おはようございます。ここは能登半島に伸びるJR七尾線の終着駅、和倉温泉駅です。
ここから先も第三セクターのと鉄道が穴水駅まで至りますが、JRの路線としてはここまでです。
金沢〜和倉温泉駅には特急かがり火が走っており、和倉温泉へ観光に来る方の需用を拾います。
しかし、和倉温泉から金沢を越え、大阪まで結ぶ特急が1日1本だけあります。それが特急サンダーバード20号です。
サンダーバード号は基本的に大阪〜金沢を結ぶ特急ですが、その中で唯一その先まで直通していることになります。
七尾線特急の変遷
元々サンダーバードは大阪〜富山を結び、一部は魚津、和倉温泉行きとして運行していました。また、名古屋〜富山を結ぶ特急しらさぎにも、1往復だけ和倉温泉発着の便が存在していました。
しかし北陸新幹線開業に伴い、大阪・名古屋からの在来線特急は全て金沢行きに、代替として運行開始したのが特急能登かがり火号(金沢〜和倉温泉)でした。
現在残るサンダーバード1往復については石川県が要望した結果で、これを合わせて七尾線特急の本数が維持されました。(2022年春、新型コロナにより1往復減便)
和倉温泉発着のサンダーバード号が1往復でも運転されていれば、和倉温泉が行き先として案内され、関西圏で勝手に広告してくれます。
また、旅行会社がツアーを組む際、乗換が無い和倉温泉発着の特急があれば、引率が非常にスムーズです。
この1往復があるか無いかでは、かなり違います。
和倉温泉駅から大阪まで1本なんて凄すぎると思ってしまいますが、一昔前は割と普通の光景だったんですね。
1号車がグリーン席、2〜4号車が指定席、5,6号車が自由席です。
七尾線を走るサンダーバード
10:14 和倉温泉駅 発
指定席がほぼ全席埋まるほどの乗車率、土曜日の朝でこの状態には驚かされます。
JR西日本はこのように大きな観光需要がある和倉温泉まで特急を走らせたいため、会社境界駅を和倉温泉駅に設定しています。一方でこの地域の中心はお隣の七尾駅周辺のため、穴水からの生活利用者は七尾まで行きます。
そこで普通列車の運行系統は七尾駅で分割しています。七尾〜穴水はのと鉄道のディーゼル車が運行します。
10:20 七尾駅 発
七尾駅を出ると1984年に廃止された、七尾港駅へ向かう七尾線貨物支線の線路が分岐しました。
北陸チャイムが流れまして、七尾線と北陸本線の停車駅が一体に案内されます。
和倉温泉の駅前あった商店で、わくラムネを買ってきました。夏祭りの時に買うもののイメージが強いですが、昔はこれが普通だったみたい。ちびまる子ちゃんの時代を彷彿させます。
七尾線内で車掌さんが、肉声で観光案内を放送してくださいました。
奥に見えるのは、邑智潟に架けられた邑智潟大橋です。
『邑智潟はコハクチョウなどの越冬地です。毎年10月中頃から翌年の3月上旬まで多くのコハクチョウが越冬しています。3月上旬の頃には北へ向かう中継地となるため、過去には1万羽近くのコハクチョウが観測されたこともあります。沿線の田んぼには餌を探すコハクチョウの群れが見えます。遠いところでは白い点に見えるかもしれませんが、探してみてください。』
10:38 羽咋駅 着
羽咋市はUFOのまちという怪しい場所。しかし、江戸時代から未確認飛行物体の目撃情報があったという、結構歴史ある言い伝えの場所です。
宝達山
『標高は637m、東京スカイツリーよりも少しただけ高い山ですが、能登では一番高い山となります。山頂付近にはブナの原生林が残り、加賀藩寛政時代には薬草の採取場だったそうです。また、その頃には金の採掘なども行われており、現在でも麓の町には坑道などが残っています。』
『大海川は旧国名・能登国と加賀国の国境にあたります。走行しております、かほく市の北部はぶどうの栽培が盛んに行われております。石川県の高級ぶどうルビーロマンの産地です。』
免田駅では観光列車花嫁のれん1号と行き違いました。
かがり火を連想させる赤色に、石川県ならではの金箔で、かなり派手な印象を持ちます。
能登かがり火号が停車する宇野気駅ですが、サンダーバード号は通過です。
直流で電化された七尾線、旧北陸本線は交流のため、交直切換を行わなければなりません。中津幡〜津幡駅には切り替えのため電気が供給されないデッドセクションがあります。
旧北陸本線の第三セクター、IRいしかわ鉄道が見えてきました。
11:04 津幡駅 発
津幡〜金沢はIRいしかわ鉄道を走ります。
七尾線普通列車もこの区間を走りますが、IRいしかわ鉄道とJR西日本の車両を連結しており、こういったところで線路使用料など相殺しているものと考えられます。
東金沢駅には金沢貨物ターミナルが隣接しており、日本海縦貫線を通るコンテナがたくさん見られました。
さらに左側の金沢総合車両所には、サンダーバードなどの特急車両や三セクの普通列車などがお休みしていました。
金沢駅では連結作業が行われるため、ゆっくり進入していきます。現在ほとんど全ての列車が金沢駅で系統分離している中、途中駅の扱いになっているのは和倉温泉駅発着のサンダーバードだけです。
お客さんはここでほとんど入れ替わり、和倉温泉から大阪まで通しで乗る人は非常に少ないことが分かります。よく考えれば、この時間に温泉から帰る人はいないですよね。
前寄りには繋がれたのは指定席が3両、これで計9両編成になりました。
11:24 金沢駅 発
ここからはもう普通のサンダーバード号と変わりません。
現在北陸新幹線は金沢駅までですが、ここから先も新幹線の高架橋が続きます。
その先には白山総合車両所があるので、今でもここまでは新幹線が走っています。
北陸新幹線と七尾線特急
敦賀まで建設がほとんど終わっている北陸新幹線ですが、敦賀〜金沢の在来線特急は全て運行を終えます。当然、和倉温泉発着のサンダーバード号も廃止されることに。
需要の大きさを見ても、特急能登かがり火号が廃止されることはしばらく無いと思います。
しかし、敦賀〜金沢も第三セクターに転換されることで、七尾線は完全なるJRの飛び地路線。さらに、JR西日本で唯一の交直両用特急になり、明らかにここで特急を走らせるのは非効率的です。
今の車両が走れる間は運行を続けるでしょうが、わざわざこの路線のために費用の高い交直両用の特急車両を新造するとは考えにくく、その時に廃止されてしまうのではと思います。
11:40 小松駅 着
このサンダーバード20号は、新幹線駅が停まる予定の加賀温泉駅、芦原温泉駅を通過しますが、小松駅には停車。石川県で二番目の都市規模を有しています。
12:07 福井駅 着
福井県にとって待望の新幹線駅、新幹線ホーム上の駅名標も見られました。東京からの利便性は非常に高まる一方で、大阪からは敦賀〜福井の短距離で乗換が必要となり、結構不便になります。
この列車は鯖江駅に停車する一方、武生駅には停まりません。この停車パターンはサンダーバード20号だけです。
2024年春に北陸新幹線が敦賀駅まで延伸すると、大阪から北陸へは敦賀駅で乗り換えが必要になります。2階に在来線特急、3階に新幹線が到着して上下乗換です。
これまで足場で全貌が見えていなかったのですが、大部分が外されてガラスによる模様が見えてきました。
また、敦賀駅から北陸本線を走って名古屋へ向かう特急しらさぎは、新幹線開通後どうなるのかも非常に気になります。
北陸新幹線の敦賀〜新大阪は2046年開業予定で、まだまだ先。しかも建設費高騰やトンネル残土など問題が山積みで、いつ開通するのか分からない状態です。
サンダーバードは新幹線並みの超高規格路線、湖西線へ。北陸新幹線は小浜ルートなので現在とは違うところを走りますが、最高速度130km/hで現状でもかなり速いです。
更に琵琶湖のすぐ横を走るので、景色も非常に良くなっています。
13:37 京都駅 着
東海道本線に入りまして、京都駅では半分くらい下車。出張の方も多く下車され、対京都の需用も大阪に匹敵するくらい多いです。
向日町総合運転所には、287系が停車中。特急サンダーバードの683系とそっくりな車両です。
一部停まる特急もありますが、高槻駅を通過します。
日本海縦貫線と東海道の貨物が集まる、とんでもなく広大な吹田貨物ターミナル駅の中へ。北海道から大阪など旅客より長距離の輸送を担います。
東海道山陽新幹線と交差する新大阪駅に到着。北陸新幹線も京都府南部の京田辺市へ迂回し、ここに至る予定です。
最後に淀川を渡りまして、梅田のビル群へと降り立ちました。
14:05 大阪駅 着
ここに着いてしまえば、もう和倉温泉から来た特別感は消えています。しかし、いつもは高速走行であっという間に終わってしまうサンダーバードですが、七尾線が付け足されているお陰でちょっと違った楽しみができました。
和倉温泉から関西圏まで通しで利用される方はほとんどいらっしゃいませんが、逆のサンダーバード17号ならば、和倉温泉駅14:30着で観光でも非常に便利です。
北陸新幹線敦賀延伸前に、ぜひ特別なサンダーバードの旅をしてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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【長すぎる北陸特急】サンダーバード和倉温泉行き乗車記 1日1本だけ七尾線直通[2304ダイナスター(1)]
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