-
【おはようライナーから復活】なぜ長野で通勤特急?特急信州の利用はどれほどか[2023ダイヤ改正(14)]
余っている特急車両を用いて、朝夕に快適な空間を提供する通勤特急。 車内が混雑する首都圏・関西圏を中心とした大都市で多く設定されますが、この春地方都市で新たな通勤特急が走り始めました。 長 ...
続きを見る
鉄道は都市と郊外を結ぶ放射状の路線が、優先して建設されます。
その一方で、ある程度の地方都市同士は鉄路で繋がっていない場合もしばしば。一度都市へ出て再出発する「Vの字移動」をしなければなりません。
こういった場所では、道路なら繋がっていることが多く、公共交通機関として高速バスが運行されます。
今日はどちらも在来線特急の行き先として名高い、松本と高山を便利な高速バスで移動します。
実は鉄道が建設される予定もあった未成線、今も走る地方鉄道と廃線も一緒にご覧いただきましょう。
まずやってきたのは長野県第二の都市、松本駅です。
新宿始発の中央線特急あずさ号の行き先で、かつては長野県の県庁所在地だったこともあります。
松本城など観光地も多く、外国人観光客を中心に高山へ直接行きたい方もいらっしゃるハズ。
鉄道もゆったりできて良いのですが、今回ご紹介するのは直線で結んでくれる高速バス。
お城口(東口)から右奥、松本バスターミナルへ向かいます。
商業施設アルピコプラザと一体化しており、入り口の三角屋根が特徴的です。
1階にあるチケットカウンターにて、高山バスセンターまでの乗車券を購入します。料金は大人3500円、クレジットカードでの支払いも可能です。
高山まで行くのは1日4往復と少なめなので、バスの時間に合わせた行程を立てる必要があります。
チケットカウンターと一体化した待合室を出て、横断歩道を渡った先が高速バスのりばです。
一番端っこの6番のりばに、濃飛バスが停車中でした。
先程購入した高速バス乗車券を渡します。
一般的な高速バスの座席、自由席となっています。
窓側にはコンセント、通路側にはUSB充電ポートがあって、電源に関しては充実していました。
11:55 松本バスターミナル 発
大きなビルにお店が入居するビルの中を掻き分け、松本駅前を出発します。
ここからバスが走るのは、国道158号。この国道は松本から高山を経由した後、福井まで至ります。
以前、福井〜美濃太田を結ぶはずだった未成線、越美線をご紹介した時に歩いた国道です。
-
【6時間山道徒歩】名古屋〜北陸を結ぶはずだった…。越美線(九頭竜湖〜北濃)の未成区間全部歩く!
おはようございます。恐竜の唸り声が聞こえます、ここは北陸地方の福井駅です。これから東海地方へ南下、名古屋駅へ向かいます。 名古屋から北陸のメインルートとして挙げられるのが、 ...
続きを見る
松本ICへ導く緑色のラインが見えてきました。
こちらは長野自動車道で、特急しなのと並行して、北は長野、南は塩尻へ連れて行かれるルート。
今回は高山の方へ行かなければならないので、こちらは素通りです。
奥には雪が消えるのを待つ北アルプス。3月では真っ白な装いを残したままでした。
左側には私鉄線、アルピコ交通上高地線が並行し始めます。
こちらは松本駅から東へ向かう路線となっています。
路線名の通り上高地の方面へ向かっており、観光客の利用も多いです。
一方で、松本市内の生活路線としての需要も大きくなっています。三溝駅横を通過する時には多くの自転車を見られました。
下島駅は石積みホームとなっており、歴史の重みを感じさせられます。
上高地線が全通したのは1922年のこと、戦後の登山ブームには国鉄からの直通列車も運行されていました。
構想段階であったものの、かつての終着駅「島々駅」から高山駅まで線路を伸ばすことも考えられていたのです。
結局構想は具体化すること無く、その意志を受け継いでいるのが中部縦貫自動車道。
松本から高山まで自動車専用道を建設しようとしていますが、部分部分の事業化に留まっており、全線の開通はかなり先のことになりそうです。
バスは上高地線の終点、新島々駅に停まります。
ここから乗ってこられるお客さんが1人いらっしゃいました。鉄道で来てバスに乗り込むのも面白そうです。
上高地線の終着駅は、ひと駅先の島々駅でした。
しかし、バスターミナルを作るのに島々駅前は土地が狭かったのです。そこで、ひと駅手前の赤松駅に整備し、駅名も新島々駅に変更されました。
多くの列車が新島々駅止まりになり、1983年に新島々〜島々で土砂災害が起こって不通になったのを機に、1985年に廃止されています。
バスは完全に鉄道が存在しない区間へ入ります。
ここでウネっと右側へ出っ張った道路を走るようになります。
土砂災害があったのか、元々あった道路の工事中で、仮線になっているようです。
島々駅跡の先にある集落を過ぎ、ここから山の中を走ります。
松本盆地が終わりまして、山が迫りカーブが連続するところです。
1969年に完成しました、稲核ダムの真横を走ります。
このダム湖は梓川、新宿〜松本を結ぶ特急列車の名前にもなっています。
梓川にはダムが3基あって、梓川3ダムや安曇3ダムと呼ばれます。
こちらはその中間に位置する、水殿ダムです。
今走っている道は野麦街道と呼ばれており、古くから松本〜高山を結んでいました。
野麦とは野麦峠周辺に生い茂るクマザサのこと。街道は奈良時代から存在したそうですが、この名前は明治時代になってから浸透しました。
トンネルは非常に狭く、車とすれ違うのもかなりのスリルです。
松本駅へ向かうバスとすれ違い、これは本当にビクビクして、運転士さんの技術に驚かされます。
トンネルを出たところで現れたのは立派なコンクリート橋、高速道路みたいに見えます。
中部縦貫自動車道の建設工事かと思いましたが、波田IC〜中ノ湯ICは事業化されていません。
こちらは国道158号のバイパス道路。先程の狭いトンネルでは時間がかかるため、新しい国道ルートを整備しているのです。
野麦峠スキー場の看板が現れました。
野麦街道はトンネルを抜けた先で南側へ向かうため、国道158号から外れます。
そして国道はなんと、奈川渡ダムの上をしちゃいます。
こんなのダム観光に来て歩いたりするとこですよね、バスに乗ったままここを走れるとは驚きです。
奈川渡トンネル、親子滝トンネルと引き続き狭いトンネルの中を走っていきます。
トンネルを抜けた先、こちらが親子滝とのことです。
山沿いに国道の旧線が見られ、重機も入っていました。
おそらく土砂崩れからの被害を防ぐため、川に橋を架けた新線に付け替えたのでしょう。
さわんど温泉の周辺までやってきまして、近くには何軒か旅館やホテルも見られました。
中の湯ICより安房峠道路に入ります。
1997年に開通した安房トンネルへ、当初は2005年開通予定だったのですが、長野五輪に合わせて整備されました。
いろは坂も涙目のヘアピンカーブが連続していたのですが、4.3kmのトンネルによって80km/h出せるようになっています。
このトンネルを抜けると、長野県松本市から岐阜県高山市に出てきました。
中部縦貫自動車道の一部である安房峠道路、平湯ICで終了となります。
平湯バスターミナルにて10数分の休憩です。
宿も多い平湯温泉街が近くにあって、外国人観光客でも賑わっていました。
バスは再出発しまして、ぐんぐん山を上ります。
平湯峠をトンネルで貫き、久手川沿いを走っていきました。
高山市丹生川支所の前にも、松本へのバス停が設置されています。
松本市に面するこちらは丹生川村だったのですが、2005年に高山市へ合併。この時に9町村を編入し、高山市は日本一広い市町村となりました。
中部縦貫自動車道の丹生川IC〜高山ICは事業中、建設中らしきコンクリート橋を見られます。
富山〜高山で高山本線が並走する宮川を渡り、高山市の中心部へ。
JR高山駅と隣接する、高山濃飛バスセンターに到着です。
14:28 高山濃飛バスセンター 着
松本から高山まで、2時間33分で来られました。
同じ時間帯に松本駅から高山駅まで鉄道で移動した場合、所要時間は4時間20分、料金は計9230円です。
鉄道では大規模すぎても、バスなら需要を汲むことができる、そのバランスが取れている区間に思いました。
両方観光で訪れる際にはルートの一部になり得るバス路線、ぜひ利用してみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
-
【高山→大阪4時間16分】新型車両HC85でどう変わった?大阪ひだ36号乗車記[2023ダイヤ改正(16)]
ここは外国人にも人気の観光地、飛騨の小京都とされる高山です。 ここへのアクセスとして設定されているのが、特急ひだ号。名古屋〜高山〜富山を結んでおり、先日のダイヤ改正で新型車両HC85系に統一されました ...
続きを見る