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【旧N'EXが千葉に復活!】空港特急のお下がり253系 特急マリンきぬがわ乗車記

2024年2月17日

特急成田エクスプレスとして製造された253系電車。

2010年にE259系への置換えが完了し、2編成6両が長野電鉄に譲渡され、特急スノーモンキーで使用されています。

 

JR東日本管内でも東武に直通する、新宿〜鬼怒川温泉の特急きぬがわ号で運行中です。

 

かつて成田エクスプレスで使用された253系電車、臨時特急として千葉県へ帰ってきました。

海浜幕張駅から、普段この車両を見られない京葉線・武蔵野線を走り、東武鉄道に直通して鬼怒川温泉駅へ至ります。



臨時特急マリンきぬがわ号の始発駅、海浜幕張駅に来ました。

指定席券売機の乗換検索でマリンきぬがわ号を表示し、乗車券のみ発行したらこちらが出てきました。

JR線内は大都市近郊区間のため、最短経路の総武線・東北本線経由になっています。

 

駅員さんによって肉声で、マリンきぬがわ号は2番線ホームからの発車と案内がありました。

発車標ではJRマークのみになっており、時刻や番線の案内も行われていません。

 

ホームへ上がりますと、253系電車が止まっていました。

 

成田エクスプレスは総武線経由なので、京葉線に253系が来ること自体珍しいです。

千葉県の臨海部を結ぶ路線の印象が強く、千葉県へ帰ってきたという感動があります。

 

ホーム上の発車標についても、JRマークのままでした。

 

3色LEDのヘッドマークには、特急の文字が表示されています。

 

お隣1番線ホームからはマリンきぬがわ号とは反対方向、蘇我方面の京葉線が出発していきます。



成田エクスプレスから特急日光・きぬがわ号へ活躍の場を移し、253系電車はリニューアルが施されています。

成田エクスプレス時代はもっと赤色が強く、貫通扉に当たる部分も赤く塗られていました。

飛行機マークも空港特急から撤退したことで、消されています。

 

成田エクスプレスでは0・200番台でしたが、日光・きぬがわ号は200番台の内外装リニューアルを行い、1000番台へ改められました。

 

側面の行先方向幕も、「特急」とシンプルな表記です。



東武の特急スペーシアとシートピッチを同じにするため、成田エクスプレス時代の1020mmから1100mmへ広げました。

これに伴い各車両先頭座席の窓は、ご覧の通り小さくなってしまいました。

 

座ったら目の前には窓枠、その向こうの窓は戸袋になっています。

成田エクスプレスでは荷物置き場が広く取られていたので、それを撤去して客室部分を増やし、シートピッチを確保した上で座席を置きました。

 

6号車は元グリーン車でシートピッチが広かったため、窓の小さい座席はありません。

 

運転席近くにはかつて、グリーン個室が設けられていました。

 

残念ながら現在は使用できず、業務用室に。

しかし、長野電鉄の特急スノーモンキーなら、個室券1000円でかつてのグリーン個室を利用できます。

 

空港特急から温泉地への特急へ生まれ変わり、姿を変えた253系。千葉県でその様子を見たところで、車内へ乗り込み鬼怒川温泉へ向かいましょう。



12:11 海浜幕張駅 発

濃いピンク色をした通勤電車を横目に、幕張メッセやスタジアム、商業施設も集まる海浜幕張駅を出発します。

 

しばらくして左手には、イオンモール幕張新都心が現れてきました。

 

京葉車両センターに隣接する2023年春に開業したばかりの新駅、幕張豊砂駅を通過します。

 

今走っている東京方面は高架ホームでありながら、千葉方面は地上ホームという面白い構造をした駅です。

明日、鬼怒川温泉から海浜幕張へ帰るマリンきぬがわ号は、地上ホームを通過することになります。

 

元々貨物線として計画された京葉線、東海道本線くらいの頻度で貨物列車を見ます。

 

列車は武蔵野線へ入るため、蘇我方面と西船橋駅を結ぶ京葉支線、二俣支線へ入ります。

 

東京と千葉を結ぶ京葉線に加え、西船橋から東京方面の高谷支線と千葉方面の二俣支線が設けられました。

 

線路が分かれると左手には、本線上に位置する二俣新町駅を目にすることができます。

 

程なくして湾岸道路の上を、西船橋駅から東京方面を結ぶ支線が渡ってきました。

 

ここで線路が合流し、一緒に西船橋駅へ向かいます。多くの通勤電車がこの支線を走っており、武蔵野線の一部みたいな立ち位置です。



最初の停車駅、西船橋駅に到着しました。

こちらの発車標では、「特急マリンきぬがわ」と列車名まで表示されています。

 

発車時には駅員さんがお見送りしてくださり、列車は首都圏の外環状路線、JR武蔵野線に入ります。

 

都市部から放射状に伸びる路線と多く交差し、西船橋駅ではJR総武本線と東葉高速線と乗り換えができ、その先でも京成本線と直交しました。

 

半地下構造になっている新八柱駅を通過し、武蔵野線らしく貨物線を走っていきます。



常磐線と直交する東松戸駅に到着しました。

新松戸駅では「臨時特急  マリンきぬが」の表記。空白を一つ減らせば全部書けそうですが、そういう訳にもいかないのでしょうか。

 

ここには常磐線の両方面から武蔵野線をつなぐ、貨物線が設けられています。

 

北小金支線がくっついた馬橋支線が、右手から合流してきました。

 

列車は江戸川を渡りまして、遂に千葉県から埼玉県へ入ります。

 

千葉県内を走っていたのは30分程度ですが、E253系で千葉県を走れたのはかなり貴重なものでした。

 

新三郷駅周辺にはかつて武蔵野操車場があり、上下ホームが360mも離れていました。

1986年に廃止され、その跡地はIKEAやららぽーと新三郷など、大型商業施設になっています。

 

武蔵野線を走る臨時特急の始発駅になりやすい、吉川美南駅に到着です。

 

こちらでも発車標は通常の列車通り、鬼怒川温泉行きと出ています。

 

E253系が走るのが珍しい区間だけ乗車したい鉄道ファンなど、このあたりで下車する方も多かったです。

 

前後に列車が詰まっているためか、50km/hまで速度を落としている区間も。

 

武蔵野線は首都圏の貨物列車を引き受けており、広大な用地を有する越谷貨物ターミナル駅の横を通過します。



ここで再び車内に目を移しましょう。

車内に入ってすぐのところにドアが設けられており、自動ドアは手をかざす方式です。

 

左側にはキャリーバックなど、大きな荷物を置けるスペース。

 

反対側も荷物置き場だったのですが、鏡とカーテンを設置して、パウダーコーナーになっていました。

 

臨時列車のため車内表示器は暗いままでしたが、機械は昔ながらです。

 

いつの間にか速度を上げており、80km/hを超えていました。



京浜東北線との乗り換え駅、南浦和駅に到着です。

ホームにはたくさんの方が列車を待っておられ、一般の方まで特急にスマートフォンを向けていました。

 

発車標の一番左には、全席指定の表記が出ていたようです。

 

南浦和駅を発車すると、次の停車駅は東武線内の栃木駅。

JR線内の駅は全て通過して、東武線へ直通します。

 

武蔵野線から東北本線へ入りたいのですが、乗り換え駅の南浦和駅では立体交差していました。

旅客輸送なら人間が動いて乗り換えれば良いですが、貨物列車では荷物を積み替えて路線を乗り換えさせるなんてやってられません。

そこで整備されているのが貨物線、常磐線にもありましたが、武蔵野線から東北本線を直通する西浦和支線と大宮支線が設けられています。

 

武蔵野線から分岐しまして、西浦和支線へ入りました。

 

進行方向右手奥の方には、東北新幹線と並走する埼京線の高架が見えています。

ちょうど埼京線が中浦和駅へ入線するところです。

 

別所信号場で府中本町寄りから来た大宮支線へ合流し、東北本線を目指します。

 

さっき見ていた中浦和駅あたりで、高架下をくぐりました。

 

東北本線を真横に見ながら並走、京浜東北線が発車しようとする与野駅の横を通過します。

 

そのままの勢いでこの列車は大宮駅を通過してしまいます。

 

しかもここはホームが無い線路、さっきと反対側の車窓を見ていますが、こちらもホームに面していません。

 

ちょうど大宮駅に隣接して、特急成田エクスプレスとして現在活躍している、E259系電車がいました。

 

列車は東北本線に入りまして、高崎線との分岐点です。

大宮駅から先については、新宿から鬼怒川温泉を結ぶ特急きぬがわ号で、いつでも見られる走行ルートになります。

 

車両基地にはE257系特急車両が停車中。武蔵野線を発着する臨時列車によく使われたりします。



東武伊勢崎線の乗り換え駅、久喜駅を通過します。

ちょうど銀色の車両が止まっているところ、群馬方面へ路線網が分かれる幹線です。

 

東北新幹線から高架線がこちらへクネクネ分かれてきて、ここでぷつんと途切れました。

これは新幹線の高架へ保線車両などを入れるためです。

 

東鷲宮駅は今走っている下り線が地上ホーム、上り線が高架ホームになっています。

京葉線で通過した新駅、幕張豊砂駅と同じような構造です。



左手からは東武日光線が合流してきました。

栗橋駅でJR線から東武線に入るため、JR東日本の方から挨拶の放送が行われます。

 

ちょうどここで東武の新型特急、スペーシアXが通過していきました。

あちらは浅草から東武線だけを走ってくる特急列車、特急が特急を追い抜いているような見かけになります。

 

栗橋駅では運転停車が行われ、JR東日本から東武の方へ乗務員さんが交代します。ホームが線路に面していないので、乗務員室付近には乗務員交代用のデッキが設けられています。

 

栗橋駅にはJR東日本の駅名標が立っていますが、こちらからもお別れです。

 

東武・JR連絡線へ入ると、列車は2,3秒ほど空調と一部の車内照明が落とされます。どちらも直流1500Vなのですが、会社別の電源が混触することを防ぐために設けられました。

JR東日本では肉声放送のみ行われていた一方で、東武に入るとE253系の車内チャイム『華麗なる大円舞曲』も流してくださいます。

 

電柱には「セクション出」の標識があったりと、デッドセクションを抜け出したことが分かります。

 

ここからはいよいよ東武鉄道の旅、カーブを曲がって関東平野を作り出す利根川を渡りました。

 

こちら通過中の柳生駅近くには、埼玉県・群馬県・栃木県の三県境地点があります。

 

それほど県境が集中しているところを走っており、川を渡ると埼玉県から群馬県へ。

 

東武日光線には群馬県内に一駅だけ、板倉東洋大前駅があります。

 

はっきりと県境は分かりませんが、群馬県は爪先を掠めただけで栃木県に入りました。



南浦和駅から1時間ぶりの停車駅、栃木駅に到着です。

栃木駅は東武日光線とJR両毛線の乗り換え駅、左側から近づいてきたJR両毛線を、ちょうど211系電車が走ってきました。

 

栃木県150周年を記念して、運行系統上栃木駅から分岐する東武宇都宮線には1年間限定で「いちご王国ライン」の愛称が付けられ、駅名標も特別仕様に交換されています。

 

東武だと発車標の表示がどうなっているか気になりましたが、残念ながら故障中でした。

 

JR両毛線は単線のため、栃木駅で列車行き違いを行なっていた様子。

 

到着だけでなく発車時刻までマリンきぬがわ号と一緒で、東武日光線の下を潜り、小山方面へ向かっていきました。

 

その直後には東武特急スペーシアとすれ違い。東武とJRは都心〜日光の輸送で競合していましたが、大手私鉄ならではのフラッグシップ特急スペーシアを打ち出し、東武が完全なる勝利を手にしています。

 

お隣の新栃木駅からは、「いちご王国ライン」なる東武宇都宮線が分岐します。

 

南栗橋車両管区新栃木出張所があって、古くからの通勤車両やSL客車もいました。

 

東武線に入ると一気にスピードを上げ、これぞ特急という高速運行を見せてくれます。

武蔵野線のように前後に列車がいないため、遠慮はいりません。

 

山を抜けまして、こちらはローカル輸送に徹するJR日光線と立体交差しました。



東武日光線と東武鬼怒川線の分岐駅、下今市駅に到着です。

お隣にはDL大樹などで使用される、DD10型ディーゼル機関車がいました。

JR北海道が所有していた青色車体に金帯と流星マークのDD51形塗装に改められています。

 

蒸気機関車運行のために転車台や車庫が設けられており、古くからの鉄道運行が現代に再現されたようです。

 

栗橋駅から東武日光線を走り続けていましたが、ここから東武鬼怒川線に入ります。

 

東武鬼怒川線は基本的に単線、大桑駅では普通列車と行き違いました。

 

ところどころ雪が見えるほどの山の中、鬼怒川沿いに北上します。



小佐越駅では運転停車が行われます。そこにいたのは…

もう1編成のE253系で運行される、JR直通特急きぬがわ号新宿行きです。

E253系1000番台は2編成だけで、JR東日本で残るE253系が全て集まりました。

 

やはりスペーシアやスペーシアXの方が圧倒的人気、向かいはガラガラ状態です。

 

最後の途中停車駅、東武ワールドスクエア駅に停車しまして、まもなく終点の鬼怒川温泉駅に到着します。

 

千葉県から3時間に及ぶ特急の旅。いよいよ終着駅に着こうというところで、汽笛が聞こえてきました。

 

右手にはSL大樹の青い客車がいます!

 

鬼怒川温泉駅前から1.2km南寄りの鬼怒川立岩信号場までは複線のため、マリンきぬがわ号到着前に信号が変わり、発車できてしまいます。

 

一昔前の特急の雰囲気を感じていたところから、一気に全時代へ追いやられるような光景です。

 

会津高原尾瀬口行き普通列車と接続しており、乗換案内が行われていました。

 

レトロな丸文字の駅名標、奥には雪化粧の山々が夕日に照らされています。

 

回送される前に乗務員さんが、せっかく鬼怒川来たんだから「きぬがわ」くらい出してあげましょうと、特急きぬがわ号のLEDヘッドマークを表示してくださいました。

 

3色LEDで色が制限される中で、鬼怒川沿いの紅葉をうまく表現されています。

 

側面表示についても、「特急きぬがわ 鬼怒川温泉」です。

 

千葉県の臨海部から栃木県の山奥まで、あまり走らない貨物線を伝っていく特急の旅。

残念ながら個人的には成田エクスプレスの時代を知りませんが、人によっては当時の面影を感じながらの乗車になったかもしれません。

 

いつかE253系電車が引退する時には、空港までは行かなくても成田への臨時特急としてでも復活してくれれば、そんな妄想が膨らむものでした。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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