通勤ラッシュの真っ只中、こちらは朝の大阪駅です。
大阪から名古屋の鉄道移動は新幹線と近鉄特急の2つが主です。
今日はほとんどの人が使用しない手段、JRの在来線特急を乗り継いで行きたいと思います。
サンダーバード専用ホームと化している11番線ホームに停車中。乗車するのはJR東海の特急ひだ高山行きです。
特急ひだ号は基本的に名古屋〜高山・富山を結ぶ特急列車です。しかし1日1往復だけ大阪〜高山を走る列車が設定されており、「大阪ひだ」と親しまれています。今日はこれを組み合わせて、名阪間を移動しようというわけです。
そしてこの特急ひだ号、現在はキハ85系という厳つめの車両も使用されていますが、2023年春のダイヤ改正ですべての定期列車が新型車両HC85系に置換えられます。
そのため結果的に、大阪〜岐阜はキハ85系、岐阜〜名古屋はHC85系の乗り比べをすることになりました。
一際高級感のある、大阪駅11番線ホームを出発。いつもとは違った名古屋への移動が始まります。
7:58 大阪駅 発
大阪ひだ大阪と高山を結ぶ「急行たかやま」が前身です。1999年に特急ひだへ格上げされ、HC85系置き換え時にも存続されることになりました。
運行本数が1日1往復のため、一般のお客さんからの認知度は低く、旅行商品のために残されている側面があります。
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眩しい朝日を受けるビル群はドラマのワンシーンみたいな清々しさ。淀川を渡りまして東海道を東へ抜けます。
東海道新幹線と交差する、新大阪駅に到着。大阪から高山方面へは、東海道新幹線で名古屋へ行った後、特急ひだ号へ乗り継ぐのが通常です。
今回は新幹線よりも遅い在来線特急を乗り継いで大阪〜名古屋を移動しているのですが、料金面については割高で新幹線より高くなっています。
指定席を利用するのは1列車の大阪〜岐阜だけ。それでも岐阜駅を境に特急料金が分断されている上、JR東海の特急料金は高めのA特急料金のためです。これにより新大阪〜名古屋の新幹線のぞみ指定席料金3270円より高い、合計3490円となりました(通常期)。
新大阪駅発車後、ワイドビューチャイムに始まる車掌さんによる放送が流れます。
HC85系になると、アルプスの牧場と自動放送に変わるはずです。
城東貨物線を活用したおおさか東線の下を通り、ラッシュ時の東海道本線を駆け抜けます。
日本一大きい貨物駅のひとつ、吹田貨物ターミナル横を通過。現代版天下の台所はここにあります。
日本一の複々線を有する東海道本線、JR総持寺駅で普通列車を追い抜きます。
明治なるほどファクトリー大阪にある巨大板チョコを横目に、この列車は一部特急が停まる高槻駅を通過。
高槻駅では停車中の、特急こうのとり号車両を追い抜きました。
日本一長い在来線路線、山陰本線が合流。
分岐付近には梅小路機関区があり、京都鉄道博物館が位置します。
キティちゃんに憑依された特急はるか号の横を通り、31番線と一体化した0番線ホームへ入線します。
0番線ホームからは特急サンダーバードなどが発着しており、最初の大阪駅11番線ホームと同様の機能を持っています。
古くから活躍する抹茶色の113系電車も、いつ置き換えられてもおかしくない状況。キハ85系から見られる期間は残り僅かです。
東山トンネルを抜けて湖西線が分かれると、逢坂山トンネルを抜けて滋賀県へ。
滋賀県の県庁所在地、大津駅は通過します。特急列車は一日数本、びわこエクスプレス、はるかだけの停車です。
複々線区間を走っていると突然、特急らしからぬ光景。なんと緩行線から普通列車に追い抜かれかけました。
完全に抜けきるかどうかぐらいで、向こうは石山駅停車のため減速。特急の意地を見せてなんとか抜き返しました。
ここで東海道本線は、あたりを濃霧に包まれます。前方の視界が悪くなるので、ややスピードを落としての運行。これにより9分ほど遅れて走っています。
草津駅に到着しまして、ここで新快速電車を追い抜きます。
西明石駅から続いている複々線区間は草津駅で終わり、ここからは複線区間となりました。
のんびり走るローカル線の近江鉄道と一緒に、米原駅へ入線します。
米原駅に到着しました。
JR西日本エリアはここまでで、乗務員さんもJR東海の方へ交代されます。
正面には雪の積もる綺麗な伊吹山が見えてきました。
ちょうどその前を東海道新幹線が通過。富士山に匹敵する車窓だと思います。
柏原駅で貨物列車を追い抜く頃、ちょうど向かいから特急しらさぎが来ました。JR東海エリアの東海道本線特急は種類が少ないですが、名古屋〜米原については北陸特急のルートに組み込まれています。
関ヶ原駅を通過したのち、東海道本線は二手に別れます。
右へ分岐したのは新垂井線と呼ばれる、東海道本線の下り線です。この先、下り線にとって登り坂があるのですが、その勾配を緩やかにするため敷設されました。
しかし、この線路は途中垂井駅を経由しません。そのため、垂井駅に停車の必要がない特急しらさぎや特急ひだ、貨物列車の下り列車が通っています。
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新垂井線は大垣駅手前で合流しまして、左側からは東海道本線の支線、美濃赤坂支線も来ました。
大垣駅はかつて山を越えるための機関車付替えを行っていたことから、鉄道の町として栄えました。
長距離輸送を東海道新幹線に受け継ぎまして、山を越えて大阪と直接結ばれているのは、この特急ひだ号くらいです。
高架線を走りまして、名古屋方面の特急ひだ号に乗り継ぐ岐阜駅に到着。
ここでは大阪ひだ号でしか見られない、珍しい光景を楽しめます。
お隣のホームには、名古屋から来た特急ひだ5号飛騨古川行きが停車中です。
大阪から乗ってきたひだ25号は扉を閉め、隣のひだ5号と連結します。
お客さんを乗せたまま一度車庫へ、進行方向を変えて連結するという珍しい方法が取られているのです。
今日は列車が遅れていたため、既に名古屋からの特急ひだ号が停車していました。しかし、ダイヤ通りならここに快速列車が停まっており、最初からここへ入線して連結することができないのです。
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連結作業を行っている最中、高山からの特急ひだ号が来ました。
2022年7月にデビューした、新型車両HC85系です。距離が短く絶対空いているので、自由席を利用します。
デッキの洗面台付近にはナノミュージアムとして、沿線の工芸品が展示されていました。
座席は紅葉をイメージした明るいオレンジ色、グラデーションがかっていて、見た目の優しさを感じさせます。
10:12 岐阜駅 発
ここまでお世話になったキハ85系気動車を見送ります。
特急ひだ号は岐阜駅で進行方向を変えるため、座席とは反対向きに出発です。
この列車はハイブリッド車両となっており、エンジンが発電した電気を使って、モーターを動かしています。
木曽川を渡りまして、岐阜県から愛知県へ。
名鉄名古屋本線との並走区間では、特急とすれ違います。
同じ特急でも名鉄の方が停車駅が多く、所要時間もJRの普通列車並み。JRは長距離輸送メインなので短距離では料金が高いです。それぞれ明らかな棲み分けがされています。
一部の特急ひだ号は通過しますが、尾張一宮駅に停車。
アルプスの牧場チャイムが流れまして、もう少しで名古屋駅というところ。N700S新幹線と共に駅へ入線します。
10:34 名古屋駅 着
大阪駅からの所要時間は3時間36分、新幹線よりはるかにかかっている上、料金も高いです。
このような乗車は実用的ではないですが、特急ひだ号の転換期を実感するには非常に優れたルートだと思います。
定期列車からキハ85系が引退するまでに、ぜひ試してみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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