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【新幹線が走るローカル線】本数が少ない普通列車で田沢湖線を走破[史上最長片道切符の旅(72)]
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訪問日:2022年8月17日
2022年8月3日、東北地方日本海側を豪雨が襲いました。
史上最長片道切符のルートに含まれていた米坂線も被害を受け、不通だったため一時中断。
しかし、現在は米沢〜今泉駅で運行を再開し、8月12日からは今泉〜坂町駅でも代行バスが走り始めました。これに応じて、史上最長片道切符の旅も再開です。
今日は米坂線で途中下車しまして、その被災状況を見ていきます。
米坂線は端っこの、4番線ホーム発着です。
07:32 米沢駅 発
2両編成の列車には、高校生の生徒さんが席を半分埋めるくらい。
山形新幹線が走る奥羽本線から離れていきます。
南米沢駅周辺に高校があるため、2両目にいた生徒さんはほとんど下車。
中郡駅手前には、被災箇所を修復した部分がありました。
臨時信号機が立てられ、速度を落としての運行です。
羽前小松駅にて行き違いの停車。
川西町の中心駅となっており、簡易委託駅です。
置賜農業高校があるため、駅前通りを生徒さんたちが歩いていきました。
ここ川西町は、ひょっこりひょうたん島の作者、井上ひさしさんの故郷です。
小松小学校には、ひょうたんの形をした、ひょうたん山がありました。
車内はガランとして、1両目に3,4人乗っている程度です。
行き違った米沢行きには、多くの生徒さんが乗って行きました。
犬川駅発車後にも、復旧による徐行区間があります。
合流してきたのは、山形鉄道フラワー長井線。
旧JR長井線で、今泉駅を支点にVの字をした路線です。
08:23 今泉駅 着
1,2番線がフラワー長井線、3,4番線が米坂線のホーム。
中間改札も無く、完全に同会社の路線みたいです。
ここから先は列車が走らない…と言いたいところですが、通常運行している山形鉄道が走っています。旧白川信号場まで米坂線と同じ単線の線路を走っていますが、あくまでも今泉駅の構内という扱いです。
ここからは代行バスに乗車します。
マイクロバスが使用されていて、乗客は僕の他に中学生が1人でした。
08:30 今泉駅 発
この時間帯であれば、羽前椿から米沢方面への通学需要が大きいはずです。
米坂線の上を渡っていき、今泉駅の広い構内を見ることができました。
生徒さんは萩生駅にて下車されました。
萩生駅近くの踏切周辺では、道床流出が見られます。
08:48 羽前椿駅 着
米坂線には羽前椿行きの列車が設定されており、鉄橋流出はこの先の区間。道床流出を修復すれば、ここまでの折り返し運転も可能です。
しかし、比較的復旧が容易な道床流出でも、利用者が少ないことから費用をかける事が難しいのでしょう。
羽前椿駅の乗客数は25人/日(2021年度)です。
駅舎には飯豊町観光協会が入居しており、切符の販売も行っています。しかし米坂線の簡易委託駅では災害のため、切符の販売ができなくなってしまいました。
羽前椿〜手ノ子駅で倒壊した、小白川橋梁を見に行きます。
(地理院地図を改変)
山形県道10号は道路が寸断されているため、国道113号を経由して遠回りすることに。
歩道の崩れているところがあり、まるで地震があったようです。
踏切の遮断棒は外されまして、動かないようになっています。
大雨から2週間経った8月17日、現在でも川が濁ったままです。
森は泥に埋もれていて、生々しい土砂崩れの被害も各地で見られました。
歩道には水が流れ続けていて、山の中から染み出している事が分かります。
小白川橋梁に向かって、国道から農道へ。
正面に米坂線の高架が交差しているのを見まして、白川を渡っていきます。
高架をくぐった先で、線路沿いへ。
遠くを見ると、線路が垂れ下がっているのが分かります。あちらが鉄橋が倒壊した小白川橋梁です。
近づいていきますと、鉄橋が片方落ちてしまっているのがハッキリ分かります。
水圧による影響が小さい線路だけが、ワイヤーのように渡されていました。
羽前椿方で繋がっている線路も、グネっと上へ湾曲。
田んぼの畦道も崩れており、側面が見えています。
橋を架けるためコンクリートで固められていたはずですが、そこも外れるように崩れているのが驚きです。
近くの道路も大巻橋が落ちているため、ここから県道10号は進めません。
先程のように遠回りして、向かい側へ行こうと思います。
白川の対岸からも、鉄橋の様子を見られました。
橋の接続部分がごっそり崩れているのが、よく分かります。
今渡っている川の堤防も崩れています。こんな大きな塊を削るなんて、恐ろしいものです。
反対側もコンクリートの板ごと、ずり落ちていました。
田んぼんぼは土砂で埋め尽くされており、流木が散乱。
もはやどういう状況なのか受け入れられない、ここを歩くだけでも不気味な空間でした。
通行止めになっていた県道10号の反対側まで来ました。
目の前で橋が落ちてしまっています。鉄道で言えば鉄橋が落ちたのと同規模、こちらはすぐにでも復旧が進められています。
11:29 羽前椿駅 発
他に高校生の生徒さんが2人乗っていました。
手ノ子駅では反対方面のバスとすれ違います。あちらは利用者が多いのか、大型バスでした。
道路が崩れた部分も多くありまして、片側を交代で通行することになっています。
鉄道・道路共にトンネルで宇津峠を越えます。
今回の豪雨以前からですが、崩れかかっている建物も。
周辺の木々の様子から見ても、土砂災害が起こっている様子はなく、この辺りの被害は小規模に思います。
街が広がってきまして、小国町の中心部を走ります。
12:23 小国駅 着
米坂線でも主要な駅、小国駅で下車しました。
みどりの窓口もありまして、板張りの広々とした駅舎です。
地元の小学校の児童さんが駅の見学に来たそうで、待合室にはお礼の手紙が貼ってありました。高校生が1日100人利用していて、5人の駅員さんが勤務しているそうです。
ホームに入ることはできないので、外からガラス越しに見るだけ。
小国町の中心部は駅から近く、街歩きもかなり便利です。町の名産として有名な、角松屋のどら焼を買ってきました。
あんこの他にバターが入っていて、塩気と滑らかさでとても美味しかったです。
14:08 小国駅 発
乗客は10人ほど、帰省と重なったからか日中の利用者も多かったです。添乗員さんまで乗っておられました。
道の駅にてお手洗いの休憩も。小国駅から坂町駅まで1時間ほどありますからね。
米坂線には黄色い鉄橋、こんな派手なのがあるとは…。
スノーシェッドで囲われており、この辺りは土砂流入も無さそうです。
山形県小国町から、新潟県関川村へ。
このあたりの線路はそこまで大きな被害はなさそうです。
しかし土砂被害がかなり大きい道路の様子を見ると、鉄道の方も心配になります。
越後下関駅周辺は関川村の中心部、米沢街道の宿場町が広がっていました。
14:52 越後大島駅 着
越後大島〜坂町駅には、土砂災害の被害を受けた区間があります。
バスの後を追うようにして、村上市方面へ歩きます。
正面には土のむき出しになった山があって、あの辺りで土砂崩れが起きたのでしょう。
米坂線の鉄橋はこちら国道に向かって近づいてきます。
川のようにも見える一面の水、元々は田んぼでした。縁には土砂が堆積しており、ここにあるのが線路です。
その先には土砂に足元を固められた踏切があります。
ここは道路と線路の区別もつかない状態。
踏切の手前では泥水が流れるばかり、向こうへ渡ることも困難です。
突然ここまでの土砂被害とは、かなりインパクトを与えられました。
引き続き国道を、坂町駅方面へ歩きます。
おそらく線路沿いに田んぼがあったのでしょう、農業を営んでいたらしき痕跡もありました。
鉄道に関わらず、生活が一変してしまう被災状況には心が痛むばかりです。
最近新しくしたであろう路盤部分もありまして、大赤字路線でありながらちゃんと整備されています。
土砂崩れによって、線路に木が覆いかぶさってきました。
この辺りから線路が全く見えなくなってしまいます。
線路がないのにトンネルがあるみたいな状態です。
歩道が行き止まりになっているので、ここまでです。
17:25 越後大島駅 発
時間があるので、関川村の中心部にも行ってみました。マイクロバスは高校生の生徒さんでほぼ満席状態です。
越後下関駅の近くには米沢街道の宿場町が広がります。
柳が揺れてかなり良い雰囲気、観光列車があれば長時間停車させて、お手軽観光もできたでしょう。
越後下関駅は関川村の中心駅で、簡易委託駅となっています。
この駅も大雨によるトラブルで、切符販売ができなくなってしまいました。
行き違い可能な構造で、2面2線です。
18:11 越後下関 発
1人降りてこられまして、乗車しているのは僕一人だけ。添乗員さんがいる大型バスはなんだか贅沢です。
踏切周辺の様子は、バスから見るとご覧の通り。
歩いたのはここまで、片側交代での通行となります。
歩道が行き止まりだったということは、この先もっと酷くなります。
スノーシェッド内にも土砂が入っていて、線路は埋もれた状態です。
線路があったことすら分からず、土砂を道路の外側で堰き止めています。
線路は針金のように手前に折れ曲がっていて、落ちてきそう…。
遊園地のトロッコアトラクションでよくある、ダミーの線路のようです。
鉄橋は落ちてこそいませんが、土砂災害で明らかにズレているように見えます。
道床崩壊によって線路が浮いてる部分も。
枕木が落ちている部分もあり、かなりひどい状況です。
国道は線路を越えまして、右手の荒川近くを走っていきました。
米坂線の被害状況は想像以上のもので、驚きを隠せませんでした。復旧では鉄橋倒壊が一番の障害ですが、土砂崩れのインパクトも強すぎます。
18:49 坂町駅 着
何とか復旧してほしいとは思いますが、今回被災状況を見て、今泉〜坂町駅の運行再開は難しいと感じざるを得ませんでした。
道路復旧が最優先とされているため、今後どのような判断が下されるか待つしかありません。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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