ここは名古屋の北側に位置する小牧市。
県営名古屋空港の事を示す時、セントレアと区別するため小牧空港と言う場合がありますが、それが小牧の地名を一番聞く機会かもしれません。
小牧駅周辺を車で走っていると、突然カーブを描いた高架橋が見られます。
これは日本で初めて廃止された新交通システム、ピーチライナーの廃線跡です。
桃花台ニュータウンの足として1991年に開通したのですが、僅か15年後の2006年に廃止された鉄道。迷要素が多い愛知県の公共交通の中でも失敗例としてこすり倒されています。
廃止から16年以上経ち、しばらく残っていた廃線跡も解体が進んできました。2017年、2020年にも廃線跡巡りをしましたが、2023年2月18日に訪れましてそこからの変化を見てみます。
こちらはピーチライナーの起点駅、小牧線小牧駅です。
地下を走る名鉄小牧線に対し、ピーチライナーは高架駅。ここに駅舎があったのですが解体されています。
2020年5月に訪れた時は周りが防音壁で囲われているくらいでしたが、駅舎は跡形もありません。
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地下にある名鉄小牧駅からは階段を登り、正面にピーチライナーの駅舎が位置していました。
地下から高架まで登らないといけないという構造上の不便はありますが、アクセス的には利便性が考慮されています。
近くの歩道橋から駅の様子を覗くことができます。
2020年時点ではホームと改札を繋ぐ階段が僅かに残っていました。
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ピーチライナーは運転台と扉を片方だけにして、車両製造費を抑えていました。そこでループ線を備え、スキー場のリフトみたいに方向転換をしていたのです。
近くの立体駐車場を登りまして、上から小牧駅跡を見下ろしてみます。
駅舎と隣接した高架も解体されており、ここは吹きさらしの自転車置き場になっていました。おそらく仮の活用方法に思います。
廃線跡は地下を走る小牧線の真上を北上していきます。ここから暫くの間は、大分廃線跡が残っているようです。
新交通システムでゴムタイヤのため、線路ではなくガイドが敷設されています。
ピーチライナーとは反対側の出口にはペデストリアンデッキがあったのですが、これも解体されました。
その先には小牧市立図書館が建設されています。計画段階ではツタヤ図書館の誘致がありましたが、反対意見が大きくそれは実現化しませんでした。
それでは廃線跡に沿って北上しましょう。
ピーチライナーが開業したのは1991年。バブル真っ只中に建設が進められたため、構造があまりにも立派です。
東名高速道路との交差部分はピーチライナーが下を潜っており、新交通システムだからこそできる急勾配が存在します。この後も含め自動車専用道との交差部分については、優先的に撤去されています。
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次の駅は小牧原駅です。
駅舎やホーム上屋は解体されましたが、高架については残ったままです。
道路を挟んで名鉄小牧原駅があって、こちらは当然営業しています。
ピーチライナーは大きな足で、ダイナミックに小牧線の高架橋を越えます。高速道路のジャンクションみたいです。
次の東田中駅については2017年、2020年から変化なし。モノレールの駅みたいになっています。
その一方で、同様の構造だった上末駅。
こちらは駅周辺の高架とともに、解体が進められていました。
2017年時点の写真ですが、2020年に来たときもこの状態のままでした。
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それが、道路向こう側にあった階段は既に撤去されているのが分かります。
入り口はほとんど鉄板で塞がれ、高速道路のような高架橋。
それが取り外されれば、かなり開放感が感じられます。こちら側の階段・通路についても、2023年2月27〜28日に撤去するという貼り紙がありました。
ひとつ手前で同じ構造の東田中駅も、解体される日が近いかもしれません。
急坂を下りまして、桃花台ニュータウンに入ります。
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途中高速道路との交差部分がプツプツと途切れており、2020年には更に高架の解体が進められていました。
そして終点は桃花台東駅のシンボル、巨大なループ線が見えてきました。
桃花台東駅のロータリーまで回り込んできました。
小牧駅と同様、ここにも終端部分にループ線があります。
2020年時点で神殿のような骨組みだけになっていた駅舎は、既にまっさらな状態になっています。
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こうして見ると、かなり丘ギリギリの所に駅舎が立っていたんですね。現在は解体作業のため、下の歩道部分が通行不可能になっています。
解体作業は駅舎からループ線に向かって、徐々に進められているようです。
高架の周りをベニア板で囲い、その中で解体を行っているみたい。
ピーチライナーはここから中央本線の高蔵寺を目指す計画で、ループ線の付け根から分岐できそうな構造を見ることができました。住民としては小牧駅より高蔵寺駅に繋いでほしかったので、それが実現していたら廃止も免れていたかもしれません。
このループ線は桃花台ニュータウンのシンボル的存在なので残してほしかったですが、これを見られるのもあの僅かな期間。
少しでも興味のある方は、なるべく早いうちにいらっしゃってみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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