大阪を中心とした関西圏から新潟まで、鉄道で行こうとすると距離感があります。
かつては大阪発新潟行きの夜行急行きたぐに号が2012年まで定期列車として走っていたほか、昼行特急雷鳥号も新潟まで延長運転していた過去もあります。
大阪から新潟へ鉄道で行くなら、東海道新幹線・上越新幹線の乗継ルートが主流。東京駅を経由するので遠回りですが、本数が多く利用しやすいです。
もう一つが急行きたぐに号ルートと似た、特急サンダーバード・北陸新幹線・特急しらゆき乗継。金沢駅〜上越妙高駅では北陸新幹線に乗車し、北陸経由で新潟へ行く新たなルートと言えるでしょう。
その中で今回は、高山本線経由をチョイス。普通の人は使わないルートで新潟を目指し、そこから見られる特別な景色もお届けします。
日本一長いプラットホーム、特急列車が発着する京都駅0番線ホームから出発です。
1日1本だけ運行されている、大阪駅始発の特急ひだ25号高山行きに乗車します。
2023年春のダイヤ改正で、特急ひだ号は新型車両HC85系に統一。西日本にもハイブリッドディーゼル特急がやってきました。
大阪・京都から乗り換えなしで、飛騨の小京都・高山まで連れて行ってくれる、非常に便利な列車です。
湖西線が分岐する、山科駅を通過。
新潟まで北陸ルートで行くなら、特急サンダーバードが湖西線へ入っていきます。
特急ひだ号は草津駅に到着。新幹線駅が無いながら主要な町からの需要を、ぽつぽつと拾っていく感じです。
しばらくすると雪が現れてきて、日本海側の景色にも期待が寄せられます。
ちなみにこの頃は1月末で、レポートに追われている時期でした。
新潟駅到着までに、どうにか終わらせたいところです。
米原駅でJR西日本からJR東海の方へ、乗務員さんが交代されました。
大雪の時期には減速運転を行なっていた東海道新幹線も、だいぶ溶けて通常通りの運転に戻っています。
進行方向左手には、雪化粧をまとった山塊の伊吹山を眺められます。
手前には東海道新幹線の高架橋が突っ切っており、冬の東海道におけるハイライトの景色と言えるでしょう。
滋賀県最後の駅、柏原駅のホーム上には雪がまだまだ残されていました。
ここでは貨物列車を追い抜いていきました。
特急ひだ号は大垣駅に到着。
明治時代には関ヶ原の不破関を越えるため、大垣駅で補助機関車を連結していた過去もあります。歴史的にも東海道本線における、重要な運行拠点でした。
濃尾平野へ出てきまして、岐阜駅に到着です。
ここから高山本線へ入るのですが、列車は一度扉を閉め、岐阜駅の西寄りにある車庫へお客さんを乗せたまま発車して行きました。
そう思っているとお隣の4番線ホームには、名古屋からの特急ひだ5号飛騨古川行きが到着です。
車庫へ引き上げられた大阪からの特急ひだ25号高山行きが、4番線ホームに入線。
名古屋からの特急ひだ5号と、大阪からの特急ひだ25号が連結。これで一緒に高山本線へ入ります。
これは岐阜駅の配線の都合上、4番線で連結作業を行う上で、大阪からの特急ひだ25号を直接4番線へ入線させられず、こういった作業が行われています。
再び扉が開いたため、車内へ戻ってきました。
特急ひだ号では車内販売が行われていないため、岐阜駅のホームでお茶を買ってきました。
10:11 岐阜駅 発
名古屋・大阪からやってきた特急ひだ号、連結作業を終えて東海道本線から高山本線へ入ります。
HC85系では、岐阜高校ESS部の生徒さんによる日本語と英語の自動放送で、高山本線から見られる車窓を案内してくださいます。
最初に見えてくるのが犬山城、国内最古の天守として知られるお城です。
かつて名鉄名古屋駅からJR高山線へ直通する、急行北アルプスが通った連絡線のある鵜沼駅を通過し、日本ラインといわれた木曽川沿いを走っていきます。
美濃加茂盆地まで出てきまして、中心駅となっている美濃太田駅へ到着します。
ここからは長良川鉄道越美南線が分岐しており、岐阜県と福井県を結ぶはずだった路線の一部で、岐阜県側が第三セクター鉄道になりました。
いよいよ列車は本格的な山間部へ、飛騨川沿いの渓谷を走ります。
中でも見どころが、こちらの飛水峡。奇岩が織りなす神秘的な大彫刻を大自然が生み、水流の侵食で窪んだ甌穴群は国指定記念物にもなっています。
何度か飛騨川を渡るので、左右どちらからでも渓谷美を眺められるのが素敵です。
ハイブリッドディーゼル車両で、ブレーキによって発生した電力を蓄電池に溜め、加速時には蓄電池からの電力でアシストします。
新型車両は軽やかに山々を越え、下呂駅を発車しました。
穏やかな河川敷に隣接して温泉旅館が林立しており、日本三名泉のひとつらしい風格を見せてくれます。
ここまで全くなかったのですが、段々と日陰に雪が残っている様子が現れてきました。
やはり冬の飛騨を経由したのなら、雪を見なければもったいないです。
温もり感じる車内空間との、コントラストを楽しめます。
宮トンネルを出た先には、撮影地としても知られる宮カーブを通過。
長編成の特急ひだ号ならば、車端部から乗っている列車の姿を観察できます。
いよいよ進行方向右手には、北アルプスの白い山々が現れました。
この先で見られる車窓の楽しみが、溢れでているようです。
12:14 高山駅 着
大阪からの特急ひだ25号は高山止まりです。
一方で、前寄りの名古屋から来た特急ひだ5号は飛騨古川行きなので、もう少し先まで足を伸ばします。
ほとんどお客さんは高山駅で降りられますが、連結を外して発車していきました。
駅舎内には飛騨産のヒノキが沢山使われており、改札を中心としたコンコースなど木の温もりを感じます。
メインとなる東側の乗鞍口は、町屋の雰囲気をモチーフにしているそうです。
夜になると格子から光が漏れ出て、非常に穏やかな駅となります。
次の列車まで時間があるので、西口を出てすぐ近くのマクドナルドへ。
迫り来る期限にせき立てられつつ、何とか1本レポートを完成させます。
高山駅からは引き続き、特急ひだ号へ乗り継ぎ。高山本線を乗り通して、日本海側の富山駅を目指しましょう。
名古屋からやってきました、特急ひだ7号に乗車。高山駅で連結を外し、ここからは2両編成での運行です。
13:17 高山駅 発
歩いている間にだいぶ冷めた、酸味の強いマックのコーヒーをいただきつつの発車です。
高山本線は単線のため、特急列車同士での行き違いを見られます。
窓一枚隔てて、外には一面真っ白の雪原が広がってきました。
これこそ求めていた高山本線の冬景色です。
飛騨市の代表駅となっている飛騨古川駅。映画『君の名は。』で描かれたことでも知られ、多くの方が聖地巡礼に訪れます。
ここから県境へ向かってどんどん山の中へ、渓谷や雪がより深くなります。
飛騨古川駅で降りられる方が多く、お隣に座っていた外国人観光客も降りていかれました。
レポートがひと段落した所で、高山駅で買ってきた飛騨の駄菓子、黒糖げんこつをいただきます。
きなこと水あめを練り上げていて、グニョンとした食感。黒糖の素朴な甘さが特徴的で美味しいです。
河川敷にふんわりと雪が盛られた、流れの穏やかな宮川沿いを北上していきます。
夏には水遊びもできそうな、水面に岩々が顔をのぞかせる典型的な清流。
富山県に入り猪谷駅を発車しまして、遂にJR東海からJR西日本エリアへ。
しばらく工事が行われていた猪谷橋は真っ赤に塗られ、白い雪を押し除けているようです。
長かった山岳地帯を抜け出しまして、富山平野へ。
すると奥の方には北アルプスの北部、真っ白な立山連峰が見えてきました。
富山県を代表する景色とも言える、雪化粧をした立山連峰。半分くらいが白くて、麓に深い青色が残っているのもまた素敵です。
空気が澄んでいて雲も薄いので、特に素晴らしい日。
雨晴海岸まで行って、日本海越しに見ようか迷うほどでした。
北陸新幹線、あいの風とやま鉄道と共に神通川を渡ります。
富山駅の端っこにある高山本線ホームでは、ローカル線で使われるキハ120形が停車中でした。
14:47 富山駅 着
特急ひだ号は白い枝が手を伸ばしていく、大きなプラットホームに到着です。
富山駅在来線ホームはかつて北陸本線として特急街道だった、第三セクターあいの風とやま鉄道の管轄になっています。
駅周辺の建物の向こうには、青空に白い切り絵を貼ったような北アルプス。
それを背景にHC85系は、車両基地へ引き上げられていきました。
富山駅でも乗り換え時間があったので、スタバに入ってレポートを進めます。
富山駅からは北陸新幹線に乗車。
北陸地方から新潟駅へ向かうには、かがやき号が停車しない上越妙高駅で下車する必要があります。
新幹線ホームからは、オレンジ色の夕日を正面から受ける立山連邦の姿がありました。
北陸の青空をイメージしたとされる、W7系新幹線に乗車します。
16:31 富山駅 発
新幹線ホームから望めたオレンジに染まる立山連峰に向かって、富山駅を出発しました。
在来線の大きな窓から見るのとは違って、比較的小さい窓から覗き見るのも、列車からの車窓という色が濃くなり、これまた良いものです。
新潟県に入りまして、糸魚川を渡りました。遂に太陽が日本海へ沈んでいき、夜を迎えます。
17:11 上越妙高駅 着
JR東日本エリアの始まり、上越妙高駅で下車します。
かつて金沢駅〜新潟駅では、特急北越号が結んでいました。
2015年の北陸新幹線金沢延伸によって廃止、その代わりに上越妙高駅〜新潟駅に特急しらゆき号を新設しています。
北陸新幹線の並行在来線として、かつての信越本線(妙高高原駅〜直江津駅)は、えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインになりました。
すでに地上ホームには、特急しらゆき号が停車中。駅名標もえちごトキめき鉄道仕様です。
常磐線特急で使用されていたE653系電車が新潟へ転属し、特急いなほ号・特急しらゆき号で活躍しています。
4列車目にして遂に現れた「新潟」の文字。
特急しらゆきは1日4往復だけの運行で、この列車は今日の最終便。自由席はガラガラでした。
北陸新幹線からの乗継割引により、特急しらゆき号の特急料金は半額に。
この制度も2024年春のダイヤ改正で廃止されてしまいます。
お隣に来た通勤電車は、1960年代から新潟地区で走っていた「新潟色」を田島塗りで再現したものです。
17:23 上越妙高駅 発
元々は脇野田駅という小さな駅だったのですが、新幹線駅かつ新潟方面へ特急乗換駅になったことで、駅前には東横インやスーパーホテルが林立しています。
妙高はねうまラインを走り、上越市の代表駅である直江津駅に到着しました。
北陸新幹線開通前、北陸・長野・新潟・東京へ長距離列車の分岐点として栄えた駅です。現在長距離列車は特急しらゆき号のみになり、旧北陸本線もえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインに移管されています。
レポートも書き終えたので、富山駅で買ってきたお弁当をいただきます。
富山の駅弁と言ったら、ますのすし。丸い箱詰めに詰められ、ピザみたいに切って食べるのが特徴です。
今回は2種類楽しめる、「ますとぶり小箱」をチョイスしました。
笹の葉で区切られ、2色のコントラストが鮮やかです。
ぶりの上にはシャキシャキしたカブが敷かれ、シンプルな旨みのアクセントになっています。
定番の味を感じられる、ますのすし。酢飯に脂ののったサーモンがピッタリです。
昼間ならすぐ近くに日本海を眺められる景色の良い区間。日本一海に近いと言われる駅の一つ、青海川駅もあります。
日本海沿いを走る越後線との分岐駅、柏崎駅に到着しました。
駅前には、プチやアルフォートで有名なブルボンの本社があります。
宮内駅で上越線が合流、1kmほど先には貨物駅の南長岡駅があって、日本海における鉄道貨物輸送の拠点駅になっています。
しばらくして長岡駅に到着しました。新潟駅へ急ぐならば、上越新幹線に乗り換える方法もあります。
左側の1番線ホームは通常使用されませんが、今でも臨時団体列車から降りたてることも。
特に長岡まつり大花火大会開催時には、多くの列車がここを発着します。
上越新幹線より比較的中心部に近く、こまめに主要駅で停車。
見附駅、東三条駅に停まっていきます。
新潟市に入りまして、新津駅に到着。
信越本線のほか羽越本線と磐越西線、計4方向に路線が分岐する重要なターミナル駅です。
古くから鉄道の拠点として栄え、現在でも車庫が隣接。
磐越西線ではSLばんえつ物語号が走っており、こちらの車庫で世を明かしています。
上越新幹線の車両基地へ繋がる高架橋と並行、これを延伸して新潟空港へ繋ぐ計画もありますが、実現までのハードルは高そうです。
奥の方には新潟港周辺の、石油化学コンビナートの夜景を見られました。
2022年6月に全線高架化された新潟駅、日本海側唯一の政令指定都市を眺めつつ、終点に到着です。
19:25 新潟駅 着
京都駅から11時間近くかけまして、新潟駅へやってきました。
ほとんどの方が利用しないルートではありますが、関西から新潟まで非常に楽しませてくれる陸路です。特に北アルプスの立山連峰は、特急ひだ号から見るからこその楽しみがあります。
東京以外の大都市からは距離感がある新潟ですが、せっかくならその道中も楽しめるルートを選択してみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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