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【なぜ廃線危機に?】名鉄蒲郡線の現状は…。利用者が消えた理由

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中部地方唯一の大手私鉄、名古屋鉄道。愛知県と岐阜県の私鉄を吸収していき、大きな路線網を形成しました。

その中には廃止の危機に瀕する、大赤字路線もあります。やってきたのは三河地方の果て、吉良吉田駅です。

 

吉良吉田駅があるのは愛知県西尾市。三河湾に面しており、2011年に西尾市へ編入される以前は、幡豆郡吉良町でした。

この駅は西尾線と蒲郡線の乗り換え駅、かつては碧南駅から三河線も接続したターミナル駅です。

 

今回取り上げるのは廃線の危機に貧する、名鉄蒲郡線です。

西尾〜吉良吉田〜蒲郡は赤字路線であり、2017年度の赤字額は7.7億円に上ります。沿線自治体の蒲郡市と西尾市が年間2.5億円支出することでなんとか維持しています。

これだけ利用が低迷してしまった路線の現状を見てみましょう。



自動改札機を通りまして、改札内へ入ってきました。

正面にあるのが西尾線のホーム。吉良吉田始発の列車は基本的に、名古屋本線へ直通する列車です。

名鉄西尾線の西尾〜吉良吉田も名鉄蒲郡線と共に廃止議論に挙げられる区間。しかし、今回は名鉄蒲郡線にフォーカスします。

 

すでに自動改札を通っていますが、蒲郡線へは更にのりかえ改札口も通る必要があります。

 

蒲郡線では交通系ICカードを利用できないので、ここでふるいに掛けているという訳です。

 

そして正面に停まっている2両編成の電車。これが蒲郡線の列車です。

 

こちらは2022年3月より走り始めた、「にしがま号」と愛称づけられる車両です。かつて走っていた特急車両をイメージした白帯を施しています。



2面2線のホームがありますが、実際に使われているのが手前側だけです。

奥にあるのはかつて碧南方面へ伸びていた、三河線ホーム。

ディーゼルカーが発着していましたが、現在は留置線として使われています。

 

路線廃止のためこの先列車が走ることはありません。しかし、ここには踏切が残されていて、蒲郡線の列車が到着する時には遮断機が降ります。

 

この踏切は停車位置から割と近い位置にあるので、オーバーランした時に備えてです。

列車が通らない現役の踏切として、結構面白いところだったり。

 

吉良吉田〜碧南にはバスが走っており、廃線代替バスとなっています。

以前三河線の廃線跡を歩きましたが、特に碧南市内は公園として整備されている他、西尾市内もそのまま残っているところが多く、かなり楽しめました。

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路線図的にはちょっとおかしく見える、西尾線と蒲郡線ホームの位置関係。旅客列車が直通することはありません。

かつては3方向へ路線が分かれていたのですが、近い将来電車が来なくなってしまう可能性も高いです。



廃止の危機にある名鉄蒲郡線。早速乗車して現状を観察し、利用者が低迷した理由を探ってみましょう。

かつては構内踏切で結ばれていた、三河線ホームを後にします。

 

しばらくすると西尾線ホームが見えて、角度の狭いL字型をした吉良吉田駅の構造がよく分かる部分です。

 

かつては名古屋からの有料特急列車が直通しており、現在でも繋がっている線路は西尾線の折返し時などに使われます。

 

日中のためお客さんは少なめ。ワンマン運転なので1両目に集中しやすいとはいえ、2両編成に10人乗っているかどうかでした。



三河鳥羽駅で列車の行き違いが行われます。

吉良吉田駅は単式ホームなので、手前のここで交換することに。

 

蒲郡線は日中でも30分に1本走っており、廃線危機にある路線としては本数が多いです。その分交換可能駅も沢山設置されています



西幡豆駅、東幡豆駅、西浦駅にあった駅舎は、2021年秋に解体されました。この時には西尾市がイベントを執り行っています。

西幡豆駅の駅舎跡地には、ベンチとユニバーサルトイレがつくられました。

 

プラットホームと出口は構内踏切で繋がっており、スピードが出ている到着列車に轢かれないよう、右側通行になっています。

 

蒲郡線は海の景色も魅力的。名鉄の路線で海が見えるのは、蒲郡線と空港線と知多新線くらいです。



旧幡豆町の中心部を走り、東幡豆駅。

ここにも木造駅舎が建っていたのですが、残念ながら解体されてベンチだけになってしまいました。

 

光を通すオレンジ色のビニール屋根が特徴的、大手私鉄感は完全に捨てられています。



かつては特急列車も走った蒲郡線。沿線には名鉄により開発された観光地がありました。

その一つが三河湾に浮かぶ前島と沖島、それぞれ「うさぎ島」「猿島」と呼ばれています。

戦後これらの島において、名鉄が本格的に観光開発。前島には300羽のウサギやモルモットなど、沖島には猿を放し飼いにして、三河湾海上動物園を作ったのです。

東幡豆港から前島、沖島を経由して、西浦港へ定期船を運行しており、この時の玄関口が東幡豆駅でした。

 

しかし1978年の来客数56万人をピークにお客さんが減少、1997年に閉園してしまいます。

娯楽の多様化やバブル崩壊などの要因で、三河湾の観光産業は衰退の一途を辿ったのです。



こどもの国駅は名鉄で一番利用客が少ない駅、2019年度の乗降客数は153人/日でした。

歩いて10分ほどのところに愛知こどもの国があって、こちらは今でも営業しています。愛知県政100周年を記念し、1974年に開園しました。

 

特に名鉄の観光施設ではありませんが、同時に近くにあった洲崎駅を移転させ、1976年に「こどもの国」駅へ駅名を変えています。



海に突き出た半島には、西浦温泉があります。東幡豆港から出ていた名鉄の定期船は、あの場所まで結んでいました。

正直、愛知県民でもあまり馴染みの無い、西浦温泉。一方で、多くの中国人観光客がツアーで訪れる人気の場所でした。

しかし、新型コロナウイルスの影響により、西浦温泉の観光旅館「冨士見荘」が経営破綻。新型コロナによる初の経営破綻として、当時かなり取り上げられました。

 

蒲郡市に入りまして、最初の停車駅が西浦駅。

こちらの駅舎も取り壊されており、空き地には仮設感たっぷりのお手洗いが設置してあります。

 

蒲郡駅から西浦温泉へはバスが出ており、蒲郡線に並行する形で走り、西浦駅も経由します。

 

形原駅近くにも形原温泉があります。

 

このように蒲郡市には多くの温泉地があるものの、駅から離れています。蒲郡線を使うのはちょっと現実的でなく、道路交通を使う方が多いです。

 

三河鹿島駅はかつて交換可能な島式ホームでしたが、1961年に廃止。1968年に線形直線化が行われたので、線路の買った力はその名残が分かりません。



最後にやってきました、ライバルのJR東海道本線です。

蒲郡競艇場前駅に到着すると、真隣に三河塩津駅があります。

最初に蒲郡競艇場前駅を設置していたのは名鉄、それから20年後の1988年にJR東海も三河塩津駅を開業させました。

 

豊橋や岡崎からのアクセスはJR東海道本線の方が圧倒的に便利、競艇場へ行くお客さんもJRを使うようになりました。

 

当時既に廃線の陰りが見えていましたが、終点蒲郡駅へ向けて2000年に高架化されました。

まあ、名鉄には高架化して僅か6年で廃止になった路線もあるので…。

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JR東海道本線と完全に並走して、終点の蒲郡駅に到着しました。



大手私鉄のローカル線、30分ほどの旅でした。

お隣のJRホームは非常に明るいですが、それとちょっと対照的な名鉄ホーム。年季の入った車両が佇む姿は非常に似合っています。

 

名鉄の蒲郡駅に自動改札機は設置されておらず、有人改札を通ることに。

 

こちらはJR東海道本線の改札、特別快速まですべての種別が停車する駅で、名古屋へはほとんどの方がJRを利用します。

蒲郡〜名古屋において東海道本線が優位に立ったのは、1980年代後半からのダイヤ拡充。さらに民営化後の快速列車投入によるものです。

 

名古屋まで蒲郡線を使うお客さんはいなくなり、名鉄の券売機横にはもう諦めたような案内が貼られています。

名鉄蒲郡線の利用客はほとんどが路線内の移動で完結しています。こういった路線は他路線への影響が小さく、廃線にしやすいものです。

 

今後も残ってほしい路線の一つですが、沿線人口も減少傾向で、沿線自治体による支援がいつまで続くかも分からない状態。

抜本的な解決策も打ちづらく、状況は中々厳しいものです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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