群馬県最大の都市である高崎市。
新幹線も停まる主要駅ですが、早朝でまだ指定席券売機も動いていない時間帯です。
首都圏では長距離通勤される方も多く、高崎線の通勤電車はグリーン車含めかなり混雑します。
そこで運行されているのが通勤特急。着席保証をした上で快適な座席により、少しでも楽な通勤を可能にしています。
現在高崎線の通勤特急として高崎〜上野・新宿で運行されているのが、特急スワローあかぎ号です。
ここては上野〜長野原草津口を結ぶ特急草津の651系電車が使用されています。
しかし、これはJR初期に製造された車両で、かなり年季が入ってきました。
そのため2023年春のダイヤ改正で、E257系電車へ置き換え。特急草津と特急スワローあかぎはそれぞれ、特急草津・四万と特急あかぎへ生まれ変わります。
不思議な名称の「スワローあかぎ」から「あかぎ」になる訳ですが、これはスワローサービスから付けられたもの。
このスワローサービスとは何なのか、特急あかぎになるとどう変わるのか、実際のお客さんの様子とともに見てみましょう。
ちょっと古さを感じる、黄色がかった照明の車内へ。
座席はかなり分厚くフカフカで、ゆったりとしています。近年のスタイリッシュな見た目とかなり異なります。
5:52 高崎駅 発
高崎駅始発のスワローあかぎは、高崎5:52発-上野7:37着、高崎7:40発-新宿9:07着、高崎8:11発-上野9:39着の3本運行されています。
今回乗車したのはかなり朝早いですが、出社時間を考えればこの便を選択する方が多いはず。
この通勤特急は元々特急あかぎだったのですが、特急スワローあかぎに変わったのは2013年3月。この時に「スワローサービス」という名の全車指定席化が開始されました。
スワローとは、旧国鉄のシンボル「つばめ(スワロー)」と「座ろう」を掛けたことから来ています。
自由席のメリットとして、「乗る列車を決めなくても切符さえ持っていれば乗れること」「乗り遅れても次の特急に乗れば良いこと」が挙げられます。
「指定した列車でなければその切符が効力を発揮しない」という指定席のデメリットを補完している訳です。
全車指定席にすると、当然自由席のメリットが受けられなくなります。
そこで指定席と同じ料金の「座席未指定券」を自由席の代わりに発売し、空いている座席に着席可能としました。これならばどの列車に乗っても問題無く、自由席のメリットを享受できます。
全車指定席化が行われた一説には、特急券を買わずに乗るお客さんが多かったからというのが挙げられます。
「車内で車掌さんから特急券をを買えば良い」と、とりあえず乗車。しかし、車掌さんが販売に時間を取られて検札を回りきれず、結果的に特急券を払わず乗られてしまう事例が多発していたそうです。
そこで、全車指定席化することで検札を行う対象は指定以外の座席に座っているお客さんのみに。検札の簡略化が可能となりました。
JR東日本では特急の全車指定席化が進んでいます。スワローサービスはその先駆けとも言えるものです。
全車指定席の特急あずさやひたち等と異なるのは、座席上に空席状況を確認できるランプが付いていないこと。「緑は指定済区間、黄色はまもなく指定区間、赤は空席」という案内があるので、座席未指定券で乗った人は、後でお客さんが来る席を避けることができます。
しかし、スワローあかぎにはそれがないので、後から指定席を取ったお客さんが来るかどうか分かりません。
今後導入されるE257系にもランプが設置されていないので、この点は少し不便に感じるかも。
ここで大宮〜上野で座席の埋まり具合を見てみると、座席の埋まり具合は4割程度でした。窓側はほとんど指定済みであり、スワローサービスを利用している方はほとんどいらっしゃらなさそうです。
そのため通勤特急のように毎日利用する列車であれば、あまり問題ないのかなと思いました。そもそも本数が少ないため、どれに乗るかは自動的に決まりそうです。
指定席料金については、特急あかぎになっても変わりありません。車内料金だと260円増になる点も変更なしです。
ここからは、どれくらいのお客さんが利用されているか見ていきます。
高崎駅発車時点では、この車両含め全体的にガラガラ。高崎から東京については新幹線通勤客も多いため、やや料金の高い通勤特急はあまり利用されません。
高崎〜上野を3ヶ月通勤で比較
新幹線
280,230(新幹線定期券)円
所要時間:50分
在来線特急
151,400(在来線定期券)+1,580(指定席特急料金)×22(日数)×2(往復)=220,920円
所要時間:1時間45分
6:02 新町駅からも利用者さんは、ほぼいらっしゃいませんでした。
6:09 埼玉県に入りまして、本庄駅。
このあたりからの利用者は僅少。始発駅に近ければ普通列車グリーン車でも座れるため、選択肢の少ない通勤特急を選ばないのではと予想します。
6:18 東京駅丸の内駅舎の赤レンガ産地、東京駅を模した深谷駅です。このぐらいで車両あたり1,2人程度の乗車が見られました。
6:28 熊谷駅に到着。
高崎駅以来、北陸上越新幹線の高架橋が近づいてきました。
新幹線乗換駅であることから、高崎駅と同じくここからの利用者さんは少なめ。新幹線利用に流れています。
6:42 鴻巣駅では1車両に6,7人程の乗車。ここから先が利用者の多い区間となります。
6:46 北本で3,4人程度の乗車。
6:51 桶川駅からは鴻巣駅と同じくらい、5,6人ほど乗ってこられました。
6:57 上尾駅は3,4人ぐらいの乗車です。
7:09 大宮駅までで先程の座席表の通り、4割程度の座席が埋まっていました。
新幹線駅でなく、普通列車グリーンでも座れなくなる、中距離からの需要が大きいことが分かります。また所要時間も快速列車とほぼ変わらないことから、明らかに速達性ではなくゆとりある空間が重要視されています。
近年の社会情勢を受けて、旅客単価を上げる傾向にある鉄道各社。
窓側にコンセントが設置されるなど通勤客にも受け入れられやすくなり、これまでより僅かでも利用者が増えそうです。
朝の混雑から解放してくれる列車として、馴染んでいけばと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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