JR西日本 石川

【芸術の北陸新幹線】新たな玄関口の加賀温泉 新駅舎があまりに美しすぎた![2401大寒波(7)]

前の記事
【福井県最初の新幹線駅】芦原温泉駅の内覧会で内部リポートハピラインふくいも[2401大寒波(6)]

あわら温泉や東尋坊の玄関口となっている、芦原温泉駅。 特急サンダーバード・しらさぎ号の停車駅で、これから北陸新幹線の駅も設置されます。   新たな玄関口として、東京からのお客さんを迎えてくれ ...

続きを見る

石川県西部において、温泉の集まる加賀温泉郷。

山中温泉・片山津温泉・山代温泉をはじめとした温泉が点々とし、遠方からのお客さんの玄関口となっているのが、加賀温泉駅です。

 

元々は小さな駅だったのが特急停車駅に昇格し、2024年春の北陸新幹線敦賀延伸で新幹線駅にまで成り上がります。

 

新駅舎は非常に派手なイメージで、そのデザインはプラットホーム上にも。

石川県らしい落ち着きのある和の様式を表現した新幹線駅、開業前の様子をいち早くお届けします。



新駅舎のデザインコンセプトは「加賀の自然と歴史、文化を見せる駅」。

3案あったデザインの中で、「温泉郷の風情と城下町の歴史を感じさせる駅」が選ばれました。

 

加賀温泉駅は北陸新幹線と新駅舎工事のため、2017年から仮駅舎での営業が続いています。

旧駅舎の一部を活用したバス発着場所に隣接し、新駅舎の手前に仮駅舎があります。

 

仮駅舎は7年間も使われているため、みどりの窓口や観光案内所、セブンイレブンが入居した待合室など、かなりの充実度です。

 

新駅舎見学時間を迎える前に、在来線改札内と、見られる範囲で新駅舎の様子をお届けします。

 

有人改札を通ってかなり長い通路を歩き、ここから新駅舎内へ入ります。

 

右手には新幹線改札がありまして、各柱にはデジタルサイネージか広告が入れられそう。

見学会のない通常時は、新幹線改札の前にシャッターが下りているので、中を見ることはできません。

 

仮駅舎から続く通路の先がこちらで、パイロンによって区切られている状態です。

 

現在のJR北陸本線は北陸新幹線開通に伴い、第三セクターIRいしかわ鉄道へ移管されます。

新駅舎内には、既にIRいしかわ鉄道の案内サインが設置してありました。



IRいしかわ鉄道へは、新駅舎内から階段を降りていきます。

おそらくICOCA簡易改札機が設置されるのでしょう、カバーの掛けられた機械が置いてありました。

各ホームへはこの地下通路から、上へ登る形です。

 

なぜか1,2番線ホームの案内サインは、既に北陸本線ではなくIRいしかわ鉄道になっていました。

 

3,4番線ホームは上から北陸本線のシールで隠されていたので、剥がれてしまったのでしょうか。

 

この先には在来線新駅舎の北口があって、一時期使用されていたものの、新駅舎周辺の工事が本格化して現在通行止めになっています。

在来線新駅舎と周辺の工事についても、後ほど合わせてお届けします。

 

おそらくIRいしかわ鉄道の有人改札が置かれるのでしょう、新駅舎と在来線ホームをつなぐ通路には、窓枠だけ見られました。



それでは見学時間になりましたので、新幹線駅へ向かいます。

駅前には大きなロータリーとバス乗り場が整備されており、今後はこちらから路線バスや旅館の送迎車が発着するのでしょう。

 

広場には花壇も整備中で、これから木々や花など植えられて華やかになりそうです。

 

新駅舎の特徴といったら、発色の非常に良い紅殻格子。

インドのベンガル地方から取り寄せた赤色顔料を用いたことから、この名前が付けられたと言われています。

 

駅舎の衝突防止シールには、加賀市の花である「はなしょうぶ」が用いられていました。

 

そして先ほどは入ることができませんでした、新幹線のりば。

加賀温泉駅では北口に日本海口、メインの南口に温泉中央口の愛称が付けられています。

 

改札口の左側に、みどりの窓口と指定席券売機が設置されます。

指定席券売機の方はシャッターが閉まっていたので、何台かまでは分かりませんでした。

 

室内にはきっぷ購入を行うであろうカウンターの他、左側には椅子が置かれそうな低い部分も、壁を隔てて2箇所設けられていました。こちらはどのように使われるのでしょうか。

 

それでは改札内へ、自動改札機は3レーン設けられています。

 

精算所と有人改札が一体になっているのも、他の駅と同様です。

 

発車標には何も表示されていなかったので、どのようなタイプかちょっと分かりませんでした。

 

改札内コンコースには、授乳やおむつ替えに利用できる、多目的室が設けられています。



改札を入って、広々としたコンコースの正面には待合室が迎えてくれます。

両側の柱には県産木材を使用しており、加賀温泉らしい落ち着いた雰囲気を醸し出します。

 

待合室の上部を赤瓦が囲っており、これは加賀市内の重要伝統的建造物保存地区で見られることから、デザイン案決定後に市民からの意見で採用されました。

壁面上部は、山中漆器の挽きをイメージしているとのことです。

 

シートが被されていたので詳しくは分かりませんが、多くのベンチが置かれていました。

 

天井には県産スギを用いており、落ち着いた雰囲気を醸し出してくれます。

 

自動ドアの両側には九谷焼のタイルが貼られ、光沢ある発色とデザイン性を楽しませてくれます。

 

こちらの待合室でも、衝突防止シールがオリジナルになっていました。

おそらく主に加賀友禅で用いられる伝統的な深い色、加賀五彩を用いたマークです。

 

赤色をした瓦といえば島根県の石州瓦が有名ですが、それが北前船に乗ってきたのが由来という説もあります。

駅にいるだけで楽しめる上、伝統的な文化に気軽に触れられる、とても素敵なものです。

 

今回公開されたのは敦賀方面なので、11番線ホームの東京方面へは立ち入れません。

 

北陸新幹線敦賀延伸区間の全駅で見学会をご紹介しましたが、方面ごとにホームが異なる駅で敦賀方面ホームが公開されたのは、加賀温泉駅だけでした。

 

こちらの柱デザインは、金沢の金箔を想起させるものです。

 

エレベーター扉の赤色は、漆塗りをイメージしたとのこと。

 

お手洗いは待合室の裏側に設けられました。

それでは階段を登りまして、プラットホームへ。

 

敦賀寄りの1〜5号車が階段になっています。

 

新幹線で行くことができないはずの、福井・敦賀方面のホームに足を踏み入れられる、なんとも特別なことです。

 

改札上の発車標は真っ暗でしたが、ホームでは試運転が回送列車として表示されていました。

小松駅と同様、松任谷由美さん作曲、松任谷正隆さん編曲のオリジナル発車メロディが採用されます。

 

駅構造は相対式ホームの2面2線。加えて真ん中に通過線が2本あり、通過列車は中央を通過することになります。

 

ホーム可動柵には敦賀方面に古代紫、金沢方面に黄土色が使われています。

小松駅の草色と臙脂えんじ色、金沢駅の臙脂色、黄土色、古代紫、草色と同様に、石川県内の新幹線駅ではホームドアに「加賀五彩」の藍色以外を採用しました。

 

ホーム上の待合室の庇は木彫調で、加賀温泉郷の落ち着きとくつろぎを感じられます。

 

室内には他の駅と同様、荷物置きを備えたクッション性のあるベンチ。

紅殻格子の向こう側に、駅前の景色を見渡すこともできます。

 

待合室の衝突防止シールには、温泉マークをバックにした蟹を採用。

北陸地方のズワイカニといえば「越前がに」のイメージですが、石川県でも「加能がに」として人気を博しています。

 

ホーム中ほどに事務室があり、こちらの庇も木彫で統一。

 

壁面はざらざらしており、蔵っぽい印象。

デザイン的には伝統を感じられて良いのですが、擦ったら痛そうなのでこれはツルツルの方が良いと思ってしまいました。

 

駅名標の横には、喫煙所が設けられています。

 

機能と広さ以外は待合室と同じデザインで統一感があり、間違えてしまいそうなレベルです。

 

外観のシンボルでもあった紅殻格子は、ホーム上部にも取り入れられていました。

 

照明は木調に囲われており、線路も雪から守るための全覆上屋で暗くなってしまう駅構内を、落ち着いた雰囲気へ和らげてくれます。

 

紅殻格子を額縁のようにして、特に敦賀側からは駅前の景色を一望できます。

 

駅の高さは約23m、加賀温泉駅は市の中心部や観光地からは離れていますが、かなり眺めが良かったです。



真ん中に通過線2本を設けた、加賀温泉駅。

ホームに面した線路で通過する新幹線を待避し、追い抜いてもらうダイヤを組むことができます。

 

敦賀延伸区間では、加賀温泉駅のほか越前たけふ駅でも同じ構造です。

 

金沢方の端へ来た方が、ホーム側へ曲がってきているのがよく分かりました。

 

しばらく待っていると、金沢・東京方面のホームで、列車が通過する放送が流れました。

東海道新幹線ではホームに面さない線路に列車が来る場合放送しませんが、北陸新幹線では雪が舞い上がる可能性があるため、通過時にも放送があります。

 

華やかな紅殻格子と、壁面の黄土色で落ち着いた駅構内。温泉街を思わせる区間の中を最高速度260km/hの新幹線が駆け抜けて行きました。



そろそろ時間になるので、ホームから降りることに。

北陸新幹線の新駅はどれもデザインに凝っていて、2015年金沢延伸区間の各駅と比べても一目瞭然。

観光客を迎えるのにふさわしい、非常に素敵な新幹線駅ばかりだと感じました。

 

踊り場上には広告を差し込むスペースがありますが、こちらはまだ入っていませんでした。

 

団体専用改札の部分が結構広くて、団体ツアーも多そうな加賀温泉駅ならではでしょうか。

 

北陸新幹線からIRいしかわ鉄道へは乗り換え改札がなく、一度改札を出てからの乗り換えになります。

 

改札を出て左側、南寄りには「cafe&bar高乃蔵」が開店します。

初めての駅ナカ出店で、ミニ海鮮丼や北陸の地酒をいただけるそうです。

 

現在は新幹線開業後に解体される仮駅舎内にセブンイレブンがあり、コンビニは新幹線高架下の施設に入居予定でした。

しかし、施設工事の応札業者が無かったため遅れ、高架下施設は2024年10月末に完成予定に。それまでコンビニは駅コンコースへ仮出店を検討しているとのことです。

【参考文献】

・新幹線開業間に合わず 加賀温泉駅の高架下設備|中日新聞web2023年1月13日https://www.chunichi.co.jp/article/616674



続きまして駅の北側で建設中された、在来線新駅舎の様子も見てみます。

ちょうど特急サンダーバードが停車しまして、今後見られなくなる姿を記録。

 

そしてこちらが北口(日本海口)の在来線新駅舎です。

駅舎はだいぶ前に完成しており、2022年8月から暫定的に供用開始。駅周辺の整備工事により2024年11月から再び使用停止しています。

 

自動ドアの上には、おそらくIRいしかわ鉄道のロゴとともに、加賀温泉駅と掲げられるはずです。

 

窓口なども設置されるみたいで、IRいしかわ鉄道の定期券などここで購入できるのでしょうか。

 

駅周辺には住宅街が広がっており、ロータリーを整備中です。

 

新幹線駅舎では裏側にも紅殻格子が施され、駅名看板まで掲げられています。

 

在来線新駅舎も新幹線と合わせて、小豆色を用いたデザインになりました。



臨時の地下通路を通って、南口へ戻ってきました。

新幹線開業には間に合いませんでしたが、高架下都市施設の工事が進んでおり、西側にはタクシー乗り場と短時間駐車場が整備されます。

 

さらに、仮駅舎跡地には「ガリレア(全天候型広場施設)」が建設され、2025年春には駅前広場がオープン予定です。

全面ガラス張りで木組みを用いた広々した空間、その先には自然豊かな庭園を整備するとのこと。

【参考文献】

・加賀温泉駅周辺整備のスケジュールhttps://www.city.kaga.ishikawa.jp/soshiki/kensetsu/shinkansen_taisaku/11063.html

・加賀温泉駅 新幹線駅舎デザインについて|加賀市

https://www.city.kaga.ishikawa.jp/material/files/group/49/siryou13.pdf)

 

新駅舎だけでも石川県の伝統文化を伝えてくれる、とっても素敵な加賀温泉駅。これから交流施設も整備されまして、ますます楽しめる駅になるはずです。

ぜひ東京から北陸新幹線一本で加賀温泉駅へいらっしゃって、新たな駅を堪能してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

鉄道コム

応援してくださる方は、クリックをお願いします! 鉄道コム

関連コンテンツ

タグ

パスケース

鉄道・バス等公共交通機関を利用した旅行の様子をご紹介します。交通機関のレビュー、車窓の解説が多いです。

-JR西日本, 石川
-,

Copyright© Pass-case.com , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.