2012年より常磐線特急に投入され、特急ひたち・ときわ号の顔になっているE657系特急電車。
2020年春には東日本大震災・原発事故で不通になっていた区間が全通し、仙台まで特急ひたち号が走るようになりました。
東日本最長特急の一翼を担うこの車両ですが、今日は普段走らない神奈川県・静岡県まで来るとのこと。
その理由は伊豆半島で行われる、按針祭 海の花火大会。これに際して運行された特急列車にE657系が充当されたのです。
臨時列車の名前は「伊藤按針祭花火大会号」。こちらに乗車しまして、神奈川・伊豆半島へE657系の旅をお届けします。
始発駅はここ、東京駅です。
そろそろお盆休みの始まり、丸の内駅舎前では記念撮影をされる旅行客がたくさんいらっしゃいます。
発車標では「特急伊藤按針祭花火大会3号16:25伊東 10両」とスクロールされていました。臨時列車のため通常の表示とは異なります。
所要時間は2時間足らず、特急踊り子より15分くらい時間がかかる程度です。
ホーム上の発車標にも列車名「伊東按針祭花火大会3号」が表示されていました。
行先が「伊東」なのに、停まっているのはE657系。普段東京から結ぶのとまるで逆方向です。
まるで新幹線のような鋭い顔つきをした列車が、伊豆の海を目指してくれます。
お隣10番線には、特急ときわ72号品川行きが入線してきました。
東京駅で同じ方向のE657系が並ぶとは、中々新鮮な気がします。
列車の行先表示器にはちゃんと「伊東」が示されていました。
まさかこの行先にも対応しているとは、かなりの驚きです。
グリーン車でも同じく「指定席」と出されていました。
車内表示器は指定席の表示だけ出ており、列車名や停車駅などの案内は運行全体を通してなされません。
特急ひたち・ときわでは座席未指定券を導入しているため、座席上にはランプが設置されていました。
しかし、この列車は全車指定席のため、座席未指定券での乗車はできません。ランプも全て消されていました。
16:25 東京駅 発
車掌さんによる肉声放送がなされました。停車駅は、品川,川崎,横浜,大船,藤沢,小田原,伊東です。
今日は臨時サンライズ出雲が運行される日。品川の車両基地にはサンライズが2編成停まっていました。
品川駅に到着。特急ひたち・ときわの起終着駅であり、ここまでならE657系は日常的に来ます。
E657系が走るのが珍しいのは、ここからですね。
多摩川を渡りまして、遂に神奈川県へ入りました。
最初の停車駅、川崎駅に到着です。奥には僅かながら、南武線の黄色帯車両が見られました。
左手に止まっていたのは、EF210形機関車が引っ張る東海道の貨物列車です。
さらに京急との並走区間もあり、赤いステンレス車両が駅に停まっていました。
こちらは神奈川新町駅近くの新町検車区。窓部分が白色になったイメージ通りの京急もいます。
東神奈川駅を通過、ここから分岐する横浜線の横を通っていくのも見られない光景のはずです。
16:49 横浜駅 着
東海道第二の主要駅となっています、横浜駅に到着しました。
そごう最大店舗、そごう横浜店に見送られます。
ここで車掌さんによる検札を受けました。東京車掌区の方です。
東海道本線に沿った国道1号がすぐ近くに来たところ。路線バスも停留所に停まってきます。
次の停車駅は大船駅です。
向こうのホームには成田エクスプレスが停車中でした。
列車同士については品川駅でも見られる組み合わせのため、そんなに珍しくないかと思います。
鎌倉車両センター沿いを走行、塗装が新しくなったE259系が停まっていました。
横須賀線の通勤電車も、数多く停車しているところでした。
藤沢駅に到着です。
小田急江ノ島線の乗り換え駅で、真隣には快速急行新宿行きが停車中でした。
この列車とほぼ同時に出発、しばらく並走したのち東海道本線の上を越えていきました。
ここまで通常通りに運行していたこの特急列車、17:17茅ヶ崎〜平塚にてゆっくり停止しました。
この先の踏切で非常を知らせるボタンが扱われたため、安全確認をしているとのことです。
車内表示器には「安全確認のため停車中」と流れました。英語での自動放送も設定されており、ちょっと驚きです。
しばらくして、まもなく運転再開との案内がされ、こちらも英語含めた車内表示と自動放送がありました。
17分ほど停車していましたが17:34、運転を再開します。
鉄道唱歌で馬入川と歌われる、相模川を渡ります。
この近くには国指定史跡「旧相模川橋脚」があって、その橋供養式に参列した源頼朝が乗る馬が突然暴れ出したことから、この別名が付けられたとされています。
平塚駅を通過すると、神奈川県西部に入りました。
最後の途中停車駅、小田原駅に到着です。
お隣には伊豆箱根鉄道大雄山線が停車中でした。この路線と言えば青い帯を纏った列車のイメージが強かったですが、こんな色もあるみたいです。
彫りの深い顔をしていて、海外の鉄道っぽさを感じました。
角度的にちょっと見づらいのですが、駅を発車すると小田原城も構えています。
そして列車は東海道本線の中でも1番海が綺麗に見られる、相模湾を見下ろせる区間へ入ります。
常磐線からでも海は見られますが、こんなに近いところはありません。
座席から海までの距離感ゼロなのは、非常に貴重なことです。
海に近い駅として知られる、根府川駅を通過しました。
このE657系は伊東駅に到着後、根府川駅でしばらく留置されます。花火が終わった後にも東京行きの特急伊東按針祭花火大会4号に充当されるのです。
この辺りには大正時代からの木造駅舎が残っており、真鶴駅の瓦屋根を裏側から眺められました。
千歳川を渡って泉越トンネルへ、遂にE657系が静岡県に入りました。
真っ黒な座席が真っ暗なトンネルへ、そのシックさが目立つ車内です。
JR東日本エリアの果て、熱海駅に到着です。
ここは東海道新幹線の乗り換え駅であり、伊豆方面へも線路が分かれるターミナル駅。
しかし、いつまで経っても列車のドアは開きません。
この列車は熱海駅を通過扱いで、乗降不可能な運転停車しかしないのです。
この通り静岡県内の駅にE657系が停車中。ホーム上には浴衣姿の方も多く、中には列車を珍しそうに撮影されている方もいらっしゃいました。
伊東線は単線のため、伊東線方面からの普通列車が入線するのを待って、こちらも出発しました。
しばらくは東海道本線・東海道新幹線とぴったり並走。
すぐ近くを東海道本線が走っているのに、伊東線にしか駅がないことで知られる、来宮駅を通過しました。
東海道本線はこれから丹那トンネルへ向かいますが、伊東線はその直前で伊豆半島方面へ針路を取ります。
かなりの区間トンネルとなっていまして、伊豆半島の山深さを思い知らされます。
そして、伊豆多賀駅では特急踊り子60号と行き違いました。指定日運行のため、E257系5500番台が投入されています。
続いて網代駅でも運転停車が行われます。
カーブしたプラットホームと長編成のE657系のおかげで、その先頭を確認することができました。
向かいからは伊豆急行の普通列車、元東急の車両がやってきました。
常磐線特急では中々共演しない、地方私鉄とも数多く共演できて非常に良かったです。
元々運転停車駅として指定されていた宇佐美駅で、一時停止したのち発車。
遅れていなければおそらくここで普通列車と行き違っていたと思われます。
左手の海を見てみますと、飛鳥IIがいました。
日本最大の豪華客船、おそらく船上から花火を見られるんでしょうね…。
18:22 伊東駅 着(10分遅れ)
E257系に伊豆急行普通列車が停車中、伊東駅に到着しました。
感覚的には特急ひたちが静岡に来ているように思えて、本当に違和感でしかありません。
おそらく5分の1くらいが列車目的で訪れた方、多くの方が伊東駅とともに写真を撮影されていました。
こちらは2番線ホームに普通列車が到着した後、地下通路が一箇所のためこの通りの混雑です。
通常の自動改札だけでなく、簡易Suica改札機を設置した臨時改札を臨時改札も開設されていました。
これだけのお客さんが詰めかける大きな花火大会ということで、E657系も出張する珍しい光景が現れたのでした。
来年も設定されたときには、ぜひ花火大会も一緒に楽しめればと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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