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道南 海の恵み号に乗って、函館本線を北上。下車したのは特急北斗が全列車停まる八雲駅です。
寝台特急カシオペア・北斗星も停車しており、その規模をうかがい知ることができます。
八雲駅がある二海郡八雲町は、人口15,673人(2021年1月現在)で、それなりに大きな町。
日本で唯一、太平洋と日本海に面していることから、この郡名が付けられました。
そんな八雲町には、2030年の北海道新幹線札幌延伸により、新幹線駅が設置されます。函館本線と接続しない新幹線単独駅であり、新八雲駅(仮称)です。
今回は新八雲駅の予定地まで歩いてみることにしました。
新八雲駅は八雲駅から西へ約4km、歩いて45分かかります。
駅を出て左側へ歩き始めますと、かなり整備された町並みが広がっていました。
コンビニや携帯電話ショップも揃っていまして、歩道も綺麗です。
電化されていないために空が広い、立派な函館本線を越えて西へ。
20分ほど歩くと住宅が消えまして、田んぼの中を歩くようになりました。
道央自動車道の下をくぐります。やや北には、八雲ICが設置されています。
道道42号を歩き続けまして、左へ曲がります。
今度は、とうもろこし畑が広がっていました。
大きな倉庫と家が見えてきまして、その先にあるのが新八雲駅予定地です。ここにはお住まいの方がいらっしゃいました。
この道沿いには気になるものがいくつか。
畑沿いにはピンクのリボンが付けられた、木の棒が刺さっています。
その先にも木の棒と共に、短く白い棒もありました。
「2級基準点 No.J211」、「平成25年7月調査」と書かれています。
更に、「北海道新幹線・北斗・長万部間基準点測量地」。完全に北海道新幹線のものです。
2本の木を挟んだあたりに、新幹線の高架が通されるのでしょう。
また、草むらの中には北海道新幹線の細長い木の板が。インターネット上にはその下にも色々書かれているようでしたが、私有地に入ってはいけないので、これが限界です。
新八雲駅の駅舎は、この辺りにできます。
岐阜羽島駅や新横浜駅など、開業前は何もなかった新幹線駅はいくつかあります。
しかし、新八雲駅は開業後もこのような景色が保たれる方針です。
今後は、デザインコンセプトを基に鉄道運輸機構で新駅のデザイン素案の検討を進め、八雲町へ提案される予定です。
見出しは『牧場の中にある駅 ~二つの海をもつ八雲の大地にたつ、牧歌的風景に調和したシンプルな駅~』。まさに北海道の原風景を駅前に表してくれます。
北海道新幹線新八雲(仮称)駅デザインコンセプト要望書 [PDFファイル/1.41MB]より
駅の構造についても非常にシンプル。売店は無く、トイレと待合室だけの想定です。
(2)駅舎出入口および駅舎内レイアウトについて [PDFファイル/1017KB]より
道道を更に西へ歩いていきます。
こちらでも途中、測量の棒をいくつも見られました。
アスファルトにもスプレーで印が付けられています。
その中で現れたのが、いかにも新しそうな白い棒。
「2級基準点」「令和5年2月調査」と未来の日付が書かれていました。流石にミスではないと思うので、何かしら理由がありそうですが…。
「新八雲停車場線(仮称)(地交・142)工事路実測実施設計委託」とありまして、まさにここが新八雲駅になります。
新八雲駅周辺約5kmは明かり区間です。そのため、八雲町はコンクリート製ではなく、景色を見られるポリカーボネート製の防音壁を検討していました。
(地理院地図を改変)
メリットとして、車両からの景観向上、地域の象徴アピール、町における新幹線のシンボル性の向上が挙げられます。
しかし、先例では180mの透明化に7,014万円の自治体負担が生じています。明かり区間全5kmを透明化した
場合、7,014万円/180m×5,000m=194,833万円(約19.5億円)を町で負担することに。更新サイクルも早いため、防音壁の透明化はしない方針です。
[参考](5)防音壁の透明化、高架下利用および西側通路の方針について [PDFファイル/1.27MB]
この景色を新幹線から見られたら最高だったでしょうが、費用負担が大きすぎますから仕方ありません。
新八雲駅から道道には、アクセス道路が建設予定です。
出口は東側だけで、反対には設けられません。
駐車場やバス乗り場が設置され、八雲町中心部とのアクセスを重要視しています。また、駅から出た時に牧場の雰囲気を感じられるよう、駐車場と道路の位置関係についても意識しているようです。
(3)アクセス道路およびロータリー形状について [PDFファイル/1.43MB]より
道道には、新八雲駅建設地付近を示す看板が立っていました。
牧場の中を新幹線が駆けるデザインで、本当にこんな駅になるであろう期待が膨らみます。
間違いなく特急北斗よりも停車本数は激減するでしょうが、一風変わった新幹線駅として楽しみです。
再び歩いて八雲駅へ戻ってきました。
八雲駅 発
北海道新幹線の並行在来線、函館本線(長万部〜函館)の行く先も分からないままです。
国縫駅から東側へは、1987年に廃止された国鉄瀬棚線が伸びていました。
もしこの路線が残っていたら、瀬棚線と北海道新幹線の交差地点に新幹線駅があったでしょう。その場合八雲町内ではないので、新八雲今金駅などになっていたかも。
長万部駅 着
北海道新幹線の駅も設置される長万部駅。洞爺・室蘭方面への分岐駅であり、新幹線開通後も分岐点として重要な拠点になります。
駅からは神社の近くから吹き出している、水柱が見えました。一時期は温泉と言われていましたが、現在では水も透明に。いつまでも轟音が響き続けていて、周辺の住民はかなり大変そう。
長万部駅発
ここからは室蘭本線にも投入された、H100形に乗車します。
北へ向かっては、新幹線開通と共に廃止が決まった函館本線が分岐していきました。山線とも呼ばれ、札幌方面への最短ルートということで、特急北海が走っていました。
特急北斗とすれ違い、2022年秋に引退する281系です。
トンネルを抜けた先では、日本一の秘境駅とも言われる小幌駅に到着。沢山の方がカメラを向けていました。
現在では一つの観光地にもなっており、この普通列車にも何人か乗ってこられます。
その後も内浦湾沿いを走り続けました。非電化区間でありながら線路は立派、1両の電気式気動車が駆け抜けていきます。
伊達紋別駅 着
今日の行程はここで終了、明日はここから分岐していた廃線を路線バスで行きます。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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