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【九州に行くサンライズ】京都・大阪〜熊本を結ぶ便利な夜行バス乗車記[2212南阿蘇(1)]
こちらは夜の京都駅、ビル一同が頭を揃えている中、ひとつ夜空に突き抜ける灯台が都を照らします。 本日京都駅から乗車するのは、「サンライズ号」です。 サンライズ号と言ったら、真 ...
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福岡市、北九州市に次いだ九州の政令指定都市、熊本市に来ています。
2015年から進められた高架化、メインの駅舎は熊本城の武者返しをイメージしたデザインに整えられています。
JR熊本駅は熊本市の中心部から離れていたのですが、JR九州による駅ビル開発でかなり発展しました。
2011年に九州新幹線が全通して、新大阪から一本で繋がった熊本駅。
ここから阿蘇くまもと空港は20km/h離れており、アクセスに少々難があります。リムジンバスで行くのが一般的ですが、1時間から渋滞時には1時間半かかります。
もう一つ挙げられるのが、JR豊肥本線で肥後大津駅まで行き、無料の空港バスでアクセスする方法です。
それでも定時性と輸送力に難がある、阿蘇くまもと空港のアクセス。肥後大津駅から分岐する、空港アクセス鉄道の建設が決まっています。
今回は肥後大津駅から阿蘇くまもと空港まで行ってみる他、路線建設の背景にも注目します。
まずは肥後大津行き普通列車に乗車。
熊本駅と大分駅を結ぶJR豊肥本線、観光名所の阿蘇を経由することもあり、観光特急が走っています。
一方で熊本都市圏の輸送も担っており、電化区間の肥後大津駅までは比較的本数が多いです。
熊本空港アクセス鉄道の分岐駅には、三里木駅、原水駅、肥後大津駅の3駅が候補に上がっていました。
肥後大津駅から熊本空港線(仮)を分岐させることになったので、肥後大津行きの列車を熊本空港(仮)行きにすれば良いことに。熊本駅から熊本空港駅の直通列車運行が可能です。
9時過ぎですが、2両編成には立ち客も出ています。熊本駅を出発してすぐに東へカーブしました。
3kmほど走ったところで、新水前寺駅に到着。
この駅は熊本駅に次いで県内2番目に利用者が多い駅です。増加傾向が続いており、2019年度の乗車人数は4702人/日で、2004年からほぼ倍増しています。
熊本市電水前寺線と高架で直交しまして、僅か600mしか離れていない水前寺駅に到着。新水前寺駅は市電との乗り換え利便性を向上するために設置され、こちら水前寺駅の混雑緩和の目的もありました。
水前寺駅は新水前寺駅に次いで県内3番目に利用客が多い駅。この地域の鉄道需要がどれだけ大きいか、窺い知ることができます。
次の東海学園前駅で列車交換。
東海大学熊本キャンパスへのアクセス駅で、豊肥本線の利用者にはここへの通学者も多いです。
光の森駅は2006年に開業した駅、熊本市のベッドタウンとして建設された、光の森ニュータウンの玄関口です。かつて走った博多とを結ぶ特急有明の始発駅でした。
熊本空港アクセス鉄道の分岐候補駅だった三里木駅。
途中に県民総合運動公園があって、ここに途中駅を設ける計画でした。
当初はこの駅からの分岐が最有力でしたが、熊本駅までの直通運行には、線路容量の観点から複線化が必要。三里木駅〜熊本空港駅のシャトル運行が現実的でした。
お隣の原水駅も、分岐候補駅でした。熊本空港までの距離が一番短かったためでしょうか。
そして最終的に熊本空港線の分岐駅となった、肥後大津駅に到着。
既に阿蘇くまもと空港駅という愛称が付けられており、看板には無料バスが出ていることを示しています。
時刻表を見てみても、ここが運行上の境界駅になっていることは明らかです。
のりばによって方向が決まっていない、2面3線構造。
完全に勝手な予想ですが、真ん中の線路に熊本空港駅発着、右側の線路に阿蘇方面発着の列車を入れることで、対面乗換を実現。熊本空港〜阿蘇の利便性向上を見込めると思います。
この先立野駅からは南阿蘇鉄道が分岐しており、JR豊肥本線との直通運転も実現します。こちらとの接続もできればと妄想が膨らむものです。
構内踏切で繋がれており、阿蘇くまもと空港へは南口です。
この時は改装工事中だったビジターセンター、2023年3月に「くまモンベース」としてリニューアルしています。
そしてこちらに時刻表があります、阿蘇くまもと空港ライナーは30分に1本程度の運行です。
鉄道を補完する形で阿蘇・大分方面の特急バスも発着していますが、今回利用する空港ライナーの看板が掲げられています。
パッと見は完全に阿蘇くまもと空港駅。
空港ライナーは2011年から試験運行していたのですが、本格運行開始の2017年にこの愛称がつけられました。
空港ライナーはジャンボタクシーでの運行です。
「航空機搭乗者を優先」とされていたので、最後に乗車。
名前そのままの空港大橋で白川を渡ります。
こういう名前をつけられると人工島の空港で海の上を渡っているイメージがありますが、ご覧の通り阿蘇を囲むカルデラの外輪を見ながら走ります。
15分ほどで阿蘇くまもと空港に到着。
所要時間は乗り換え時間含め、熊本駅からのリムジンバスと同等の1時間が目安。一方、JRの運賃460円のみであり、リムジンバス800円よりも安く抑えられます。
空港らしい立派な建物が見えてきましたが、一旦素通りしてしまいます。
こちらは2023年3月23日に開業した新ターミナル。当時はまだ工事中で、中に入ることはできませんでした。
ちょうどイベントが開催されていまして、新ターミナルについてパネルが設置されていました。
2016年の熊本地震で被災した、阿蘇くまもと空港。この建設は地震の影響で決まったものです。
天窓が設けられた開放的なターミナル内では、店舗が大幅に拡張。広場など交流スペースを豊富にし、海外からのお客さんも迎えます。
現在は既に使用されている、新ターミナルを立体駐車場から。
デザインは熊本城の黒漆、漆喰をイメージしており、冒頭の熊本駅にも似ています。
当時は隣接する仮ターミナルで営業していました。まるで大型倉庫みたいです。このあたりの広場と商業ゾーンは2024年秋ごろ開業予定となります。
さて、熊本空港駅は空港ターミナル前に作られる予定で、高架駅と想定されています。
新ターミナルを正面に右側から線路が来る形、ここで終着駅になるはずです。
まだルートも決まっていないので当然正確な位置は分かりません。
考えられる位置としては、仮ターミナルの辺り。これならば道路を渡る必要なくターミナルへ行けます。宮崎空港駅みたいな構造です。
もう一つは立体駐車場の辺り。
道路を渡る必要があり、駐車場を新たに作る必要が出てきますが、広く用地の確保はしやすいです。
完成はかなり先のことですが、建設の決まった熊本空港駅が今から楽しみ。また、ピカピカの空港の中も是非訪れたいです。
肥後大津駅へ戻ってきました。
非常に便利な空港ライナーが接続する駅で、阿蘇くまもと空港駅の愛称に相応しい交通拠点です。
もっと便利な空港アクセス鉄道線が肥後大津駅から分かれる、その理由を見に行きましょう。
北西へ3kmほど歩きまして、突如クレーンの群れが見えてきました。
菊陽町に入りまして、こちらはTSMCの新工場工事現場です。通常10年掛かる規模の工場を、2年に収めて2023年9月完成を目指すという急ピッチ工事です。
ここではソニーの画像センサー、デンソーの車載用半導体が作られ、近くには最大の顧客であるソニーセミコンダクタが位置しています。
熊本県でも過去最大級の企業進出。
新規雇用として1500人が生まれ、マンション建設も進んでいます。通勤や出張需要を見込むべく、熊本空港アクセス鉄道構想でも再調査が行われ、肥後大津駅分岐案に落ち着いたのでした。
今後4年かけて環境アセスメント、用地買収が行われ、8年の工事期間を経て、完成は2034年以降と見込まれます。
かなり長い道のりですが、新たに便利な鉄道ができるのは嬉しいこと。開業する未来が非常に楽しみです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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