【寝台特急延長運転】週末限定で走るサンライズ瀬戸が凄い!東京〜琴平乗車記[年越し2023(2)]
こちらはクリスマスイブの東京駅、丸の内駅舎のライトアップは21:00までで既に暗くなっています。 その一方で、駅前はいつもに増して人の流動が激しいです。 21:50に東京駅を出発する寝台 ...
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大寒波に見舞われた南国の雪を求め、高知に来ました。
大部分溶けてしまっていましたが、2,3日前は一面真っ白だった名残だけは分かります。
クリスマスと七夕がセットになっているようなツリーを見つつ、今日は青春18きっぷで京都へ行きます。
四国の中で一番奥に位置する都市。かつて高知〜京都にはムーンライト高知という夜行快速列車が走っており、それがあればどんなに便利だったかと思ってしまいます。
残念ながら2009年に廃止されてしまいましたが、同様のルートを辿り、京都まで普通列車の旅です。
12:44 高知駅 発
土讃線は特急で持っているような路線で、四国山地を普通列車で越えるのは不向きなところがあります。
琴平行きの普通列車に乗り込みましたが、この道中もスムーズに行かなさそうな不安が残るものです。
一方で、高知駅周辺は高架化されており、都市部の鉄道として駆け抜けます。高知市は県人口のほぼ半分、32万人の人口を有する中核市です。
渡っている国分川の下流部は、2013年に公開された実話を元にした映画『県庁おもてなし課』のロケ地に使用されています。国分川を掃除してほしいという、実際の観光客の声に対応したシーンのようです。
高知市に次ぐ県内2番目の都市が、南国市です。
室戸岬方面を目指す、第三セクターごめんなはり線が分岐します。2002年に開業しており、日本一新しいローカル線と言える路線です。
特徴的な駅名にあやかって、通常なら漢字を大きく書いている駅名標も、ひらがなを大きく「ごめん」と表示させています。
土佐山田駅では後ろ1両が切り離され、折返し高知行き普通列車になります。
ここでは特急列車行き違い待ちのため、しばらくの停車です。
跨線橋にはアンパンマンのキャラクターがたくさん描かれていて、小さな子供も多い印象です。
香南市はやなせたかしの故郷であり、アンパンマンミュージアムへのバスが発着しています。その玄関口としての役割もあり、このような装飾が施されているのです。
高知からの特急南風16号が到着しました。
更に、向かいからも特急南風7号が到着、こちらはアンパンマンラッピングです。
特急列車同士の行き違いのついでに、それぞれ普通列車の追い抜き・行き違いを行っていました。
高知駅高架下のお土産屋さんで、お弁当を買ってきました。
高知県といえばカツオ、土佐かつおめし弁当です。クルッと帯が巻かれただけで、駅弁とは異なり手作り感が溢れます。
しっかり醤油の染みた、もちっとした炊き込みご飯。チキン南蛮も高知仕様で、甘いオーロラソースが掛かっているのが特徴的です。
鰹もじっくり煮込まれて、鰹節のような強い香りを感じられます。
土佐山田駅を出発。
さっきまで特急列車と3列並んでいましたが、誰もいなくなって急に寂しい駅に。
土佐山田駅までは普通列車が1時間に1本、ピークなら3本程度走りますが、ここからは1日5往復の秘境区間です。
山を登るためにカーブとトンネルが連続しており、中々厳しい道のりです。
このような線形のため速達性に難があり、土佐山田〜大杉にはトンネルで貫く新線が計画されたことも。
四国には2つのスイッチバック駅があり、その一つが新改駅です。
普通列車でも通過してしまう場合があるのですが、この便は停車します。
まずはお客さんが乗降できる、駅ホームへ入線。
ここは秘境駅としても知られており、駅周辺には民家もありません。
ここで進行方向を変えて、今度は引込線に入ります。
引込線で再び進行方向を変えて、本線に戻ってきました。特急列車など駅を通過する場合は、本線を走っていくだけです。
駅は平らなところに作る必要があるため、このようなスイッチバック構造が生まれました。
列車はまだまだ、鰹節の塊を伏せたように分厚い四国山地を走ります。
土佐北川駅で行き違いのためしばらくの停車。
この駅は鉄橋の上にあるという不思議な構造の駅です。
特急南風9号と行き違い、列車が通過していく時も完全に鉄橋を走っている音です。
駅を取り囲む鉄橋とトンネルが完全に接続しており、技術的にもかなり苦労したのでしょう。
線路分岐はトンネル内にあることからも、ここに駅を作るしかなかったことがよく分かります。
大豊町の中心駅となる、大杉駅に到着。半分くらいの特急南風が停車します。
大田口駅で普通列車と行き違いました。何度も行き違いはありましたが、同じ普通列車と出会ったのは相当久々です。
その後、土佐岩原駅で特急南風11号と行き違いました。
列車は四国最長の河川、吉野川沿いを走ります。ただの山の中ではなく、渓谷沿いの険しい景色へと移り変わるようです。
徳島県に入りまして、大歩危駅にてしばらくの停車。
多度津〜大歩危を結ぶJR四国の観光列車、四国まんなか千年ものがたり号が来ます。四季折々の景色を見せてくれるようです。
駅から川沿いへ階段を降りると展望台が設置されていて、のんびり川の流れを楽しむこともできます。
向こう岸には家々が立ち並んでいますが、皆さん切り立った崖ギリギリに位置します。建物が浮いているかのようで、厳しい地形状況ならではの光景に思いました。
ここで特急南風18号に追い抜かれます。吉野川の渓谷美が人気で、大歩危や祖谷渓への玄関口です。
列車が来るとホテルからのお迎えが代わる代わるいらっしゃって、観光客を各地へ送ります。外国人観光客はあまり四国へいらっしゃらないのですが、その中でも増加傾向にある観光地です。
大歩危駅を出ると、これこそ土讃線という景色に。
岩肌を露出する崖に大きな骨組みが組まれ、なんとか構成されている建物たち。自然と人工物両方が作り出す、ここでしか見られない迫力ある光景です。
線路もまた崖沿いに敷設されており、実は何の気無しに景色を見ていたこの鉄路まで、厳しい場所だったというのに気づきます。
大歩危と合わせて、お隣の小歩危もネタにされる地名です。
断崖を意味する古語の「ほき(ほけ)」から付けられた説と、「大股で歩くと危ないから大歩危」、「小股で歩いても危ないから小歩危」という説があります。
大歩危小歩危は、吉野川が2億年かけて創った渓谷で、このような景観が約8kmに渡って続きます。阿波の青石と呼ばれる三波川変成岩です。
阿波川口駅は「やましろ狸な会」により、たぬきの駅としても有名です。
山城町の妖怪たぬき伝説から、地域の活性化に取り組んでいます。四国まんなか千年ものがたりの停車中には、化けタヌキの着ぐるみで迎えてくださり、特産品販売を行います。
ここでは南風13号と行き違いました。
95km/hとスピードをかなり上げまして、特急さながらの走りです。
吉野川を渡りまして、渓谷美とはお別れになります。
徳島県三好市の中心駅、阿波池田駅に到着しました。
四国山地においては一番大きな街と思います。
普通列車琴平行きは、特急の行き違い・追い抜きのために57分の停車時間があります。
とんでもなく長い待ち時間、駅の外へ出るのに十分すぎます。
寂しくはなっているものの、駅前商店街をちょっと歩いてみたりと、それぞれの楽しみ方を見つけられるでしょう。
駅舎内にはセブンイレブンがあるので、買い物の点では全く困りません。
阿波池田駅からは徳島線が分岐し、吉野川に沿って徳島駅までを結びます。流域には街が広がっており、特急剣山が走っています。
まずは高知から来た、南風20号に追い抜かれました。
更に、アンパンマン列車の南風15号と行き違い。
列車接近メロディに採用されている池田高校の校歌が耳に残った頃、ようやく阿波池田駅を出発です。
お隣の佃駅から徳島線が分岐し、土讃線は最後に吉野川を渡ります。
同じように立派な徳島自動車道があり、特急を含む鉄道と自動車の競争が繰り広げられます。
箸蔵駅では四国最長普通列車、多度津発伊野行きと行き違いました。ここからは讃岐山脈を越えます。
徳島県と香川県の県境付近には、全国的な秘境駅として名高い坪尻駅があります。
四国に2つあるスイッチバック駅、もう一つはここです。
うっすら雪のかぶる坪尻駅ホームに到着。だんだん暗くなって木造駅舎に明かりが灯る頃で、温かいコーヒーが出てきそうな古民家喫茶のよう。
ここで進行方向を変えて、引き上げ線へ入ります。
さっき駅へ向かって走った線路を、やや高いところから見下ろす形です。
再び進行方向が変わり、本線上に戻りました。特急列車などはこの本線をトップスピードで通過していきます。
スイッチバック構造で本線が駅から離れているおかげで、秘境駅として名高い坪尻駅の全体像が見やすいです。
そのまま徳島県と香川県の県境となる、猪鼻トンネルに突入します。
次の讃岐財田駅にて特急南風17号と行き違い。
17:33 琴平駅 着
高知駅から5時間近く掛けて、終点の琴平駅に到着しました。数え切れないくらい特急と出会い、土讃線の特急専用感が凄まじかったです。
金刀比羅宮の玄関口である琴平駅。
至るところにレトロな雰囲気が漂っていて、神社を目指すお客さんを迎えるのにピッタリの駅です。
改札ラッチの文字は「人」「長」「平」を合わせて、『人が長く平和でいられますように』という願いが込められています。
先行の特急南風には、多くのアジア系観光客の方が乗っていかれました。四国でも結構外国人観光客の方が戻ってこられているのですね。
ここまで土讃線は非電化区間でしたが、琴平〜多度津は電化されています。
国鉄121系電車の老朽化した足回りを改良し、JRは7200系電車として新しくなった車両です。
17:47 琴平駅 発
ボックスシートとロングシートが千鳥配置になった、JR四国独特の配置方法です。
土讃線の起点である、多度津駅に到着。
快速ムーンライト高知は、ここでムーンライト松山との連結を行っていました。
宇多津駅からそのまま夜の瀬戸大橋を渡り、本州を目指していたのです。
しかし、瀬戸大橋の西側の多度津から瀬戸大橋へ直接向かう普通列車は、2019年に廃止されました。
現在この宇多津連絡線を走るのは松山・高知方面へ行く特急列車だけになったので、青春18きっぷでこの足取りをたどることはできません。
18:29 坂出駅 着
そこで一旦坂出駅まで行き、ここからマリンライナーで岡山へ向かうことになります。
坂出駅前では少し雨が降っており、クリスマスのイルミネーションの輝きが増していました。
坂出市は瀬戸大橋が架かる街そのものであり、快速マリンライナーや特急によって本州との結びつきも強いです。
ここから乗車するのはその快速マリンライナー。
自由席が埋まっていそうな予感がしたので、指定席を選択しました。e5489のチケットレスで、200円引きの330円にて購入できます。
JR西日本とJR四国一緒の列車で、本四備讃線で本州へ渡ります。
2階と端っこはグリーン指定席で、青春18きっぷでこれに乗車することはできません。
首都圏の自由席グリーンのせいで勘違いされますが、青春18きっぷで指定席グリーンに乗るには別に乗車券も必要になります。
18:55 坂出駅 発
一方で1階の指定席なら、青春18きっぷと指定席券で乗車可能です。席を確保したいならこちらを選ぶようにしましょう。
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さっき走ってきた、多度津方面の予讃線が分かれていきました。
そして近づいてくるのが、普通列車が走らない宇多津連絡線です。
無事瀬戸大橋に入りまして、四国を脱出。いつも海沿いの工場夜景が素敵で、瀬戸内における工業の力を見せつけられます。
本州に渡って最初の駅、児島駅の駅名標はジーンズ仕様です。この色が地味すぎて、JR貨物のコンテナブルーと勘違いしていました(笑)
茶屋町駅より、本四備讃線から宇野線に入ります。
瀬戸大橋が架かる前は、本州から四国は宇高連絡船で結ばれており、宇野線の終着駅宇野駅から高松へ船が出ていました。
四国・山陰への分岐点として、大ターミナル駅となっている岡山駅。山陽新幹線の高架橋や黄色い電車たちを見ると、その規模を思い知らされます。
19:33 岡山駅 着
一方で、湘南色の115系を見るとどうしても違和感。首都圏のものとして認識されるので、脳がバグります。
19:55 岡山駅 発
ちょうど帰宅時間帯、お勤めからお帰りの方々とともに、山陽本線を東へ。
21:00 相生駅 着
この列車は姫路まで行きますが、混まないうちに赤穂線から来る新快速に乗り継ぎます。
21:12 相生駅 発
これを見れば完全にもう関西圏ですね。
兵庫県の端っこから滋賀まで、特急さながらのスピードで行けてしまう。こんなにありがたいことありません。
姫路城はライトアップがお休み中、白く輝く天守閣も少し控えめです。
右手には本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋。今日はクリスマス仕様のライトアップになります。
関西と四国の結びつきはこちらの方が強固ですが、残念ながら鉄道はありません。もしかしたら徳島から神戸へ快速列車が走ったかも…。
いよいよ関西の大都市、京阪神地区へ。お客さんの数も段違いになります。
クリスマスの時期なので、カップルの方も多め。
詳しくは語らずとも、お隣からの目のやり場に困りました(笑)
23:09 京都駅 着
高知駅から普通列車を乗り継ぐこと10時間25分、京都駅まで来ました。
かつてここまで1本で行ける夜行快速があったことを思うと、すごい時代だったんだなと実感させられます。
今でも日本中の線路は一本に繋がっていて、あの深い四国山地から関西の都会まで、普通列車だけで行けてしまいます。
ぜひ青春18きっぷで変わりゆく車窓とともに、鉄道旅を楽しんでみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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