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【長野縦断】長野→飯田線直通列車!快速みすずルート約5時間乗車記[年越し2023(10)]

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鉄道は都市と地方を結ぶことが多く、結果的に県庁所在地へ集結するようなネットワークが築かれます。

今日やってきたのは、長野県の中心駅となる長野駅です。日本で4番目に面積の広い内陸県で、かなり広範囲から列車が集まります。

 

長野と県内主要都市を結ぶ列車を時刻表で探していたら、ひとつ面白そうなものがありました。

 

それがこちら、長野発飯田行き普通列車です。飯田市は県内5番目の都市であり、長野市と直接結ぶことは重要そうに見えます。

しかし県のほぼ南端に位置しており、高速道路が整備されているため、愛知県との関わりが密接です。

 

現在、長野〜飯田の列車は1日1往復だけ設定されており、国鉄時代は急行天竜として運行されていました。特急格上げはされずに快速みすずとして受け継がれましたが、この便に関しては愛称も付けられること無く、普通列車として走っています。

 

使用されているのはJR東日本の211系電車、ボックスシートなので長距離移動でも非常に楽です。

朝早いこともあり、お客さんは全区間通して少なめ。ただし、平日だと途中区間で通学時間帯と重なり、学生さんで混みそうな気がします。



06:31 長野駅 発

まだかなり暗い中、北陸新幹線の横を普通列車が出発しました。ここから飯田へ直接連れて行ってくれるとは、やっぱり実感が湧きません。

 

信越本線は現在でも、名古屋〜長野を結ぶ特急しなのが走っており、短距離需要も大きいです。

 

当時の長野行き新幹線開通により、篠ノ井~軽井沢は第三セクターしなの鉄道へ転換されています。

 

篠ノ井駅で分かれていきましたが、しなの鉄道に関しても信越本線に乗り入れて長野駅を目指します。小諸や上田など在来線特急あさま号が停まった都市から長野へ、直通して中距離輸送を担うことが重要です。

 

信越本線と中央本線を結ぶ篠ノ井線を南下。千曲川沿いを走る旧信越本線に対して、こちらは山を越えなければなりません。

 

大分登ってくると山肌が雪と同化しています。ふわふわのパウダースノーというより、結構ガッチリと固まっている様子でした。



旧国鉄の日本三大車窓の一つ、姨捨に来ました。

手前の斜面には人が何とか農業を営もうと作り上げた棚田、そして千曲川が長年掛けて形成した長野盆地「善光寺平」が広がります。

 

ここにある姨捨駅はスイッチバック構造の駅です。

斜面に駅を作ると列車が勝手に動いて危険なため、平らなところに設置する必要があります。そこで生まれるのがスイッチバックです。

 

列車は引上げ線へ入った後、進行方向を変えて駅へ入線します。

 

駅ホームへ向かう線路に入った時点で、さっき登ってきた線路よりも少し高い所を走っています。

 

雪が積もって真っ白なホームに入線しました。



ここでは普通列車同士行違いのため、しばらく停車します。

向かいからは松本発長野行き普通列車が入線。姨捨駅で進行方向を変えて引込線に入ります。

 

引込線で再び進行方向を変えたのち、さっき走っていた坂道を下っていきました。普通列車で来れば気軽にスイッチバックを体験できて、列車行き違いの他特急しなの号通過待ちなどタイミングが合えば、その間にホームから善光寺平の景色を楽しめます。

 

それにしても、展望台がある雪の姨捨駅ホームにて、飯田の方向幕が見られるのは貴重で新鮮です。



4分ほど停車したところで、姨捨駅を出発。

山の向こうでは新しい一日が始まっていますが、こちらは暖かな朝日を焦らされています。

 

手前の山の向こうには、真っ白な北アルプスが朝日で輝いています。あの雪の量からしても、日本アルプスのひとつとしてレベルが違いますね。

 

坂北駅など木造駅舎が残る駅も多く、雪国に映えます。

 

3つの白坂トンネルによって、山岳地帯を突っ切るところです。

 

明科駅は特急しなの号も停車しており、そのために安曇野観光の玄関口になっています。

 

松本盆地へ抜け出しまして、奈良井川沿いを走行中。白煙の立つ街の様子も確認でき、山の中に小さな集落がある景色とは全く異なって、かなり開けています。

 

右手からは大糸線が合流してきました。新潟県の糸魚川まで結ばれており、1日1往復新宿発南小谷行きの特急あずさが走ります。

 

篠ノ井線にはホームが無いため、大糸線の北松本駅すぐ横を素通りすることに。



長野県第二の主要駅となる、松本駅に到着。

新宿〜松本には特急あずさが運行されており、中央線特急の終着駅です。

 

南松本には貨物ターミナルが併設されていて、中でも四日市からの石油輸送が有名になっています。



篠ノ井線を走りきりまして、塩尻駅に到着しました。

東京と名古屋を内陸経由で結ぶ中央本線は、それぞれ中央東線と中央西線がここ塩尻駅で落ち合います。

 

この普通列車は上諏訪方面へ向かうため、北アルプスに背を向けて中央東線に入ります。名古屋を目指すJR東海エリアの中央本線が右手へ分かれていきました。

 

更に、中央本線の旧線が離れます。中央本線には旧線と新線2つのルートがあって、かつては山を迂回する辰野経由の旧線だけで特急もそちらを走っていました。

 

(Nard.tech ‧ | contributions| uploads - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=58208417による)

この列車は飯田駅を目指すので、旧線を通って辰野から飯田線に入れば良さそうなところ。わざわざ岡谷駅を経由しているのは、諏訪や茅野、岡谷からの利便性向上や、ダイヤの関係からでしょうか。

 

沿岸トンネルを抜けますと、長野自動車道の高さ60mに及ぶ岡谷高架橋の下を潜ります。いつ見上げてもこれは大迫力の光景です。



岡谷駅では21分間停車します。

お隣に停まっているのは、茅野~辰野を結ぶ普通列車です。8:24発で、お互いの列車が接続しています。

 

また、特急あずさ12号東京行きが到着。新宿から先、東京までを直接結びます。

 

セルフレジのNewDaysが営業しているので、この間に買い出ししておくのもオススメです。

 

飯田・上諏訪・塩尻3方向の列車が同時に出発するそう。全て中央本線の列車というのも違和感がありますね。

1番線に来た列車は、天竜峡駅を5:17に出発した上諏訪行き普通列車。飯田線はかなり朝が早く、南信州・伊那から諏訪・松本への輸送が重要視されています。

 

左手から一緒に出発するのは、松本へ行く普通列車です。これはさっき通ってきた新線を通ります。

 

一方で飯田を目指すこの列車は、立派なコンクリートの高架橋を横目に旧線へ入りました。岡谷駅では進行方向を変えています。



飯田線の分岐駅となる、辰野駅に到着です。

ここでは反対方向の天竜峡発松本行きと行き違います。

 

さらに蛍の駅名標の向こう、辰野始発塩尻行き普通列車も発車しました。

完全な同時刻ではないのですが、岡谷と続いて3方向にほぼ同時刻発車があるのは、大きな見どころに思います。

 

辰野から塩尻まで旧線を走る普通列車を見送りました。

 

一方で、この列車はようやく飯田線に入ります。右手には中央アルプス、木曽山脈が現れました。

鉄道路線としては、中央本線と飯田線がこの山脈を挟んでいます。

 

沢駅の交換設備が撤去された所には190キロポストが刺さっており、長大ローカル線の威厳を示してくれます。

 

乗務員交代が行われる、最初の主要駅が伊那松島駅です。左手には車両基地も隣接していて、コンパクトながら運行上の拠点であることが伺えます。

 

伊那北駅まで来ると、すぐ近くにビジネスホテルがある程の規模に。飯田線はローカル線の印象が付きすぎていますが、県南部地域の街として発展しています。

 

沢渡さわんど駅を出発した直後、山を登るところではJR全線の最急勾配があります。1000m進むと40m上る傾きを示す40‰ですが、電車は坂道を感じさせない程軽々と登っていきました。

 

大田切川を渡る時の開けた景色は、まるで夏のような爽快さですが、奥の雪山が今の季節を伝えてくれます。



駒ヶ根駅で8分間停車。

特に反対列車との行き違いは無く、時間調整のためです。

 

留置線にはオレンジの313系、231系電車が停まっており、信州色のJR東日本211系は仲間外れ感があります。

 

飯田線のJR東海車両は頻繁に、JR東日本エリアの中央本線に乗り入れています。JR東日本の車両が辰野~飯田という長距離乗り入れますが、これによってお互いの線路使用料を相殺しているものと思われます。

 

コンクリート造りの簡易駅舎の伊那福岡駅、ここを過ぎると飯田線はカーブの連続です。

 

Ωカーブと呼ばれる急カーブが何度も続いており、先頭からは後ろの車両を簡単に見られます。

これは河岸段丘に線路を敷設する時、建設費を最小限に抑えるため、地形に逆らわず上流を大きく迂回したためです。

 

中央アルプスが一番きれいに見えてきました。

地形と風が作り出す、雪の細かな模様がとても繊細です。

 

七久保駅からは日本石油伊那油槽所へ分岐する専用線が伸びており、汐見町駅(名古屋)からの貨物列車が来ていました。油槽所が閉鎖されたことで1996年に貨物の取り扱いが廃止、2002年にJR貨物の駅が廃止され、完全に撤退しました。

南松本駅で石油を運ぶ貨物を見ましたが、内陸にとって鉄道による石油輸送は大切なインフラです。

 

山には朱色の屋根が目立つ元善光寺、年始のためか元善光寺駅で降りられる方も多い印象でした。

 

伊那本郷から線路は飯田市中心部へ向かってカーブします。

伊那本郷駅~下山村駅においては飯田駅へ迂回する列車より、走った方が早いと言われており、乗ってきた列車を降りて下山村駅までダッシュするイベントが勝手に開催されたりも。

 

そしてこの列車は4時間43分の走行を終え、終点の飯田駅に到着です。



11:14 飯田駅 着

感覚的に長野からここまで乗り通していた方は2,3人程度だったかと思います。1月3日で多少長距離需要が高まる一方、この区間においてはそこまで高くないようです。

 

鉄道の車窓は海沿いが注目されがちですが、山の方が変化に富んでいて注目して楽しむのに向いています。

遠くに見える山脈としては、北アルプスから南アルプス。日本三大車窓でもある姨捨からの善光寺平など、見どころも非常に多かったです。

 

あまり利用する機会がないかもしれませんが、乗り鉄の方には非常にオススメできる列車です。是非機会があれば乗ってみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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