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【北海道への鉄路!】貨物の大動脈を成す三セク IGRいわて銀河鉄道&青い森鉄道[史上最長片道切符の旅(78)]
秋北バスのみちのく号による、花輪線の代行輸送で盛岡駅に来ました。 盛岡〜好摩は史上最長片道切符のルート外。第三セクターのIGRいわて銀河鉄道で北上し、ルートに復帰します。 IGRいわて銀 ...
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夜行フェリーで津軽海峡を渡りまして、フェリーターミナルから歩いてきました。
青函トンネルが開通する以前、青函連絡船の乗り場と函館駅は隣り合っており、正真正銘北海道の玄関口でした。
函館駅を起点とする函館本線を北上するのですが、今回乗車する列車は通常と異なるルートを走ります。特急列車はもちろん大半の普通列車とは違う動きをする、我が道を行く普通列車です。
函館本線には七飯駅〜大沼駅と、大沼駅〜森駅それぞれに2つのルートがあります。これらは全て函館本線として扱われているので、慣れていない観光客には厄介な存在です。
なぜ8の字路線になっている?
函館本線の8の字路線は、本線(仁山経由・大沼公園経由)、藤城線、砂原線(鹿部経由)で成り立っています。
本線には仁山越えと呼ばれる20‰の区間があり、藤城線はそれを9.5‰に軽減しています。さらに、森から大沼にも駒ケ岳越えと呼ばれる20‰の勾配で、砂原線による大回りで6‰になりました。
勾配の影響を大きく受けて途中通過する貨物列車において、札幌方面(下り)は藤城線・本線(大沼公園経由)、本州方面(上り)は砂原線・本線(仁山経由)を通ります。
それまで特急列車も藤城線を走っていましたが、2016年春に北海道新幹線が新函館北斗駅まで開業。特急含めほぼ全ての列車が仁山・大沼公園経由になりました。
新幹線開業で電化 函館〜七飯
頭端式ホームと呼ばれる行き止まり構造の函館駅。ここが終着駅だという旅情が強まります。
ここに設置されているのが函館本線の起点を示す0キロポストです。しかし、謎の「0k219m00」という文字も書かれています。
これは、函館本線の起点が函館駅から219m離れた青函連絡船のりばだったから。現在ではその線路が短縮されたのですが、この標をずらすのは手間なので、出発点を219mから始めているのです。
かつて全国の国鉄駅にあったホーロー看板も、今ではJR北海道の象徴。特に函館駅には「ようこそ函館へ。」という特別なものが用意されています。
普通列車森(藤城・鹿部経由)に乗り込みまして、特別な函館本線の旅の始まりです。
05:49 函館駅 発
向かい側には函館駅~新函館北斗駅を結ぶ、はこだてライナーが停車中。札幌を目指す北海道新幹線の駅は函館に来なかったので、この列車が函館へのアクセスを担います。
更に奥には函館~札幌を結ぶ特急北斗が停車中です。港に向かっていた名残がカーブしたホームの形状に残っていて、函館駅には変わり続けた鉄道輸送の歴史が刻まれています。
車両基地には2022年秋に引退を迎えた青い281系気動車も停車中。函館~札幌を2時間59分で結んだトンデモ特急だったのですが、鉄道事故と不祥事により、JR北海道が安全な鉄道輸送を重視する方向へ舵を切り、必要以上のスペックを備えたこの車両は白い261系気動車へ置き換えられました。
函館運転所に停まるのは国鉄型気動車ばかり。道南に来る行為はタイムトラベル同様です。
次の停車駅は五稜郭駅、ここからは第三セクター道南いさりび鉄道が分岐します。
ここに併設された五稜郭車両所では281系気動車の整備が行われていましたが、車両引退に伴い、2023年3月をもって廃止予定です。
ここからは函館港までを結ぶ貨物線、有川支線が伸びています。今でも機関車に引っ張られ、コンテナ貨物が港へ輸送されているようです。
右手には五稜郭機関区がありまして、津軽海峡を越えるためのEH800形電気機関車がたくさん停まっています。
北海道新幹線が新函館北斗駅まで開業すると同時に、函館本線も新函館北斗駅~五稜郭駅が新規電化されました。
左手を見ていますと、北海道新幹線の高架橋が見えてきます。新函館北斗駅経由の線路では、あの高架から降りてくる新幹線車両基地がすぐ横です。
新函館北斗を通らない 藤城線
藤城線が分かれる分岐点、七飯駅に到着。元々新函館北斗駅は渡島大野駅だったので、駅名標の隣駅が貼り直されています。
七飯町も存続に前向きとあり、函館〜新函館北斗駅は第三セクターの旅客線として存続の方向。それ以外の線区は定期旅客輸送は廃止され、貨物線として残りそうです。
今日走った藤城線は経費節約のため、これを機に廃止される可能性が高くなっています。機関車の性能が高まっているため、あまり影響は無いそうです。
七飯駅を出発しまして、いよいよ藤城線へ入ります。電化された新函館北斗駅を通る線路は左側の線路を下っていきましたが、藤城線はこの高さのままです。
盛り土からそのまま高架線へ繋がり、線路上の緑地化で一体になっています。
この高架線が異常に高い上長く、いきなり人工構造物の迫力を見せつけられます。
261系気動車引退の時、途中停車駅が東室蘭駅だけの臨時特急スーパー北斗はこちらを通っており、特徴的なこの場所で撮影された方もいらっしゃいました。
その後は山を切り開いたところに線路が敷設されています。
国道5号のバイパス、函館新道の下をくぐりました。
一般道もこちらの藤城線に沿っており、函館〜長万部の路線バスはこっちを走っています。
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左手に注目していると冬ならまだ暗く、新函館北斗駅の光が見えてきます。東横インのアオカンが目立ってました。
いくつかトンネルがありますが、最後にくぐり抜けるのは1250mに及ぶ新峠下トンネルでした。
左から特急北斗が走る、新函館北斗駅経由の仁山周りが並行してきました。
小沼は藤城線の方が近くを走っています。
元々は大沼という一つの大きな沼だったのですが、函館本線がこれを断ち切ったことで小沼と大沼で別の沼になりました。
函館本線の交差地点 大沼駅
8の字路線の交点にあたり、4方向に分岐する駅になっています。それら全てが函館本線というのも面白いポイントです。
ここでさっき函館駅に停まっていた、特急北斗1号に追い抜かれます。
さらに森駅から来た函館行きの普通列車と行き違いました。
函館方面の旅客列車はわざわざ勾配がキツく途中駅も無い藤城線を通る意味がないので、全て新函館北斗駅経由の仁山周りです。そのため乗換は鹿部方面だけ案内されています。
駒ケ岳を大回り 砂原線
沢山の線路がズラッと並ぶ広い構内なので分かりづらいですが、ここから特急が走る本線の大沼公園経由と、砂原周りの鹿部経由に分かれます。
大沼駅を出発しまして、一番東側の線路へ移ってきました。
2022年3月には砂原周りの駅が3駅連続で廃止されました。こちらは特に列車本数が少なく、その分利用者も極端に少なかったのです。
流山温泉駅は2001年に開業した、JR北海道で一番新しい駅でした。
JR北海道が開発した流山温泉の最寄り駅として設置されたのですが、リゾート地自体の経営も厳しくなって利用も減少、廃止に追いやられました。
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さらに2022年駅から降格した、銚子口信号場で行き違います。
3駅連続廃止されたことにより、最初の停車駅が鹿部駅。鹿部町の中心駅であり、この路線がなくなると鹿部町からは鉄道が無くなります。
左手に注目すると、駒ケ岳が見えてきました。特急からは北の大地らしいところに富士山みたいな稜線を見られますが、こちらは山に囲まれた奥に頭を出しているようです。
秘境駅としても知られる渡島沼尻駅に停車。田んぼの小屋みたいな古い待合室になっています。
木の丈が低くなってくると、駒ケ岳もなだらかな肌を現しました。角度が変わるので形が違って見えるのも良いです。
距離的には海のすぐ近くなのですが、基本的には山の中。その隙間から見下ろせるようになりました。
砂原周りの由来ともなった、渡島砂原駅。
掛澗駅ではDF200機関車に連れられた、貨物列車と行き違いました。特急北斗は全て大沼公園経由になりましたが、体重が重い貨物列車は勾配が重要視されるため、現在でも上り列車は砂原周りです。
尾白内駅の待合室は車掌車を転用したもの。北海道でよく見られるかまぼこ型ではなく、塗装も新しそうです。
東森駅はキャンプ場のロッジみたいな正三角形です。植物が侵食しており、廃線感が感じられます。
東森駅を出ると、急勾配を越えてきた特急北斗が走る函館本線と合流しました。
森駅入腺直前には、突然真横に一面の海が広がります。それまで山の中を走り続けていたので、初めて乗った時には結構驚いちゃうところです。
07:43 森駅 着
駒ケ岳と内浦湾とキハ40。森駅に降り立ったら絶対跨線橋に上がるべきです。
普通列車の本数が非常に少ないため、森駅では2時間半の待ち時間が発生します。
全国的に有名ないかめしを売っている柴田商店は、営業時間9:00〜18:00です。
内浦湾沿いを行く 森〜八雲
キハ40のリニューアル車両、道南 海の恵み号が来ました。
10:15 森駅 発
ここから函館本線は内浦湾沿いを走り、国鉄時代からの歴史感じる車内の雰囲気も相まって、これ以上無いほど素敵なローカル線の旅ができます。
一方で、JR北海道はキハ40を次々H100に置換え中。このように窓を開けて北海道の潮風を感じるのも、難しくなってきそうです。
2022年春、函館本線では砂原周りと合わせて、廃止されたばかりの駅が多くあります。駅名標が外されて入り口が閉じられただけで、まだ在りし日の廃駅の残り香を感じられる状況でした。
いや、強すぎる潮風で消されそう…。
渡島半島はカーブしているので、先程目の前にあった駒ケ岳は内浦湾の向こう側に。函館本線のこの区間に乗るなら、振り返った景色も見るべきです。
10:50 八雲駅 着
八雲駅には特急北斗が停車し、新幹線単独駅の新八雲駅も建設されます。
便利な北海道新幹線も待ち遠しいですが、それまでに函館本線の旅を過剰摂取しておきたいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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