JR東日本 山形 新潟

【鉄橋倒壊・土砂災害】米坂線の被災状況を観察 廃線覚悟か…?[史上最長片道切符の旅(73)]

2022年8月18日

前の記事
【新幹線が走るローカル線】本数が少ない普通列車で田沢湖線を走破[史上最長片道切符の旅(72)]

青森・北海道方面へ向かうはやぶさ号と連結して運行される、秋田新幹線こまち号。 新幹線と名乗っており見た目も新幹線ですが、在来線の田沢湖線上を走るミニ新幹線。東京から盛岡まで東北新幹線上を走った後、田沢 ...

続きを見る

訪問日:2022年8月17日

2022年8月3日、東北地方日本海側を豪雨が襲いました。

史上最長片道切符のルートに含まれていた米坂線も被害を受け、不通だったため一時中断。

 

しかし、現在は米沢〜今泉駅で運行を再開し、8月12日からは今泉〜坂町駅でも代行バスが走り始めました。これに応じて、史上最長片道切符の旅も再開です。

 

今日は米坂線で途中下車しまして、その被災状況を見ていきます。



米坂線は端っこの、4番線ホーム発着です。

07:32 米沢駅 発

2両編成の列車には、高校生の生徒さんが席を半分埋めるくらい。

 

山形新幹線が走る奥羽本線から離れていきます。

 

南米沢駅周辺に高校があるため、2両目にいた生徒さんはほとんど下車。

 

中郡駅手前には、被災箇所を修復した部分がありました。

臨時信号機が立てられ、速度を落としての運行です。



羽前小松駅にて行き違いの停車。

川西町の中心駅となっており、簡易委託駅です。

置賜農業高校があるため、駅前通りを生徒さんたちが歩いていきました。

 

ここ川西町は、ひょっこりひょうたん島の作者、井上ひさしさんの故郷です。

小松小学校には、ひょうたんの形をした、ひょうたん山がありました。

 

車内はガランとして、1両目に3,4人乗っている程度です。

 

行き違った米沢行きには、多くの生徒さんが乗って行きました。

 

犬川駅発車後にも、復旧による徐行区間があります。

 

合流してきたのは、山形鉄道フラワー長井線。

旧JR長井線で、今泉駅を支点にVの字をした路線です。



08:23 今泉駅 着

1,2番線がフラワー長井線、3,4番線が米坂線のホーム。

中間改札も無く、完全に同会社の路線みたいです。

 

ここから先は列車が走らない…と言いたいところですが、通常運行している山形鉄道が走っています。旧白川信号場まで米坂線と同じ単線の線路を走っていますが、あくまでも今泉駅の構内という扱いです。



ここからは代行バスに乗車します。

マイクロバスが使用されていて、乗客は僕の他に中学生が1人でした。

 

08:30 今泉駅 発

この時間帯であれば、羽前椿から米沢方面への通学需要が大きいはずです。

 

米坂線の上を渡っていき、今泉駅の広い構内を見ることができました。

 

生徒さんは萩生駅にて下車されました。

 

萩生駅近くの踏切周辺では、道床流出が見られます。



08:48 羽前椿駅 着

米坂線には羽前椿行きの列車が設定されており、鉄橋流出はこの先の区間。道床流出を修復すれば、ここまでの折り返し運転も可能です。

 

しかし、比較的復旧が容易な道床流出でも、利用者が少ないことから費用をかける事が難しいのでしょう。

羽前椿駅の乗客数は25人/日(2021年度)です。

 

駅舎には飯豊いいで町観光協会が入居しており、切符の販売も行っています。しかし米坂線の簡易委託駅では災害のため、切符の販売ができなくなってしまいました。



羽前椿〜手ノ子駅で倒壊した、小白川橋梁を見に行きます。

(地理院地図を改変)

山形県道10号は道路が寸断されているため、国道113号を経由して遠回りすることに。

 

歩道の崩れているところがあり、まるで地震があったようです。

 

踏切の遮断棒は外されまして、動かないようになっています。

 

大雨から2週間経った8月17日、現在でも川が濁ったままです。

 

森は泥に埋もれていて、生々しい土砂崩れの被害も各地で見られました。

 

歩道には水が流れ続けていて、山の中から染み出している事が分かります。

 

小白川橋梁に向かって、国道から農道へ。

 

正面に米坂線の高架が交差しているのを見まして、白川を渡っていきます。



高架をくぐった先で、線路沿いへ。

遠くを見ると、線路が垂れ下がっているのが分かります。あちらが鉄橋が倒壊した小白川橋梁です。

 

近づいていきますと、鉄橋が片方落ちてしまっているのがハッキリ分かります。

 

水圧による影響が小さい線路だけが、ワイヤーのように渡されていました。

 

羽前椿方で繋がっている線路も、グネっと上へ湾曲。

 

田んぼの畦道も崩れており、側面が見えています。

 

橋を架けるためコンクリートで固められていたはずですが、そこも外れるように崩れているのが驚きです。

 

近くの道路も大巻橋が落ちているため、ここから県道10号は進めません。

 

先程のように遠回りして、向かい側へ行こうと思います。

 

白川の対岸からも、鉄橋の様子を見られました。

 

橋の接続部分がごっそり崩れているのが、よく分かります。

 

今渡っている川の堤防も崩れています。こんな大きな塊を削るなんて、恐ろしいものです。

 

反対側もコンクリートの板ごと、ずり落ちていました。

 

田んぼんぼは土砂で埋め尽くされており、流木が散乱。

 

もはやどういう状況なのか受け入れられない、ここを歩くだけでも不気味な空間でした。

 

通行止めになっていた県道10号の反対側まで来ました。

 

目の前で橋が落ちてしまっています。鉄道で言えば鉄橋が落ちたのと同規模、こちらはすぐにでも復旧が進められています。



11:29 羽前椿駅 発

他に高校生の生徒さんが2人乗っていました。

 

手ノ子駅では反対方面のバスとすれ違います。あちらは利用者が多いのか、大型バスでした。

 

道路が崩れた部分も多くありまして、片側を交代で通行することになっています。

 

鉄道・道路共にトンネルで宇津峠を越えます。

 

今回の豪雨以前からですが、崩れかかっている建物も。

 

周辺の木々の様子から見ても、土砂災害が起こっている様子はなく、この辺りの被害は小規模に思います。

 

街が広がってきまして、小国町の中心部を走ります。



12:23 小国駅 着

米坂線でも主要な駅、小国駅で下車しました。

 

みどりの窓口もありまして、板張りの広々とした駅舎です。

地元の小学校の児童さんが駅の見学に来たそうで、待合室にはお礼の手紙が貼ってありました。高校生が1日100人利用していて、5人の駅員さんが勤務しているそうです。

 

ホームに入ることはできないので、外からガラス越しに見るだけ。

 

小国町の中心部は駅から近く、街歩きもかなり便利です。町の名産として有名な、角松屋のどら焼を買ってきました。

 

あんこの他にバターが入っていて、塩気と滑らかさでとても美味しかったです。

 

14:08 小国駅 発

乗客は10人ほど、帰省と重なったからか日中の利用者も多かったです。添乗員さんまで乗っておられました。

 

道の駅にてお手洗いの休憩も。小国駅から坂町駅まで1時間ほどありますからね。

 

米坂線には黄色い鉄橋、こんな派手なのがあるとは…。

 

スノーシェッドで囲われており、この辺りは土砂流入も無さそうです。

 

山形県小国町から、新潟県関川村へ。

 

このあたりの線路はそこまで大きな被害はなさそうです。

 

しかし土砂被害がかなり大きい道路の様子を見ると、鉄道の方も心配になります。

 

越後下関駅周辺は関川村の中心部、米沢街道の宿場町が広がっていました。



14:52 越後大島駅 着

越後大島〜坂町駅には、土砂災害の被害を受けた区間があります。

 

バスの後を追うようにして、村上市方面へ歩きます。

正面には土のむき出しになった山があって、あの辺りで土砂崩れが起きたのでしょう。

 

米坂線の鉄橋はこちら国道に向かって近づいてきます。

 

川のようにも見える一面の水、元々は田んぼでした。縁には土砂が堆積しており、ここにあるのが線路です。

 

その先には土砂に足元を固められた踏切があります。

 

ここは道路と線路の区別もつかない状態。

 

踏切の手前では泥水が流れるばかり、向こうへ渡ることも困難です。

 

突然ここまでの土砂被害とは、かなりインパクトを与えられました。



引き続き国道を、坂町駅方面へ歩きます。

おそらく線路沿いに田んぼがあったのでしょう、農業を営んでいたらしき痕跡もありました。

 

鉄道に関わらず、生活が一変してしまう被災状況には心が痛むばかりです。

 

最近新しくしたであろう路盤部分もありまして、大赤字路線でありながらちゃんと整備されています。

 

土砂崩れによって、線路に木が覆いかぶさってきました。

 

この辺りから線路が全く見えなくなってしまいます。

 

線路がないのにトンネルがあるみたいな状態です。

 

歩道が行き止まりになっているので、ここまでです。



17:25 越後大島駅 発

時間があるので、関川村の中心部にも行ってみました。マイクロバスは高校生の生徒さんでほぼ満席状態です。

 

越後下関駅の近くには米沢街道の宿場町が広がります。

 

柳が揺れてかなり良い雰囲気、観光列車があれば長時間停車させて、お手軽観光もできたでしょう。



越後下関駅は関川村の中心駅で、簡易委託駅となっています。

この駅も大雨によるトラブルで、切符販売ができなくなってしまいました。

 

行き違い可能な構造で、2面2線です。

 

18:11 越後下関 発

1人降りてこられまして、乗車しているのは僕一人だけ。添乗員さんがいる大型バスはなんだか贅沢です。

 

踏切周辺の様子は、バスから見るとご覧の通り。

 

歩いたのはここまで、片側交代での通行となります。



歩道が行き止まりだったということは、この先もっと酷くなります。

スノーシェッド内にも土砂が入っていて、線路は埋もれた状態です。

 

線路があったことすら分からず、土砂を道路の外側で堰き止めています。

 

線路は針金のように手前に折れ曲がっていて、落ちてきそう…。

 

遊園地のトロッコアトラクションでよくある、ダミーの線路のようです。

 

鉄橋は落ちてこそいませんが、土砂災害で明らかにズレているように見えます。

 

道床崩壊によって線路が浮いてる部分も。

 

枕木が落ちている部分もあり、かなりひどい状況です。

 

国道は線路を越えまして、右手の荒川近くを走っていきました。

 

米坂線の被害状況は想像以上のもので、驚きを隠せませんでした。復旧では鉄橋倒壊が一番の障害ですが、土砂崩れのインパクトも強すぎます。

 

18:49 坂町駅 着

何とか復旧してほしいとは思いますが、今回被災状況を見て、今泉〜坂町駅の運行再開は難しいと感じざるを得ませんでした。

道路復旧が最優先とされているため、今後どのような判断が下されるか待つしかありません。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

次の記事
【本州一の赤字路線】貨物のため高スペック路線を維持する羽越本線[史上最長片道切符の旅(74)]

こちらは新潟県の鉄道の要衝、新津駅です。   昔から鉄道の街として知られており、在来線が4方向から集結。すぐお隣には車両基地が置かれています。   ちょうどSLばんえつ物語号の客車 ...

続きを見る

米坂線被災前の乗車記

関連
【存廃議論に…?】小白川鉄橋倒壊・豪雨被害を受けた米坂線 冬の乗車記

  東北地方南部を襲った豪雨により、米沢駅から日本海側に向かい、坂町駅までを結ぶ米坂線は大きな被害を受けました。 米沢〜今泉駅については、8月10日より再開予定。 しかし、米坂線はJR東日本 ...

続きを見る

 

YouTube版はこちら

鉄道コム

応援してくださる方は、クリックをお願いします! 鉄道コム

関連コンテンツ

タグ

パスケース

鉄道・バス等公共交通機関を利用した旅行の様子をご紹介します。交通機関のレビュー、車窓の解説が多いです。

-JR東日本, 山形, 新潟
-

Copyright© Pass-case.com , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.