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【100周年を迎えた宗谷北線】南稚内/音威子府の記念入場券・天塩中川駅を訪問[HC85デビュー(5)]
おはようございます。 いきなりですが日本最北端の駅、稚内駅です。 現在では宗谷本線の終着駅として不動の地位を築いている稚内駅。しかし、実際には不動ではなく変化してきた駅です。   ...
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ここは最北端の鉄路、宗谷本線の中枢駅である名寄駅です。
旭川〜名寄と名寄〜稚内で大きな需要の差はありますが、特に乗換路線は無く特急が停まる途中駅に過ぎません。
しかし、かつてここ名寄駅からは、深川駅まで深名線、遠軽駅までは名寄本線が伸びていました。4方向に路線が伸びる一大ターミナル駅だったのです。
今日はその中の一つ、深名線の旅です。鉄道路線は1995年に廃止されましたが、牧場みたいな駅舎の前からは代替交通手段が発着します。
それが、ジェイ・アール北海道バス深名線です。
鉄道が廃止されると、多くは別のバス会社やコミュニティバスへ移管されます。しかし、深名線に関してはJR北海道の子会社が引き継いで運行しているのです。
しかも、北海道フリーパスや、HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス等、JR北海道のフリーきっぷでも乗車可能です。
フリーきっぷでも気軽に楽しめる鉄道廃線、深名線バスの旅が始まります。
16:07 名寄駅 発
高速バス同様、非常に快適な大型バスは名寄駅前のロータリーを出発しました。
名寄市に本社があり、道北地方に展開するスーパー西條横を走ります。
名寄駅からしばらくは高校生の生徒さんが5人ほどいらっしゃいましたが、市街で降りてしまい残ったのは他に1人だけです。
宗谷本線に沿ってずっと流れる、天塩川を渡ります。
最初の深名線最初の駅は、西名寄駅でした。駅跡地には上川ライスターミナル名寄工場が建っています。
1軒の家が広々と畑を持っている、のどかな景色が続きます。
次の天塩弥生駅は、駅跡地に民宿ができたとして有名な場所です。
当時の駅舎は1998年に一度解体されたのですが、当時を再現した建物を建築。2016年3月から民宿「天塩弥生駅」として営業開始しました。
パッと見は完全に鉄道が走っていそうな駅。周辺にはハエタタキと呼ばれる通信用電柱や踏切などが並んでいます。
ずっと田畑の中を走っていましたが、段々と山を登っていきます。勾配に弱い鉄道がどうやって登っていたんだろうと思ってしまう程です。
しばらくすると一面に北海道の森が広がっていました。
名寄市と雨竜郡幌加内町の境をトンネルで抜けていきます。鉄道では1,530mの名雨トンネルで峠を越えていました。
深名線は幌加内町に入りました。
非常に縦長の形をしており、深名線の半分を占めます。
母子里簡易郵便局の交差点で、道道688号から国道275号に入ります。この国道は美深町から沼田町を結ぶ道路です。
駅跡はNTTの基地局になっているという、北母子里駅周辺を過ぎました。
幌加内町母子里では1978年に、国内最寒の-41.2度を記録しており、日本で一番寒い町として知られています。
深名線は朱鞠内湖の北側を回りますが、このバスは国道688号に入ったので南側を通っていて、廃線跡から大きく外れます。
それでも朱鞠内湖のすぐ横を走ったりして、とても綺麗です。23.73k㎡という広大な面積ですが、日本最大の人造湖になります。
雪の結晶のような複雑な形をしており、所々で見下ろせました。
湖の向こうにあった宇津内仮乗降場は1956年に廃止されると、その駅舎が留萌本線の北一已駅まで移設されました。現在使われているのは深名線の駅舎です。
深名線に並行する道路と合流しまして、バスは一旦朱鞠内湖の岸まで北上します。
湖畔駅は朱鞠内湖観光に一番近い駅でしたが、実際には2kmほど離れていました。北母子里駅から18km以上、ここまで途中駅はありません。
バスは引き返してきまして、深名線に並行して南下を続けます。
そして見慣れたJR北海道の駅名標が見えてきました、朱鞠内駅に到着です。
朱鞠内では5分ほど休憩時間があるので、外へ出てみます。
駅跡地にはバス待合所が建てられ、朱鞠内コミュニティー公園が整備されました。線路と駅名標は移設してあります。
朱鞠内駅は交換可能駅で、ダム建設時の貨物輸送では非常に賑わっていたそうです。日本海側の羽幌線羽幌駅までは、ここから名羽線が分岐する予定でした。
引き続き他には1人だけ乗車中。
全く乗り降りがないまま共栄駅周辺を通過します。
添牛内駅跡には地元住民の方によって、貴重な木造駅舎が残されています。
2022年には老朽化した駅舎修繕のため、添牛内駅保存会がクラウドファンディングを実施。450万円を集めて現在では駅舎が生まれ変わっています。
政和駅は廃止後、食堂として活用されたこともあるそうですが、現在はシャッターが閉じられていました。
道を挟んで政和温泉駅跡の向かいにあるのは、1998年にできた道の駅森と湖の里ほろかないです。
1961年に下政和仮乗降場から政和温泉仮乗降場になり、1987年には臨時駅に昇格。1990年の廃線より早く廃駅になりました。
ここまで駅以外、鉄道の構造物が無かった深名線。ここで第三雨竜川橋梁を見ることができます。どっしりと固められた橋桁にトラス橋が渡されていて、かなり立派な構造です。
深名線の廃線跡は、ほとんど田畑の中にもこもこと木が生えている感じ。バスから見られるのはこれくらいです。
国鉄民営化と同時に仮乗降場から駅に昇格した上幌加内駅跡、茶色屋根の上幌会館奥にあります。
そして、久しぶりに大きな街が現れました。バスはこれから幌加内町の中心部へ入っていきます。
幌加内町は北海道で最も人口が少ない町で1323人(2022年5月現在)。2015年の国勢調査では人口密度が全国最低の町、市町村でもワースト3位です。
そんな小さな町ですが、やっぱりメインストリートまで来ればお店もあります。
建物に描かれた観光マップには、25年以上前に廃止された鉄道がまだ残っていました。
17:54 幌加内 着
このバスは幌加内行きなので一旦下車。乗り継ぎまでわずかに時間があるので、走って駅跡地まで行ってみます。
バスの車庫が置かれたこの場所が、幌加内駅跡地になります。駅舎は2000年に火災で焼失してしまいました。
その代わりにモニュメントとして残るのがこちら、線路や駅名標、石碑が鉄道の歴史を伝えます。
深名線の中でも利用者が多い主要駅ですが、1992年の乗降客数は42人。何度も廃止対象の特定地方交通線に指定されましたが、並行道路未整備を理由にその波を何とか避け続けていたのです。
駅に向かって5方向から道路が集まっていて、人が集まって来た名残を感じました。
一方で、現在の中心地はメインストリートに面したこちらのバスターミナルです。
ここから先、幌加内〜深川は割と本数が設定されている印象があります。
18:04 幌加内 発
名寄から乗っておられた生活利用者の方はここで下車されたようで、幌加内からは僕だけの乗車です。
隣り合う幌加内中学校、幌加内高校の前に停車。職員らしき方が乗ってこられました。
幌加内町といえば幌加内蕎麦、蕎麦打ちが必修という面白い高校です。
タイヤを積み上げた交通安全マン。
新成生駅周辺は道路が整備されたことで、廃線跡は残りません。国道を外れて沼牛中学校跡地周辺を走ります。
沼牛駅は木造駅舎が残る廃駅として、非常に有名です。
幌加内から乗る時、運転士さんと廃線跡を乗りに来たと話したら、サービスでしばらく停めて下さりました。
映画のセットかと思うくらい時が止まった駅舎内。ラッチも窓口跡も全て木造で素晴らしいです。
現在でも多くの鉄道ファンが訪れているようで、夜間でも駅舎を照らして撮影する方がいたとお話を聞きました。
運転士さんのご厚意を享受しまして、バスは幌加内町から深川市へ。
鉄道では幌加内トンネルによって峠を越えていました。
鷹泊駅はかなり荒廃が進んでいるものの、駅舎が残されています。個人的にはそれも廃駅らしさがあって好きなのですが、安全面から考えると取り壊しが進んでしまうんですよね。
道路のすぐ近くには深名線の盛り土が並走します。
幌成駅の待合室は車掌車を改造したものなのですが、農機具工場までそのまま持ってきて事務所として使っているそうです。画面左端に見えていて、駅名も書かれたままになっています。
多度志駅跡を過ぎまして、多度志小学校横を通過。
バスはここから深名線の廃線跡と離れ、深川駅に向かいます。
幌加内町は北海道内でも珍しい、セイコーマートグループ店舗が無い市町村です。深川市に入ってようやく安心できる文明が現れました。
留萌本線からも見られる、大きな深川第一病院の真横を通ります。
ほっともっと等チェーン店があって、深川市の都市っぷりをまじまじと感じさせられました。
JR北海道の大幹線・函館本線の上を渡ります。
深川十字街を抜けまして、正面には終点の深川駅が見えてきました。
19:11 深川駅 着
バスに揺られること3時間、深名線の始点である深川駅に到着しました。
深川駅は1・3・4・6番線ホームがあり、2・5番線にはホームがありません。深名線は駅舎から一番遠い6番線ホームを発着していました。
東側(旭川方)へ伸びたのち、北へ分岐していたそうです。
かつては7番線ホームもあり、今では駐車場と化している部分も鉄道用地でした。
2026年3月には留萌本線が全線廃止。深名線・留萌本線どちらも無くなって、深川駅も名寄駅と同様、特急が停まる一途中駅に留まります。
ジェイ・アール北海道バスによる運行で、鉄道廃線の中ではかなり巡りやすい深名線。冬になると極寒の幌加内も体験できますから、ぜひ訪れてみてください!
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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