 

そしてしばらくすると、特急あしずり15号中村行きも来ました。伊野駅で普通列車から乗り継ぐこともてきます。

 

かつては多度津発伊野行きで1本の普通列車として運行していたものの、阿波池田駅と高知駅で運行系統上列車が分けられて、現在の形になりました。

所要時間は5時間21分、青春18きっぷシーズンの旅に是非利用してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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